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其之七:稽古再び
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時が過ぎ、再び、江戸城内の道場。左門は再び家光公と相対していた。
「左門、もう一本、頼むぞ」家光公はそう言って、蟇肌竹刀を構えた。
久しぶりの、家光公との剣の稽古であった。左門もゆるりと蟇肌竹刀を構える。
道場で立ち会うたびに、家光公様の剣は変わっていった。以前のように、無闇矢鱈に打ち込んでくることは無くなっていた。じわりじわりとすり足で間合いを詰め、隙を伺うようになっていた。左門が意図的に隙を作ると、容赦無く打ち込んでくる。
左門はさらりと家光公の太刀を躱す。決して受けない。新陰流の「柳の枝」は、相手の太刀を受けない。しかし、家光公も、左門に打ち込まれる位置までは踏み込まなくなっていた。
家光公の世継ぎを望む福の差配か、左門だけでなく、小姓たちは、徐々に家光公から離されていった。左門も例外ではなかった。堀田正盛の思惑もあり、政の舞台で同席することも少なくなっていた。家光公が左門と接することができるのは、この道場での剣の稽古がほとんどになっていた。
剣の稽古が終わった。今日も、家光公は左門に竹刀を受けさせることができなかった。しかし、家光公は満足げに笑みを浮かべていた。
「左門」家光公が汗を拭きながら、左門に声をかける。「今度、おぬしを、徒頭に任ずるぞ。拒否は許さん」
左門は黙って聞いていた。
「徒頭であれば、今よりわしに近くなり、わしに直接、意見を述べることが容易くなるだろう。ゆくゆくは父親同様、惣目付となり、わしを補佐せい」
家光公は高らかに宣言するのだった。
――それは、私の望むところではないのですよ、上様……
左門は、その思いを表にすることはなかった。
「左門、もう一本、頼むぞ」家光公はそう言って、蟇肌竹刀を構えた。
久しぶりの、家光公との剣の稽古であった。左門もゆるりと蟇肌竹刀を構える。
道場で立ち会うたびに、家光公様の剣は変わっていった。以前のように、無闇矢鱈に打ち込んでくることは無くなっていた。じわりじわりとすり足で間合いを詰め、隙を伺うようになっていた。左門が意図的に隙を作ると、容赦無く打ち込んでくる。
左門はさらりと家光公の太刀を躱す。決して受けない。新陰流の「柳の枝」は、相手の太刀を受けない。しかし、家光公も、左門に打ち込まれる位置までは踏み込まなくなっていた。
家光公の世継ぎを望む福の差配か、左門だけでなく、小姓たちは、徐々に家光公から離されていった。左門も例外ではなかった。堀田正盛の思惑もあり、政の舞台で同席することも少なくなっていた。家光公が左門と接することができるのは、この道場での剣の稽古がほとんどになっていた。
剣の稽古が終わった。今日も、家光公は左門に竹刀を受けさせることができなかった。しかし、家光公は満足げに笑みを浮かべていた。
「左門」家光公が汗を拭きながら、左門に声をかける。「今度、おぬしを、徒頭に任ずるぞ。拒否は許さん」
左門は黙って聞いていた。
「徒頭であれば、今よりわしに近くなり、わしに直接、意見を述べることが容易くなるだろう。ゆくゆくは父親同様、惣目付となり、わしを補佐せい」
家光公は高らかに宣言するのだった。
――それは、私の望むところではないのですよ、上様……
左門は、その思いを表にすることはなかった。
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