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恋は盲目
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「あの、そう言えば私貴方の名前を知らないわ」
私はあの後、男性の家へお邪魔していた。
宿を出てすぐだったから、気持ち的に助かった。
男性はお茶を注いでくれている。
「あ、すっかり自己紹介を忘れていたね。僕は冴島トオル。25歳だよ。ハナさんは?」
薄ピンク色の花柄が描かれている可愛らしいティーカップに、お茶を淹れて出してくれた。
「ありがとう」
それを口にして私は落ち着く。
「フラン・ハナ。年齢はよく分からないわ」
トオルさんも私の前に座ってお茶を飲む。
「分からない?一体どういう事だい?」
トオルさんは不思議がる。
存在がレアアイテムだからです、なんて言える訳がない。
なんて言おう。
私が黙ってしまうと、気を遣って話題を変えてくれた。
「年齢なんて関係ないですね!それより、僕あの方達にだいぶ警戒されちゃってましたよね?まあ、ちゃんと自己紹介も無しにあんな勢いで告白したもんだから無理ないでしょうけれど」
そう言いながら、頭をポリポリと掻いている。
「いいえ、あの人達はいつだってあんな感じだから気にしないで。特にあの眼鏡の人」
私はさっきの事を思い出す。
ダメ、またムカついてきちゃう。
私はお茶を一気に飲み干す。
「ああ、あの口が悪い方。チクチク刺すように話してくるので、正直怖かったです」
初めましての人だと尚更、真咲のあの口調はキツく感じるんだわ。
「そうね、あの人は本当にいつも口が悪いの。普段はなるべく気遣ってるみたいだけれど、話しているとどんどん口調が悪くなっていってムカつくのよね」
トオルさんはうんうんと頷く。
「それに、服のセンスもないわ。食欲だって旺盛でうどん3杯も食べちゃうし、上から目線だし、極度の心配性だし」
「そういう人って一緒にいると楽しくないですよね。ハナさんがそんな人と離れる事ができて僕は安心しました」
私の愚痴に合わせてくれる。
なんだ、良い人そうじゃない。
「最初に見た時から感じていたんですよ。あ、あの女性は無理やり連れ回されているんだ。あんな女性の扱いが雑そうな方達に汚されているんだと」
ん?
「いや、でも意外と優しい所もあるのよ?つむぎは、鈍臭くて、自分の事大好きでいつも何かしら突っ込んでてうるさいけれど面白くて気遣える人だし。真咲も、口が悪くて上から目線で大食いで自分の事になると雑だし意外と子どもっぽくて、でもちゃんと見守ってくれていて本当は優しい人なの」
そこまで言って、私はあの2人が大好きなんだなと気づく。
ああ、私なんだか目が覚めた気がする。
真咲は、初めて恋を教えてくれた特別な人。
でも、それと同じくらいつむぎも、私が見たことのない世界に連れ出して笑顔にさせてくれた大切で特別な人。
パンッ!!!!!
私は自分のほっぺたを思い切り叩く。
「ハナさん!???」
トオルさんが驚いている。
私はトオルさんの目をまっすぐ見て伝える。
「トオルさん、ごめんなさい。私、あの人達が大好きなの。ずっとあの人達と一緒に笑って旅がしていたいの。だから、トオルさんと一緒にはいられない。ごめんなさい!」
私は深く頭を下げる。
良い加減な気持ちで申し訳ない事をしてしまった。
期待だけさせて。
真咲の言うように私は優柔不断だった。
「ハナさん、顔をあげてください」
私は顔をあげる。
「僕、最初から分かっていたんです。ハナさんは遠い存在だと。でも、だからといって諦められなかった。だって、9年間ずっと信じて待っていたんですから!」
?
トオルさんは何を言っているの?
そう言うとトオルさんはこっちに来てくださいと言って、ある部屋へ案内をしてくれる。
「ここがどうしたの?」
私はトオルさんに聞く。
「まあ、見てください」
トオルさんが部屋の扉を開ける。
!!!?
壁、天井、全てに女の子の写真が貼ってある。
ベッドには抱き枕。
机の上と棚にはフィギュア。
全部同じ女の子だ。
心なしか、私に似ている気がする。
「ハナちゃん。ずっと、会いたかったんだよ?」
ドンッ!!!
「きゃっ!!!」
私は背中を押される。
バタンッ。ガチャ。
鍵を閉められた。
「僕、お風呂に入ってくるから、そこで大人しく待っていてね~!」
トオルさんが叫んで離れて行く。
え、私監禁されたの?
この私が?
私は真咲の言葉を思い出す。
ああ、ちゃんと聞いていれば良かった。
今更後悔したって遅い。
けど、閉じ込められたからって別に困らない。
私は、手を扉に向けて魔法を出そうとする。
けど、手が震えて思うように力が出ない。
私は悔しくなって扉を思い切り蹴る。
ドンッ!!!!
「わっ!」
??????
扉の向こうから声がした。
今の声って、もしかして。
「つむぎ?」
「あ、ハナ?大丈夫?怪我してない?」
扉の向こうにつむぎがいる。
来てくれたんだ。
私は嬉しくなって思わず涙が出る。
「今、助けてあげるからね。無理しないで待ってて」
なんて安心するんだろう。
私、あとでつむぎに謝らなきゃ。
ドガッ!!!
つむぎが蹴って扉は簡単に倒れてしまう。
「つむぎ!!!!」
私はつむぎの胸に飛び込む。
「あー、よしよし。もう大丈夫だからね~」
「なに、してるんですか?」
!!!!
扉の音に気づいてやってきたトオルさんが私たちを見下ろしていた。
「えっと、大切な仲間を返して貰いに来ました」
「着いてきていたのかい?」
「ええ、まあ。途中で見失ったんでほぼ勘でしたが」
つむぎは困った、困ったと頭を掻く。
「困るのはこっちなんですが。僕のハナちゃんを返して下さい。やっと、会えたんですから」
トオルさんは手を出す。
「貴方たち、旅人ならこんな力も知っていますよね?」
そう言って手を前に出す。
ドンッ!!!
私はあの後、男性の家へお邪魔していた。
宿を出てすぐだったから、気持ち的に助かった。
男性はお茶を注いでくれている。
「あ、すっかり自己紹介を忘れていたね。僕は冴島トオル。25歳だよ。ハナさんは?」
薄ピンク色の花柄が描かれている可愛らしいティーカップに、お茶を淹れて出してくれた。
「ありがとう」
それを口にして私は落ち着く。
「フラン・ハナ。年齢はよく分からないわ」
トオルさんも私の前に座ってお茶を飲む。
「分からない?一体どういう事だい?」
トオルさんは不思議がる。
存在がレアアイテムだからです、なんて言える訳がない。
なんて言おう。
私が黙ってしまうと、気を遣って話題を変えてくれた。
「年齢なんて関係ないですね!それより、僕あの方達にだいぶ警戒されちゃってましたよね?まあ、ちゃんと自己紹介も無しにあんな勢いで告白したもんだから無理ないでしょうけれど」
そう言いながら、頭をポリポリと掻いている。
「いいえ、あの人達はいつだってあんな感じだから気にしないで。特にあの眼鏡の人」
私はさっきの事を思い出す。
ダメ、またムカついてきちゃう。
私はお茶を一気に飲み干す。
「ああ、あの口が悪い方。チクチク刺すように話してくるので、正直怖かったです」
初めましての人だと尚更、真咲のあの口調はキツく感じるんだわ。
「そうね、あの人は本当にいつも口が悪いの。普段はなるべく気遣ってるみたいだけれど、話しているとどんどん口調が悪くなっていってムカつくのよね」
トオルさんはうんうんと頷く。
「それに、服のセンスもないわ。食欲だって旺盛でうどん3杯も食べちゃうし、上から目線だし、極度の心配性だし」
「そういう人って一緒にいると楽しくないですよね。ハナさんがそんな人と離れる事ができて僕は安心しました」
私の愚痴に合わせてくれる。
なんだ、良い人そうじゃない。
「最初に見た時から感じていたんですよ。あ、あの女性は無理やり連れ回されているんだ。あんな女性の扱いが雑そうな方達に汚されているんだと」
ん?
「いや、でも意外と優しい所もあるのよ?つむぎは、鈍臭くて、自分の事大好きでいつも何かしら突っ込んでてうるさいけれど面白くて気遣える人だし。真咲も、口が悪くて上から目線で大食いで自分の事になると雑だし意外と子どもっぽくて、でもちゃんと見守ってくれていて本当は優しい人なの」
そこまで言って、私はあの2人が大好きなんだなと気づく。
ああ、私なんだか目が覚めた気がする。
真咲は、初めて恋を教えてくれた特別な人。
でも、それと同じくらいつむぎも、私が見たことのない世界に連れ出して笑顔にさせてくれた大切で特別な人。
パンッ!!!!!
私は自分のほっぺたを思い切り叩く。
「ハナさん!???」
トオルさんが驚いている。
私はトオルさんの目をまっすぐ見て伝える。
「トオルさん、ごめんなさい。私、あの人達が大好きなの。ずっとあの人達と一緒に笑って旅がしていたいの。だから、トオルさんと一緒にはいられない。ごめんなさい!」
私は深く頭を下げる。
良い加減な気持ちで申し訳ない事をしてしまった。
期待だけさせて。
真咲の言うように私は優柔不断だった。
「ハナさん、顔をあげてください」
私は顔をあげる。
「僕、最初から分かっていたんです。ハナさんは遠い存在だと。でも、だからといって諦められなかった。だって、9年間ずっと信じて待っていたんですから!」
?
トオルさんは何を言っているの?
そう言うとトオルさんはこっちに来てくださいと言って、ある部屋へ案内をしてくれる。
「ここがどうしたの?」
私はトオルさんに聞く。
「まあ、見てください」
トオルさんが部屋の扉を開ける。
!!!?
壁、天井、全てに女の子の写真が貼ってある。
ベッドには抱き枕。
机の上と棚にはフィギュア。
全部同じ女の子だ。
心なしか、私に似ている気がする。
「ハナちゃん。ずっと、会いたかったんだよ?」
ドンッ!!!
「きゃっ!!!」
私は背中を押される。
バタンッ。ガチャ。
鍵を閉められた。
「僕、お風呂に入ってくるから、そこで大人しく待っていてね~!」
トオルさんが叫んで離れて行く。
え、私監禁されたの?
この私が?
私は真咲の言葉を思い出す。
ああ、ちゃんと聞いていれば良かった。
今更後悔したって遅い。
けど、閉じ込められたからって別に困らない。
私は、手を扉に向けて魔法を出そうとする。
けど、手が震えて思うように力が出ない。
私は悔しくなって扉を思い切り蹴る。
ドンッ!!!!
「わっ!」
??????
扉の向こうから声がした。
今の声って、もしかして。
「つむぎ?」
「あ、ハナ?大丈夫?怪我してない?」
扉の向こうにつむぎがいる。
来てくれたんだ。
私は嬉しくなって思わず涙が出る。
「今、助けてあげるからね。無理しないで待ってて」
なんて安心するんだろう。
私、あとでつむぎに謝らなきゃ。
ドガッ!!!
つむぎが蹴って扉は簡単に倒れてしまう。
「つむぎ!!!!」
私はつむぎの胸に飛び込む。
「あー、よしよし。もう大丈夫だからね~」
「なに、してるんですか?」
!!!!
扉の音に気づいてやってきたトオルさんが私たちを見下ろしていた。
「えっと、大切な仲間を返して貰いに来ました」
「着いてきていたのかい?」
「ええ、まあ。途中で見失ったんでほぼ勘でしたが」
つむぎは困った、困ったと頭を掻く。
「困るのはこっちなんですが。僕のハナちゃんを返して下さい。やっと、会えたんですから」
トオルさんは手を出す。
「貴方たち、旅人ならこんな力も知っていますよね?」
そう言って手を前に出す。
ドンッ!!!
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