79 / 126
昇級決闘編
第76話 クロノス・クロノスタリア
しおりを挟む
一度目の人生に於いて、俺がクロノス殿下と実際に剣を交えた回数はそれほど多くはなかった。どちらかと言えば、彼は自らが武力を誇示するよりも他人の素質を見極めて、運用する能力に長けていたように思える。
所謂、参謀型な訳だが、決して戦闘能力がないと言うわけではなく寧ろその逆で、王家の血統魔法の能力を考えれば余裕で〈比類なき七剣〉に成れるほどの実力があったと記憶している。
「はじめ!!」
つまり、油断なんてのは微塵もできないと言うことだ。
「「ッ!!」」
フリージアの合図で俺と殿下は一気に地面を蹴って間合いを詰める。
「行くぞクレイム・ブラッドレイ!!」
互いの刃が交じり合うその瞬間、クロノス殿下が裂帛の気合で叫び、魔力の発露を確かに感じ取った。
「ッ────初っ端からか!!」
出し惜しみはなしと言うわけだ。予想外の初手に意表を突かれていると、こちらの動揺を上塗りするかのように今まで眼前にいた殿下は瞬く間に消えた。唐突に、何の予備動作もなく、不自然に、それはまるで────
「チッ……!!」
時間を不自然に切り取ったかのように。
「もらった!!」
不意に背後から殿下の叫び声と、魔力の熾りを感じ取る。そうして反射的に、本能的に旋転してみれば視界の端には殿下が剣を振り下ろす姿が映った。
「ッ────!!」
それを何とかギリギリで反応して血剣を這わせて防御に成功する。
「クッ……これに反応するのか────!!」
殿下は悔し気に俺の反応速度を称賛するが、回避は本当にギリギリだった。その証拠として俺はまともな体制で防御できておらず、依然として攻防は殿下の優勢だ。
「はあぁぁああああああああッ!!」
「……!!」
こちらの体制を整わせまいと間隙なく刃で斬りつけてくる。それをやはり何とか捌きながら、先ほどの一連の流れを脳裏で反芻する。
────さて……情報を整理だ。
唐突の背後強襲。それは一度目の頃から彼の常套戦術であり、初めて戦う相手とは必ずと言っていいほど使用していた技だ。実際にやられてようやく思い出した。しかしこれは────
「分かっていても、すぐに反応は無理だな……!」
正に反則、王の強権と呼ぶに相応しい権能。その名を────
「本当に反則級な魔法だ!!」
【瞬空魔法】
時間と空間を任意のタイミングで飛び越える魔法。説明としては単純、しかしてその汎用性は無限大。色々と制約は存在するが、だとしても初見でこの反則的な魔法を攻略することはほぼ不可能だ。
「君のその馬鹿げた戦闘能力に比べれば可愛いものさ!!」
「チッ……」
一度目の俺では終ぞこの魔法を前にまともに戦うことすらできなかった。何度彼の魔法に苦しめられ、辛酸を舐めさせられたことか。死にかけたことなんて数えきれないほど存在する。
────嫌なことを思い出した……。
「今度は仕留める!!」
再び姿を消し────空間を飛び越えてクロノスは俺の頭上へと跳躍した。不意に脳裏を蘇るトラウマに苦虫を嚙み潰した不快感を覚えるが、すぐにそれを振り払う。
よく考えろ、一度目の人生では全く反応できなかった奴の魔法を今の俺はギリギリとは言え回避することができた。つまりは────
「まだ血の疼きが足りねぇなぁッ!!」
一度目の時とは全く、そもそも前提条件が違うと言うことだ。今の俺ならばやはり、やりようはいくらでも模索できる。
「おらぁ!!」
雄叫びを上げて血剣を揮う。そうして二度目の空間跳躍による攻撃も防御に成功する。しかも初撃と違い、今度は完璧にだ。
「なッ……クソ!!」
その酷く整った表情を驚愕の色に染めたクロノスは慌ててもう一度魔法を使った。今度は攻撃にではなく回避にだ。自由に空間を飛び越えることが可能な〈瞬空魔法〉は正に攻守のバランスが良い。即座にどちらにでも転じられる。魔法の予兆を感じ取って俺は一足早く動き出す。
「出たり入ったり、ぴょんぴょん飛び跳ねたりで忙しねぇなぁ!!」
前述した通り、瞬空魔法は好きな場所、好きなタイミングで空間を跳躍することができる。そう聞かされると、次にクロノスが飛び出す瞬間や場所が特定できずに、一方的に攻撃されるだけのように思えるがそれは全くの見当違いだ。
……いや、確かにあの魔法の構造や発動条件を理解していなければ何が起きているかもわからないまま、ただやられるだけだろうけれど、分かってしまえば対処のやりようはいくらでもある。
────まあ、一度目の俺はそれができずに好き放題にボコられたわけだが……。
やはり、今なら分かる。この六年半で培った魔力制御と感知能力、そして無数に蓄えられた経験が反射的に些細な魔力の機微を察知する。
「────そこだろ?」
「な、んで!!?」
先回りした地点で予想通りクロノスは空間から飛び出してきた。待ち受けていた俺を見て奴は更に困惑し叫ぶ。
彼は大層驚いている様子だが、別に慣れてしまえば今俺がしたことは難しいことじゃない。なんならそれはクロノスが未熟な証であり、何度も魔法の行使を間近で見ればその瞬間に熾る微力な魔力を感じ取ることも容易だ。
これに加えて、瞬空魔法には致命的な欠点がある。
「飛び出す地点に自分の魔力で印をしておかないと魔法の発動条件が満たされないんだろ!!?」
「ッ……たった数度の観察でもうそれを!?」
予想正しく、クロノスは歯噛みした。
その反応で答え合わせは十分だ。どれだけ反則的に思えても、完全無欠な魔法なんてのは存在しない。そうでなければ帳尻が合わない。
────なんなら今でさえ合ってないけどな!!
俺の扱う【紅血魔法】なんて欠点まみれで使い勝手が悪すぎる。それを考えれば跳躍地点を事前に設定しないといけない発動条件なんてのは欠点と呼ぶのも烏滸がましい。
「さあ、種は割れた!ご所望通り本気で────」
そう考えるとなんだか腹が立ってきた。
こうして絡まれてる理由もよくわからないし、優れた魔法でマウントを取られた気分になるし、本当に踏んだり蹴ったりだ。端的に言えば────
「この一撃でぶっ潰してやるッ!!」
────血が昂ってきた。
「ッ!!」
咄嗟にクロノスは防御姿勢に入る。しかし、それをしたところでこの一撃は防げはしない。
〈血流操作〉は漸く加速し始めてきた、魔力の巡りもこの瞬間に満足のいくもになった。右手に携えた〈血戦斬首剣〉を球体上に変化させる。うねる液体状のようにその身を歪ませる球体は血の塊でもあり、《魔力の塊でもある》。
「〈血戦衝撃〉!!」
謂わば衝撃の塊であり、その塊をクロノスの防御の上から乱雑にぶつける。
「これは────!!」
瞬間、真赤な球体はべちゃりと弾けて、それと同時に体を無条件に吹き飛ばすほどの衝撃が発生して無造作にクロノスを襲った。
やはり防御は不可能、回避なんて以ての外だ。衝撃の発生源に晒されたクロノスはそのまま学舎を支える柱へと激突して────
「か────はッ!!?」
打ち付けられる。
簡単に立ち上がるのは難しい。
「全く、全然、到底……だなぁ。勝てそうにない……」
崩れ落ちた瓦礫に埋もれながらクロノスは悔し気に呟いた。
・
・
・
「す、すいませんでした……」
開口一番に俺は五体投地して殿下に土下座した。それを見て全身ボロボロな殿下は慌てた様子だ。
「や、やめてくれレイ!俺が本気で来いと言ったんだ!君は何も悪くない!」
「で、ですが……」
流石に本気でやれと言われて、王族相手に本当に本気でやる馬鹿がこの世界にどれほど存在するだろうか。
────少なくともここに一人いるわけだが……。
それは別に誇るべきことではない。世辞や方便を理解できず、剰え本気にしてしまっては目も当てられない。これは言い訳にしか過ぎないが、彼の魔法を間近で見て感じてしまえば我慢が出来なかった。最近はどんどんと何処かの戦闘狂のように見境が無くなってきていた。
────今一度、自制しなければ……。
心の内で猛省していると、殿下は言葉を続けた。
「それにこれで今の自分の現在地が確認できた。レイには感謝してもしきれない。本当にありがとう」
「そ、そんな!俺は別に何も……」
負けたとは思えないほど爽やかに笑い、今度は殿下が頭を下げる。それを見てやはり今度は俺の方が畏まってしまう。
いったい彼が何を思い、今回こんなことをしたのかは分からないし、聞こうとも思わない。王子には王子にしか分からない苦悩や葛藤があるのだろうし、気休めに尋ねたところで俺のような平凡な人間にはどうすることもできない。
────あと、これ以上深入りするのは危険が危ない。
下手に触れて、自分の首を絞めるのは御免だ。本能で直感して、俺は話を逸らす。
「そ、それで結局のところ殿下とグラビテル嬢は俺たちの〈派閥〉に入ってくれるのでしょうか?」
「今の俺では〈派閥〉を作ったところで〈最優五騎〉にはなれないだろう。けど、レイと一緒ならばその確率は跳ね上がる。もう迷いはない、貪欲に勝ちに行くと決めたんだ。是非、君と言う勝馬に乗らせてもらえないだろうか?」
殿下は逆にこう言って再び頭を下げた。何ともむず痒いが、この二人が〈派閥〉に入ってくれるのは願ったり叶ったりだ。これであの〈派閥〉に勝てる確率が跳ね上がった。
「勿論です。目的の為にお互い最大限に利用していきましょう」
こうして俺の〈派閥〉は二人の加入も決まった。改めて見るとものすごいメンツだ。
────全員が〈血統魔法〉の継承者とか一度目の人生では考えられない共演だな。
そう思わずにはいられない。
予想だにしない殿下との決闘がありはしたものの、意外というべきか〈派閥〉が結成してからたった二日でメンツが揃った。
所謂、参謀型な訳だが、決して戦闘能力がないと言うわけではなく寧ろその逆で、王家の血統魔法の能力を考えれば余裕で〈比類なき七剣〉に成れるほどの実力があったと記憶している。
「はじめ!!」
つまり、油断なんてのは微塵もできないと言うことだ。
「「ッ!!」」
フリージアの合図で俺と殿下は一気に地面を蹴って間合いを詰める。
「行くぞクレイム・ブラッドレイ!!」
互いの刃が交じり合うその瞬間、クロノス殿下が裂帛の気合で叫び、魔力の発露を確かに感じ取った。
「ッ────初っ端からか!!」
出し惜しみはなしと言うわけだ。予想外の初手に意表を突かれていると、こちらの動揺を上塗りするかのように今まで眼前にいた殿下は瞬く間に消えた。唐突に、何の予備動作もなく、不自然に、それはまるで────
「チッ……!!」
時間を不自然に切り取ったかのように。
「もらった!!」
不意に背後から殿下の叫び声と、魔力の熾りを感じ取る。そうして反射的に、本能的に旋転してみれば視界の端には殿下が剣を振り下ろす姿が映った。
「ッ────!!」
それを何とかギリギリで反応して血剣を這わせて防御に成功する。
「クッ……これに反応するのか────!!」
殿下は悔し気に俺の反応速度を称賛するが、回避は本当にギリギリだった。その証拠として俺はまともな体制で防御できておらず、依然として攻防は殿下の優勢だ。
「はあぁぁああああああああッ!!」
「……!!」
こちらの体制を整わせまいと間隙なく刃で斬りつけてくる。それをやはり何とか捌きながら、先ほどの一連の流れを脳裏で反芻する。
────さて……情報を整理だ。
唐突の背後強襲。それは一度目の頃から彼の常套戦術であり、初めて戦う相手とは必ずと言っていいほど使用していた技だ。実際にやられてようやく思い出した。しかしこれは────
「分かっていても、すぐに反応は無理だな……!」
正に反則、王の強権と呼ぶに相応しい権能。その名を────
「本当に反則級な魔法だ!!」
【瞬空魔法】
時間と空間を任意のタイミングで飛び越える魔法。説明としては単純、しかしてその汎用性は無限大。色々と制約は存在するが、だとしても初見でこの反則的な魔法を攻略することはほぼ不可能だ。
「君のその馬鹿げた戦闘能力に比べれば可愛いものさ!!」
「チッ……」
一度目の俺では終ぞこの魔法を前にまともに戦うことすらできなかった。何度彼の魔法に苦しめられ、辛酸を舐めさせられたことか。死にかけたことなんて数えきれないほど存在する。
────嫌なことを思い出した……。
「今度は仕留める!!」
再び姿を消し────空間を飛び越えてクロノスは俺の頭上へと跳躍した。不意に脳裏を蘇るトラウマに苦虫を嚙み潰した不快感を覚えるが、すぐにそれを振り払う。
よく考えろ、一度目の人生では全く反応できなかった奴の魔法を今の俺はギリギリとは言え回避することができた。つまりは────
「まだ血の疼きが足りねぇなぁッ!!」
一度目の時とは全く、そもそも前提条件が違うと言うことだ。今の俺ならばやはり、やりようはいくらでも模索できる。
「おらぁ!!」
雄叫びを上げて血剣を揮う。そうして二度目の空間跳躍による攻撃も防御に成功する。しかも初撃と違い、今度は完璧にだ。
「なッ……クソ!!」
その酷く整った表情を驚愕の色に染めたクロノスは慌ててもう一度魔法を使った。今度は攻撃にではなく回避にだ。自由に空間を飛び越えることが可能な〈瞬空魔法〉は正に攻守のバランスが良い。即座にどちらにでも転じられる。魔法の予兆を感じ取って俺は一足早く動き出す。
「出たり入ったり、ぴょんぴょん飛び跳ねたりで忙しねぇなぁ!!」
前述した通り、瞬空魔法は好きな場所、好きなタイミングで空間を跳躍することができる。そう聞かされると、次にクロノスが飛び出す瞬間や場所が特定できずに、一方的に攻撃されるだけのように思えるがそれは全くの見当違いだ。
……いや、確かにあの魔法の構造や発動条件を理解していなければ何が起きているかもわからないまま、ただやられるだけだろうけれど、分かってしまえば対処のやりようはいくらでもある。
────まあ、一度目の俺はそれができずに好き放題にボコられたわけだが……。
やはり、今なら分かる。この六年半で培った魔力制御と感知能力、そして無数に蓄えられた経験が反射的に些細な魔力の機微を察知する。
「────そこだろ?」
「な、んで!!?」
先回りした地点で予想通りクロノスは空間から飛び出してきた。待ち受けていた俺を見て奴は更に困惑し叫ぶ。
彼は大層驚いている様子だが、別に慣れてしまえば今俺がしたことは難しいことじゃない。なんならそれはクロノスが未熟な証であり、何度も魔法の行使を間近で見ればその瞬間に熾る微力な魔力を感じ取ることも容易だ。
これに加えて、瞬空魔法には致命的な欠点がある。
「飛び出す地点に自分の魔力で印をしておかないと魔法の発動条件が満たされないんだろ!!?」
「ッ……たった数度の観察でもうそれを!?」
予想正しく、クロノスは歯噛みした。
その反応で答え合わせは十分だ。どれだけ反則的に思えても、完全無欠な魔法なんてのは存在しない。そうでなければ帳尻が合わない。
────なんなら今でさえ合ってないけどな!!
俺の扱う【紅血魔法】なんて欠点まみれで使い勝手が悪すぎる。それを考えれば跳躍地点を事前に設定しないといけない発動条件なんてのは欠点と呼ぶのも烏滸がましい。
「さあ、種は割れた!ご所望通り本気で────」
そう考えるとなんだか腹が立ってきた。
こうして絡まれてる理由もよくわからないし、優れた魔法でマウントを取られた気分になるし、本当に踏んだり蹴ったりだ。端的に言えば────
「この一撃でぶっ潰してやるッ!!」
────血が昂ってきた。
「ッ!!」
咄嗟にクロノスは防御姿勢に入る。しかし、それをしたところでこの一撃は防げはしない。
〈血流操作〉は漸く加速し始めてきた、魔力の巡りもこの瞬間に満足のいくもになった。右手に携えた〈血戦斬首剣〉を球体上に変化させる。うねる液体状のようにその身を歪ませる球体は血の塊でもあり、《魔力の塊でもある》。
「〈血戦衝撃〉!!」
謂わば衝撃の塊であり、その塊をクロノスの防御の上から乱雑にぶつける。
「これは────!!」
瞬間、真赤な球体はべちゃりと弾けて、それと同時に体を無条件に吹き飛ばすほどの衝撃が発生して無造作にクロノスを襲った。
やはり防御は不可能、回避なんて以ての外だ。衝撃の発生源に晒されたクロノスはそのまま学舎を支える柱へと激突して────
「か────はッ!!?」
打ち付けられる。
簡単に立ち上がるのは難しい。
「全く、全然、到底……だなぁ。勝てそうにない……」
崩れ落ちた瓦礫に埋もれながらクロノスは悔し気に呟いた。
・
・
・
「す、すいませんでした……」
開口一番に俺は五体投地して殿下に土下座した。それを見て全身ボロボロな殿下は慌てた様子だ。
「や、やめてくれレイ!俺が本気で来いと言ったんだ!君は何も悪くない!」
「で、ですが……」
流石に本気でやれと言われて、王族相手に本当に本気でやる馬鹿がこの世界にどれほど存在するだろうか。
────少なくともここに一人いるわけだが……。
それは別に誇るべきことではない。世辞や方便を理解できず、剰え本気にしてしまっては目も当てられない。これは言い訳にしか過ぎないが、彼の魔法を間近で見て感じてしまえば我慢が出来なかった。最近はどんどんと何処かの戦闘狂のように見境が無くなってきていた。
────今一度、自制しなければ……。
心の内で猛省していると、殿下は言葉を続けた。
「それにこれで今の自分の現在地が確認できた。レイには感謝してもしきれない。本当にありがとう」
「そ、そんな!俺は別に何も……」
負けたとは思えないほど爽やかに笑い、今度は殿下が頭を下げる。それを見てやはり今度は俺の方が畏まってしまう。
いったい彼が何を思い、今回こんなことをしたのかは分からないし、聞こうとも思わない。王子には王子にしか分からない苦悩や葛藤があるのだろうし、気休めに尋ねたところで俺のような平凡な人間にはどうすることもできない。
────あと、これ以上深入りするのは危険が危ない。
下手に触れて、自分の首を絞めるのは御免だ。本能で直感して、俺は話を逸らす。
「そ、それで結局のところ殿下とグラビテル嬢は俺たちの〈派閥〉に入ってくれるのでしょうか?」
「今の俺では〈派閥〉を作ったところで〈最優五騎〉にはなれないだろう。けど、レイと一緒ならばその確率は跳ね上がる。もう迷いはない、貪欲に勝ちに行くと決めたんだ。是非、君と言う勝馬に乗らせてもらえないだろうか?」
殿下は逆にこう言って再び頭を下げた。何ともむず痒いが、この二人が〈派閥〉に入ってくれるのは願ったり叶ったりだ。これであの〈派閥〉に勝てる確率が跳ね上がった。
「勿論です。目的の為にお互い最大限に利用していきましょう」
こうして俺の〈派閥〉は二人の加入も決まった。改めて見るとものすごいメンツだ。
────全員が〈血統魔法〉の継承者とか一度目の人生では考えられない共演だな。
そう思わずにはいられない。
予想だにしない殿下との決闘がありはしたものの、意外というべきか〈派閥〉が結成してからたった二日でメンツが揃った。
53
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる