森の中で偶然魔剣を拾いました。

EAT

文字の大きさ
14 / 110

13話 筆記試験

しおりを挟む
 試験会場は受付をした中央広場から少し離れたところにある。
 例年学園の試験を受ける者は数多く、そのため1部と2部で分けて試験を行う。昨日が1部で今日が2部となっている。


 朝早くから集合して4科目の筆記試験を行った後に実技試験として試験官との模擬戦を行い終了となる。


 筆記試験の教科は言語、数学、歴史、魔法学の4科目で自信が無い科目は数学と魔法学だ。
 この2つに関しては全くやってこなかった。元々俺は魔法適性がなく、計算も得意ではないのだ。
 この3ヶ月で勉強はしてきたが圧倒的にスタートが遅すぎる。とても不安なところだ。


 筆記用具と一昨日の受け付けの時に貰った受験番号を持ち、試験会場の中へとはいる。


 ちなみにアニスは会場に入る前に受付の人に預けた。まあ、武器の持ち込みなんて危険だし当たり前なのだが、アニスは俺の頭の中に直接文句をたれまくっていた。


 席につき周りを見ると皆各々に魔法の本を読んだり、徹夜の疲れからか眠るものだったり、自由に過ごしていた。


「ああ~! レイル君だー」
 のんびりとした聞いたことのある声が聞こえる。
「えーと、あんたはたしかアンネットさん?」
「ラミアでいいよ~、名字で呼ばれるのあんまり好きじゃないんだ~」
「あ、そうかごめん。じゃあラミアで」
「うん」
 声をかけてきたのは広場であった黒髪ポニーテールのラミアだった。


「レイル君も2部の方の試験だったんだね~。あっ! しかも隣の席だ~、すっごい偶然だね」
 ラミアは自分の受験票を見て俺の隣へと座る。


「確かに、これだけ人がいて隣になるのはすごいな」
 少し椅子を横にずらしラミアとの距離を離す。
「よろしくね~」
「こちらこそ」
 お互いに挨拶をすませ、前の方を向くと試験官の人が会場に入ってきた。


「それではこれよりバルトメア魔法騎士学園入学試験、第2部を行う!」
 その声に受験生達は身を引きしめ真剣な顔をする。
「今から諸君には4科目の筆記試験を昼の12時まで行ってもらう」
 前の上の方にかけられた時計を指し説明を始める。
「それから1時間の休憩を取ってもらい午後からの実技試験を行ったあと今日は解散とし。2日後に合否を広場の方で掲示する」
 時計の針はちょうど8時を指し、テスト用紙が前の方から裏側で配られる。


「1つ目の教科は言語、時間は50分始め!」
 試験管の声と同時に用紙をめくる音が一斉にし問題を解き始める。


 こうして俺の人生を決める試験は始まった。

 ・
 ・
 ・

「つ、疲れた…………」
 午前の筆記試験が終わり、試験会場の中にある食堂で昼休憩を取っていた。
「結構難しかったもんね~」
 ラミアは俺の目の前に座り美味しそうに野菜のシチューを頬張っていた。
「誰のせいで疲れたと思ってるんだ……」
 試験でのことを思い出し、どっと疲れがやってくる。


 何があったかと言うと、試験が始まってものの数分もしないうちにラミアは問題全て解き終わり、ニコニコしながらこちらをガン見してくるというよくわからない行動を全ての試験が終わるまでずっとしてきた。
 そのおかげで俺は変な緊張感に襲われまともに試験を受けることができず。試験のできはお世辞にもよろしいとは言えなかった。


「う~ん?」
 とぼけた顔をして5皿目の野菜シチューを頬張る。
「てか、よく食うな……」
「頭を使ったからお腹がペコペコなんだ~」
 いつの間に食べ終わったのかもう7皿目のシチューを口に運ぶ。


「お食事のところ申し訳ありませんがひとつよろしいでしょうか?」
「なーに~?」
 8皿目に手をかけながら言う。
「なんで試験中ずっと俺の方見てたの?ラミアのせいで全く試験に集中できなかったんだけど」
 責任転嫁は宜しくないがあれはさすがにおかしいすぎるので聞いてみる。


「えっと……その……言わせないでよ、ばか………」
 俺の質問にラミアは顔を真っ赤にして席を離れてしまった。


 え?なにその反応?俺の予想とかなり違うんだけど?なんでそんなにお顔を真っ赤にするの?オレヨクワカンナイ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話

此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。 電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。 信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。 そうだ。西へ行こう。 西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。 ここで、ぼくらは名をあげる! ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。 と、思ってた時期がぼくにもありました…

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...