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4.狂う
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「…ん。…まくん。美島くん!」
僕を呼ぶ声に、はっと目を覚ますとそこには鷹野がいた。まだぼんやりする視界の中で彼は愉しげに笑っている。
「ふふ、美島君の眠そうな顔初めてみたかも」
僕と大して喋ってもないくせに適当なことを言うんじゃないと辟易しつつ、心が温かくなっている自分がいるのもまた事実だ。
「どうしたの。…なんか用」
「いや、別にそんなんじゃなくてただお喋りしにきただけー」
…変なの。物好きもいるんだな。クラスの様子を見ると、やはりこの異質な状況に何人かが目を見張り、動向を見守っているようだった。
「おっと。そろそろホームルーム始まっちゃう。…ね、お昼休み俺に予約させてよ」
「えっ、ちょっとまって…」
僕の言葉は耳に届かなかったのか、踵を返し向こうへ行ってしまう。
「身勝手な人だなぁ…」
そんな気鬱な呟きに反して僕は心躍っていた。
僕を呼ぶ声に、はっと目を覚ますとそこには鷹野がいた。まだぼんやりする視界の中で彼は愉しげに笑っている。
「ふふ、美島君の眠そうな顔初めてみたかも」
僕と大して喋ってもないくせに適当なことを言うんじゃないと辟易しつつ、心が温かくなっている自分がいるのもまた事実だ。
「どうしたの。…なんか用」
「いや、別にそんなんじゃなくてただお喋りしにきただけー」
…変なの。物好きもいるんだな。クラスの様子を見ると、やはりこの異質な状況に何人かが目を見張り、動向を見守っているようだった。
「おっと。そろそろホームルーム始まっちゃう。…ね、お昼休み俺に予約させてよ」
「えっ、ちょっとまって…」
僕の言葉は耳に届かなかったのか、踵を返し向こうへ行ってしまう。
「身勝手な人だなぁ…」
そんな気鬱な呟きに反して僕は心躍っていた。
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