5 / 14
5.秘密の××
しおりを挟む
チャイムが昼休みの始まりを告げる。輪を囲み花を咲かせる者、中庭に赴き、お弁当を広げる者、各々がこの時間を楽しんでいるようだ。いつもなら直ぐに教室を後にする僕だが、あの鬱気な(心の底では楽しみにしているのだが)約束のせいで、此処から動けずに心がぐらぐらする。
「おまたせー!ごめんね、遅くなって」
「別に、待ってはないけど…」
釣れない僕の返事にも彼は嫌な顔をしようとしない。
「じゃ、一緒ご飯食べよ、どこがいい?」
「えっ、そんな…」
「美島君、いつもどっか行ってるでしょ、お気に入りの場所、俺にも教えてほしいなー」
全く…しょうがないな。
「じゃあ…僕についてきて」
彼はすぐにほほ笑んだ、表情をコロコロ変えて…まるで犬みたいだ。
僕のお気に入りの場所、屋上、のドア横に乱雑に置かれた椅子と一つの机。屋上は閉鎖されているので基本誰も来ることがない、一人になるのにぴったりの場所だ。僕は椅子を指さして鷹野を見る。
「ここ…とても静かでいいね。ほら、小窓から見える景色もすごく綺麗だし。わぁ、アジサイも見えるよ」
褒められてまた口元が緩んでしまう。
「あ、今笑ったでしょ。マスクで隠してても目元で分かっちゃうんだから、無駄だよー?」
そんなことないよ、と抗議する代わりに僕は冷たい目で彼を見た。
「分かりやすいなぁ、さ、お腹すいたしご飯食べよっか」
そういうと彼は、丁寧に包まれた紺色の風呂敷から木目の弁当を取り出した。僕も手提げからスチールの弁当箱を取り出し、その横に並べた。
「おまたせー!ごめんね、遅くなって」
「別に、待ってはないけど…」
釣れない僕の返事にも彼は嫌な顔をしようとしない。
「じゃ、一緒ご飯食べよ、どこがいい?」
「えっ、そんな…」
「美島君、いつもどっか行ってるでしょ、お気に入りの場所、俺にも教えてほしいなー」
全く…しょうがないな。
「じゃあ…僕についてきて」
彼はすぐにほほ笑んだ、表情をコロコロ変えて…まるで犬みたいだ。
僕のお気に入りの場所、屋上、のドア横に乱雑に置かれた椅子と一つの机。屋上は閉鎖されているので基本誰も来ることがない、一人になるのにぴったりの場所だ。僕は椅子を指さして鷹野を見る。
「ここ…とても静かでいいね。ほら、小窓から見える景色もすごく綺麗だし。わぁ、アジサイも見えるよ」
褒められてまた口元が緩んでしまう。
「あ、今笑ったでしょ。マスクで隠してても目元で分かっちゃうんだから、無駄だよー?」
そんなことないよ、と抗議する代わりに僕は冷たい目で彼を見た。
「分かりやすいなぁ、さ、お腹すいたしご飯食べよっか」
そういうと彼は、丁寧に包まれた紺色の風呂敷から木目の弁当を取り出した。僕も手提げからスチールの弁当箱を取り出し、その横に並べた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】恋した君は別の誰かが好きだから
花村 ネズリ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。
青春BLカップ31位。
BETありがとうございました。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二つの視点から見た、片思い恋愛模様。
じれきゅん
ギャップ攻め
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる