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第三章 帝国留学と闇の里
【なろう累計25万pv達成記念話】教えて、シャルリーヌさん!
しおりを挟む薔薇魔女に目を止めて頂き、ありがとうございます。
なんと、累計25万pv達成です!
お読みくださって、本当にありがとうございます!m(_ _)m
お陰様でようやく、最終章の尻尾が見えて来ました。
そこで、シャルリーヌへのインタビュー形式で今までのストーリーのおさらいをしてみたいと思います。復習を兼ねてお楽しみ頂ければ幸いです。
それから、「こんなに長い話読んでられねーぜ!」や、「読む時間ないけど、今から最新話に追いつきたい」あなた様の要求にも、多少応えられるのではないかと思います笑
引き続き『薔薇魔女』を宜しくお願い致します♡m(_ _)m
※ ※ ※
王立学院の食堂。
カウンターに腰掛ける、オレンジ色の輝く髪の持ち主が、翠の目で興味深そうに覗き込んでくる。
「貴方は、どなた? 何をお聞きになりたいの?」
「はい! お時間をありがとうございます、シャルリーヌ・バルテ様! わたくし、しがない男爵家男子でして、モブと呼んで頂ければ!」
「モブ様?」
「いやもう呼び捨てで、敬語もなしでお願いします! か、可愛い! あの、レオナ様のことを教えてください!」
「ふふ。おかしな方。では、モブ君」
「はい!」
「……レオナのことをお知りになりたいのは、なぜ?」
「はい、わたくしレオナ様の大ファンでして!」
「大ファン……とは……?」
「あ、えっとその、理想というか、大変に憧れておりまして! かつ、周りの『薔薇魔女』の概念を変えたいと、そう思った次第です!」
「まあ!」
「なので、色々と根掘り葉掘りお聞きしたいと、お願いした次第です!」
「かしこまりましたわ。レオナのこと、誤解されている方も多いの。是非知って頂けたら、友人としても嬉しいわ」
「はい! 早速ですが、シャルリーヌ様は、いつからレオナ様と?」
「そうね……あれは、七歳の時……」
※ ※ ※
七歳でローゼン公爵家のレオナと引き合わされた、侯爵令嬢シャルリーヌ。小さなレディ同士の初対面は、ローゼン公爵家で、だった。
――第一印象は?
――……静かな子。でもその深紅の目が賢さを物語ってもいたわ。薔薇魔女と同じ色だけれど、魔女というより、ものすごく賢くて気遣い屋さんなのね、と思ったわ。
――それに気付くシャルリーヌ様も賢い方だと思います! すぐに仲良くなったのですか?
――まあ! ふふ。気を許してくれるまでは大変だったわ。それまでは、悪口ばかり言われていたから、当然よね……
――仲良くなったきっかけって、あるんでしょうか?
――うーん、今思えば、私がヒューゴーのことをかっこいいと褒めてから、かしら?
――シャル様の、初恋!
――ちょ! んんん!
――大丈夫です、口外致しません! で、恋バナで盛り上がった、と!
――ごほん。えー、レオナが、恋するのが夢だっていうから、好みの男性を聞いたのよ。そしたら『強くて話が合って、面白くて誠実で、賢い人。できれば背が高くてお茶目な』て答えで。そんなの、いないわよ! て言ったらしばらくショックを受けていたわ。あれは、今思い出してもおかしくて。
――おかしい?
――だって、普通はそんな男性、いないでしょう?
――多くを求めすぎですね! でも、いたんですね?
――いたのよねー。驚いたわ。
――学院の学生ではなく?
――ふふ。秘密。もうすぐ卒業実習だなんて、この学院生活、長いようで短かったわね……
――シャルリーヌ様から見た学院生活を振り返って頂けますか!
――そんなの聞いてどうするのよ?
――僕が嬉しいのです!
――そう? じゃ、せっかくだから……
最初の出会いからすぐ。
護衛のヒューゴーと、メイドのマリー夫婦を側近にし、シャルリーヌという友達ができたレオナは、公爵邸からほとんど一歩も外に出ない生活を続けていたが、三人の努力と家族との仲の良さで、安定した心を保っていた。
どうしても公爵家の体裁上、出なければならないものや、いずれ来る日の練習のために出ていたお茶会を除いては、平和な日々だったわけだが……あろうことか、マーカム王国第二王子、エドガーに一目惚れされてしまう。
――絶対、嫌!
滅多に感情を表に出さないレオナが唯一こだわったのが『恋愛結婚』。ローゼン公爵家は全力でそれをサポートしており、エドガーの婚約申し出も、ベルナルドの「だが、断る!」で一応は事なきを得た。
十四歳(十五歳になる年)でマーカム王立学院に入学したレオナとシャルリーヌ。
学院は成人である十六歳になるまで、マナーや魔法から経済学や政治、剣術に至るまで学ぶ。王宮の官吏が講師を兼任している贅沢な学校で、主に貴族の子女、魔力や財力のある平民の子女が通う。
そこでまず出会ったのが、ゼル。
コンラート伯爵家を名乗った彼は、褐色肌のガキ大将気質で明るく、グイグイと話かけてきては、講義中はほぼ寝ているという態度。
まるで大型肉食獣(ライオンは一日の内の二時間くらいしか起きていないらしい)ね、とレオナは笑って見ていたが、シャルリーヌは、ゼルがレオナに特別な距離感を望んでいることにすぐに気付き、警戒していた。
やがて、隣国との騎士団公開演習の際、ゼルには『アザリーの第九王子』『闘神の生まれ変わり』という宿命がのしかかっていると判明し(本編68~104話。砂漠の王子1~37)、アザリー王国からやってきた第一王子ザウバア、側近アドワ、第五王子ヒルバーア、第八王子タウィーザ、隠密ハーリドを伴った、大きな陰謀に巻き込まれることとなった。
その中で、宰相であるレオナの父ベルナルドが、ガルアダ金鉱山崩落事故の首謀者として、取り調べを受けた上で行方不明になったり、兄のフィリベルトがアドワの闇魔法で命の危機に陥ったりと、ローゼン公爵家にも最大の危機が訪れる。
アザリーだけに留まらず、マーカム第一王子アリスターの婚約者である、ガルアダ第一王女ミレイユが保有しているルビー鉱山の利権など、国家間の利益争いも加わって、事態は複雑化。
それらを解決したのは、やはり知略家フィリベルトである。
レオナの『解呪』という能力を『破邪の魔石』でカモフラージュしつつ、政治交渉も担い、立派に宰相代理としてその手腕を国内外に知らしめた。
しかし一方で、第五王子ヒルバーアの独断による逃避で、レオナが毒に侵されるという命の危機も。
隠密リンジーの活躍でなんとか解毒し命は取り留めたが、この出来事は未だにレオナを守れなかったとして、特にヒューゴーやジョエル、ルスラーンの心に深く後悔を刻んでいる。
ゼルは、レオナとの交流で自身を『闘神』として受け入れ、公開演習でその瞳の色を暴露し、もう隠していない。そうしてレオナへの恋心も告白した訳だが……答えは保留中だ。
さて、学院の特色として、魔法の講義がある。
マーカムでは、正式な魔術師として登録するには、必ず学院での魔法実習を履修していなければならない決まりがある。
魔力が一定以上ある学生は、自ずと攻撃魔法実習を受ける訳だが、そこでレオナが出会ったのが、子爵家子息のテオことテオフィル・ボドワン。
王国魔術師団副師団長のラザール・アーレンツが、「学生同士で適当にペアを組め」と言い、泣きそうになっていた元ボッチのレオナにペアを申し込んだのが、テオだった(本編6話)。
後から彼はそれを「公爵家に取り入って、利益を得ようとしていた」と告白するのだが、レオナはそんなことはお見通しの上で、彼の申し出を受けた。「テオは多分、何も得ようとはしていなかった」とレオナはその時のことを思い出して笑う。とても礼儀正しく、偏見にまみれた目線もなかったことが、ペアを受けた決め手だったそうだ。
攻撃魔法実習の講義では、魔力と属性の測定(本編7~8話)がある。
「レオナ嬢はすまないが、最後に」
と申し出たラザールの懸念通り、正真正銘の薔薇魔女であるレオナは『魔力量測定不能』『全属性保持』という結果に。あまりのことに、ラザールは測定記録を副師団長権限で改ざん。ベルナルドとフィリベルト、担任のカミロ立ち会いで口頭通知とした。
名実ともに薔薇魔女と認められてしまった、とショックなレオナだったが、のちの剣術講義でもテオと同じ組となり、受け入れていくしかない! と前向きに講義にのぞむ。
剣術講義では、王国騎士団騎士団長が将来有望な学生を『青田刈り』するため、理不尽な班わけが実施されていた(本編12~15話)。
騎士団組とそれ以外で分けられ、それ以外は、冷遇。だが副団長であるジョエルが直々にテオの才能を見出し指導することで、彼の才能はどんどん開花していく。
一方では
「ボドワン家では、いらない子なんだ」
と自嘲するテオ。
自信を持って! と応援するレオナは、順調にテオとの関係を深め、自身の誕生日パーティ(本編28話~33話)に初めて友人として、ゼルとテオを招待する。
また、レオナが学院に入った際の最大の懸念であった、マーカム王国第二王子、エドガー・マーカム。
彼は、食堂でゼルとテオを招待していたレオナの発言を受け、勝手に誕生日当日に公爵家へ特攻してくる。しかも『周りを気にして誘えなかったに違いない!』という、斜め上の理論で、だ。
レオナは、そんな非常識かつ身勝手なエドガーに対して、自分で初めてキレた。
そのことにベルナルドとフィリベルトは、安堵する。
今まで自身の感情を押し込め、どんなに理不尽な時にも我慢に我慢を重ねてきたことを、知っていたからだ。
結局、ジョエルの早馬でやって来た、近衛騎士筆頭で教育係のジャンルーカが、無事エドガーを回収。騎士団副団長ジョエルと、魔術師団副師団長ラザール、学院担任のカミロも加わり、パーティは大盛況のうちにお開きになった。
その帰り道、レオナを深く知ったラザールの提案で、ジョエル達は独断でブルードラゴン討伐に挑み(閑話1)、見事成功。
新たに護衛のヒューゴーと、隠密のリンジーが『ドラゴンスレイヤー』となり(但し非公式)、『破邪の魔石』を入手。レオナとシャルリーヌにそれぞれ与えられた。
また、誕生日パーティで技を披露し、その才能を認められたテオを、密かにフィリベルトは公爵家に受け入れる準備を進めることとなる。
そうして信頼できる仲間を得ながら、順調に学院生活を送るレオナ達は、ある日酷いイジメにあっている学生、ジンライに出会う(本編34~36話)。鍛治職人見習いの彼は、友達は黒猫のオスカーだけだと言い、理不尽な環境でじっと孤独に耐えていた。
彼は土属性の類まれな魔力量をほこり、かつ『英雄』と讃えられる『雷槍の悪魔』ことダイモン辺境伯ヴァジームの、神聖な武器である雷槍を唯一打つとこができた鍛治職人、ライデンの息子だった。
「持って生まれたものは、親方様の言われた通り、神様の贈り物なのです。身分も、何も関係ないわ!」
レオナのその言葉が、彼の孤独と自己否定の気持ちを癒し、共に学ぶ仲間として加わり、やがて父親と同様、『雷神の加護』を受けることになる。
レオナの『薔薇魔女』としての能力は、この頃から徐々に開花していく。まるで、彼女の感情の発露と共に、魔力が溢れ出るかのように。
その、最たるものは『解呪』だ。
ブルードラゴン戦で、隠密リンジーの宝刀ヤマタノオロチを無断で使用し、呪いを受けてしまったヒューゴー。
『破邪の魔石』を持ち帰ることに成功し、死を覚悟した彼を癒したのは、他でもないレオナである。
『解呪』は、聖属性の高位魔法。そのような魔法を唱えられるものは、必ずイゾラ聖教会の管理の下にある聖職者に限られることから、表立って使用することは禁忌とされている。
聖教会に連れて行かれたら、その一生を教会内で終える――
どんな権力も及ばない、『不可侵の聖域』にレオナが連れて行かれることを恐れる隠密リンジー(任務名ナジャ)に、その後幾度となく『解呪』の使用で怒られるのであった。
また、大きな変化はマーカム王国最大の行事である『復興祭』で訪れた。
十年前のスタンピードで失った多くの命を慰霊し、北の辺境領を救い、その後復興させた英雄ヴァジーム・ダイモンを讃える祭りで、その年は十周年記念の節目。
レオナは、前夜祭である夜会で一年早くデビュタントとなり、ファーストダンスとしてなんと、隣国のブルザーク帝国皇帝ラドスラフと踊ることになったのである。
ラドスラフは、レオナの父ベルナルドに恩義があると笑い、レオナをエスコートする。ブルザークでは『赤』は忌むべきものではなく、むしろ皇帝の色だぞ、と自身の髪を指して笑う皇帝と、大変に緊張したものの有意義な時間を過ごせたレオナ。
何かとローゼン公爵家に張り合おうとする、ピオジェ公爵オーギュストの面子を若干潰しつつ、なんとかなった、と一息ついたところで、レオナは運命の出会いを果たす。
――ルスラーン・ダイモン。
英雄の息子で、王国騎士団第二騎士団所属。『漆黒の竜騎士』の異名を持つ、若干十八歳にしてドラゴンスレイヤー。
フィリベルトの親友だと紹介を受けたレオナは、一目で彼を特別な存在であると認識する。
まさに『強くて話が合って、面白くて誠実で、賢い人。できれば背が高くてお茶目な』人、そのものであったのだ。
セカンドダンスを踊る二人の甘い雰囲気を、周りは温かく見守って、復興祭を終え……なんとヴァジームが翌日の交流試合を見に来い! とレオナを強引に誘う。
しかも「ルスラーンが優勝したら、ご褒美を!」とまで約束してしまい、見に行くことになるレオナ。
その交流試合(本編48~51話)では、復興祭のダンスをきっかけに、ピオジェ公爵令嬢フランソワーズに恋に落ちた騎士団長ゲルルフに気付いたり、観覧席のシャルリーヌの可愛さに騎士団員のバイブスが爆上がりだったり、大盛り上がり。
特に、準決勝での前回優勝者ソゾン対前回準優勝者ルスラーンは、これが決勝では? というほどの高度な戦いが繰り広げられた。
他方で決勝はなんと、ゲルゴリラのコバンザメ、ハゲ筋肉ことイーヴォ。彼はあろうことか、持ち出し禁止のオーパーツと呼ばれる『ドレインナックル(殴るだけで生気を吸い取る)』を使用していた。
肌で危険を感じたルスラーンは、ドラゴンスキルのニーズヘッグで早々に勝利を収め、事なきを得る。
最年少で交流試合優勝者に!
さすが、英雄の息子で、漆黒の竜騎士!
という周りの声よりも、ルスラーンは、レオナに優勝祝いとして何を頼むかに頭を悩ませるのだ。
そうして出会った二人の距離は、例えルスラーンが近衛騎士に異動し、エドガー付きを拝命したことで、毎日のように学院で顔を合わせることになっても、なかなか縮まらなかった。
レオナは恋愛に奥手であるし、ルスラーンはなぜか自分に自信がないようで、一歩引いてしまう。
それでもレオナが、交流試合優勝の記念にと、手作りで渡した、布巻きのナイフケースは『薔薇魔女の加護』が付与された特別なもの。
お礼にデートを、とけしかけるフィリベルトの後押しもあり、もう一歩と思われたが――アザリーの陰謀を経て、レオナが刺され毒に侵されるという命の危機に瀕し、ルスラーンを無力感が襲ってしまった。
一方でゼルは、吹っ切れたこともあり、レオナへ積極的なアピールをしていく。
護衛として学院に潜入しているヒューゴーとも張り合いつつ、まっすぐに生きる彼を、周りは眩しく見守っている。
ルスラーンはもちろん、ゼルのそのような気持ちを認識していて、レオナがゼルとデートする、という話からレオナに酷い態度を取ってしまった。
そんな彼に先輩として、ジョエルとジャンルーカが酒の席で発破をかける(本編107話)。レオナは「自分の伴侶は自分で決める」宣言をしていただろう? と。
「だからさー、選ばれりゃいーんじゃねーの? レオナが自分で決める、それで幸せなんだからさー。だからゼル君だって、あの皇帝だって、同じように頑張ってるんじゃーん」
ジョエルの言葉でルスラーンの目が見開き、ようやく踏み出そうと思えたわけだが――レオナは今の環境では良くないと、ブルザーク帝国への留学を決心していた。
『薔薇魔女』としての悪口や、陰口を言われ続けることだったり、ローゼン公爵家を背負っているからこその嫉妬。自分の預かり知らないところで繰り広げられる、貴族の黒い面や、ベルナルド、フィリベルトの庇護に甘える自分。
それらを払拭し、かつ、貴族女性の未来の選択肢を増やしたい思いから、皇帝の誘いを受け、魔道具帝国への留学を決めた。
レオナには、大きな目的があった。
自身の膨大な魔力と、全属性を生かした、料理がその内の一つである。
調味料という概念が皆無なこの世界において、マーカムの豊富な農産物を生かした美味しい料理を提供したい。魔法がなくても魔道具があれば! と思い至ったのである。
そしてせっかく留学するのだから、もう我慢しなくて良いんじゃないかな? というフィリベルトの言葉の後押しで、感情や魔力を押し込めることも止めることにした。
ジンライも、皇帝の学院見学でその才能を見出され、レオナとともに帝国留学へ行くことに。
その護衛には、ヒューゴーでなくマリーが選ばれた。皇帝のアドバイスで「ヒューゴーは目立ちすぎだ」と言われていたからだ。
フィリベルトはそれを受け入れたが、一方でヒューゴーには学院を卒業しろ、と通達。レオナは卒業実習で戻るのだし、一緒に卒業するか……と半ば諦めの境地なヒューゴーだ。
ブルザーク帝国は、マーカム王国の東に位置する大国で、海を擁するため海洋貿易が盛ん。
帝国民は魔力をほぼ持たないが、その代わりに豊富な魔石資源を利用した魔道具の開発、生産が盛んで、軍隊の武装も魔法を上回るほど。
マーカムと敵対すれば、お互いタダでは済まないとの懸念から、今のうちに厚い関係をと願う皇帝の思惑通り、マーカム王国最大派閥であるローゼン公爵家令嬢レオナが受け入れられた。
だが、残念ながらブルザークは軍人国家。
男尊女卑が文化として根強く残り、かつ他国との交流も皆無。
早速帝国学校で陸軍大将子息ディートヘルムから粗末な扱いの洗礼を受けるレオナ達。
幸い、皇城にて紳士的な陸軍少佐マクシムに出会い、安心できる護衛のオリヴェル少尉とヤン軍曹を得て、留学生活が始まった。
ところが、そうそううまく立ちいかないのが『レオナあるある』である。
暴力的なクラスメイト達や、なんとメニューが『肉』オンリーな食堂など、留学早々に色々な問題が噴出。「もしかして、皇帝陛下はこれらを解決しろと……?」などと邪推しながらも、レオナ達は問題に立ち向かっていくことを決意する。
問題児であるディートヘルムの辛い過去や、男尊女卑社会で一人奮闘していた侯爵令嬢ペトラ、忠誠心から行った非道を心の傷に持つ、執事のシモンとも出会い、魔道具の研究を進めながら、帝国学校の問題解決に挑み……残酷な事実とともに、事件は帝国軍の調査のもと、いったん解決。
女性教師エリーゼの洗脳による、帝国学校内の薬物(ジャムファーガス)汚染。
陸軍大将アレクセイの暗示。
サロンでのチャームポピーの蔓延。
司祭の娘オルガの、ミハルへの報われない恋心の暴走でもってもたらされた、暗示の魔道具。
陸軍大将の息子ディートヘルムへの、元婚約者による冤罪と、薬物による命の危機。
海軍少将の息子ラマンの、嫉妬による『血起こし』の儀式で襲い来る、ダークサーペントとその呪い。
様々なことを経て、レオナは我慢せず、その魔力をいかんなく発揮する。ただし、解呪の乱用で隠密のリンジーに怒られつつ、だ。
稀有な存在として、帝国で崇められていた枢機卿の息子であるミハルは、元々心臓が弱かったが、その命の終わりを認めない枢機卿によって、肉体の死を迎えても無理矢理生かされ続けていた。
その苦しみから解放したのも、レオナであり――ミハルはイゾラの使者として、レオナの夢に登場するように。
ジンライは、今までのどうせ平民だし、俺には力もないし、という『負け犬根性』からの脱却を図り、ディートヘルムと喧嘩友達になることで、一皮むけた。
そうして足掻くも、心優しいジンライに惹かれたのは、ペトラ。
二人の関係は、帝国からの帰途で発展し――
※ ※ ※
「とまあ、こんな感じかな」
シャルリーヌは、すっかり冷めたお茶をこくりと飲み、喉を潤す。喋りすぎたかな、と隣の静かになったモブを見ると……泣いていた。
「えっ、どうなさったの!?」
「ちょ、ちょっと感動してまして……」
「感動?」
「だって、薔薇魔女って、ずーっと忌み嫌われる存在として貶められて来たんですよ! 一体何人の方を助けて来たんですか! ど、どこが、魔女なんですか!」
「そうねえ、でも本人は無自覚だし、大したことしてないって、笑うの」
「えぇ……」
「しかも、王子に近衛騎士に陸軍大将子息でしょ、あとまあお断りしたらしいけど、皇帝と中佐にも言い寄られてるのに、それも無自覚」
「ええぇ……」
「でも、レオナだから」
シャルリーヌは、キラキラと笑う。
「そ、ですね、レオナ様ですもんね!」
「そうなのよ」
お話が長くなっちゃったわね、とシャルリーヌが気遣い、
「いいえ! もっとお聞きしたいくらいでしたが!」
「そうね。でもこれは、私が知っていることだけなの」
寂しそうな顔をする。
「私が聞かされていないことが、もっときっと、たくさんあるわ……」
「そうですね。例えばユリエ嬢のこととか、宿主と呼ばれる存在、レオナ様に封印されているものや、六番と七番の真の狙い、ですとか、ね」
「え?」
「あーいや、こちらの話です! ところで、シャルリーヌ様は、ガルアダ王太子カミーユ様から、熱烈に口説かれているというお噂なのですが、そちらは一体?」
!!
「ジョエル副団長がブチ切れて、ガルアダ滅ぼすって豪語しているとか?」
「言ってないから!」
「ほんとうですかー?」
「知らない! んもう、話し過ぎちゃった! くれぐれも秘密にしてよね! ごきげんよう!」
「あっ」
ぷりぷりしながら、真っ赤な顔のシャルリーヌはそう言い捨てて、あっという間に行ってしまった。
「ふふ。我が愛し子は、今度は懸命に生きているんだねぇ。良かった」
眩い光に包まれて、モブと名乗った彼は……消えた。
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お読み頂き、ありがとうございました!
70万字を8000字に。
あーそんなことあったなーと思ったりして頂けたら嬉しいです。
明日は本編更新です!
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∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
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※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
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