4 / 23
#1同棲契約
夢女子
しおりを挟む
耳元で声がした。耳に優しい低く落ち着いた声。
薄目を開けると目前に顔があった。
「起きろノロマ」
眉を寄せ、じっと見つめている。
「相沢さんっ」
がばっと起き上がった。
「なんでここに。私の寝室ですよ」
髪はボサボサでノーメイクだし、パジャマもジャージで可愛さの欠片もない。がばっと布団で隠した。
「寝坊助。今日は朝から会議で早朝出社だろう。
お得意様が来るのだから会社の顔として遅刻されては困る。
早く仕度を整えろ」
バタンと扉が閉まった。部屋のなかを見られた。
それに、オフの時の姿も見せてしまった。
部屋からダイニングに出ると、後ろ姿に呼び掛けた。
「モーニングコールならもう少し優しくお願いします」
「テレビを最大音量で起こされるよりは優しいと思うがな」
彼は珈琲を飲みながらニュースを見ていた。
「感謝はしてます。」
自分のマグカップにコーヒー牛乳が入っていた。
朝に顔を合わせたのは初めてかもしれない。
セットされた髪型を横からぼーっと見ていた。
「視線がうるさい。何か用事か」
私はさっと目線をトーストに戻した。
「その髪型は毎朝こんなに早い時間からセットしているんですか。」
彼はテレビから目を離さない。
「あぁ。朝からランニングが日課だからな。帰宅後に髪を整えている。」
どこかの小説や漫画でみる典型的な王子様、御曹司タイプ。
完璧さに虫酸が走る。
そのまま会話も交わすことなく、別々で家を出た。
「おはようございます」挨拶の声が飛びかう。
彼はチラリとこちらを見たが、無反応。
そのまま始業時間が来て、仕事が始まった。
黙々と仕事をこなしている為に、会議の時以外は基本的に話すこともなく、目も合わない。
「これ、ここが間違えている。それにここを改行する。
作り直して見せてくれ。」
彼は秘密の話をするように、声を落とし少し耳元に口を寄せた。
「そういえば、俺のコップは片付けてあったか」
顔を上げ、見返した。
「そんなの知りませんよ」
「キッチンは共用で使っているからそれくらい気付くだろう」
思い出せず、言い返す。
「職場でその話はなしですよ。こちらの風評被害もあるんで。
これで、噂がたって婚期遅れたら相沢さんのせいです。」
彼もムッとして書類を机に叩きつけた。
「失礼じゃないか。第一これは不動産屋の不手際だ。
俺も若い社員、しかも部下に手をだしたと噂されては困る。」
見下ろされ、見上げて睨みあう。
「相沢さんは、そんなんだからモテないんですよ。」
モテまくってるけどそれは言えない。
「なら、言わせてもらうが。あんな汚い部屋が女の部屋とは思えないな。色気の欠片もない。
それが起こしてくれた恩人に言う言葉か。」
お前がそれを言うかと噛みつきたくなる。
「今晩はうちの課の飲み会だな。くれぐれも帰り道は一緒にならないように気を付けてくれ。」
「こちらこそ。そっくりそのままお返しします。」
彼は無言で席に戻った。
自分の推しのユウマ君なんて、待ち受け画面で頑張ったねって励ましてくれるし、アニメでもシュチュエーションCDでも溺愛してくれて優しくて完璧。
同棲しているのに全く嬉しくない。
どうせ部屋にこの顔で帰れば「不機嫌だな」と言われるし。
ストレス発散で飲み会で思いっきり飲んでやろう。
薄目を開けると目前に顔があった。
「起きろノロマ」
眉を寄せ、じっと見つめている。
「相沢さんっ」
がばっと起き上がった。
「なんでここに。私の寝室ですよ」
髪はボサボサでノーメイクだし、パジャマもジャージで可愛さの欠片もない。がばっと布団で隠した。
「寝坊助。今日は朝から会議で早朝出社だろう。
お得意様が来るのだから会社の顔として遅刻されては困る。
早く仕度を整えろ」
バタンと扉が閉まった。部屋のなかを見られた。
それに、オフの時の姿も見せてしまった。
部屋からダイニングに出ると、後ろ姿に呼び掛けた。
「モーニングコールならもう少し優しくお願いします」
「テレビを最大音量で起こされるよりは優しいと思うがな」
彼は珈琲を飲みながらニュースを見ていた。
「感謝はしてます。」
自分のマグカップにコーヒー牛乳が入っていた。
朝に顔を合わせたのは初めてかもしれない。
セットされた髪型を横からぼーっと見ていた。
「視線がうるさい。何か用事か」
私はさっと目線をトーストに戻した。
「その髪型は毎朝こんなに早い時間からセットしているんですか。」
彼はテレビから目を離さない。
「あぁ。朝からランニングが日課だからな。帰宅後に髪を整えている。」
どこかの小説や漫画でみる典型的な王子様、御曹司タイプ。
完璧さに虫酸が走る。
そのまま会話も交わすことなく、別々で家を出た。
「おはようございます」挨拶の声が飛びかう。
彼はチラリとこちらを見たが、無反応。
そのまま始業時間が来て、仕事が始まった。
黙々と仕事をこなしている為に、会議の時以外は基本的に話すこともなく、目も合わない。
「これ、ここが間違えている。それにここを改行する。
作り直して見せてくれ。」
彼は秘密の話をするように、声を落とし少し耳元に口を寄せた。
「そういえば、俺のコップは片付けてあったか」
顔を上げ、見返した。
「そんなの知りませんよ」
「キッチンは共用で使っているからそれくらい気付くだろう」
思い出せず、言い返す。
「職場でその話はなしですよ。こちらの風評被害もあるんで。
これで、噂がたって婚期遅れたら相沢さんのせいです。」
彼もムッとして書類を机に叩きつけた。
「失礼じゃないか。第一これは不動産屋の不手際だ。
俺も若い社員、しかも部下に手をだしたと噂されては困る。」
見下ろされ、見上げて睨みあう。
「相沢さんは、そんなんだからモテないんですよ。」
モテまくってるけどそれは言えない。
「なら、言わせてもらうが。あんな汚い部屋が女の部屋とは思えないな。色気の欠片もない。
それが起こしてくれた恩人に言う言葉か。」
お前がそれを言うかと噛みつきたくなる。
「今晩はうちの課の飲み会だな。くれぐれも帰り道は一緒にならないように気を付けてくれ。」
「こちらこそ。そっくりそのままお返しします。」
彼は無言で席に戻った。
自分の推しのユウマ君なんて、待ち受け画面で頑張ったねって励ましてくれるし、アニメでもシュチュエーションCDでも溺愛してくれて優しくて完璧。
同棲しているのに全く嬉しくない。
どうせ部屋にこの顔で帰れば「不機嫌だな」と言われるし。
ストレス発散で飲み会で思いっきり飲んでやろう。
0
あなたにおすすめの小説
アラフォーリサの冒険 バズったSNSで退職からリスタート
MisakiNonagase
恋愛
堅実な会社員として働いてきた39歳のリサ。まだまだ現役の母親と二人暮らしで高望みしなければ生活に困ることはなく、それなりに好きなことを楽しんでいた。
周りが結婚したり子育てに追われる様子に焦りがあった時期もあるなか、交際中の彼氏と結婚の話しに発展した際は「この先、母を一人にできない」と心の中引っ掛かり、踏み込めないことが続いてきた。
ある日、うっかりモザイクをかけ忘れインスタグラムに写真を上げたとき、男性から反応が増え、下心と思える内容にも不快はなく、むしろ承認欲求が勝り、気に入った男性とは会い、複数の男性と同時に付き合うことも増え、今を楽しむことにした。
その行動がやがて、ネット界隈で噂となり、会社の同僚達にも伝わり…
リサは退職後、塞ぎ込んでいたが、同じような悩みを抱えていたカナリア(仮名)と話すようになり立ち上がった。ハローワーク経由で職業訓練を受講したり、就活したり、その間知り合ったり仲間と励まし合ったり、生きる活力を取り戻していく…
そして新たな就業先で、メール室に従事する生涯枠採用の翔太という男性と知り合い、リサの人生は変わる…
全20話を予定してます
終着駅のパッセージ
苺迷音
恋愛
分厚い眼鏡と、ひっつめた髪を毛糸帽で覆う女性・カレン。
彼女はとある想いを胸に北へ向かう蒸気機関車に乗っていた。
王都から離れてゆく車窓を眺めながら、カレンは想う。
この結婚は一体何のためだったのだろうかと。
三年という長い間、縛られていた時間。その間に夫が帰宅したのは数えるほど。
あなたへの想いを伝えたい。そして、届けたい。
だから、私から会いに行きます。
※ご覧いただけましたらとても嬉しいです。よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる