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エテハ

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第二章 命の重み

新しい出会い

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 「…ん?」

目を覚ました俺は見慣れない天井に迎えられた。
お世辞にも豪華とは言えないが、しっかりとした木製の一室だ。だが、ベッドで寝れていたようなので文句はない。
たしか俺はゴブリンを倒してから…。何も思い出せない。ふと、自分が寝ていたベッドに目をやると隣にあいつが寝ていた。

 「晶が俺をここまで運んだ…のか?」

 多分今いる場所は街の宿屋だと推測できる。つまりあの森で意識を失った俺を晶がここまで連れてきてくれたのだろう。だが、モンスターには出会わなかったのだろうか。

 「…ん?」

俺と同じような間抜けな声で命の恩人が目を覚ました。

 「おはよう。」

俺の声に反応して晶も返答する。

 「その、昨日はここまで運んでくれてありがとうな。モンスターとかに合わなかったのか?」

俺の感謝と質問に昨日の出来事を忘れさせる声で応答した。

 「あぁ、お前が戦っている時に何もできなかったからな。これぐらいはしないとな。」

さて、昨日のお礼と朝の挨拶も終わったことだし状況を2人で整理するか。

 「なぁ、晶。いろんなことを整理していこうぜ。」

  「あぁ、まずはメニューからかな。」

ほぼ同時にメニュー欄を現した。やはり1番上のステータスの確認からかなと思い、ステータスをタップした。昨日見た画面と何も変わっていなかった。ただ1つを除いては。名前の横に[ 5 ]と書かれていたのを見つけた。

 「なぁ晶。このステータスの名前の隣に表示されている数字ってなんなんだ?」

晶もそれを見つけたようで少し首をかしげた後に1つの答えを見つけた。

 「多分だけどレベルじゃなねーか?昨日ゴブリンを倒したから数値が上がってんじゃねーのか?」

それを聞けば納得がいく。こいつ本当は頭がすんごい良いんじゃないかと時折思ってしまう。これで謎の数字のことは解決した。だが、俺にはもう1つ気になることがあった。

 「なあ晶。このステータスの1番上の無所属ってやつなんなんだ?」

まあ、晶に聞いても答えは1つだろう。

 「わからん。」

そんな胸をはることでは、ないがと考えながら無所属と書かれた灰色の長四角のマークをタップしてみた。すると画面が変わり無機質な一文が出てきた。

 「プレイヤーにギルドへさそう場合はそのプレイヤーの名前を入れ、招待メールを送ってください。そうすれば参加してもらうことが出来ます。参加する場合は相手に今の手順をしてもらうだけです。」

その文字の下にはギルド設立と書かれたマークとギルドに参加と書かれたマークが存在した。俺たちは顔を見合わせて数分ほど悩んだ末、どこかのギルドに参加することを決めた。だが、問題はどこのギルドに入れてもらうかだ。とりあえず街の中を探索してギルド募集を探しに行こうと決めた。

 「結構人がいるな。」

太陽から注がれる光を遮るように手を自分の目の近くに添えている晶は言った。確かにデスゲームと化したこの世界に連れてこられた割には笑みを浮かべているプレイヤーが多くいる。なかには木製の防具をつけた、いかにも今からモンスターを倒してきます!と言わんばかりの者もいる。

…んん?防具?そういえば俺たちはこの世界に連れてこられてからこの学校指定の制服のままだった。

 「なあ晶。俺たち装備はどうする?」

同じ考えてをしていたように晶はプレイヤー達から目を離し、俺を見て答えた。

 「そりゃあ、必要ではあるだろうな。多分あそこの屋台みたいな所で買うんだろうな。」

晶の指さす方にはひっそりとした屋台があった。剣のマークの看板を吊るしているから装備系なのは間違いないだろう。

 「あのー、ここって装備とかって売ってますか?」

恐る恐る店番であろう人に話しかけると、無機質な目をした店番は、

 「何かお求めですか?」

とだけ返した。どうやら定文だけを繰り返すNPCのようだ。とりあえずNPCの一言で目の前に現れた装備一覧表のように目を通し初期装備にありがちな木製の防具や剣を一式揃えた。どうやら晶も同じようなものにしたようだ。メニューを開き買ったものを装備した。体に青い光がまとわり、一瞬にして木製の装備に染め上げた。晶も一緒の見た目になっていた。

ただ、晶は武器を剣ではなく、槍にしてあった。どうやら設定されているクラスによって装備できる武器が違うようだ。メニュー欄からクラスのマークをタップすると、ソルジャーと書いてあった。どうやらクラス変更はできないようだ。

だが、晶も自分の見た目にはまんぞくしているようだった。しかし俺はなんでソルジャーに。

 「やあ!」

突然の声に俺たちはゴブリンと出会った時のように各々の武器を構え、声の主を見た。

 「え、えぇ!?ちょっ、ちょっと待ってくれ!!決して僕は怪しい者では、ないんだ!!」

声の主はすくんだ声で必死に弁解していた。黒く澄んだ色をしている髪に、おどおどした弱気な目。それに装備も何もしていないビギナー感。決して悪いやつではないとすぐさま2人とも理解し、各々の武器を下ろした。

 「あ、ありがとう~!ふぅ~、一時はどうなるかと思ったよ。」

安堵の表情を浮かべた青年は本題に入った。

 「僕が君たちに声をかけたのはギルド勧誘の為なんだ。どうだい?僕のギルドに来ないかい?」

探していたものが自分から近づいてきたのだ。それに断る理由がない。

 「俺はいいが駆はどうする?」

無論、

 「俺も大丈夫だぞ。」

俺たちの会話を聞いて更に青年の顔に明るさが増した。

 「じゃあ、僕たちギルドを案内するよ。」

言われるがまま俺たち青年について行った。青年が案内したのは装備の屋台からすぐ近くの酒場だった。そこには彼を含めて3人メンバーが居た。

「えーと、僕は祐介っていいます。一応このギルドのギルドマスターをさせてもらってます!それでこの子は…ムグッ!?」

祐介は、紫色の髪をした女の子に口を押さえられていた。

 「いい。自分で自己紹介する。私は凛。」

自己紹介と言っていいのかわからない紹介をされ、少しの沈黙が生まれるがすぐにもう1人の青髪の女の子が自己紹介を始めた。

 「えっと、私は奈々っていいます!このゲームに引き込まれてからこの2人に助けてもらっています!よろしくお願いします!」

丁寧な挨拶と明るい笑顔に一瞬心が揺らいだがなんとか思いとどまり自己紹介を始めた。

 「俺は駆っていいます。で、こっちの赤髪の髪が立ってる奴は晶っていうんだ。よろしく。」

手短に晶の事を説明すると晶はこちらを睨んでいた。あ、やっちまったか?なんて考えていると、祐介が右手の指を動かし何かをしている。そう思った瞬間に目の前にウィンドウが現れた。どうやらギルド招待のようだ。

returnSoul?これがギルド名か。と思いながら俺たちはギルドへの加入ボタンをタップした。これが俺たちの全てを壊すことになるとは思いもしなかった。


 
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