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第二章 命の重み
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「で、このギルドの目的はなんなんだ?」
ギルドに参加した俺は祐介に質問をした。どのゲームにもギルドとは何かしら目的があるはずだ。なら、このギルドの目的とはなんなのか気になるのだ。というよりギルドの一員として、知っておかなければならない。
「1番の目的はリーグで勝ち抜く為の装備や経験値を安全に獲得することさ!」
装備や経験値の獲得か。つまり昨日のゴブリンやそれ以上のモンスターとやり合うわけだ。俺と同じ考えをしているであろう晶は少し顔が青ざめている。それも無理はない。なんせ1度俺たちは死ぬかもしれない恐怖を味わっているからだ。
「えっと、祐介たちはモンスターと戦ったことはあるのか?」
「え?もちろんないよ?」
笑顔でいうんじゃねー!と思いながらこのギルドの結果が見えてきた。きっと無理だ。モンスターを見たことない人では、まともに戦うことはできない。だが、このままでも何も前に進まない。
「わかった。それなら1度モンスターを倒した俺たちがレクチャーしてやる。まずは、装備を整えよう。」
戦闘に1つの知識も持ち合わせていないメンバー達に俺たちは様々な事を教えた。戦い方。武器の使い方。そして、敵の強さ。だが、祐介達は何1つ怖がらなかった。きっとリアルでは、強い人間だったんだな。そう考えながら街の門まできた。
「ここからは絶対に油断するなよ!いつでも命の危険がある事を忘れるな!」
晶が絶対的なリーダー感を出しながらそう伝えた。そうだ。絶対にこのギルドを守らなければならない。そう思いながら街の門をくぐった。
「セイッ!!」
俺は掛け声と共に一体目のモンスターにトドメをさした。戦闘を開始してから約10分がたった。さすがに初めての戦闘だった祐介達は息を切らしていた。あの時戦えなかった晶は人が変わったような腕前で敵のHPを減らしてくれた。
「お!レベルアップ!」
息を切らしていた祐介がそう言った。ウィンドウにはギルドメンバー全員のレベルが表示されていた。どうやらギルドメンバーには自分のレベルを隠せないようだ。祐介と凛と奈々は3レベル、俺たち6レベルだ。
「いやー、駆たちは凄く強いんだねー!」
経験値のウィンドウをみながら祐介が言った。
「きっと祐介達もこのぐらいはすぐいくさ。」
お世辞でもなんでもなくこれは本心だ。俺はこのギルドが大好きだ。この仲間達といつまでも一緒に居たいと願っている。そう思っていれたのも一瞬だった。聞いたこともない叫び声に似た鳴き声と大きな地響きが起こった。そして、目の前に一頭のモンスターが降りたった。俺の何十倍にも及ぶ体。その体から生える太く長い尻尾。巨大な2枚の翼。長く伸びた首から先の威圧する鋭い目。そして真っ赤な体と、ところどころに火を宿している。
「ド、ドラゴン!?」
恐怖に震える祐介の口から溢れた言葉だった。ドラゴン!?そんなものがなぜこんなところに?ギルドメンバーはみんな竦んでいた。俺と晶を除いて。もう戦うしかない。意を決して晶の顔を見る。晶もどうやら心を決めたようだ。
「やるぞ晶。」
晶も準備はできているようだ。
「セヤアァァァ!!」
俺が灼熱のドラゴンに飛びかかる。しかし熱風に押し返され傷1つつけることすらできない。晶も同じように押し返されていた。こうなればアビリティを使うしかない。多分動きはシステムが自動でしてくれるので熱風に勝てるかもしれない。そう考え、右手に持つ剣に神経を集中させる。剣の刀身に黄色い光が宿る。
「いっけぇぇぇぇぇ!!!」
一気に溜まった力を解放させる。上から被さるように発動させたスマッシュは、システムに後押しされドラゴンに襲いかかった。しかし、ドラゴンは動じずに俺を剣ごと翼でなぎ払った。
「グハッ!!」
抵抗もなく地面に叩きつけられた俺は眩む視界の中で右下のHPを確認する。MAX240あったHPは25まで減少していた。あと一撃でも喰らえば俺は死ぬ。死の実感が持てた俺は体から震えが止まらなくなった。俺は死ぬ?そう思いながら目の前で俺を踏み潰そうとしているドラゴンを見つめた。俺の真上から死への入り口が振り下ろされた。
死ぬ!
そう思った瞬間にドラゴンの左側から一筋の緑色の光が走った。その光に弾かれたドラゴンはバランスを失い俺の右側に倒れた。ドラゴンにぶつかった光は軽く跳ね返されただけで、すっと地面に着地していた。俺は光の正体に目を凝らして見た。
「なッ!?」
それは人だった。しかもよく知っている人だ。
「晶!?」
あの晶が緑色に発光する大きな槍を持ち、ドラゴンを見据えていたのだ。見たこともない晶の姿と槍に驚きを隠せなかった。一体あの槍は?
「すまなかった。」
ドラゴンから目を離し俺を見た晶はそう言った。
「俺は最初にもらったリリース記念チケットの時に、この神器ガイアを当てていたんだ。でも、それを伝えれば俺たちの関係は終わる気がした。だから伝えなかったんだ。」
最初の時のあの様子はそれだったのか。晶が5人までしか当たらない神器を当てていたなんて思いもよらなかった。晶はそのことを告げるとドラゴンに向き直した。
「俺はこれで全てを終わらす。ドラゴンも、そして俺とお前の関係も。」
そう伝えた晶の槍は黄色の光を帯び始めた。まさか、アビリティを晶も知っていたのか。
「あのさ、俺さ、お前と出会えてよかったと思う。ありがとう。そして、さよなら。」
そう言った晶はドラゴンに向けて技を発動させた。
「サベッジペネトレイトォォォ!」
黄色の光を帯びた晶はドラゴンに一直線に突き刺した。その瞬間灼熱のドラゴンからは雄叫びが上がり数秒後に青い光が宙を舞った。
討伐完了ウィンドウが現れた時には晶の姿はなかった。祐介達は眠っているようだ。
「晶……」
俺の溢した言葉に応じるかのように1つのウィンドウが目の前に現れた。
「ドロップアイテム…。」
それはドラゴンを討伐した時にドロップしたものだった。どうやら晶はドラゴンにトドメを刺す直前でギルドを抜けていたらしい。このバトルを始めたのは俺たちのギルドだから晶のラストアタックは外部からの支援扱いになっていたのだ。だから1番攻撃をドラゴンにした俺にドロップアイテムが付与されたのだ。
「なんで…なんでなんだよ……。」
無機質な音と共に上がり続けるレベルとドロップした剣を見ながら俺は泣き続けた。それが晶との別れであり、神器ダインスレイヴとの出会いだった。
ギルドに参加した俺は祐介に質問をした。どのゲームにもギルドとは何かしら目的があるはずだ。なら、このギルドの目的とはなんなのか気になるのだ。というよりギルドの一員として、知っておかなければならない。
「1番の目的はリーグで勝ち抜く為の装備や経験値を安全に獲得することさ!」
装備や経験値の獲得か。つまり昨日のゴブリンやそれ以上のモンスターとやり合うわけだ。俺と同じ考えをしているであろう晶は少し顔が青ざめている。それも無理はない。なんせ1度俺たちは死ぬかもしれない恐怖を味わっているからだ。
「えっと、祐介たちはモンスターと戦ったことはあるのか?」
「え?もちろんないよ?」
笑顔でいうんじゃねー!と思いながらこのギルドの結果が見えてきた。きっと無理だ。モンスターを見たことない人では、まともに戦うことはできない。だが、このままでも何も前に進まない。
「わかった。それなら1度モンスターを倒した俺たちがレクチャーしてやる。まずは、装備を整えよう。」
戦闘に1つの知識も持ち合わせていないメンバー達に俺たちは様々な事を教えた。戦い方。武器の使い方。そして、敵の強さ。だが、祐介達は何1つ怖がらなかった。きっとリアルでは、強い人間だったんだな。そう考えながら街の門まできた。
「ここからは絶対に油断するなよ!いつでも命の危険がある事を忘れるな!」
晶が絶対的なリーダー感を出しながらそう伝えた。そうだ。絶対にこのギルドを守らなければならない。そう思いながら街の門をくぐった。
「セイッ!!」
俺は掛け声と共に一体目のモンスターにトドメをさした。戦闘を開始してから約10分がたった。さすがに初めての戦闘だった祐介達は息を切らしていた。あの時戦えなかった晶は人が変わったような腕前で敵のHPを減らしてくれた。
「お!レベルアップ!」
息を切らしていた祐介がそう言った。ウィンドウにはギルドメンバー全員のレベルが表示されていた。どうやらギルドメンバーには自分のレベルを隠せないようだ。祐介と凛と奈々は3レベル、俺たち6レベルだ。
「いやー、駆たちは凄く強いんだねー!」
経験値のウィンドウをみながら祐介が言った。
「きっと祐介達もこのぐらいはすぐいくさ。」
お世辞でもなんでもなくこれは本心だ。俺はこのギルドが大好きだ。この仲間達といつまでも一緒に居たいと願っている。そう思っていれたのも一瞬だった。聞いたこともない叫び声に似た鳴き声と大きな地響きが起こった。そして、目の前に一頭のモンスターが降りたった。俺の何十倍にも及ぶ体。その体から生える太く長い尻尾。巨大な2枚の翼。長く伸びた首から先の威圧する鋭い目。そして真っ赤な体と、ところどころに火を宿している。
「ド、ドラゴン!?」
恐怖に震える祐介の口から溢れた言葉だった。ドラゴン!?そんなものがなぜこんなところに?ギルドメンバーはみんな竦んでいた。俺と晶を除いて。もう戦うしかない。意を決して晶の顔を見る。晶もどうやら心を決めたようだ。
「やるぞ晶。」
晶も準備はできているようだ。
「セヤアァァァ!!」
俺が灼熱のドラゴンに飛びかかる。しかし熱風に押し返され傷1つつけることすらできない。晶も同じように押し返されていた。こうなればアビリティを使うしかない。多分動きはシステムが自動でしてくれるので熱風に勝てるかもしれない。そう考え、右手に持つ剣に神経を集中させる。剣の刀身に黄色い光が宿る。
「いっけぇぇぇぇぇ!!!」
一気に溜まった力を解放させる。上から被さるように発動させたスマッシュは、システムに後押しされドラゴンに襲いかかった。しかし、ドラゴンは動じずに俺を剣ごと翼でなぎ払った。
「グハッ!!」
抵抗もなく地面に叩きつけられた俺は眩む視界の中で右下のHPを確認する。MAX240あったHPは25まで減少していた。あと一撃でも喰らえば俺は死ぬ。死の実感が持てた俺は体から震えが止まらなくなった。俺は死ぬ?そう思いながら目の前で俺を踏み潰そうとしているドラゴンを見つめた。俺の真上から死への入り口が振り下ろされた。
死ぬ!
そう思った瞬間にドラゴンの左側から一筋の緑色の光が走った。その光に弾かれたドラゴンはバランスを失い俺の右側に倒れた。ドラゴンにぶつかった光は軽く跳ね返されただけで、すっと地面に着地していた。俺は光の正体に目を凝らして見た。
「なッ!?」
それは人だった。しかもよく知っている人だ。
「晶!?」
あの晶が緑色に発光する大きな槍を持ち、ドラゴンを見据えていたのだ。見たこともない晶の姿と槍に驚きを隠せなかった。一体あの槍は?
「すまなかった。」
ドラゴンから目を離し俺を見た晶はそう言った。
「俺は最初にもらったリリース記念チケットの時に、この神器ガイアを当てていたんだ。でも、それを伝えれば俺たちの関係は終わる気がした。だから伝えなかったんだ。」
最初の時のあの様子はそれだったのか。晶が5人までしか当たらない神器を当てていたなんて思いもよらなかった。晶はそのことを告げるとドラゴンに向き直した。
「俺はこれで全てを終わらす。ドラゴンも、そして俺とお前の関係も。」
そう伝えた晶の槍は黄色の光を帯び始めた。まさか、アビリティを晶も知っていたのか。
「あのさ、俺さ、お前と出会えてよかったと思う。ありがとう。そして、さよなら。」
そう言った晶はドラゴンに向けて技を発動させた。
「サベッジペネトレイトォォォ!」
黄色の光を帯びた晶はドラゴンに一直線に突き刺した。その瞬間灼熱のドラゴンからは雄叫びが上がり数秒後に青い光が宙を舞った。
討伐完了ウィンドウが現れた時には晶の姿はなかった。祐介達は眠っているようだ。
「晶……」
俺の溢した言葉に応じるかのように1つのウィンドウが目の前に現れた。
「ドロップアイテム…。」
それはドラゴンを討伐した時にドロップしたものだった。どうやら晶はドラゴンにトドメを刺す直前でギルドを抜けていたらしい。このバトルを始めたのは俺たちのギルドだから晶のラストアタックは外部からの支援扱いになっていたのだ。だから1番攻撃をドラゴンにした俺にドロップアイテムが付与されたのだ。
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