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08 蜜月※
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蓮は第一志望の大学に合格した。
俺と蓮は違う大学に通う事になったが、蓮は宣言どおり、頑なに俺と一緒に住むと譲らず、俺が折れる形で『ルームシェア』することになった
俺の母からは心配されながらも、歓迎された。
「正直あんたを一人暮らしさせるの心配だったから、蓮くんが一緒なら安心だわ。蓮くん、よろしくね」
母はのんびりとした様子で、隣に座る蓮に笑顔を向けた。
「はい、任せてください。必ず樹を幸せにします」
蓮は爽やかな満面の笑みで宣言した。やはり発言がおかしい。
母は「あらあら」と嬉しそうに呟き、ニコニコしながら俺達を眺めていた。
***
共同生活は意外と上手くいっていた。幼い頃からの仲なので、お互いのことはだいたい把握している。
家事は分担制で、炊事は蓮が主に担当していた。俺は料理が得意ではなかったので、正直ありがたい。しかも蓮が作る料理はめちゃくちゃ美味い。こんなところでもハイスペックぶりを発揮するとは。
おかげで大学の友人たちと交流を深めるのもソコソコに真っ直ぐ帰宅してしまう。
戸惑っていることもある。蓮のスキンシップが過剰であることだ。朝は目覚ましの代わりにキスしてくるし、出かける時と帰ってくる時はハグされるし、風呂上がりには髪を乾かしたりマッサージをしたり甲斐甲斐しく世話を焼いてくる。
いきなり距離を詰められて、最初は恥ずかしくて動揺していたが、蓮が当たり前のように触れてくるので段々慣れてきた。
一緒に暮らし始めて二ヶ月が経過した頃、俺は蓮とはじめて繋がった。
蓮は俺のことをオメガだと思っているので、当たり前のように俺が受け入れる側だ。発情期になるまで待とう、とか言われなくて良かった。
発情期のオメガは準備なんて必要ないそうだが、一般的に男同士の性行為には準備が必要らしい。
どうすればいいか蓮に尋ねると、「樹は何も心配しなくていいよ、俺が全部やってあげるから」と微笑まれ、何も考えずに頷いた過去の自分を殴りつけたい。
浴室で恥ずかしいところを全て洗われて解されて、息も絶え絶えの状態でベッドに転がされ、舌や指で全身を愛撫されると思考が霧散していく。
蓮は手際よく俺の足を開いて抑え込むと、自身の熱い昂りを後ろの入り口に押し当てた。そのまま体重をかけて俺の中に押し入ってくる。内部を無理矢理に拡げる熱が与える圧迫感に息を詰めると、蓮が宥めるように顔中に優しく口付けてきた。
「……大丈夫?痛かったら言って」
「……痛く、ない……」
苦しくて、途切れ途切れの言葉しか紡げなかった。痛みはなかったが、腹の奥に熱くて重い塊があるようで、異物が入っている感覚に慣れず身じろいだ。
俺が発情期だったら、もっと簡単に受け入れられただろうか。一瞬脳裏を過った疑問に、思わず奥歯を噛み締めた。
「……やっぱり苦しい?」
様子が変わったことに目ざとく気付いた蓮が心配そうに見つめてきた。首を振って否定したが、見透かすような眼差しを向けられた。
「ゆっくりするから、力抜いて」
蓮はあやすような優しい声色で俺を慰めながら、抱き締めてきた。首筋に口づけられると、体の力が抜けていく。
「樹、好きだよ。俺を受け入れてくれてありがとう」
耳元で囁かれた言葉に泣きそうになる。俺は無意識のうちに蓮の首に腕を回してすがりついていた。
「……俺も、好きだよ」
絞り出すように言葉を返すと、蓮は嬉しそうに笑って再び口付けてきた。幸せな気持ちが溢れ、俺も笑顔を返す。
心の奥底にある不安には、気が付かないフリをした。
俺と蓮は違う大学に通う事になったが、蓮は宣言どおり、頑なに俺と一緒に住むと譲らず、俺が折れる形で『ルームシェア』することになった
俺の母からは心配されながらも、歓迎された。
「正直あんたを一人暮らしさせるの心配だったから、蓮くんが一緒なら安心だわ。蓮くん、よろしくね」
母はのんびりとした様子で、隣に座る蓮に笑顔を向けた。
「はい、任せてください。必ず樹を幸せにします」
蓮は爽やかな満面の笑みで宣言した。やはり発言がおかしい。
母は「あらあら」と嬉しそうに呟き、ニコニコしながら俺達を眺めていた。
***
共同生活は意外と上手くいっていた。幼い頃からの仲なので、お互いのことはだいたい把握している。
家事は分担制で、炊事は蓮が主に担当していた。俺は料理が得意ではなかったので、正直ありがたい。しかも蓮が作る料理はめちゃくちゃ美味い。こんなところでもハイスペックぶりを発揮するとは。
おかげで大学の友人たちと交流を深めるのもソコソコに真っ直ぐ帰宅してしまう。
戸惑っていることもある。蓮のスキンシップが過剰であることだ。朝は目覚ましの代わりにキスしてくるし、出かける時と帰ってくる時はハグされるし、風呂上がりには髪を乾かしたりマッサージをしたり甲斐甲斐しく世話を焼いてくる。
いきなり距離を詰められて、最初は恥ずかしくて動揺していたが、蓮が当たり前のように触れてくるので段々慣れてきた。
一緒に暮らし始めて二ヶ月が経過した頃、俺は蓮とはじめて繋がった。
蓮は俺のことをオメガだと思っているので、当たり前のように俺が受け入れる側だ。発情期になるまで待とう、とか言われなくて良かった。
発情期のオメガは準備なんて必要ないそうだが、一般的に男同士の性行為には準備が必要らしい。
どうすればいいか蓮に尋ねると、「樹は何も心配しなくていいよ、俺が全部やってあげるから」と微笑まれ、何も考えずに頷いた過去の自分を殴りつけたい。
浴室で恥ずかしいところを全て洗われて解されて、息も絶え絶えの状態でベッドに転がされ、舌や指で全身を愛撫されると思考が霧散していく。
蓮は手際よく俺の足を開いて抑え込むと、自身の熱い昂りを後ろの入り口に押し当てた。そのまま体重をかけて俺の中に押し入ってくる。内部を無理矢理に拡げる熱が与える圧迫感に息を詰めると、蓮が宥めるように顔中に優しく口付けてきた。
「……大丈夫?痛かったら言って」
「……痛く、ない……」
苦しくて、途切れ途切れの言葉しか紡げなかった。痛みはなかったが、腹の奥に熱くて重い塊があるようで、異物が入っている感覚に慣れず身じろいだ。
俺が発情期だったら、もっと簡単に受け入れられただろうか。一瞬脳裏を過った疑問に、思わず奥歯を噛み締めた。
「……やっぱり苦しい?」
様子が変わったことに目ざとく気付いた蓮が心配そうに見つめてきた。首を振って否定したが、見透かすような眼差しを向けられた。
「ゆっくりするから、力抜いて」
蓮はあやすような優しい声色で俺を慰めながら、抱き締めてきた。首筋に口づけられると、体の力が抜けていく。
「樹、好きだよ。俺を受け入れてくれてありがとう」
耳元で囁かれた言葉に泣きそうになる。俺は無意識のうちに蓮の首に腕を回してすがりついていた。
「……俺も、好きだよ」
絞り出すように言葉を返すと、蓮は嬉しそうに笑って再び口付けてきた。幸せな気持ちが溢れ、俺も笑顔を返す。
心の奥底にある不安には、気が付かないフリをした。
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