魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと

文字の大きさ
4 / 110

まさに、捨てられた

しおりを挟む
「は?汚らわしい!私の作った野菜を運ぶ乗り物に、低級民が乗るなど、ありえませんわ!」
「いえ、でも陛下のご命令で」
「捨てればいいんでしょ?捨てる場所は"外"ならどこでもいいんでしょ?」
 外?
 女性は男が頷くのを確認してすぐに両手を広げた。
「【大地の力よ、かの異質なる穢れし者を外へと弾き飛ばせ】」
 女性が魔法の呪文を唱えると、すぐに私の体は宙に浮き、すごい勢いで畑の上を横切り、街から遠ざかり、そして、何もない土地に落下した。
「いっ」
 小さな声が漏れる。
 勢いよく背中が地面に叩きつけられ、息が止まる。痛いというよりも苦しい。
 頭をぶつけなくてよかったんだろう。意識ははっきりとある。苦しみが少し楽になると、今度は痛みがやってきた。
 背中、それから肩……。うー、肋骨は無事かな……。
「ああ……外……か」
 地面に寝ころんだまま、視線を動かす。
 今いるのは、何もない場所。森でも畑でも草原でもない。そう、荒野といったところか。
 そして、視界に移るのは、薄いベールのようなもので囲まれた街。
 ベールはなんだろう。バリア?結界?魔法の何か?ベールに囲まれている場所が中で、ベールに囲まれていない荒野が外……なのか。
 背中が痛い。
 頭を打っていたら死んでたよ。ひどい。傷害罪だよ。殺人未遂だよ。……でも、手も触れてないし、魔法で飛ばされた場合は犯人はどう見つけるんだろう。証拠もないよなぁ。
 とか、どうでもいいことを考える。
 たぶん、この世界の人間の命はそこまで重くない。立場でどこまでも軽くなる。
 魔力ゼロ……低級民と呼ばれる私のような人間は「殺してもいい」部類なのだろう。
 空は青い。太陽は一つ。地球と同じだ。だけれど、昼間の月が4つ出ている。太陽のまわりに4つの白い昼の月。
 どうしよう。日本に帰りたい。
 地面に寝ころんだまま空を見上げる。いいや、正確にいえば、背中の痛みで動けない。かろうじて動かせるのは、足首から下と肘から先と顔。
 熱も出るかもしれない。これ、動けるようになるのにどれくらいかかるんだろう。死ぬんじゃないかなぁ……。
 日本に帰りたいって思う前に、死にたくないって思わなくちゃだめな状態なんだろうなぁ。
 でも、やっぱり……一番心に上がってくる感情は日本に帰りたいだ。
 従妹のきららは、すごく嬉しそうだった。男がいれば平気なのかな。私は嫌だ。家族や友人すべてを捨てて一人の男性を選ぶなんて絶対できない。家族と縁を切れというような男は好きになれない……って「やだぁ、男の人から願い下げでしょう。誰も由紀姉さんのこと好きになるわけないじゃない。そりゃ、家族や友達は大切よね、くすくす」と、きららの幻聴が聞こえる。
『おーーーーい』
 ん?


==============
ご覧いただきありがとうございます。
こちらの作品はカクヨムにアップしたものの改稿版になります。
カクヨム版もこちらと同じものに順次差し替え予定ですが……。
更新作業差し替え作業共に時間が取れたときになるので、いつになるかは謎です。

改稿前の内容は、従妹が出てきませんでしたが、足してみました。
基本的に主人公はお人よしなので、過激なザマァはありません。
最終的にはハッピーエンド。誰も死なない予定です。
あ、すでに死んでいる人は別です。

物語の性質上、虐げられた人たちの生活描写が少し辛いです。
本文前に注意書きを入れるようにしていきます。
苦手な人にとってはということで、大したことはないと思う人には大したことないかもしれません。

それから、=============ライン以下はあとがきやこのような注意書きなどになります。
これ以降、注意書きは本文前に一言入れるようにしますので、ほぼあとがきになります。
作品にもよりますが、あとがきが多い可能性があります。苦手な方は読み飛ばし推奨。
あとがきを読まないと意味が通じないようなことはありません。
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...