婚約破棄しようとする皇太子を手違いで殺してしまった私の一日

富士とまと

文字の大きさ
4 / 17

しおりを挟む
 そして、旅行当日がやって来た。
 1日目の昼食後、殿下がレレナの部屋を訪れた。マリアは1日遅れて到着するとレレナは聞いていた。
「レレナ……明日、マリアが到着してから教えるつもりだったが……突然でレレナも混乱するだろう。だから、あらかじめ話をしておきたいんだ」
 来た。
「男爵令嬢ということで、反対の声も多いと思う。だが……反対を押し切ってでも結婚したいと、思っていて」
 やっぱり、そうだったんだ。
「殿下、お茶を入れさせますわ。大切な話のようですから、落ち着いて話をいたしましょう」
 侍女に退室させたため、レレナ自らお茶を入れる。といっても、すでにティーセットは準備してあるため、ティーポットからカップに紅茶を注ぐだけだ。
 緊張して震える手でレレナは紅茶をカップに注いでいく。
 殿下の前でレレナはいつも失敗しないように緊張して過ごしていたけれど、今日はいつも以上に緊張している。
 殿下のカップに紅茶を注ぎ、次に自分のカップに紅茶を注ぐ。
「ああ、ありがとう」
 殿下の大好きな声。
 この声が、自分に婚約破棄をつげるのかと思うと耐えられなかった。
 レレナは、あらかじめ準備しておいた毒入りの角砂糖を自分のお茶に入れてスプーンで混ぜる。
 殿下はいつも砂糖を使わない。
 だから、間違えることはないと、思っていた。レレナは緊張しすぎて、ガチャリと手元を狂わせ、スプーンで混ぜる紅茶をこぼしてしまうまでは。
 紅茶がソーサーにこぼれる。
「あ……!」
 どうしようと、レレナは焦った。
 貴族令嬢たるもの、こぼれた紅茶を飲むようなことはしない。新しく紅茶を入れ直してもらうのが当たり前だ。
 だけれど、毒入り角砂糖はもうない。このまま飲んで殿下の前で死ぬのが正しいのか、それともこぼれた紅茶は早まるなと言う何かの暗示なのか。
 こぼれた紅茶を前に、動きを止めてしまうと、殿下が手を伸ばしてレレナの前のカップを手に取った。
「交換しよう。大丈夫だよ。せっかくレレナが入れてくれたんだ」
 殿下はそういうと、レレナの紅茶を一気に飲み干してしまった。
 レレナは自分は本当にダメな人間だと思っている。何か不測の事態が起きた時にとっさの判断ができないし、動きも鈍い。
 もっと早く動くことができれば、何が起きているのか素早く把握し即座に判断できていたなら。
 殿下が毒入り紅茶を飲む前に止められたはずなのに!
 殿下が、紅茶を飲み干し、そしてゆっくりと椅子から崩れ落ちるように倒れるまで、レレナは動くことができなかった。




============
タイトルまちがえて5にしてしまっていたため4に修正いたしました。
ご覧いただきありがとうございます。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄された傷心令嬢です。

あんど もあ
ファンタジー
王立学園に在学するコレットは、友人のマデリーヌが退学になった事を知る。マデリーヌは、コレットと親しくしつつコレットの婚約者のフランツを狙っていたのだが……。そして今、フランツの横にはカタリナが。 したたかでたくましいコレットの話。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

処理中です...