婚約破棄しようとする皇太子を手違いで殺してしまった私の一日

富士とまと

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「殿下を床に寝させているわけにはいきませんわね!」
 レレナは、殿下をベットへ運ぼうと思い付いた。
「ああ、ですけれど、どうやって運んだらいいのかしら?」
 誰かを呼んで運んでもらうわけにもいかないわよ。
 レレナは殿下の手をもって引っ張り、殿下の上半身を起こすことに成功した。
「ああ、殿下の手に触れてしまったわ。……どうしましょう。こんなこと言っている場合ではないですけれど……嬉しい。いいえ、うれしいですが、本当は、殿下に手をつないでほしかったんです。私からこうして殿下の手を握ることになるとは……思ってもみませんでした。ああ、恥ずかしいけど嬉しいけど、どうしましょう、そんなことを言っている場合ではないのです。このまま立ち上がらせる……えっと、えっと……」
 うーんと腕を引っ張ってみたものの、とてもじゃないですが立ち上がらせることはできず、レレナは腕を引っ張るのを諦めた。
「私がムキムキマッチョで鍛え上げていれば、軽々と殿下をお姫様抱っこして運んで差し上げられるのに……。鍛えるべきかしら?いざということもあるでしょうし」
 そこまで口にして、レレナは首を横に振った。
「……いざというときなど無かったのですわ……。私は婚約破棄される身でしたわね……。こうしてダンス以外で手を握ることなど、もう一生ないのでしょうね。一生の思い出……殿下……」
 こっそりレレナは殿下の手を自分の頬に近づけた。
 殿下の手は、冷たくはなくまだ体温を保っている。
 24時間はまだ生きているのだから当たり前といえば当たり前だ。仮死状態のような状態なのだろうか。
「えーっと、殿下、鍛えていないのでこんな格好で失礼いたします」
 レレナはしばらく考えてから殿下を背負うことにした。背中を向けて殿下の上半身を腕を引っ張って背中に密着させてから立ち上がる。
「重たい……殿下、すごく重たい。そういえば鍛えている人は筋肉がよく発達していて見た目以上に重たいと聞いたことがありますわ。殿下は鍛えているんでしょうね。見たことがないですが。いえ、見たいとかそういうことではなく……」
 レレナが殿下の体を想像して赤面すると、かすかに背中の殿下が動いた気がした。
「あら?もしかして目を覚ましたのかしら?」
 何度か目を覚ますと言っていたし。
 確認しようと後ろを振り返ろうと下レレナが大勢を崩して、床に手をついて倒れると、覆いかぶさるように殿下の体も傾いだ。
「きゃぁっ」
 床に倒れるレレナ。その上に倒れこんだ殿下。
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