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4 そして現在は、ホワイトです

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 布山涼子。30歳。
 残業ゼロ、給料そこそこ、パワハラもセクハラもなく、そして……。
 口うるさいお局と陰口をたたく人もいない、驚くほどホワイトな職場に転職しました。
 今日で3か月。
 まぁ、小さな出来立ての会社で、社長と私の二人だけの会社なので、陰口を言う人間どころか、人間がいないんだけど。
「あー、6時、6時になったよ。早く帰って!もう就業時間終わりだから、早く帰って!」
 時計を見て、大慌てで社長が立ち上がる。
「あの、あと4行打ち込めばきりが」
 目の前のパソコンで開いた画面。それから手元にある書類。
 4行数字を打ち込んで、保存をかけて閉じれば出来上がる。
「な、何いってるんですか、もう6時も2分すぎてます。そんなの、明日来てから続きをやればいいんですから、あ、パソコンの電源は僕が落としておきますから、早く、帰ってくださいっ」
 両手を大きく振り回し、壁掛け時計に視線を送り、それから私に青い顔を見せる社長。
 たった、2分……あと残りの作業をしたって、1分か2分なのに。いつも社長は少しの残業も許さない。
「やだなぁ、社長、サービス残業させられたなんてSNSにあげたりしないから大丈夫ですよ」
 ひゅっと小さく息を飲む音が聞こえる。
「え、え、SNS?涼子さん、SNSする人でした?」
 あ、そうだった。この会社ってSNS禁止だった。
 求人にもSNSはしていないこと、これからもする予定がないこと、社内へのスマホおよび撮影録音機器の持ち込みは禁止とあったんだっけ。
 よほど社員に録音されちゃ困るようなパワハラでもあるのかとドキドキしながら入社試験を受けたっけ。
「いいえ、しませんよ?」
 と答えると、社長はほっと息を吐きだした。
「そうですよね、涼子さんはSNSしない人ですもんね。その条件でうちの会社に来てくれた貴重な人ですもんね」

 入社試験を受けたのは、今からは3か月前。

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3,4話と短くてすいません。
場面転換やら視点やら時間経過の切れ目で分かりやすいようにしました。
次話から 安定した分量で更新予定です。……たぶん。
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