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22 取引先はどんな国?
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「この値段で買って、倍の値段で売るよ。手に入らなかったら手に入らないって伝えるだけだよ」
は?
社長が通販サイトの画面を指さす。
この値段でさえも高い作業着だと思うのに、これをさらに倍の値段で売る?
いやいや、ちょっと待って。
「ぼ、ぼったくりじゃないですか。というか、売れないですよ。同じ品を倍の値段でなんて……」
いい人だって聞いていたのに。
社長はいい人だと思っていたのに、商売の仕方がえげつない。……こ、これは転職失敗した?
「えーっと、貨幣価値?物価?なんかそういうの違うから大丈夫だと思う」
「取引先は海外なんですか?でしたら、日本製作業着ということで売れるのかもしれませんが……それでも倍の値段ですか?どこの国の企業と取引をなさるんですか?」
社長が再び動きを止める。
「えーっと、その、取引先相手とのやり取りは、僕が全部するから。えっと、涼子さんが関わることはないと思う」
妙に焦った様子だ。
大丈夫かな。犯罪すれすれなやばいことやってませんよね?疑いの目を向けると、社長が必死に言葉をつなげる。
「そ、その、独自の風習というかなんか難しいやり取りとかもあって」
ああ、なるほど。
「そうですね。国によって違いますものね。食事一つとっても、残さずきれいに食べることがマナーだとする国もあれば、残すことがマナーだという国もありますし。かわいいですねと子供の頭をなでると激怒される国もあるんですよね。そういえば、素敵なお家ですねとか素敵なお召し物ですねと褒めると「盗もうとしている」と思われるから誉めてはいけないって国もありましたね」
おっと。また、いろいろと関係のない話もしてしまいました。知識をひけらかすつもりはないんですけど。
本当、私は……反省してもしても、治らない。
「へー、そうなんだ。それは気を付けないといけませんね」
関心したように社長が私の話を聞いていた。よかった。
「取引先に、失礼があるといけませんので、勉強したいと思います。どこの国ですか?それから取引相手の信仰する宗教がわかれば教えていただけると、調べて勉強いたします。あ、もちろん仕事に支障が出ないようにいたしますので」
社長が両手を横に振る。
「いやいや、大丈夫。うん、涼子さんはその、会うこともないから、えっと」
とても焦った様子の社長に、首をかしげる。
仕事が忙しいと社員を雇ったのに?なんでそこまで否定するんだろう。
うーん。
社長の人となりは昨日の様子しかわからないけれど。
あ。
確か、社長は海外留学か何かしていて、日本を離れていたとまりさんが言っていた。様子がちょっとおかしくて、それ以上突っ込んで話を聞かない方がよさそうだと思ったんだ。
もしかしたら、その話したくないことと関係のある国なのかな?だったら、無理に聞き出さない方がいいかもしれない。
それからあと可能性としては……。
妙にセクハラパワハラしないように気を付けていたし。
「もしかして、取引先は女性差別のひどい国ですか?ビジネスの場に女性が出てくるのを否定するような……」
残念だけれど、いまだにそういう国もある。
は?
社長が通販サイトの画面を指さす。
この値段でさえも高い作業着だと思うのに、これをさらに倍の値段で売る?
いやいや、ちょっと待って。
「ぼ、ぼったくりじゃないですか。というか、売れないですよ。同じ品を倍の値段でなんて……」
いい人だって聞いていたのに。
社長はいい人だと思っていたのに、商売の仕方がえげつない。……こ、これは転職失敗した?
「えーっと、貨幣価値?物価?なんかそういうの違うから大丈夫だと思う」
「取引先は海外なんですか?でしたら、日本製作業着ということで売れるのかもしれませんが……それでも倍の値段ですか?どこの国の企業と取引をなさるんですか?」
社長が再び動きを止める。
「えーっと、その、取引先相手とのやり取りは、僕が全部するから。えっと、涼子さんが関わることはないと思う」
妙に焦った様子だ。
大丈夫かな。犯罪すれすれなやばいことやってませんよね?疑いの目を向けると、社長が必死に言葉をつなげる。
「そ、その、独自の風習というかなんか難しいやり取りとかもあって」
ああ、なるほど。
「そうですね。国によって違いますものね。食事一つとっても、残さずきれいに食べることがマナーだとする国もあれば、残すことがマナーだという国もありますし。かわいいですねと子供の頭をなでると激怒される国もあるんですよね。そういえば、素敵なお家ですねとか素敵なお召し物ですねと褒めると「盗もうとしている」と思われるから誉めてはいけないって国もありましたね」
おっと。また、いろいろと関係のない話もしてしまいました。知識をひけらかすつもりはないんですけど。
本当、私は……反省してもしても、治らない。
「へー、そうなんだ。それは気を付けないといけませんね」
関心したように社長が私の話を聞いていた。よかった。
「取引先に、失礼があるといけませんので、勉強したいと思います。どこの国ですか?それから取引相手の信仰する宗教がわかれば教えていただけると、調べて勉強いたします。あ、もちろん仕事に支障が出ないようにいたしますので」
社長が両手を横に振る。
「いやいや、大丈夫。うん、涼子さんはその、会うこともないから、えっと」
とても焦った様子の社長に、首をかしげる。
仕事が忙しいと社員を雇ったのに?なんでそこまで否定するんだろう。
うーん。
社長の人となりは昨日の様子しかわからないけれど。
あ。
確か、社長は海外留学か何かしていて、日本を離れていたとまりさんが言っていた。様子がちょっとおかしくて、それ以上突っ込んで話を聞かない方がよさそうだと思ったんだ。
もしかしたら、その話したくないことと関係のある国なのかな?だったら、無理に聞き出さない方がいいかもしれない。
それからあと可能性としては……。
妙にセクハラパワハラしないように気を付けていたし。
「もしかして、取引先は女性差別のひどい国ですか?ビジネスの場に女性が出てくるのを否定するような……」
残念だけれど、いまだにそういう国もある。
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