上 下
71 / 159

70 三馬鹿トリオ爆誕

しおりを挟む
「リザ、これ……」
「これは、すごい……いったい、誰に教えてもらったんだい?」
 兄2も兄6も、ひっ算の式をかいた紙を茫然と眺めている。
「この書き方で計算すれば、3つ4つの数は簡単に足せるんじゃないか?」
「桁数がいくら増えようと、計算機の桁が足りなくても何の問題もないじゃないか?」
 兄2と兄6は、私が渡した紙をぽいっと手放すと、新しい紙に適当に数字を書いて桁の大きな足し算や、3つ4つ複数の数字を縦に並べたひっ算を始めた。
 えー、ちょっと、お兄様、模範解答作りは?
 え?今はそんなことしてる場合じゃない?
 ちょー、お兄様っ!
 ぐずっ。いいんだもん。もともと一人で問題作るつもりだったんだもん……めそめそ。
「兄さん、これ見てください、こんな風に工夫もできそうですよ」
「なるほど、足して10になるものを優先的に処理していくんだな」
「縦に数字を並べるだけでこれほど見やすくなるとは」
「この繰り上がった1も、1として書くのではなく……」
「うん、そうすると数字をたくさん足すときにも……」
 お兄様たちが色々ワイワイと話してるの、知ってるもん。リザだって、知ってるもん。寂しくなんかないもん。
 えーん。やっぱり、一人は寂しいよ。って、私、お兄様や両親に構われ慣れすぎて、一人だと寂しいって体質になっちゃってるぅ!そんなバカな!
 お一人様バッチコーイな、前世のオタク34歳独り身一人暮らし恋愛経験なしな私はどこ行った!
 というわけで、一人で問題作って、模範解答作って、問題をいくつか書き写して……。ぐすっ。クラスのためにやってるんだから、一人だけど、一人じゃないよっ。
 くそう。夜に女にならなければ、マージやフレッドと一緒にお泊り会だってなんだってできるのにっうぎーっ。
 って、あかん。攻略対象の第二王子(発狂死)とお泊り会なんて、どんな地獄イベントなんだよっ。はー、落ち着け、私。

 次の日も学校は休みです。この世界も一週間は似たようなもの。っていうか、ゲーム作った人が適当に設定したんだろうな。
 で、日曜日に何をするかというと……。朝から乗馬の練習だの、剣の稽古だの、歴史の勉強だの……あー、お父様と絵画鑑賞に、お母様とお買い物。家に帰ると、兄6と兄2に交じって、兄7も100マス計算してました。はう。近寄らないでおこう……。コソコソ。

 さて、次の日。教室に入ると……自宅と同じ光景が繰り広げられているとは、誰が思おうか。
 みんな鬼気迫る顔で100マス計算してるよ……。怖い。
「休みの日もずっとやってたら、すごく計算が早くなったんだよ」
「指を使わなくても計算できるんだ」
「2桁だろうが3桁だろうが、もう全然怖くないんだよ」
「もっと早く計算できるようになれば、高等部文官コースに進んでもいい成績で卒業できると思うんだ」
 そっか。勝負に勝つ勝たないとかじゃなくて、純粋に自分の成長が楽しいんだ。
 ごめんな、ちょっと怖いとか思って。
「勝負だ、リザーク!」
「勝負よ!リザーク!」
 ……。マージとサーシャ……。
「負けませんよ、リザーク」
 に、フレッド。お前たち、もうそろそろ三馬鹿トリオって呼ぶぞ。……あ、心の中だけでね。うん。


=======
おかしい、なんで、こんなことに……。
まともなキャラは、一人くらいいませんかぁ~?
(´・ω・`)きょとん
しおりを挟む

処理中です...