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82 テストが始まる

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「ま、まずは、その、彼女の立場とかね?どこのだれかって、えーっと、目立たないお礼の仕方もあると思うんだ。例えば、そう、クラスメイトなら接していても不自然はないから、えーっと、クラスメイトの友達で、みんなで一緒に遊ぶ仲みたいな感じになれたら自然だよね?その、ほら、兄も何事も下準備と根回しは大切だって……急がば回れ?えっと、……」
 落ち込んでいたフレッドがバッと勢いよく顔を上げて、僕の手を両手で握った。
「リザーク、ありがとう!君は僕の親友だ!本当に僕のことを考えて、言いにくいことを言い、きちんとアドバイスもしてくれるっ!」
 ひぃーっ。
 友達から、まさかの親友に格上げされました……。
 違う、ごめん、フレッドのこと考えて言ってるんじゃいんだよー。自分のことしか考えてないんだよー。それ、ばれたら、黒い煙出すよね。
 ぎゃー。助けて。
「二人に出会えて本当に僕は幸せだ!」
 フレッドが私とマージの肩に手を乗せた。
「また、会えたんだ。うん、こうして偶然顔を見るうちに、少しずつ話ができるようになるかもしれない。それに、リザークの言う通り、彼女を困らせない方法をいろいろと考えるべきだよね。まだ、中等部が始ったばかりだ」
 ああ、そうですね、まだ1か月たってないのに、ずいぶんいろいろなことがありました……(遠い目)。
「まずは、目の前のこと、数学のテストからかたずけようか」
 話題反らそう。
「ああそうだ!楽しみだぜ!俺たちのテストの結果に、他のクラスが驚くのがな!」
「そうですね」
 と、教室に戻る。
 試験管は、数学科の教師が立った。
 っていうか、数学もソフィア先生が授業してたから、科目別に先生がいるなんて知らなかったな。え?Fクラスに専門的な教育など必要なのか?ってマジか?そこまで、Fクラスって差別されてんの?まぁ、ソフィア先生いい先生だし。今のところ、それほど専門の先生いらないけど。
「用紙を配る前に、君たちに絶望と希望を伝えよう。どちらが先に聞きたいか?」
 なんだよ、それ、よい報告と悪い報告があるの二番煎じみたいな言い方。
「まずは希望から。クラス分けテストの20問目のような難問はない」
 あれが難問ねぇ。
 いやまぁ、確かに、足し算引き算練習してる段階ではちょっと荷が重いか。
 生徒たちの顔、何人かホッとしてる。
「ふふ、まぁ、どうせ、Fクラスの生徒には、難問があろうがなかろうが関係ないでしょうがね。さて、では絶望を。難問を出さないことと交換条件に数学主任が問題数増やせと言いましてねぇ。毎年40問でしたが」
 え?
 問題数が増える?
「1問1点。つまり、100問あります」
 ちぇ。そうだよな。100点満点のテストなら問題数の上限は100点だよなぁ。いっそ、1000問くらいあって、1問1点で、1000点満点とかにしてくんないかなぁ。そうしたら、一気にSクラスとの差が縮まるんじゃないかな?
「ひゃ、100問……」
 生徒の誰かがぼそりとつぶやいた。
「ふふふ、そうですよ。100問もあるんです。制限時間は例年通り1時間。はたして、出来損ないの君たちは何問とけますかね?ああ、Sクラスの生徒の半分は時間内に解けるだけの力はありますよ?」
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