婚約者に売られ子供ができたけど、訳あり元騎士様が代理パパになってくれたので幸せです

富士とまと

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「それから、最優先することはジャン。だから週に2日は休んで、遠征はなしと。ジャンの具合が悪い日は急に休むこともある。それから日が昇っている間の活動で、それからパーティーの反省会……まぁ打ち上げや飲み会はなし、それから、年齢はあまり離れていない方がいいかなぁ。10代後半から20代前半」
 ギルド長が、前半の文字を上から塗りつぶした。
「ちょっと」
 ギルド長をにらんで、もう一度前半と書きたす。
「おまえなぁ、そんなんで本当にメンバーが見つかると思うのか?10代後半から20代前半なんて、一番冒険者として活動したい盛りだろう?週に2日休みはいいが、反省会なしなんて、ダンジョンからの帰り道で話し合えば解決するなんてそれなりに経験を積んだ冒険者じゃないと無理だぞ?」
 ううう。
「しかも若者なんか急に休むと言われたら、じゃあソロでもってダンジョン行っちまうぞ?怖いもの知らずほど怖いものはないからな」
 う。ぐぐぐ。
「あの、他に女性じゃなければならないとかないですか?」
「お、エディいいこと言うじゃん。そうだな、女性って手があるか。それなら若くとも無謀なことはしないだろう」
「何言ってるんですかっ!女性冒険者なんて男性冒険者の1割しかいないし、ソロなんてさらに希少ですよ!性別問わずそれから、取り分はパーティー維持費の1割引いた後に半々、パーティ活動以外でソロ活動もオッケーと、これでどうですか、ギルド長」
 ギルド長に見せた紙を、エディさんがパッと取り上げ、書き直した前半部分を塗りつぶした。
「ちょっ、エディさんまでっ!」
 ぷすぅと膨れるとエディさんが私に紙を返しながら口を開いた。
「パーティーメンバー募集に応募してもいいですか?これなら条件をクリアしてるんですが」
「はい?」
「だめですか?流石に若返ろと言われても若返るわけにはいかないんで……」
 ギルド長が私から紙を奪って、前半と書き足した。
「残念だが本人が20代前半を募集しているんだから、あきらめろ、エディ。さ、そろそろ査定も終わったみたいだが、剣を折ったんだろう?もらった金で剣を買ってこい」
 しっしとギルド長がエディさんを追い立てる。
 ギルド長の手から紙を奪い返し、びりっと破いて丸めてぽいっと捨てた。ちゃんとギルドのゴミ箱に。
「ミミリアさん、パーティー登録よろしく!」
 受付嬢の先輩に声をかけ、エディさんを引っ張って行く。
「いいんですか?僕で?」
「うん、絶対うまくいくと思う。ほら、例えば、ツインヘッドウルフをエディさんが倒してる間に、私がアイアンゴーレムを倒すとか。アイアンゴーレムの魔石を無駄にしなくてすむでしょう?」
 エディさんが笑った。
「ふ、そうですね。僕はアイアンゴーレム相手だと魔石を壊してしか倒せそうにないです」
「じゃあ、よろしくエディさん」
「エディでいいですよ、シャリアさん」
「私もシャリアで」
 がっちり握手を交わすと、鐘が鳴りだした。
「あ!ごめんね、もう帰らないと!じゃあ、明日、朝、打合せしましょう!今日はお疲れ様!」

===ギルドにて===
 ミミリアが笑顔でギルド長に話かけた。
「よかったですねぇ!二人がパーティーを組めば、バランスが取れたよいパーティーになるんじゃないですか!他の人と組んだら人材の無駄遣いだし、相手の冒険者がつぶれた可能性が……」
 ギルド長がうーとうなった。
「そうだ、確かにそうなんだ。実力差がありすぎる者とパーティーを組んだら悲惨だな……。できる者には相手は足手まといにしかならないし、できない者は実力を過信するか相手より劣っていることを苦に冒険者を辞めていくからなぁ……」
 ガシガシと頭をかく。
 二人の元に、エディが新しい剣を持って戻ってきた。
「あれ?これ、僕のじゃないですね」
 カウンターの上に載っているギルドカードを手にしたエディさんが首を傾げた。
 パーティー登録のためにミミリアに二人が預けて戻されたものだ。
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