検索魔法で助けたもふもふ奴隷が伝説の冒険者だったなんて聞いてませんっ

富士とまと

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解放

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「僕の服?あの、ご主人様が買ってくださるんでにゅdyshd」
「バーヌ、その前に奴隷ギルド行って、バーヌはもう奴隷じゃなくなるの」
 バーヌがにこっと嬉しそうに笑っている。
 ああ、また癖で頬っぺたびろーんしちゃったけど、やっぱりうれしそうな顔。
「奴隷解放するのにはお金がいるんですよ、ユーキ」
 はい。知ってます。
「ダタズさんの奥さんがそう言っていました……いくらいるんでしょう……」
 報奨金が出ると言っていましたし、足りないのなら一生懸命働いて貯めます。ダタズさんが貯められるのであれば、私にも貯められるんじゃないでしょうか。少し時間はかかるかもしれませんが。
 ああそういえば、報奨金をもらうにはギルドに顔を1か月後に出すとか……他の街のギルドでももらえるんでしょうか?ちゃんと確認しないといけません。
「奴隷によって違うんですよ。売られた時の値段が解放するための価格です」
 ニコニコとバーヌは笑っています。
「え?そうなの?えっと、バーヌはいくらあれば解放してもらえるの?」
 バーヌは笑顔のままさらりと答えました。
「僕は高いですよ。治らない進行性の病が発覚した後、価格が下がる前に高値で売りに出しましたから」
 え?
「見た目も能力も、今とほぼ変わらない状態のときに、売りに出しましたから」
 はい?
 見た目は、すんごくかわいいです。耳がぴくぴく動くのも、尻尾が嬉しそうに揺れるのも、もう、めちゃくちゃかわいいです!
 親バカだとか何だとか言われようとも、これは譲れません。
 え?世間的にはイケメンって方に価値があるんですか?知りません。
 世間的には肉体美にも価値があるんですか?関係ありません。
 バーヌの魅力はそんな容姿的なところにはないんですっ。
 能力と言うと、嬉しそうに尻尾を振る能力ですか?もふもふしたときの柔らかな髪と、温かい耳の感触ですか?
 あ、違いますか。冒険者として有能な戦闘能力の話ですか。……確かに、強いのってすごいですが、それよりも、癒し能力のほうがすごいと、はい、わかりました。私の感覚は、とっても親バカなのですね。
 うちの子すごい。っていう親バカ感覚……。
「高級奴隷どころか、超高級奴隷ですよ」
 ニコニコと相変わらず笑顔のバーヌ。
 自分が価値が高いことに誇りを持っているのでしょうか。
 でも、笑いごとではありません。
「もしかして……今回の報奨金程度じゃ、とてもじゃないけれど足りないような額ってこと?」
「報奨金がいくら出るのかは知りませんが、そうですねぇ、普通の人が1年暮らせるお金の200年分くらいの金額です」
 にひゃ、ひゃ、ひゃ……。
「二百年分っ?!」
 1年暮らせるお金ってどれくらいでしょう。
 日本で、節約生活して200万として、その200年分……よ、四億。
 もう少し贅沢な暮らしをしていたとしたら、10億ぐらい?
 ニコニコと嬉しそうなバーヌ。
「ごめんなさい、バーヌ。頑張ってお金貯めても、すぐには無理かもしれません……」
 どうしよう。
 どうしたら、たくさんお金が稼げるのでしょう。
「ねぇ、バーヌ、ごめんね、って、なんでバーヌはそんなに嬉しそうな顔してるの?もうっ。また、3回回ってワンって言わせるからね!」
 バーヌが素直にくるくると回り出そうとしたので、ぎゅっと抱き着いて動きを止める。
「あー、やらなくていいっ、うわぁ」
 バーヌが私を抱き上げ、ぎゅっとしたままくるくると3回回りました。
「ワンッ」
 ワンじゃなぁーい!

=====
さて、そうなんです。
バーヌは解放したくてもお金が足りないんです。
すんごく高いんです。
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