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もしルゥイが殿下の子で、結婚まで考えているのなら、一人で産んで育てるなんて考えるわけがない。
「シャリナは、俺の番なんだと思う……。シャリナじゃないとダメなんだ。シャリナがいないと……俺の心は何かが欠けたままで……」
番というのは別の国では有名な話だ。運命の人は恋愛対象となるだけなのに、番というのは恋愛対象とならなくても言葉を交わすだけで幸福感に満たされ心が満ち足りるのだとか。
わけが分からない。
ルゥイが殿下と私の子ならば、プロポーズを断る理由が分からない。逃げ隠れる意味も分からない。
「そばにいるのですら嫌だというなら……」
そんなことない。
王都を離れる時、殿下とはもう二度と会えないのかと思った時、心が引き裂かれるような気持ちになった。
寂しくて悲しくて。
一緒にいたくないなんてそんなことないけど。けど……。
離れる理由が分からない。もしかして、ルゥイは別の人の子?偶然リンクル王子に似ているだけ?私には恋人ができて、ルゥイを身ごもった。殿下からプロポーズされて逃げるようにして王都を去った?
分からない。
殿下が差し出した青い宝石の指輪は、フリージアがデザインされている。
そう、私が10個の指輪のデザインから選んだものだ。
立太子の3か月前。あの時、プロポーズすると言っていた相手は私だったんだ……。
あの時の私は……。
いろいろ言い訳して逃げ出すようならお尻を叩いてやるって。殿下を幸せにしてほしいって思った。
思っていたのに……。
「マーッ!」
ルゥイが店から出てきてこちらに向かって掛けてきた。
ステンと転んだ。
「ルゥイ!」
声を上げると、殿下が振り返り、ルゥイを見た。それから私を振り返る。
「シャリナの子?結婚……していたのか?」
ショックを受けた表情を見せたが、倒れたまま起き上がらないでいるルゥイの元まで近寄ると、優しく声をかけながら、ルゥイを助け起こしてくれた。
ルゥイの顔をみた殿下が動きを止めた。
ルゥイも殿下の顔を見て首を傾げた。
殿下が、立っている護衛に尋ねた。
「誰かに似ていると思わないか?」
「はい。殿下にそっくりでございます」
その言葉に、殿下がルゥイを抱き上げる。
「そうだよな……?俺の子だよな?」
殿下が私を見た。
ルゥイと殿下の顔が並ぶと、どう見ても親子にしか見えない。
「シャリナ、あの時の……この子は俺の子だろう?」
あの時って何だろう。
「ご、ごめんなさい……分からないんです」
「分からない?こんなにそっくりなんだ、俺の子だよな?例え他の男と関係があったとしても、この子は俺の子だ」
「他の男と関係って……そんなことは……あったかもわからないですけど」
「シャリナが、俺以外に好きな人がいたって構わないんだ……番とはそういうものだと教えてもらった……」
「違います、殿下以外に好きな人なんていません」
「え?」
「あ、違います、えっと、私、好きな人はいません、あ、いえ、いるかもしれないんですけど、たぶんいません……」
殿下がルゥイを愛おしそうに眺めている。
きっと、大丈夫なんだろう。もしルゥイが殿下の子じゃなくても守ってくれる。殿下の子であればなおさら……。
私は、3年間の記憶がないことを打ち明けた。ちょうど見つけた日記に記憶のヒントがないかと読もうとしていたところだと。
「一緒に見てもいいか?」
少し考えてからうんと頷く。
マーサさんの店の2階。狭い部屋のベッドに二人で並んで腰かける。殿下の膝の上にはルゥイがちょこんと乗っていた。
日記帳を開いて二人で見た。
私は始終真っ赤になる羽目になった。
「シャリナは、俺の番なんだと思う……。シャリナじゃないとダメなんだ。シャリナがいないと……俺の心は何かが欠けたままで……」
番というのは別の国では有名な話だ。運命の人は恋愛対象となるだけなのに、番というのは恋愛対象とならなくても言葉を交わすだけで幸福感に満たされ心が満ち足りるのだとか。
わけが分からない。
ルゥイが殿下と私の子ならば、プロポーズを断る理由が分からない。逃げ隠れる意味も分からない。
「そばにいるのですら嫌だというなら……」
そんなことない。
王都を離れる時、殿下とはもう二度と会えないのかと思った時、心が引き裂かれるような気持ちになった。
寂しくて悲しくて。
一緒にいたくないなんてそんなことないけど。けど……。
離れる理由が分からない。もしかして、ルゥイは別の人の子?偶然リンクル王子に似ているだけ?私には恋人ができて、ルゥイを身ごもった。殿下からプロポーズされて逃げるようにして王都を去った?
分からない。
殿下が差し出した青い宝石の指輪は、フリージアがデザインされている。
そう、私が10個の指輪のデザインから選んだものだ。
立太子の3か月前。あの時、プロポーズすると言っていた相手は私だったんだ……。
あの時の私は……。
いろいろ言い訳して逃げ出すようならお尻を叩いてやるって。殿下を幸せにしてほしいって思った。
思っていたのに……。
「マーッ!」
ルゥイが店から出てきてこちらに向かって掛けてきた。
ステンと転んだ。
「ルゥイ!」
声を上げると、殿下が振り返り、ルゥイを見た。それから私を振り返る。
「シャリナの子?結婚……していたのか?」
ショックを受けた表情を見せたが、倒れたまま起き上がらないでいるルゥイの元まで近寄ると、優しく声をかけながら、ルゥイを助け起こしてくれた。
ルゥイの顔をみた殿下が動きを止めた。
ルゥイも殿下の顔を見て首を傾げた。
殿下が、立っている護衛に尋ねた。
「誰かに似ていると思わないか?」
「はい。殿下にそっくりでございます」
その言葉に、殿下がルゥイを抱き上げる。
「そうだよな……?俺の子だよな?」
殿下が私を見た。
ルゥイと殿下の顔が並ぶと、どう見ても親子にしか見えない。
「シャリナ、あの時の……この子は俺の子だろう?」
あの時って何だろう。
「ご、ごめんなさい……分からないんです」
「分からない?こんなにそっくりなんだ、俺の子だよな?例え他の男と関係があったとしても、この子は俺の子だ」
「他の男と関係って……そんなことは……あったかもわからないですけど」
「シャリナが、俺以外に好きな人がいたって構わないんだ……番とはそういうものだと教えてもらった……」
「違います、殿下以外に好きな人なんていません」
「え?」
「あ、違います、えっと、私、好きな人はいません、あ、いえ、いるかもしれないんですけど、たぶんいません……」
殿下がルゥイを愛おしそうに眺めている。
きっと、大丈夫なんだろう。もしルゥイが殿下の子じゃなくても守ってくれる。殿下の子であればなおさら……。
私は、3年間の記憶がないことを打ち明けた。ちょうど見つけた日記に記憶のヒントがないかと読もうとしていたところだと。
「一緒に見てもいいか?」
少し考えてからうんと頷く。
マーサさんの店の2階。狭い部屋のベッドに二人で並んで腰かける。殿下の膝の上にはルゥイがちょこんと乗っていた。
日記帳を開いて二人で見た。
私は始終真っ赤になる羽目になった。
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