姉から始まる魔法少女

大崎 狂花

文字の大きさ
3 / 27

第二話 瑠璃の仕事風景①

しおりを挟む
瑠璃が事務所の自動ドアを潜り抜けると、何やら事務所内がざわついていた。事務所内にいるセカンドたちが、皆ある場所へやや心配そうな視線を向けていた。

「?何だろう?」

瑠璃が不思議に思ってみんなが視線を向けている方へ視線をやると、金髪碧眼、中学生くらいの男女が何やらDVDのようなもの取り合っていた。

「これは俺のだ!」

「・・・・・・違う、私の」

瑠璃はその2人の男女のもとへ行くと、若干呆れを滲ませながら声をかけた。

「何やってんだ?お前ら」

「おー瑠璃。久しぶりだな」

「・・・・・・瑠璃、久しぶり」

2人の男女は瑠璃に顔を向けて、親しげに声をかけた。

この2人の男女は、白河勇気に白河佳織。同じ金髪碧眼に、同じような顔つきからも分かる通り、この2人は双子の兄妹なのである。そして、瑠璃と同じセカンドであるのだ。ちなみに、2人はこの瑠璃が実は男であることを知っている。その事実を知っている数少ない人たちだ。

まあ、同じセカンドと言ってももちろん2人は魔法少女ではない。というか魔力も持ってない。むしろ、魔力などというものを持ってるのは瑠璃ぐらいなものだ。

他の人たちは妖力だったり、何か特殊な異能力だったり、普通に肉体がめちゃくちゃ強かったりと、それぞれ様々な力、様々な世界観で魔界から襲来した魔物たちに対抗してるのである。

まあ人々がそんな多種多様な超常的力を持ちうるに至ったのは、地球があるこの世界に魔界が衝突したことで、この世界の法則が少々狂ってしまったことに原因があるのだが、その話は今はいいだろう。

とりあえず、今はこの2人が何をしているか聞こう。

「・・・・・・お前ら、何してんの?」

「ああ、実は、佳織の奴が俺のAVを自分のだと言い張って聞かなくてな・・・・・・」

「・・・・・・は?」

「・・・・・・違う。逆。私のAVをお兄ちゃんが自分のだと言い張って聞かないの」

「何だと!?」

「・・・・・・事実」

「いや・・・・・・お前ら一体何の喧嘩をしてんだよ・・・・・・」

勇気は瑠璃に向かって叫ぶ。

「瑠璃!お前も知ってるだろう!俺の趣味はAV蒐集!東にレアもののAVあると聞けば飛んで行き、西にニッチなAVありと聞けば、命を賭してでもそこへ行く!」

「・・・・・・そして、それは私も同じ。私と勇気は兄妹だけど、AV蒐集家としてはライバル関係にある」

「「だからこそこれを絶対に佳織(勇気)に譲るわけにはいかないんだ!!」

「そんなとこで声を揃えるな!!」

瑠璃はツッコみ、AVを引っ張り合う2人を見て、ちょっとどうしたらいいかわからなくなっていた。どう止めればいいんだこの状況を。

「離せ佳織!このレアものAV、『スライム娘をこねるだけ』を手に入れるのは俺だあ!!」

「いやニッチすぎるだろ。何それ?どういう性癖?」

「・・・・・・このVo.18はスラこねシリーズ初、『こねたスライム娘を薄く伸ばして切って蕎麦にする』というプレイに挑戦したもの。私だってそんなレアものを譲るわけにはいかない」

「だからニッチすぎるって。ほんとに何それ?」

しばらく2人はそのAV(?)を引っ張り合っていたが、やがて結局2人で共用で見ることに決まった。最初からそうしろ。

勇気はふー、と額を拭うジェスチャーをして言った。

「よし。これで一件落着だな」

「お前がいうなお前が。ていうかお前ら、こういう喧嘩は家でやれよ家で。何でこんな公共の場でAVの取り合いなんかしてんだ」

「というか瑠璃、お前がその格好でここに来たということは、仕事か?」

「ああ。最近妹と遊ぶのに忙しかったが、我が愛しの妹がようやく満足してくれたみたい何で、久しぶりに仕事しに来てみたんだ」

「相変わらず、お前は妹大好きだな。むしろお前が妹みたいな見た目してるくせにな」

「妹みたいな見た目とはなんだ!!お前らは俺の中身について知ってるだろうが!!」

背が足りないので、飛び跳ねて怒ることで威厳を示そうとする瑠璃を見て、勇気は笑っていたがやがて真面目な顔で言った。

「お前、やっぱり今日受けに来た仕事も、無傷で終わらすつもりか」

「ああ。もし、人が見ているところで戦わなくちゃならないとしたら、俺は傷つくつもりはない。いつも通り無傷で、血を見せることなく終わらせてみせる」

人が見ているところでは血を見せない。これは瑠璃の信条である。

瑠璃は、もともと血を見るのが苦手だ。血を見ると、文字通り血の気が引くし、気分が悪くなってしまう。だから、他の人にも血を見せたりしたくないのだ。特に、子供には血なんてものを見せたくない。妹を持つ身としては、特にそう思う。

だから瑠璃は誰にも傷つけられないようにに、誰にも自分に血を流させることなど出来ないように、速く、超速で動けるようになったのだ。全ての攻撃を躱せるようにである。

また、戦ってる相手の血を見せることもないように、氷魔法と水魔法を習得した。瑠璃は水と氷の魔法少女なのだ。

ちなみに、瑠璃は氷で剣を作って戦うが、どこぞのアズールみたいにドMなわけではない。勘違いしないように。

さて、瑠璃がキリッと、ややカッコつけて俺は無傷でやる宣言をすると、勇気と佳織は顔を綻ばせて瑠璃の頭を撫で始めた。

「そっかそっか、えらいなー瑠璃・・・・・・いや、ラピスちゃんは」

「・・・・・・ん、えらいえらい」

「やめろなでるな!!」

この光景を、周りの冒険者たちも見ていたが、内容を知らない冒険者たちは中学生の男女が妹(?)を撫でくりまわして褒めてる、可愛くて癒される光景として微笑ましく眺めたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

悪役令嬢と入れ替えられた村娘の崖っぷち領地再生記

逢神天景
ファンタジー
とある村の平凡な娘に転生した主人公。 「あれ、これって『ダンシング・プリンス』の世界じゃない」 ある意味好きだった乙女ゲームの世界に転生していたと悟るが、特に重要人物でも無かったため平凡にのんびりと過ごしていた。 しかしそんなある日、とある小娘チート魔法使いのせいで日常が一変する。なんと全てのルートで破滅し、死亡する運命にある中ボス悪役令嬢と魂を入れ替えられてしまった! そして小娘チート魔法使いから手渡されたのはでかでかと真っ赤な字で、八桁の数字が並んでいるこの領地収支報告書……! 「さあ、一緒にこの崖っぷちの領地をどうにかしましょう!」 「ふざっけんなぁあああああああ!!!!」 これは豊富とはいえない金融知識と、とんでもチートな能力を活かし、ゲーム本編を成立させれる程度には領地を再生させる、ドSで百合な少女の物語である!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...