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第四話 瑠璃の仕事風景③
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「何を頼む?私はもう決まったぞ」
「んー・・・・・・」
鏡花はショッピングモールの中にあるレストランのメニューから顔を上げて、瑠璃に聞いた。瑠璃はまだメニューを睨みつけて悩んでいた。
「むむむむ・・・・・・」
「どうした、瑠璃。食べたい物がなかったのか?」
「ああ、いやそうじゃないんだ。このオムライスが食べたいんだけど・・・・・・」
瑠璃はメニューに載っている写真を見せた。卵がふわとろしていて、デミグラスソースがかかっている見るからに美味しそうなヤツだ。
「美味しそうじゃないか。食べたいというのなら、これを頼めばいい」
「いやそうなんだけど、これってどう見ても大人向けのやつじゃん。これ、今の俺に食べ切れるかなと思ってさ」
「あー・・・・・・瑠璃、前にその状態で野菜炒め定食大盛り食べた時、気持ち悪くなってしまっていたな」
「うーん、だから食べ切れるかなって思ってさ」
「なるほどね・・・・・・なら、お腹いっぱいになったら私にくれればいい」
「いいのか?」
「大丈夫だ、私は姉だからいっぱい食べられるんだよ」
「そうだな、姉さんは姉だから大盛りご飯10杯でも食べられるもんな」
「ははははは、手厳しいねえ」
「まあでも、そこまで言うならこれ頼もうかな」
「うむ、頼め頼め。私はハンバーグセットを頼むよ」
「またハンバーグ?好きだなハンバーグ。姉さん前もハンバーグ頼んでたじゃないか」
「ああ。もう全部ハンバーグでいいと思ってるからな私は。全てはハンバーグに収束されていくんだよ。ハンバーグという世界線にね」
「何言ってんだよ・・・・・・」
「中にチーズが入ってたら天国にも行ける」
「本格的に何言ってんだ?」
注文をして、しばらく待つ。しばらく待つ間に、鏡花はすきま時間を利用して思い浮かんだ小説のアイデアをメモ帳に書き込み、瑠璃はテーブルに手を置いて、周りをキョロキョロ見ながら床まで届かない椅子をパタパタさせていた。
「お待たせしましたー」
やがてハンバーグセットとオムライスが来た。やってきたオムライスを見て、瑠璃は目を輝かせる。
「おー・・・・・・」
「美味しそうだな。よかったじゃないか」
メニューの写真に違わぬ、とろとろ卵のすごく美味しそうなオムライスだ。
「めちゃくちゃ美味しそう・・・・・・これなら全部食える!」
瑠璃は目を輝かせながら豪語した。
「まあ、無理して食べようするなよ。お腹いっぱいになったら私にくれるんだよ」
「わかってるわかってる!」
瑠璃が早速オムライスを食べようとすると、鏡花がそれを制止した。
「ちょっと待て、瑠璃」
「何?冷めちゃうから、早く食べたいんだけど」
鏡花はそばにあるカトラリーから無言でスプーンをと取り出すと、唐突にオムライスに突き刺した。
「おい?」
瑠璃が目を丸くして、何をする気だろうと見ていると、鏡花はそのオムライスを一口大に分けてスプーンの上に乗せて瑠璃の前に差し出した。
「あーんだ。あーん」
「・・・・・・は?」
「だからあーんだよ。食べさせてあげよう」
「いやいいって・・・・・・普通に自分で食べられるから」
「まあまあ。たまには私だって妹と触れ合いたいんだよ」
いつもだったら断るところだ。
しかし、ショッピングモール歩いている時、レストランに入ってから、珍しく笑顔が多かったことに気がついた。
姉の珍しい笑顔を思い浮かべ、そういえば俺は鏡花とこういうふうにして2人だけで出かけたりとか、食事したりとか、そう言ったことをあまりしたことがなかったな・・・・・・とふと思った。
なら、普段なら絶対やらないけど、たまにはこういうことをやってもいいのかな・・・・・・・と瑠璃は思って、
「・・・・・・・仕方ないな」
そう言って、小さな口をあーと開け、
「あーん・・・・・・」
と照れくさそうに言った。
鏡花はにこにこしながら
「うむ、あーんだ。瑠璃よ」
あーんした。
「どうだ、うまいか」
「・・・・・・うん、うまいよ」
さてこの姉弟TS姉妹の公然あーんプレイは当然レストランの他のお客さんに見られており、
「わー!見てあれ、かわいくない!?」
「え、何なに?・・・・・・わ、ほんとだ!かわいいー!姉妹とかなのかな!?仲良くてかわいいね!」
「あっ!妹ちゃんの方照れてる!かわいい!!」
とか言われてたらしい。実際、照れてる瑠璃はかわいかった。男子高校生のかけらも無かった。
瑠璃はそういうふうにしてお腹いっぱいになるまでオムライスを食べた。案の定途中でお腹いっぱいになったので、残りは鏡花がハンバーグセットとともに平らげた。
そして、レジにて支払いをしたのだが、その際に瑠璃はサービスとしておもちゃをもらった。それはのちに、瑠璃の手によって緑きょうだいの一番末の妹に渡されることになったのだそうである。
◇
「さーて、ご飯も済んだことだし、いよいよ本格的に寄生型魔物を探さないといけないな・・・・・・」
「そうだな、瑠璃、機器に反応はないのか?」
「んー、今のところは・・・・・・」
今のところは、機器に反応はないようだ。
瑠璃が腕につけた時計型の魔物発見機をぐぐぐ、と睨みつけるように見ていると、突然ピカピカと赤い光が点滅し出した。
「んっ!?これは・・・・・・!」
「・・・・・・居るのか?」
「・・・・・・ああ、どうやら近くに居るみたいだな」
瑠璃はさっきまでとは打って変わって鋭い目つきで辺りを見渡した。
「『魔力感知』」
瑠璃は魔力感知を使う。これは指定した範囲内の魔力ある存在がわかるという魔法・・・・・というか、魔法少女の基本技能である。瑠璃以外に魔力を持っている存在なんて、基本的に瑠璃の他には魔物ぐらいしかいないので、これでほぼ間違いのなく魔物の存在がわかる。
「・・・・・・いた」
魔力の反応のある奴らがいた。外見上はごく普通に見える男2人である。この2人が魔力感知に反応した。
瑠璃は耳に魔力を集めて、一時的に聴力を上げた。すると2人の会話が聞こえてくる。
「・・・・・・うまく馴染めてるな」
「ああ、誰も我らの正体には気づけまい」
「これだけ人間がいれば、1人や2人消えても気づけまいよ。同じ人のフリして近づいて、ゆっくり食べよう」
・・・・・・瑠璃は2人のそんな会話を聞いた。
「ビンゴだ。あいつら、間違いなく寄生型モンスターだ」
瑠璃は魔力感知を狭めてその2人の体を巡る魔力を調べてみる。魔力は身体全体に血液のように巡っているようだが、その中心となって魔力を身体全体に流しているような何かがその2人の口の中、口蓋垂を超えた喉の奥のあたりに張りついていた。それが寄生型魔物に違いない。
鏡花は瑠璃に聞いた。
「どうだ?やれそうか?」
「んー・・・・・・」
瑠璃は答えずに悩ましげな顔をする。しかし、その男2人のうちの1人が自販機で買ったであろう水を飲んでいるのを見て、ぱっと顔を綻ばせた。
「・・・・・・うん、あれならいけそう!」
・・・・・・・
「しかし人間というのは不便なものだな。こんなふうに水分を一日のうちに何回も摂らねば生きていけないとは」
「まあ仕方あるまい。奴隷の世話をするのも主たるものの勤めというものよ」
「まあな」
と、魔物がさらに水を飲もうとペットボトルを口のところへ持っていった瞬間────
「『氷針』」
瑠璃がそう呟くと同時に、ペットボトルから口の中へと入った水が、小さな氷の針へと変わって、喉の奥にいた寄生型魔物を刺した。寄生された者を傷つけることなく、魔物の魔力が集まるところ、コアのみを刺し貫くという、器用な倒し方だった。
「魔物のみを殺した。被害者は少しも傷つけてはいない」
瑠璃のその言葉とともに、男のうちの1人がどうと倒れる。
「お、おいどうした!?」
もう1人の方は何が起きたかわかっていないらしい。その1人が倒れた男の方へ近寄り、声をかけようと口を開いた瞬間、倒れた男の口から小さな氷の針が飛び出し、もう1人の男の喉奥にある魔物を突き刺した。魔物のコアのみを突き刺したのである。
もう1人の男も倒れた。氷針は男の口から飛び出して、元の水へと戻った。
「なんだ!?何が起こった!?」
「急に人が倒れたぞ!!」
事情を全く知らない周りの人たちはザワザワと騒ぎ出した。倒れた2人に人々が注目している隙に、瑠璃は魔法少女ラピスへと変身する。身バレ防止のため、鏡花はスッと瑠璃から離れて他人のフリをすることにした。
「みなさんごめんなさい!お騒がせしてすいません!」
瑠璃が大声を張り上げて叫ぶと、騒いでいた人々が振り返る。
「なんだなんだ?なんなんだよ、一体誰がこんなこと・・・・・・ん?あれ!?ひょっとして魔法少女ラピスちゃんですか!?」
「は、はい、そうです。魔法少女ラピスです。あのー・・・・・・できれば、事情を聞いていただけると助かります」
「もちろん聞きますとも!大ファンなんです!!」
「俺も俺も!事情ぐらいいくらでも聞きます!!」
「私も!!」
今まで倒れていた2人に注目していた人々が集まって瑠璃の周りに人垣を作る。大丈夫かよこの国・・・・・・と瑠璃は思った。ちなみに瑠璃に注目が集まっている隙に、寄生被害者の2人は鏡花が回収した。マジックと同じ手口。
瑠璃は事情を話した。
「・・・・・・なるほど、寄生型魔物ですか・・・・・・恐ろしいことだ。ラピスちゃんが倒してくれて良かったですよ」
「しかも被害をほとんど出すことなく・・・・・・すごいですよ!!さすがはラピスちゃんです!!」
「いや、たまたまですよ・・・・・・たまたま運が良かったから被害無しで倒せただけです」
「謙虚でえらいなあラピスちゃんは!!(クソデカ大声)」
「いや謙虚とかじゃなくてほんとのことなんですけど・・・・・・」
と、瑠璃が周りの人たちとそんなふうにやり取りをしていると、優しげなお姉さんが話しかけてきた。
「あの・・・・・・」
「?なんですか?」
「あ、頭撫でてもいいですか!?」
「はい?」
「あっすいません!!YESロリータNOタッチですよね!!すいません!!」
「何を言っているんですか?」
まあとにかく、これで仕事は達成した。
「まー、今日は運が良くて助かったよ」
「・・・・・・いや、私は瑠璃が頑張ったからだと思うぞ。運だけではなくてな」
「えーそうかなあ?」
「瑠璃」
「なに?」
「今度は依頼とか関係なしで一緒に出かけよう」
「・・・・・・うん」
依頼は大成功に終わって、姉弟の絆も深めることが出来たのだった。
「んー・・・・・・」
鏡花はショッピングモールの中にあるレストランのメニューから顔を上げて、瑠璃に聞いた。瑠璃はまだメニューを睨みつけて悩んでいた。
「むむむむ・・・・・・」
「どうした、瑠璃。食べたい物がなかったのか?」
「ああ、いやそうじゃないんだ。このオムライスが食べたいんだけど・・・・・・」
瑠璃はメニューに載っている写真を見せた。卵がふわとろしていて、デミグラスソースがかかっている見るからに美味しそうなヤツだ。
「美味しそうじゃないか。食べたいというのなら、これを頼めばいい」
「いやそうなんだけど、これってどう見ても大人向けのやつじゃん。これ、今の俺に食べ切れるかなと思ってさ」
「あー・・・・・・瑠璃、前にその状態で野菜炒め定食大盛り食べた時、気持ち悪くなってしまっていたな」
「うーん、だから食べ切れるかなって思ってさ」
「なるほどね・・・・・・なら、お腹いっぱいになったら私にくれればいい」
「いいのか?」
「大丈夫だ、私は姉だからいっぱい食べられるんだよ」
「そうだな、姉さんは姉だから大盛りご飯10杯でも食べられるもんな」
「ははははは、手厳しいねえ」
「まあでも、そこまで言うならこれ頼もうかな」
「うむ、頼め頼め。私はハンバーグセットを頼むよ」
「またハンバーグ?好きだなハンバーグ。姉さん前もハンバーグ頼んでたじゃないか」
「ああ。もう全部ハンバーグでいいと思ってるからな私は。全てはハンバーグに収束されていくんだよ。ハンバーグという世界線にね」
「何言ってんだよ・・・・・・」
「中にチーズが入ってたら天国にも行ける」
「本格的に何言ってんだ?」
注文をして、しばらく待つ。しばらく待つ間に、鏡花はすきま時間を利用して思い浮かんだ小説のアイデアをメモ帳に書き込み、瑠璃はテーブルに手を置いて、周りをキョロキョロ見ながら床まで届かない椅子をパタパタさせていた。
「お待たせしましたー」
やがてハンバーグセットとオムライスが来た。やってきたオムライスを見て、瑠璃は目を輝かせる。
「おー・・・・・・」
「美味しそうだな。よかったじゃないか」
メニューの写真に違わぬ、とろとろ卵のすごく美味しそうなオムライスだ。
「めちゃくちゃ美味しそう・・・・・・これなら全部食える!」
瑠璃は目を輝かせながら豪語した。
「まあ、無理して食べようするなよ。お腹いっぱいになったら私にくれるんだよ」
「わかってるわかってる!」
瑠璃が早速オムライスを食べようとすると、鏡花がそれを制止した。
「ちょっと待て、瑠璃」
「何?冷めちゃうから、早く食べたいんだけど」
鏡花はそばにあるカトラリーから無言でスプーンをと取り出すと、唐突にオムライスに突き刺した。
「おい?」
瑠璃が目を丸くして、何をする気だろうと見ていると、鏡花はそのオムライスを一口大に分けてスプーンの上に乗せて瑠璃の前に差し出した。
「あーんだ。あーん」
「・・・・・・は?」
「だからあーんだよ。食べさせてあげよう」
「いやいいって・・・・・・普通に自分で食べられるから」
「まあまあ。たまには私だって妹と触れ合いたいんだよ」
いつもだったら断るところだ。
しかし、ショッピングモール歩いている時、レストランに入ってから、珍しく笑顔が多かったことに気がついた。
姉の珍しい笑顔を思い浮かべ、そういえば俺は鏡花とこういうふうにして2人だけで出かけたりとか、食事したりとか、そう言ったことをあまりしたことがなかったな・・・・・・とふと思った。
なら、普段なら絶対やらないけど、たまにはこういうことをやってもいいのかな・・・・・・・と瑠璃は思って、
「・・・・・・・仕方ないな」
そう言って、小さな口をあーと開け、
「あーん・・・・・・」
と照れくさそうに言った。
鏡花はにこにこしながら
「うむ、あーんだ。瑠璃よ」
あーんした。
「どうだ、うまいか」
「・・・・・・うん、うまいよ」
さてこの姉弟TS姉妹の公然あーんプレイは当然レストランの他のお客さんに見られており、
「わー!見てあれ、かわいくない!?」
「え、何なに?・・・・・・わ、ほんとだ!かわいいー!姉妹とかなのかな!?仲良くてかわいいね!」
「あっ!妹ちゃんの方照れてる!かわいい!!」
とか言われてたらしい。実際、照れてる瑠璃はかわいかった。男子高校生のかけらも無かった。
瑠璃はそういうふうにしてお腹いっぱいになるまでオムライスを食べた。案の定途中でお腹いっぱいになったので、残りは鏡花がハンバーグセットとともに平らげた。
そして、レジにて支払いをしたのだが、その際に瑠璃はサービスとしておもちゃをもらった。それはのちに、瑠璃の手によって緑きょうだいの一番末の妹に渡されることになったのだそうである。
◇
「さーて、ご飯も済んだことだし、いよいよ本格的に寄生型魔物を探さないといけないな・・・・・・」
「そうだな、瑠璃、機器に反応はないのか?」
「んー、今のところは・・・・・・」
今のところは、機器に反応はないようだ。
瑠璃が腕につけた時計型の魔物発見機をぐぐぐ、と睨みつけるように見ていると、突然ピカピカと赤い光が点滅し出した。
「んっ!?これは・・・・・・!」
「・・・・・・居るのか?」
「・・・・・・ああ、どうやら近くに居るみたいだな」
瑠璃はさっきまでとは打って変わって鋭い目つきで辺りを見渡した。
「『魔力感知』」
瑠璃は魔力感知を使う。これは指定した範囲内の魔力ある存在がわかるという魔法・・・・・というか、魔法少女の基本技能である。瑠璃以外に魔力を持っている存在なんて、基本的に瑠璃の他には魔物ぐらいしかいないので、これでほぼ間違いのなく魔物の存在がわかる。
「・・・・・・いた」
魔力の反応のある奴らがいた。外見上はごく普通に見える男2人である。この2人が魔力感知に反応した。
瑠璃は耳に魔力を集めて、一時的に聴力を上げた。すると2人の会話が聞こえてくる。
「・・・・・・うまく馴染めてるな」
「ああ、誰も我らの正体には気づけまい」
「これだけ人間がいれば、1人や2人消えても気づけまいよ。同じ人のフリして近づいて、ゆっくり食べよう」
・・・・・・瑠璃は2人のそんな会話を聞いた。
「ビンゴだ。あいつら、間違いなく寄生型モンスターだ」
瑠璃は魔力感知を狭めてその2人の体を巡る魔力を調べてみる。魔力は身体全体に血液のように巡っているようだが、その中心となって魔力を身体全体に流しているような何かがその2人の口の中、口蓋垂を超えた喉の奥のあたりに張りついていた。それが寄生型魔物に違いない。
鏡花は瑠璃に聞いた。
「どうだ?やれそうか?」
「んー・・・・・・」
瑠璃は答えずに悩ましげな顔をする。しかし、その男2人のうちの1人が自販機で買ったであろう水を飲んでいるのを見て、ぱっと顔を綻ばせた。
「・・・・・・うん、あれならいけそう!」
・・・・・・・
「しかし人間というのは不便なものだな。こんなふうに水分を一日のうちに何回も摂らねば生きていけないとは」
「まあ仕方あるまい。奴隷の世話をするのも主たるものの勤めというものよ」
「まあな」
と、魔物がさらに水を飲もうとペットボトルを口のところへ持っていった瞬間────
「『氷針』」
瑠璃がそう呟くと同時に、ペットボトルから口の中へと入った水が、小さな氷の針へと変わって、喉の奥にいた寄生型魔物を刺した。寄生された者を傷つけることなく、魔物の魔力が集まるところ、コアのみを刺し貫くという、器用な倒し方だった。
「魔物のみを殺した。被害者は少しも傷つけてはいない」
瑠璃のその言葉とともに、男のうちの1人がどうと倒れる。
「お、おいどうした!?」
もう1人の方は何が起きたかわかっていないらしい。その1人が倒れた男の方へ近寄り、声をかけようと口を開いた瞬間、倒れた男の口から小さな氷の針が飛び出し、もう1人の男の喉奥にある魔物を突き刺した。魔物のコアのみを突き刺したのである。
もう1人の男も倒れた。氷針は男の口から飛び出して、元の水へと戻った。
「なんだ!?何が起こった!?」
「急に人が倒れたぞ!!」
事情を全く知らない周りの人たちはザワザワと騒ぎ出した。倒れた2人に人々が注目している隙に、瑠璃は魔法少女ラピスへと変身する。身バレ防止のため、鏡花はスッと瑠璃から離れて他人のフリをすることにした。
「みなさんごめんなさい!お騒がせしてすいません!」
瑠璃が大声を張り上げて叫ぶと、騒いでいた人々が振り返る。
「なんだなんだ?なんなんだよ、一体誰がこんなこと・・・・・・ん?あれ!?ひょっとして魔法少女ラピスちゃんですか!?」
「は、はい、そうです。魔法少女ラピスです。あのー・・・・・・できれば、事情を聞いていただけると助かります」
「もちろん聞きますとも!大ファンなんです!!」
「俺も俺も!事情ぐらいいくらでも聞きます!!」
「私も!!」
今まで倒れていた2人に注目していた人々が集まって瑠璃の周りに人垣を作る。大丈夫かよこの国・・・・・・と瑠璃は思った。ちなみに瑠璃に注目が集まっている隙に、寄生被害者の2人は鏡花が回収した。マジックと同じ手口。
瑠璃は事情を話した。
「・・・・・・なるほど、寄生型魔物ですか・・・・・・恐ろしいことだ。ラピスちゃんが倒してくれて良かったですよ」
「しかも被害をほとんど出すことなく・・・・・・すごいですよ!!さすがはラピスちゃんです!!」
「いや、たまたまですよ・・・・・・たまたま運が良かったから被害無しで倒せただけです」
「謙虚でえらいなあラピスちゃんは!!(クソデカ大声)」
「いや謙虚とかじゃなくてほんとのことなんですけど・・・・・・」
と、瑠璃が周りの人たちとそんなふうにやり取りをしていると、優しげなお姉さんが話しかけてきた。
「あの・・・・・・」
「?なんですか?」
「あ、頭撫でてもいいですか!?」
「はい?」
「あっすいません!!YESロリータNOタッチですよね!!すいません!!」
「何を言っているんですか?」
まあとにかく、これで仕事は達成した。
「まー、今日は運が良くて助かったよ」
「・・・・・・いや、私は瑠璃が頑張ったからだと思うぞ。運だけではなくてな」
「えーそうかなあ?」
「瑠璃」
「なに?」
「今度は依頼とか関係なしで一緒に出かけよう」
「・・・・・・うん」
依頼は大成功に終わって、姉弟の絆も深めることが出来たのだった。
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