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3 僕と藤代は相性が最悪 穂高side
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花壇に水やりを終えたあと、いきなり藤代に生徒会に立候補しようと言われた。
戸惑いがはなはだしいが。まぁとりあえず、正直に答えた。
「興味、ない」
そもそも、僕が園芸部にいるのは、部活にあまり時間を取られたくないからだ。
将来の夢である医者になるために勉強をがんばっている。でも油断なく取り組まないとすぐに成績が落ちてしまうから、他のことに時間を割かれたくない。
本当は帰宅部希望だけど、うちの学校は、一度はどこかしらの部活に所属しなければならないルールがある。
で、僕は一度入部しちゃうと、なんとなく退部できなくなっちゃうんだよな。いかにも『仕方なく入りました』という感じに見られたくない、みたいな?
実際は仕方なく入ったのだから、表面を取り繕った無駄なプライドなんだけど。少しでも良い人間だと思われたいと思うのは、人間だもの、仕方がないよね。
あと、須藤先輩に頼まれたりもしたし。承諾したことをすぐに投げ出すのは、無責任。そう思う、ちょっと難儀な気質というか。自分でもそういうところ、融通効かないなって思うけど。
まぁそれに、部活を最後まで全うすると内申書に良い影響があると聞くしな。メリットあるから無駄じゃない。うむ。
というわけで、僕には生徒会をやる余裕も時間もないんだ。
それに、藤代がどういうつもりで僕を生徒会に誘ったのか、よくわからない。マジで、なんで?
あと、藤代と一緒に生徒会に入るの、普通に嫌。
彼は僕の暗黒部分をえぐるのだ。そばにいたくない。
藤代がそばにいなければ、普通の人でいられる。普通の人でいさせてぇ。
「え? いや、そんなに簡単に断らないでよ。もう少し、考えて。俺が声をかけたのは、穂高だけなんだよ」
それは『俺が特別に選んだんだから、光栄だろう』みたいな意味?
いや、それはうがち過ぎだろうか。妬みからの嫉み…。
あぁ、しかし。藤代が相手だと、やっぱりそういう卑屈な考えがあふれ出てきちゃうんだ。だからそばにいたくないのにぃ。
「じゃあさ、穂高が生徒会副会長に立候補してくれたら、俺、園芸部にも入る。そうしたら園芸部も存続できるかもしれないよ?」
良い案を思いついたという顔で、藤代は言うけど。
僕は首を横に振った。
「藤代が園芸部に入ったら、たぶん部員の心配はなくなるだろう。でも、藤代目当ての人ばかりで、本当に土いじりしたい人は来ないでしょ。そんな人が何人いても、邪魔なだけじゃない?」
いやいや、本来園芸部に、部員を選ぶような余裕などない。誰でもウェルカムである。
そして僕も、別に好きで土いじりしたい人ではない。ないがぁ。
だけど、藤代と対峙すると、どうしても反発してしまう。
どうしても、嫌な言い方になってしまう。
そういう自分に出会うたびに、自分の器の小ささや嫌な部分を思い知らされ失望してしまう。
どうして、普通に話ができないんだ? どうして、イライラしちゃうんだ?
これ以上、藤代の前に立っていたら、どんどん自分が嫌なやつになる。そう思って、僕は藤代の横をすり抜けて、ジョウロを用具入れに片付けに行こうと思った。
自分の目線が、彼の胸の辺りだった。でかいな。いや、僕が小さいのだ。
そんな身長差すら、腹立たしさが増幅する。
やはり、僕と藤代は相性が最悪だな。
「待って、穂高」
強く肩を掴まれ、乱暴に向かい合わせられた。
自分の薄い肩口を、彼の大きな手が楽に覆いこむ。
握る力は強くて、行く手を妨げられる。
こういうのが男らしいと言うのだなと思い、やはり自分にはない要素に嫉妬してしまうのだった。
「俺は、穂高と一緒に生徒会やりたい。なぁ、承諾してくれるよな?」
藤代はやけに真剣みを帯びている。眉を寄せ、眼光するどく僕を見た。
友達と一緒のときによく見る、笑顔を張りつけた彼の顔よりも、今の方が人間味がある。それだけ、一生懸命勧誘しているのだろうけど。
どれだけ彼が真剣でも、真摯にお願いしても、僕の答えはひとつだ。
「断る。手を離してくれ」
そっと肩をゆすると、案外簡単に、藤代の手は離れた。
目を丸くして、びっくり、というか呆然としている。
なんとなく、ショックを受けているみたいな顔? 断られるとは思わなかった、みたいな?
どんだけ、自信満々か。
そんな藤代から、僕は視線を外して小走りでその場を去った。
彼から離れて、用具室にジョウロを片付けていると、遅ればせながら心臓がどくどくと高鳴り、なんだか息苦しくなった。理由はよくわからないが、藤代に『承諾してくれるよな?』って断定されたとき、無意識にうなずきそうになって、焦ったからかもしれない。
自分にはそんな気はまったくなかったのに、流れとか空気とかで? そうしなければいけないような気に、少しなったのだ。
ちゃんと断れて良かったって、今は思う。
変に空気を読まないで、良かった。
マジで、生徒会なんかやっている暇はないんだからな。
それに。藤代が美形なことは、僕も認めている。そんな彼に、あんな間近に近寄られ、迫られたら、きっと誰でもその迫力に呑まれちゃうよ。ドキドキしたのはそのせいだ。
自分の気持ちを自分で分析して、解釈し。そのあと、納得した僕は普通に帰宅した。
戸惑いがはなはだしいが。まぁとりあえず、正直に答えた。
「興味、ない」
そもそも、僕が園芸部にいるのは、部活にあまり時間を取られたくないからだ。
将来の夢である医者になるために勉強をがんばっている。でも油断なく取り組まないとすぐに成績が落ちてしまうから、他のことに時間を割かれたくない。
本当は帰宅部希望だけど、うちの学校は、一度はどこかしらの部活に所属しなければならないルールがある。
で、僕は一度入部しちゃうと、なんとなく退部できなくなっちゃうんだよな。いかにも『仕方なく入りました』という感じに見られたくない、みたいな?
実際は仕方なく入ったのだから、表面を取り繕った無駄なプライドなんだけど。少しでも良い人間だと思われたいと思うのは、人間だもの、仕方がないよね。
あと、須藤先輩に頼まれたりもしたし。承諾したことをすぐに投げ出すのは、無責任。そう思う、ちょっと難儀な気質というか。自分でもそういうところ、融通効かないなって思うけど。
まぁそれに、部活を最後まで全うすると内申書に良い影響があると聞くしな。メリットあるから無駄じゃない。うむ。
というわけで、僕には生徒会をやる余裕も時間もないんだ。
それに、藤代がどういうつもりで僕を生徒会に誘ったのか、よくわからない。マジで、なんで?
あと、藤代と一緒に生徒会に入るの、普通に嫌。
彼は僕の暗黒部分をえぐるのだ。そばにいたくない。
藤代がそばにいなければ、普通の人でいられる。普通の人でいさせてぇ。
「え? いや、そんなに簡単に断らないでよ。もう少し、考えて。俺が声をかけたのは、穂高だけなんだよ」
それは『俺が特別に選んだんだから、光栄だろう』みたいな意味?
いや、それはうがち過ぎだろうか。妬みからの嫉み…。
あぁ、しかし。藤代が相手だと、やっぱりそういう卑屈な考えがあふれ出てきちゃうんだ。だからそばにいたくないのにぃ。
「じゃあさ、穂高が生徒会副会長に立候補してくれたら、俺、園芸部にも入る。そうしたら園芸部も存続できるかもしれないよ?」
良い案を思いついたという顔で、藤代は言うけど。
僕は首を横に振った。
「藤代が園芸部に入ったら、たぶん部員の心配はなくなるだろう。でも、藤代目当ての人ばかりで、本当に土いじりしたい人は来ないでしょ。そんな人が何人いても、邪魔なだけじゃない?」
いやいや、本来園芸部に、部員を選ぶような余裕などない。誰でもウェルカムである。
そして僕も、別に好きで土いじりしたい人ではない。ないがぁ。
だけど、藤代と対峙すると、どうしても反発してしまう。
どうしても、嫌な言い方になってしまう。
そういう自分に出会うたびに、自分の器の小ささや嫌な部分を思い知らされ失望してしまう。
どうして、普通に話ができないんだ? どうして、イライラしちゃうんだ?
これ以上、藤代の前に立っていたら、どんどん自分が嫌なやつになる。そう思って、僕は藤代の横をすり抜けて、ジョウロを用具入れに片付けに行こうと思った。
自分の目線が、彼の胸の辺りだった。でかいな。いや、僕が小さいのだ。
そんな身長差すら、腹立たしさが増幅する。
やはり、僕と藤代は相性が最悪だな。
「待って、穂高」
強く肩を掴まれ、乱暴に向かい合わせられた。
自分の薄い肩口を、彼の大きな手が楽に覆いこむ。
握る力は強くて、行く手を妨げられる。
こういうのが男らしいと言うのだなと思い、やはり自分にはない要素に嫉妬してしまうのだった。
「俺は、穂高と一緒に生徒会やりたい。なぁ、承諾してくれるよな?」
藤代はやけに真剣みを帯びている。眉を寄せ、眼光するどく僕を見た。
友達と一緒のときによく見る、笑顔を張りつけた彼の顔よりも、今の方が人間味がある。それだけ、一生懸命勧誘しているのだろうけど。
どれだけ彼が真剣でも、真摯にお願いしても、僕の答えはひとつだ。
「断る。手を離してくれ」
そっと肩をゆすると、案外簡単に、藤代の手は離れた。
目を丸くして、びっくり、というか呆然としている。
なんとなく、ショックを受けているみたいな顔? 断られるとは思わなかった、みたいな?
どんだけ、自信満々か。
そんな藤代から、僕は視線を外して小走りでその場を去った。
彼から離れて、用具室にジョウロを片付けていると、遅ればせながら心臓がどくどくと高鳴り、なんだか息苦しくなった。理由はよくわからないが、藤代に『承諾してくれるよな?』って断定されたとき、無意識にうなずきそうになって、焦ったからかもしれない。
自分にはそんな気はまったくなかったのに、流れとか空気とかで? そうしなければいけないような気に、少しなったのだ。
ちゃんと断れて良かったって、今は思う。
変に空気を読まないで、良かった。
マジで、生徒会なんかやっている暇はないんだからな。
それに。藤代が美形なことは、僕も認めている。そんな彼に、あんな間近に近寄られ、迫られたら、きっと誰でもその迫力に呑まれちゃうよ。ドキドキしたのはそのせいだ。
自分の気持ちを自分で分析して、解釈し。そのあと、納得した僕は普通に帰宅した。
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