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11 ナマ陛下、パネェきらめきっ
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◆ナマ陛下、パネェきらめきっ
大きな、四角い石を高く積み上げた城壁を、アーチ状に繰り抜いた箇所に、頑丈そうな鉄の扉があり。
その門扉をセドリックが開けると、年代を感じさせる軋んだ音が、ギーっと鳴った。
いよいよ城の中へ入るのだなと、ぼくは思ったのだが。
扉をくぐると、石畳の通路がさらに続いていた。
城の玄関口だと思っていたこの門扉は、住居城館に至る第一の門だったのだ。
門は、セドリックが手を離すと勝手に閉まるが。大きな音がガガーンと響き渡り。
あまりの大音量に、ぼくは肩をすくめた。
「この大きな門の開閉音は、島のどこにいても聞こえます。つまり、王城に出入りするとき、必ずこの音が鳴り。敵の潜入や招かれざる客の侵入を事前に知るための防犯効果があるのです。もしも貴方方が、スパイで、何者かに情報を渡す役目を担っていたとしても、人知れず誰かと接触することはできませんから。お気をつけください」
なにやらセドリックは、ぼくの方を見て言っているようだけど。
ぼくはなんのお役目もない、ただのモブなので。心配ご無用ですよ? という気持ちで、にっこりとしてうなずいた。
「…ここから先。王城の敷地内は、陛下とそのご家族が安心してお過ごしになる空間です。クロウ様は仕事柄、針やハサミなど、先の尖った物をいろいろとお持ちでしょうが。それらは決して陛下に向けてはなりません。陛下の目にも入らぬよう、細心の注意を払っていただきたい」
「承知いたしました」
城内での注意事項を教えてもらい、ぼくは心に刻むようにして、ひとつひとつ相槌を打っていった。
ぼくは、意外と危ない物を持っているのだなぁ。
陛下に恐怖を与えないよう、気持ちを引き締めて仕事にあたらないとな。
城内の、第二、第三の門をくぐると。ようやく、手入れのされた綺麗な庭が現れた。
左右対称に、垣根が剪定されている。
春の初めだから、花壇の花は百花繚乱とは言えないが。可愛らしい小花がポツポツと咲き始めている。
庭の中央には、精緻な彫刻のなされた噴水。
いろいろなものがぼくの目を引き、庭を横切るだけで時間を要してしまう。
もっと、じっくり拝見したいです。
そして、ようやく住居城館の入り口にたどり着いた。
高さのある大きな開き戸が、そびえたっているかのようで、思わず見上げてしまう。
セドリックが、観音開きの大扉を開け放つと、光が中に射し込んで、大理石の床をまぶしいほどに輝かせた。
カザレニア城は、すべて石を組んで作られている。
エントランスの太い円柱の上に、アーチ状の支柱が折々に組まれていて、その複雑に重なり合う造りが、模様のように見えた。
とても荘厳で美しく、ぼくは、見上げることで、口がポカーンと開いてしまい。
周りの様子に気づかないくらい、城の設えに見惚れてしまっていた。
「おい、クロウっ、控えろっ」
なにやら切羽詰った感じで、セドリックに言われたときには、もう遅かった。
「イアン・カザレニア二十四世陛下がお出ましです」
誰かの大きな声が、エントランスホールに響き。突然のことに慌ててしまったぼくは、正面に目を向けてしまった。
ゆるやかな曲線を描く、階段の途中で。足を止めている国王と、目と目がバッチリ合ってしまった。
ひえぇぇぇ、なんたる無作法っ!
あまりにも恐れ多くて、ぼくはすぐさま両膝を床につけ。手をそろえて頭を下げた。
いわゆる、土下座である。
すみません、すみません。平に御容赦をぉ。
ドレープビラビラの黒いロングコートが、空気を含んでふわりとひるがえり。大理石の床に丸い円を描く。
つか。遠目からでも、陛下は輝きを放っておられた。
白シャツに黒いズボンという軽装ながら、すらりとした長い脚。
姿勢の良い立ち姿からは、気品がにじみ出ている。
また、ゆるいウェーブの豊かな金色の髪は、光を放って…。
と、とにかく。ナマ陛下、パネェきらめきっ。
「兄上、目から火花が出ていますよ」
チョンに冷静にツッコまれるが。
そりゃ、火花くらいバチバチ出るだろうよ。
アイキンを見ていて、耐性はあると思っていた。美形が出てくるのは、わかっていたことなのだ。
しかし、想像の百倍、神々しくて、ゴージャスなのだものっ。
陛下の神聖さに圧倒され、震えが止まらなかった。
大きな、四角い石を高く積み上げた城壁を、アーチ状に繰り抜いた箇所に、頑丈そうな鉄の扉があり。
その門扉をセドリックが開けると、年代を感じさせる軋んだ音が、ギーっと鳴った。
いよいよ城の中へ入るのだなと、ぼくは思ったのだが。
扉をくぐると、石畳の通路がさらに続いていた。
城の玄関口だと思っていたこの門扉は、住居城館に至る第一の門だったのだ。
門は、セドリックが手を離すと勝手に閉まるが。大きな音がガガーンと響き渡り。
あまりの大音量に、ぼくは肩をすくめた。
「この大きな門の開閉音は、島のどこにいても聞こえます。つまり、王城に出入りするとき、必ずこの音が鳴り。敵の潜入や招かれざる客の侵入を事前に知るための防犯効果があるのです。もしも貴方方が、スパイで、何者かに情報を渡す役目を担っていたとしても、人知れず誰かと接触することはできませんから。お気をつけください」
なにやらセドリックは、ぼくの方を見て言っているようだけど。
ぼくはなんのお役目もない、ただのモブなので。心配ご無用ですよ? という気持ちで、にっこりとしてうなずいた。
「…ここから先。王城の敷地内は、陛下とそのご家族が安心してお過ごしになる空間です。クロウ様は仕事柄、針やハサミなど、先の尖った物をいろいろとお持ちでしょうが。それらは決して陛下に向けてはなりません。陛下の目にも入らぬよう、細心の注意を払っていただきたい」
「承知いたしました」
城内での注意事項を教えてもらい、ぼくは心に刻むようにして、ひとつひとつ相槌を打っていった。
ぼくは、意外と危ない物を持っているのだなぁ。
陛下に恐怖を与えないよう、気持ちを引き締めて仕事にあたらないとな。
城内の、第二、第三の門をくぐると。ようやく、手入れのされた綺麗な庭が現れた。
左右対称に、垣根が剪定されている。
春の初めだから、花壇の花は百花繚乱とは言えないが。可愛らしい小花がポツポツと咲き始めている。
庭の中央には、精緻な彫刻のなされた噴水。
いろいろなものがぼくの目を引き、庭を横切るだけで時間を要してしまう。
もっと、じっくり拝見したいです。
そして、ようやく住居城館の入り口にたどり着いた。
高さのある大きな開き戸が、そびえたっているかのようで、思わず見上げてしまう。
セドリックが、観音開きの大扉を開け放つと、光が中に射し込んで、大理石の床をまぶしいほどに輝かせた。
カザレニア城は、すべて石を組んで作られている。
エントランスの太い円柱の上に、アーチ状の支柱が折々に組まれていて、その複雑に重なり合う造りが、模様のように見えた。
とても荘厳で美しく、ぼくは、見上げることで、口がポカーンと開いてしまい。
周りの様子に気づかないくらい、城の設えに見惚れてしまっていた。
「おい、クロウっ、控えろっ」
なにやら切羽詰った感じで、セドリックに言われたときには、もう遅かった。
「イアン・カザレニア二十四世陛下がお出ましです」
誰かの大きな声が、エントランスホールに響き。突然のことに慌ててしまったぼくは、正面に目を向けてしまった。
ゆるやかな曲線を描く、階段の途中で。足を止めている国王と、目と目がバッチリ合ってしまった。
ひえぇぇぇ、なんたる無作法っ!
あまりにも恐れ多くて、ぼくはすぐさま両膝を床につけ。手をそろえて頭を下げた。
いわゆる、土下座である。
すみません、すみません。平に御容赦をぉ。
ドレープビラビラの黒いロングコートが、空気を含んでふわりとひるがえり。大理石の床に丸い円を描く。
つか。遠目からでも、陛下は輝きを放っておられた。
白シャツに黒いズボンという軽装ながら、すらりとした長い脚。
姿勢の良い立ち姿からは、気品がにじみ出ている。
また、ゆるいウェーブの豊かな金色の髪は、光を放って…。
と、とにかく。ナマ陛下、パネェきらめきっ。
「兄上、目から火花が出ていますよ」
チョンに冷静にツッコまれるが。
そりゃ、火花くらいバチバチ出るだろうよ。
アイキンを見ていて、耐性はあると思っていた。美形が出てくるのは、わかっていたことなのだ。
しかし、想像の百倍、神々しくて、ゴージャスなのだものっ。
陛下の神聖さに圧倒され、震えが止まらなかった。
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