94 / 176
77 バッドエンドはクソくらえ
しおりを挟む
◆バッドエンドはクソくらえ
火は消えているけど、ぼくは、暖炉の前にあるソファセットに、アイリスと向かい合わせで座っている。
これから、どうしたらいいのか、と。すがるような目を、彼女に向けた。
「アイリス様。僕は前世で、全然ダメダメでさ。友達も作れず、仕事も続かない、コミュニケーションベタだった。生粋のモブ顔で、世間の人波に埋没しまくっていたし。ヒキニート一歩手前だったし。キモオタだし。もちろん恋人なんか、いなかったよ。そんな僕だから。愛も恋も、リアルな経験は、この世界で、陛下相手に、が。初めてだったんだ。そんなの、ムリゲーですっ。初恋が。ピカピカキラキラの主役級キングとか、ハードル高すぎですぅ」
下げてた肩を、さらにシュンと下げて。ぼくはうつむいた。
自分で言っていて、本当にムリゲーだと思った。
心がいじけてしまった。
こんなキモオタに、王様を攻略させるなんて。神様はいけずだっ。
「うわぁ、クロウ様、本当に転生者なんですね? クロウ様の顔で、モブとかムリゲーとかキモオタとか、聞きたくなかったわぁ…」
アイリスは、そんなことをつぶやいたけど。
聞かなかったことにして、話を戻しますよっ?
「…恋愛初心者で、経験値不足で。僕は、愛も恋も知らなかった。だから…陛下のことを、上手に愛せなかったような気がするんです。でもアイキンって『愛の力で王を救えっ!』じゃないですかぁ? 僕は、アイキンが納得する愛の力を、愛を…陛下に示せなかったんじゃないかって。だからバッドエンドだったんじゃないかって…」
気掛かりだったのは、そこのところだ。
恋愛ビギナーの、モダモダした、ぎこちないお遊戯では、アイキンは満足しなかった。
愛がなにかもわかっていない、ぼくの青臭い愛情では。陛下に注ぐ愛の、質も量も足りなかったのだ。
「そうなんでしょう? アイリス様。アドバイスを受けていたら、愛のなんたるかがわかっていたら、違うエンディングになったのでしょう?」
藁をもすがる気持ちでたずねると。
アイリスは首をかしげて、苦笑いした。
「いやぁ、さっきはそう言ったけど。実際のところ、なにが悪かったのか、私にもさっぱりわからないのよねぇ? だって、私がやったクロウフィーバーより、断然ラブ度は高かったわ? 結婚したのよ? 最の高じゃない?」
「…確かに」
アイキンで一番のハッピーエンドが、どういうものかは知らないが。
でも、普通に考えて、結婚はラブの終着駅のようなものだ。
うなずくと、アイリスは、さらに言った。
「陛下はクロウ様のことを、とても愛しげな目で見ていたし。クロウ様も、陛下に寄り添って、頑なな心をほぐしていったわ。アイキン的にも、好感度はマックスのはずよ?」
「でも。バッドエンドじゃないか? やっぱり、僕が、ダメダメだからなんだ。僕が陛下のことを癒せなかったから。きっと、マックスじゃなかったんだよ…」
どうしても、バッドエンドのラストダンスにしか思えなくて。
アイリスは、励ましてくれるけれど。
気持ちが全然浮上しなくて。唇をとがらせて、つぶやく。
自分がやさぐれモードなのは、わかっています。
ぼくと陛下の問題なのだから、アイリスに八つ当たりしても、なにも解決しないのに。
「アイリス様、愛って、なんですか? どうしたら陛下をお救いできたのですか?」
アイキンが納得しないというのなら、じゃあ、どうすればアイキンは納得したのか、ぼくはそこが知りたかった。今からでも挽回できるものなら、陛下をハッピーエンドに導いてあげたいのだ。
「そんな、急に面と向かって言われると…」
教えてください女神様っ、的な、ぼくのウルウル哀願攻撃に。アイリスは頬を引きつらせるけど。
彼女は、答えを知っているはずなのだ。
「だって、アイリス様は、アイキンを何度も攻略してきたのでしょう? アイキンをクリアすれば、どんな愛し方をすれば、陛下がハッピーになれるのか、わかるはずです。僕は、初手で十回連続成敗くらって、攻略本を買いに走った先で、流れ星に当たって死んだ、アイキンビギナーなのです。なにとぞ、ご教授願いますぅ」
ぼくはとにかく、陛下に幸せになってもらいたくて、必死だった。
アイリスが答えを持っているのなら、早く教えてほしい。
「あら、貴方も流れ星に当たって死んだの? 同じ同じぃ。親近感湧くわぁ?」
キャピッと、アイリスは言って。
ぼくを、仕方ないわね? って目で見た。
「クロウ様。愛がなにかと言われたら、私、わからないわぁ? だって私も、キモオタ腐女子で、恋人いない歴ん十年なのだもの。だけど、ひとつだけわかることがあるわ」
なんですか? そこが知りたいのです。そういう想いで、アイリスをみつめる。
「攻略本がなければクリアできない愛なんて、本当の愛じゃないってこと」
一瞬、そんなぁ…と思ったけれど。
この世界には、攻略本などないのだ。
ここは、ゲーム世界かもしれないけど。ぼくたちは、リアルにここで生活し、リアルに恋をしてきた。
台詞のチョイスは、カーソルで選べないし。
好感度を上げようと思って、陛下に接してきたわけでもない。
陛下と、等身大の恋をした。不器用だったけど。ぼくの精一杯で、恋をしたんだ。
「クロウ様は少年漫画を見てきたかしら?」
アイリスに問われて、ぼくはうなずく。
「はい。ぼくの六十パーセントは少年漫画で構成されていると言っても過言ではありません」
「言い方がオタクだなぁ、今までなんで気づかなかったのかしら?」
なにやらアイリスがブツブツ言っているけど。
ちなみに、残りの四十パーセントは他の漫画とアニメと小説です。
「クロウ様。少年漫画愛好家なら、努力と根性、熱い友情、そして愛と勇気を、そこで学んだはずよっ? それを今こそ、発揮するのよっ。陛下をあきらめるの? クロウ様がここであきらめたら、陛下はブタに殺されちゃうよっ!」
ぼくの体に、バリバリィっと、雷に撃たれたような衝撃が走った。
陛下がブタに殺される、だとぉ?
そんなの、あってはならないいいぃぃぃっ。
ぼくは両手の拳を握って、力いっぱい宣言した。
「あきらめたりしないっ。僕はモブで、ゲームの主線軸からは外れているかもしれないけど。たとえ裏ルートで、設定なんか、なんにもなくても。僕が陛下を救うって、僕は決めたんだ!」
何回も宣言しているけど、いつも真面目に宣言しているけど、今度は絶対ブレない宣言だっ。
「そうだ、まだ終わってない。アイキンのバッドエンドはクソくらえだっ」
「そうよ、クロウ様っ。アイキンの試練を、今こそ乗り越えるのよっ? それにこの先は、ゲームとは関係ない世界だわ。将来は、私たちがどのようにしてもいいのよっ?」
なんとなくスポーツ漫画の熱血なノリで、アイリスに鼓舞され。
ぼくは、その気になった。
だって、まだ陛下がバミネに殺されたわけじゃない。
それを阻止できれば、きっと世界は変わるのだっ。
火は消えているけど、ぼくは、暖炉の前にあるソファセットに、アイリスと向かい合わせで座っている。
これから、どうしたらいいのか、と。すがるような目を、彼女に向けた。
「アイリス様。僕は前世で、全然ダメダメでさ。友達も作れず、仕事も続かない、コミュニケーションベタだった。生粋のモブ顔で、世間の人波に埋没しまくっていたし。ヒキニート一歩手前だったし。キモオタだし。もちろん恋人なんか、いなかったよ。そんな僕だから。愛も恋も、リアルな経験は、この世界で、陛下相手に、が。初めてだったんだ。そんなの、ムリゲーですっ。初恋が。ピカピカキラキラの主役級キングとか、ハードル高すぎですぅ」
下げてた肩を、さらにシュンと下げて。ぼくはうつむいた。
自分で言っていて、本当にムリゲーだと思った。
心がいじけてしまった。
こんなキモオタに、王様を攻略させるなんて。神様はいけずだっ。
「うわぁ、クロウ様、本当に転生者なんですね? クロウ様の顔で、モブとかムリゲーとかキモオタとか、聞きたくなかったわぁ…」
アイリスは、そんなことをつぶやいたけど。
聞かなかったことにして、話を戻しますよっ?
「…恋愛初心者で、経験値不足で。僕は、愛も恋も知らなかった。だから…陛下のことを、上手に愛せなかったような気がするんです。でもアイキンって『愛の力で王を救えっ!』じゃないですかぁ? 僕は、アイキンが納得する愛の力を、愛を…陛下に示せなかったんじゃないかって。だからバッドエンドだったんじゃないかって…」
気掛かりだったのは、そこのところだ。
恋愛ビギナーの、モダモダした、ぎこちないお遊戯では、アイキンは満足しなかった。
愛がなにかもわかっていない、ぼくの青臭い愛情では。陛下に注ぐ愛の、質も量も足りなかったのだ。
「そうなんでしょう? アイリス様。アドバイスを受けていたら、愛のなんたるかがわかっていたら、違うエンディングになったのでしょう?」
藁をもすがる気持ちでたずねると。
アイリスは首をかしげて、苦笑いした。
「いやぁ、さっきはそう言ったけど。実際のところ、なにが悪かったのか、私にもさっぱりわからないのよねぇ? だって、私がやったクロウフィーバーより、断然ラブ度は高かったわ? 結婚したのよ? 最の高じゃない?」
「…確かに」
アイキンで一番のハッピーエンドが、どういうものかは知らないが。
でも、普通に考えて、結婚はラブの終着駅のようなものだ。
うなずくと、アイリスは、さらに言った。
「陛下はクロウ様のことを、とても愛しげな目で見ていたし。クロウ様も、陛下に寄り添って、頑なな心をほぐしていったわ。アイキン的にも、好感度はマックスのはずよ?」
「でも。バッドエンドじゃないか? やっぱり、僕が、ダメダメだからなんだ。僕が陛下のことを癒せなかったから。きっと、マックスじゃなかったんだよ…」
どうしても、バッドエンドのラストダンスにしか思えなくて。
アイリスは、励ましてくれるけれど。
気持ちが全然浮上しなくて。唇をとがらせて、つぶやく。
自分がやさぐれモードなのは、わかっています。
ぼくと陛下の問題なのだから、アイリスに八つ当たりしても、なにも解決しないのに。
「アイリス様、愛って、なんですか? どうしたら陛下をお救いできたのですか?」
アイキンが納得しないというのなら、じゃあ、どうすればアイキンは納得したのか、ぼくはそこが知りたかった。今からでも挽回できるものなら、陛下をハッピーエンドに導いてあげたいのだ。
「そんな、急に面と向かって言われると…」
教えてください女神様っ、的な、ぼくのウルウル哀願攻撃に。アイリスは頬を引きつらせるけど。
彼女は、答えを知っているはずなのだ。
「だって、アイリス様は、アイキンを何度も攻略してきたのでしょう? アイキンをクリアすれば、どんな愛し方をすれば、陛下がハッピーになれるのか、わかるはずです。僕は、初手で十回連続成敗くらって、攻略本を買いに走った先で、流れ星に当たって死んだ、アイキンビギナーなのです。なにとぞ、ご教授願いますぅ」
ぼくはとにかく、陛下に幸せになってもらいたくて、必死だった。
アイリスが答えを持っているのなら、早く教えてほしい。
「あら、貴方も流れ星に当たって死んだの? 同じ同じぃ。親近感湧くわぁ?」
キャピッと、アイリスは言って。
ぼくを、仕方ないわね? って目で見た。
「クロウ様。愛がなにかと言われたら、私、わからないわぁ? だって私も、キモオタ腐女子で、恋人いない歴ん十年なのだもの。だけど、ひとつだけわかることがあるわ」
なんですか? そこが知りたいのです。そういう想いで、アイリスをみつめる。
「攻略本がなければクリアできない愛なんて、本当の愛じゃないってこと」
一瞬、そんなぁ…と思ったけれど。
この世界には、攻略本などないのだ。
ここは、ゲーム世界かもしれないけど。ぼくたちは、リアルにここで生活し、リアルに恋をしてきた。
台詞のチョイスは、カーソルで選べないし。
好感度を上げようと思って、陛下に接してきたわけでもない。
陛下と、等身大の恋をした。不器用だったけど。ぼくの精一杯で、恋をしたんだ。
「クロウ様は少年漫画を見てきたかしら?」
アイリスに問われて、ぼくはうなずく。
「はい。ぼくの六十パーセントは少年漫画で構成されていると言っても過言ではありません」
「言い方がオタクだなぁ、今までなんで気づかなかったのかしら?」
なにやらアイリスがブツブツ言っているけど。
ちなみに、残りの四十パーセントは他の漫画とアニメと小説です。
「クロウ様。少年漫画愛好家なら、努力と根性、熱い友情、そして愛と勇気を、そこで学んだはずよっ? それを今こそ、発揮するのよっ。陛下をあきらめるの? クロウ様がここであきらめたら、陛下はブタに殺されちゃうよっ!」
ぼくの体に、バリバリィっと、雷に撃たれたような衝撃が走った。
陛下がブタに殺される、だとぉ?
そんなの、あってはならないいいぃぃぃっ。
ぼくは両手の拳を握って、力いっぱい宣言した。
「あきらめたりしないっ。僕はモブで、ゲームの主線軸からは外れているかもしれないけど。たとえ裏ルートで、設定なんか、なんにもなくても。僕が陛下を救うって、僕は決めたんだ!」
何回も宣言しているけど、いつも真面目に宣言しているけど、今度は絶対ブレない宣言だっ。
「そうだ、まだ終わってない。アイキンのバッドエンドはクソくらえだっ」
「そうよ、クロウ様っ。アイキンの試練を、今こそ乗り越えるのよっ? それにこの先は、ゲームとは関係ない世界だわ。将来は、私たちがどのようにしてもいいのよっ?」
なんとなくスポーツ漫画の熱血なノリで、アイリスに鼓舞され。
ぼくは、その気になった。
だって、まだ陛下がバミネに殺されたわけじゃない。
それを阻止できれば、きっと世界は変わるのだっ。
171
あなたにおすすめの小説
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する
とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。
「隣国以外でお願いします!」
死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。
彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。
いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。
転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。
小説家になろう様にも掲載しております。
※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ちっちゃな婚約者に婚約破棄されたので気が触れた振りをして近衛騎士に告白してみた
風
BL
第3王子の俺(5歳)を振ったのは同じく5歳の隣国のお姫様。
「だって、お義兄様の方がずっと素敵なんですもの!」
俺は彼女を応援しつつ、ここぞとばかりに片思いの相手、近衛騎士のナハトに告白するのだった……。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる