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2-21 インドアモブに運動神経を求めてはいけません
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◆インドアモブに運動神経を求めてはいけません
五月中旬には、剣術大会があります。
その期日が近くなったので、魔法の授業はちょっとお休みして。剣術指南の実技をすることになりました。
剣術大会まで、ベルナルドは領地で、ため池づくりの基盤を固めるため、欠席することになり。
その代わりに、シオンが、陛下とぼくの従者兼警護をかって出ます。
シオンは、二学年に在籍していますが、その成績はすでに卒業レベルなので。少々の欠席は多めに見られるらしいです。
うちの弟、かしこーい。
なので、ぼくと陛下、シオンとカッツェは。前世風で言うと、床板張りの屋内体育館、みたいな。こちらの世界では剣闘技場という名の施設にいる。
剣術の先生は、今日はなんと、ゲスト出演のセドリックとシヴァーディでっす。
なんか、学園に用事があって、来たついでに。授業を引き受けてくれたんだって。すごーい。
剣術の授業は、動きやすい運動服に、皮の防具をつけて、木製の模造剣を持って、そういういで立ちで行います。
「おいおい、クロウも剣術やるのか? できるのか?」
セドリックが、いつもの、真夏の太陽ギラギラしい笑顔で、ぼくに聞いてくる。
うぅぅ、真っ赤な蛍光色の髪が、まぶしいですっ。
アイキンⅡのキャラは、落ち着いた色目の人が多いので。久しぶりに、セドリックとシヴァーディの、派手派手しいオーラを浴びて。ぼくはドッキドキです。
ですが、なにやら聞き捨てならないことを、言いましたね?
「失敬な。ぼくは、弟のシオンに剣術を教えた、最初の教師なのですよ? 陛下のような、百戦錬磨の無双には敵いませんが。人並みの剣術は嗜んでおりますっ」
そう、そして、ぼくには、前世の知識がある。
うんちゃらサンダーアタックや、なんちゃらマスターソード、やら、必殺技もお手の物です。
さぁ、かかって来なさい。
ぼくが、自信満々に、剣を振り回すと。
シオンの剣術の教師、というワードに引っかかったカッツェが、相手を名乗り出てくれた。
他の者、全員が。なにやら、ものすっごい心配そうな顔つきで見守る中。模擬戦が開戦された。
ぼくが、隙を作らずに。剣を一振り。
それを、カッツェは、渾身の力で弾き飛ばした。
「ふぇっ?」
ぼくは、剣を、落としはしなかったものの。
強い力を受け止めきれず、尻餅をついてしまった。
そうでした。ぼくは、このきらびやかな乙女ゲームの世界に長くいたことで、すっかり勘違いをしていたのです。
陛下のおそばにいる、ぼくも。無双なのだと。
そんなこと、あるわけなかった。
だって、ぼくは十二歳くらいからずっと、部屋の中でチクチクしていたのだもの。
インドアモブに、運動神経を求めてはいけません。
「はぁ? 軽っ。シオンの師匠じゃないのか??」
つぶやいたカッツェは、見守り隊の全員から『手加減っっ!』とツッコまれて。身を小さくしてしまった。
それでなくても、憧れの生騎士団長、生騎士団副長を目にして、緊張に身を固くしていたというのに。
さらに、怒られてしまっては、可哀想です。
「いえ、ぼくが悪いのです。シオンを教えていたと言っても、それは十三歳くらいまでの話で。シオンの体が大きくなってからは、全然敵わなくて。シオンの剣術は、大叔父にすべてお任せしていたのです」
「すみません、クロウ様。シオンと相対すつもりで、初手から力を入れてしまいました」
手を差し伸べるカッツェの手を取り、ぼくは尻餅から立ち上がった。うぅ、情けない。
「では、兄上の仇は、ぼくが取りましょう。カッツェ、勝負です」
シオンに挑まれて、ふたりは模擬戦という名の、火花を散らす戦いを繰り広げ始めた。
ちょっと、その迫力は、剣術大会まで取っておきなさいよ。
「クロウ、剣術の授業は、受けなくても良いのではないか?」
心配そうに、眉尻を下げて聞いてくる陛下に。ぼくは、首を横に振った。
「いいえ、万が一のとき、陛下をお守りできるよう、それこそ、人並みくらいには、剣術を身につけるよう、父に言われております。さすがに、剣術大会には出ませんけどぉ」
それを聞いて、陛下はちょっと、ホッと、息をつくけど。
心配顔は、解けなかった。
「我が、クロウを守ってやるし。そばには、セドリックかシヴァーディがいるのだから。万が一のときのことなど考えなくても良い」
「いいえ、王妃となり、陛下のおそばにいられるのなら。せめて陛下の足手まといにはならぬよう、心掛けたいのです。鳥ガラでも、男ですから。守られてばかりはいられません」
「…ずいぶん鳥ガラにこだわっているのだな?」
陛下は微妙な顔つきで、苦笑した。
だってぇ、あのバミネの悪口は、今でもぼくの胸にぐっさりと突き刺さっているのです。
自覚もあるしね。
そう思って。胸の前を手でこすった。
そこに、シヴァーディが口を挟んでくる。
「恐れながら、陛下。クロウはそこまで、剣術に筋がないわけではありませんよ。あのシオンに、剣術の基本を教えたのです。素地は、しっかりしているでしょう。クロウも、すぐにも騎士並みの剣術を身につけようとすることはない。鍛錬は大事だが、一人前の剣士になるまでは、私たちに守られていればいいのですよ」
柔らかい微笑みを、シヴァーディに向けられ。
ぼくは、頬をポッと赤くした。
氷の精霊のごとき、冷たくも美しい表情も、素敵ですが。
あたたかみのある微笑は、ぼくを気遣う心情が伝わって。嬉しくなります。
それに、急がなくてもいいと言われて、ちょっと、ホッとしたし。
やはり、今まで、引きこもり一歩手前だった、このぼくが。いきなり、漫画のように、チートのように、蝶のように舞いハチのように刺す剣技が、できるわけもないものね?
モブのぼくは、着実に、一歩一歩努力して鍛錬するしかないのだな。
「はい。適度に頑張ります」
「…怪我は、絶対にしてはいけませんよ?」
念を押された。了解しました。
そして、シオンとカッツェの闘いは、まだ続いていたが。セドリックが、ぼくに向かって言った。
「クロウ、実はお願いがあるのだ。剣術大会のときに、この前の…王都中に響く、アレをやってもらいたいんだ」
「王都中に響く? あぁ、放送ですか?」
前世では、学校の構内や、自治体に知らせるものなど、放送は身近にある代物だったが。
この世界には、放送という概念がないから。
ぼくが初めて、遠くの人にまで知らせる放送を、魔法でやったとき。
みんな…国中のみんなが、びっくり仰天したんだ。
陛下のお言葉だったから、天から降る神の声だと思った人も、いたみたいだね?
「そう、それだ。八月に、騎士団主催の剣闘士大会が行われるが、バミネが権勢を誇っていたとき、剣闘士大会は賭け事、卑怯な仕業、流血死者、なんでもありの血みどろの大会と成り果てた。あまりにも凄惨で、観客数も減少の一途をたどった。しかし、陛下がお戻りになり、バミネが粛清され、騎士団も一新したことで。剣闘士大会もリニューアルしたのだと、事前に国民にアピールしたいのだ」
セドリックの話に、陛下も補足を入れる。
「剣闘士大会は、国の財源のひとつでもある。バミネに食い潰された国費を、捻出するためにも、剣闘士大会のイメージを払しょくするのは、必須のこと。クロウ、セドリックに力を貸してやってくれないか?」
「もちろん、ぼくに出来ることは、なんでもやらせていただきます。でも、そういう話でしたら、放送もいいですけど、広告を出すのも大事ですね?」
「広告? それはどういうものなのですか?」
シヴァーディに聞かれ、ぼくは、宣伝の方法が数少ないのだな、と考えた。
この世界、テレビとかないしね。
のほほんと、普通に生活しているだけでは。広告はここで、あまり目に触れるものではない。
人々が数多く知れる媒体は、ほぼ新聞しかなく。
それも、起きた事実が淡々と描かれているものなのだ。
あそこの店が美味しいとか、あの店の品が良いとかいうものは。伝聞、いわゆる、噂や口コミ、が主だった。
「新聞に、こういうことをするので見に来て、と書いてもらうとか。放送だけでは、聞き逃してしまったら、日時や場所など、わからなくなってしまうかもしれませんから。小さな紙にそういう情報を書いて、号外みたいに配るとか。その紙のことを、チラシというのですけど。居酒屋にチラシを張ってもらったら、それを見た人が、伝聞してくれるかもしれないし。宣伝効果を高めるために、広告やチラシは有効なのです」
「おぉ、なるほど。さっそく手配しよう。では、剣術大会のときは、放送もよろしくな?」
満面笑みのセドリックが、ぼくの頭をグリグリ撫でて。
シヴァーディも、陛下も、なにやら撫でて。
頭がもげそうだと思いながらも、お役に立てたみたいで、嬉しかった。
そんなぼくの様子を、シオンとの試合に負けたカッツェが、ぼんやり見ていた。
五月中旬には、剣術大会があります。
その期日が近くなったので、魔法の授業はちょっとお休みして。剣術指南の実技をすることになりました。
剣術大会まで、ベルナルドは領地で、ため池づくりの基盤を固めるため、欠席することになり。
その代わりに、シオンが、陛下とぼくの従者兼警護をかって出ます。
シオンは、二学年に在籍していますが、その成績はすでに卒業レベルなので。少々の欠席は多めに見られるらしいです。
うちの弟、かしこーい。
なので、ぼくと陛下、シオンとカッツェは。前世風で言うと、床板張りの屋内体育館、みたいな。こちらの世界では剣闘技場という名の施設にいる。
剣術の先生は、今日はなんと、ゲスト出演のセドリックとシヴァーディでっす。
なんか、学園に用事があって、来たついでに。授業を引き受けてくれたんだって。すごーい。
剣術の授業は、動きやすい運動服に、皮の防具をつけて、木製の模造剣を持って、そういういで立ちで行います。
「おいおい、クロウも剣術やるのか? できるのか?」
セドリックが、いつもの、真夏の太陽ギラギラしい笑顔で、ぼくに聞いてくる。
うぅぅ、真っ赤な蛍光色の髪が、まぶしいですっ。
アイキンⅡのキャラは、落ち着いた色目の人が多いので。久しぶりに、セドリックとシヴァーディの、派手派手しいオーラを浴びて。ぼくはドッキドキです。
ですが、なにやら聞き捨てならないことを、言いましたね?
「失敬な。ぼくは、弟のシオンに剣術を教えた、最初の教師なのですよ? 陛下のような、百戦錬磨の無双には敵いませんが。人並みの剣術は嗜んでおりますっ」
そう、そして、ぼくには、前世の知識がある。
うんちゃらサンダーアタックや、なんちゃらマスターソード、やら、必殺技もお手の物です。
さぁ、かかって来なさい。
ぼくが、自信満々に、剣を振り回すと。
シオンの剣術の教師、というワードに引っかかったカッツェが、相手を名乗り出てくれた。
他の者、全員が。なにやら、ものすっごい心配そうな顔つきで見守る中。模擬戦が開戦された。
ぼくが、隙を作らずに。剣を一振り。
それを、カッツェは、渾身の力で弾き飛ばした。
「ふぇっ?」
ぼくは、剣を、落としはしなかったものの。
強い力を受け止めきれず、尻餅をついてしまった。
そうでした。ぼくは、このきらびやかな乙女ゲームの世界に長くいたことで、すっかり勘違いをしていたのです。
陛下のおそばにいる、ぼくも。無双なのだと。
そんなこと、あるわけなかった。
だって、ぼくは十二歳くらいからずっと、部屋の中でチクチクしていたのだもの。
インドアモブに、運動神経を求めてはいけません。
「はぁ? 軽っ。シオンの師匠じゃないのか??」
つぶやいたカッツェは、見守り隊の全員から『手加減っっ!』とツッコまれて。身を小さくしてしまった。
それでなくても、憧れの生騎士団長、生騎士団副長を目にして、緊張に身を固くしていたというのに。
さらに、怒られてしまっては、可哀想です。
「いえ、ぼくが悪いのです。シオンを教えていたと言っても、それは十三歳くらいまでの話で。シオンの体が大きくなってからは、全然敵わなくて。シオンの剣術は、大叔父にすべてお任せしていたのです」
「すみません、クロウ様。シオンと相対すつもりで、初手から力を入れてしまいました」
手を差し伸べるカッツェの手を取り、ぼくは尻餅から立ち上がった。うぅ、情けない。
「では、兄上の仇は、ぼくが取りましょう。カッツェ、勝負です」
シオンに挑まれて、ふたりは模擬戦という名の、火花を散らす戦いを繰り広げ始めた。
ちょっと、その迫力は、剣術大会まで取っておきなさいよ。
「クロウ、剣術の授業は、受けなくても良いのではないか?」
心配そうに、眉尻を下げて聞いてくる陛下に。ぼくは、首を横に振った。
「いいえ、万が一のとき、陛下をお守りできるよう、それこそ、人並みくらいには、剣術を身につけるよう、父に言われております。さすがに、剣術大会には出ませんけどぉ」
それを聞いて、陛下はちょっと、ホッと、息をつくけど。
心配顔は、解けなかった。
「我が、クロウを守ってやるし。そばには、セドリックかシヴァーディがいるのだから。万が一のときのことなど考えなくても良い」
「いいえ、王妃となり、陛下のおそばにいられるのなら。せめて陛下の足手まといにはならぬよう、心掛けたいのです。鳥ガラでも、男ですから。守られてばかりはいられません」
「…ずいぶん鳥ガラにこだわっているのだな?」
陛下は微妙な顔つきで、苦笑した。
だってぇ、あのバミネの悪口は、今でもぼくの胸にぐっさりと突き刺さっているのです。
自覚もあるしね。
そう思って。胸の前を手でこすった。
そこに、シヴァーディが口を挟んでくる。
「恐れながら、陛下。クロウはそこまで、剣術に筋がないわけではありませんよ。あのシオンに、剣術の基本を教えたのです。素地は、しっかりしているでしょう。クロウも、すぐにも騎士並みの剣術を身につけようとすることはない。鍛錬は大事だが、一人前の剣士になるまでは、私たちに守られていればいいのですよ」
柔らかい微笑みを、シヴァーディに向けられ。
ぼくは、頬をポッと赤くした。
氷の精霊のごとき、冷たくも美しい表情も、素敵ですが。
あたたかみのある微笑は、ぼくを気遣う心情が伝わって。嬉しくなります。
それに、急がなくてもいいと言われて、ちょっと、ホッとしたし。
やはり、今まで、引きこもり一歩手前だった、このぼくが。いきなり、漫画のように、チートのように、蝶のように舞いハチのように刺す剣技が、できるわけもないものね?
モブのぼくは、着実に、一歩一歩努力して鍛錬するしかないのだな。
「はい。適度に頑張ります」
「…怪我は、絶対にしてはいけませんよ?」
念を押された。了解しました。
そして、シオンとカッツェの闘いは、まだ続いていたが。セドリックが、ぼくに向かって言った。
「クロウ、実はお願いがあるのだ。剣術大会のときに、この前の…王都中に響く、アレをやってもらいたいんだ」
「王都中に響く? あぁ、放送ですか?」
前世では、学校の構内や、自治体に知らせるものなど、放送は身近にある代物だったが。
この世界には、放送という概念がないから。
ぼくが初めて、遠くの人にまで知らせる放送を、魔法でやったとき。
みんな…国中のみんなが、びっくり仰天したんだ。
陛下のお言葉だったから、天から降る神の声だと思った人も、いたみたいだね?
「そう、それだ。八月に、騎士団主催の剣闘士大会が行われるが、バミネが権勢を誇っていたとき、剣闘士大会は賭け事、卑怯な仕業、流血死者、なんでもありの血みどろの大会と成り果てた。あまりにも凄惨で、観客数も減少の一途をたどった。しかし、陛下がお戻りになり、バミネが粛清され、騎士団も一新したことで。剣闘士大会もリニューアルしたのだと、事前に国民にアピールしたいのだ」
セドリックの話に、陛下も補足を入れる。
「剣闘士大会は、国の財源のひとつでもある。バミネに食い潰された国費を、捻出するためにも、剣闘士大会のイメージを払しょくするのは、必須のこと。クロウ、セドリックに力を貸してやってくれないか?」
「もちろん、ぼくに出来ることは、なんでもやらせていただきます。でも、そういう話でしたら、放送もいいですけど、広告を出すのも大事ですね?」
「広告? それはどういうものなのですか?」
シヴァーディに聞かれ、ぼくは、宣伝の方法が数少ないのだな、と考えた。
この世界、テレビとかないしね。
のほほんと、普通に生活しているだけでは。広告はここで、あまり目に触れるものではない。
人々が数多く知れる媒体は、ほぼ新聞しかなく。
それも、起きた事実が淡々と描かれているものなのだ。
あそこの店が美味しいとか、あの店の品が良いとかいうものは。伝聞、いわゆる、噂や口コミ、が主だった。
「新聞に、こういうことをするので見に来て、と書いてもらうとか。放送だけでは、聞き逃してしまったら、日時や場所など、わからなくなってしまうかもしれませんから。小さな紙にそういう情報を書いて、号外みたいに配るとか。その紙のことを、チラシというのですけど。居酒屋にチラシを張ってもらったら、それを見た人が、伝聞してくれるかもしれないし。宣伝効果を高めるために、広告やチラシは有効なのです」
「おぉ、なるほど。さっそく手配しよう。では、剣術大会のときは、放送もよろしくな?」
満面笑みのセドリックが、ぼくの頭をグリグリ撫でて。
シヴァーディも、陛下も、なにやら撫でて。
頭がもげそうだと思いながらも、お役に立てたみたいで、嬉しかった。
そんなぼくの様子を、シオンとの試合に負けたカッツェが、ぼんやり見ていた。
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