ヒロインにはめられました※Lite

KI☆RARA

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エピローグ



「前例なんて」

ハッとマリアは鼻で笑った。

「何十年も前の前例を、いまさら引っ張り出してこれるものか。前例なら俺がつくればいい」

マリアは間違っていなかった。
ほぼ毎日、日が出ているうちはマリアが神殿内にいるのを見る限り、案外すんなりと周囲に受け入れられている。

声が低くなり、身体が以前より男性らしくなったマリアだが、それでもやはり細身だ。
肩やのどを隠してしまえば、先入観も手伝って女に見える。





バン、と扉が開いた。

「おい、もう太陽が沈んだぞ。交代だ」

部屋にズカズカと入ってきた王は、マントをバサ、と乱暴にソファの背にかけ、いまだ繋がったままのわたしたちに近づいた。

ひょい、と引き上げられて、ずるりとマリアの肉棒が抜ける。

その感触に、身体がびくんッと震えた。

ひくんッひくんッと小さくけいれんを繰り返す身体を、王の大きな手がするりと撫でた。

抱き上げられたまま、尻を軽くパチンと叩かれる。

コプ、と散々中で出された白濁が溢れて、太ももを伝った。

「好き放題ヤラれたようだな」
「まだ途中なのに!」

王妃が抗議の声を上げたが、王は無視した。

「湯に行くぞ」

そうして、湯で念入りに洗われたあと、いつものように抱き潰され、気絶するように眠ったのだった。





人生、なにが起こるか分からない。

ヒロインを嵌めようとしたら逆にハメられ、中途半端な知識がアダとなって囲われてしまった。

でも、その後の人生を振り返ってみればそんなに悪くないのかもしれない。

男二人のことは別にしても、自分のお腹から生まれてきた子どもたちはいとおしい。
子どもたちと過ごす時間はたっぷりとれているし、父親二人も子どもたちを愛し父親がどちらかを問わず大切にしている。

王子王女たちはすくすくと育ち、いずれこの国を継ぐ王の長男と、王妃の故国を継ぐ次男は、切磋琢磨して王としての資質を身につけていっている。

たまに、王子や王女から不憫そうな目を向けられるのが気になるけれど‥‥。

どうしたんだろうと思っていたある日、その視線の真意を聞くことになった。

子どもたちと過ごしている時間に、突如現れた王によって寝室に引きずり込まれそうになったときに、息子から、
「お母さん、大変だね‥‥」
と不憫そうな目を向けられた。

次の日、ぐったりしながらさりげなく確認してみたら、なんと子どもたちはとっくにわたしたちの秘密に勘付いていたという。
ついでに、母親ということになっている王妃が男だということも知っていた。

父親が違う長男と次男がそれを知っていてなお仲良く結束しているということに、それどころかお母さんの負担を減らさなければとむしろ協力してくれていたということに、わたしは感動して泣きそうになった。

子どもの健やかな成長によくないからとわたしが必死に隠そうとしていたのに。
まったく隠す気のない王や王妃のせいで、バレバレだったらしい。

そのときはさすがに王と王妃に怒って、しばらく性交を拒否した。

あの手この手でわたしをなだめようとする王妃に、籠絡されかけた(ドレスをむかれてイかされかけた)ところで、

「抜け駆けは許さんぞ!」
と王が参戦。

一週間分の情念をぶつけられて、本気で死ぬかと思った。


あくまで乳母の立場で子どもたちの面倒を見てきたけれど、最近では子ども同士で遊ぶことも増えてほとんど手がかからない。
なにかやることはないか、と王宮内の図書や宝物庫の目録作りを始めたのだが、これが案外ハマる。

なかにはいわくの分からないものもあって、国内外の研究者に照会文書を送ったり、由来や価値を調べるのが楽しくて楽しくて。
マリアの故国からもたらされた美術品なんかも、ずいぶん雑に放置されていたものが多いので、補修や補強をし直すのに忙しい。
時間がいくらあっても足りない。



――そんなこんなで、トラブルはありながらも、案外まあいいかと思えるような毎日を送っているのだった。


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