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山奈ちさとは満たされる
しおりを挟む女子高生といえば、そう言われるとよく分からない。何をすべく生まれたのかなんて考える気にもならないけど、今しか熱中できないものがある。
「でね、おねぇちゃんがすっごい可愛いの!」
「みゆはほんとに一途だねー」
これである。
私、山奈(やまな)ちさと は友達の話に聞き入っていた。
同じクラスの端咲みゆはうちの学校の卒業生、篠山りいな先輩に恋をしている。
たしか小学生の頃からと言っていたからすごい恋愛だ。一途すぎる。
「この前なんかね?」
「うんうん」
はぁ、可愛い。普段は異性や同性に囲まれても適当に相槌うって逃げちゃうあのみゆがこんだけ目を輝かせて先輩の話をしてるんだと思うと眩しさで苦しくなる。たまに睨んだりしてるのも逆効果だと気付いてないみゆがこんな無邪気に‥‥。
これが尊いというやつなのですね‥‥。
「いつも私を警戒して離れて歩くくせに靴紐結ぶためにしゃがんだら足を痛めたんじゃないかと心配してすぐ隣に来てくれたの」
「えーなにそれ萌える‥‥」
「萌え‥‥?」
「あぁ、いや。なんでもない。で、それから?」
あぶないあぶない。私が昼休みに始まるみゆの惚気という名のおねえちゃん日記を聞くのが毎日の楽しみだと知られたらもう聞けなくなってしまうかもしれない。慎重にいかなければ。
「靴紐を結ぶだけだよって説明したら真っ赤になって離れようとしたから捕まえてキスしちゃった」
‥‥ありがとう、ございます。
ここで歓声を上げ拍手を送るのを我慢した自分をほめてあげたい。はぁ、可愛い。
みゆ×りいなは一見進展しなさそうに見えてみゆの押しの強さと先輩の妙な純粋さで実際には驚くほど進展が早い。はぁ、尊い。
「先輩困ったんじゃない?」
「そこがいんじゃん。なんてったって将来を約束してますからね」
今まで純粋に先輩ばかりを見てきて先輩しか見えなくなったみゆは先輩を困らせるのが癖になってしまったようで。
「私にしか見せないような顔が見たいんだよ」
とか言い出す。
あぁもうお腹いっぱい。もうこれ以上入らないです。いや、供給さえあれば食べるけど。(カプ話を)
前から思っていたけどみゆはちょっと独占欲が強いのかもしれない。それは今まで"意識"されてこなかったことが大きく関係してるとは思うけど。それまでは特に何もしないけど先輩が20歳になったら絶対に振り向かすって張り切ってたっけ。
「はぁ、早く放課後にならないかなぁ」
私もそう思う。
明日も私はみゆに先輩の話を聞かされるのだろう。
だけど妙に機嫌が良い日に限って先輩の話をしないのは、独占欲からかな?なんて考えるのもまた萌える。
好きな人のこの姿は想像さえ渡さない、みたいな?可愛いな。
この前クラスメイトに推しカプができたとかで尊いと言ってきた妹の気持ち、お姉ちゃんよく分かる。
ひとまず今日のところは終わりらしいから、私も締めくくりますか。
目を閉じて、手を合わせ、息を吸って。
「ごちそうさまでした」
「……もうとっくにご飯は食べ終わったじゃん?」
不思議そうなみゆへ、そっと微笑みを向けて。
私は今日もまた、妄想を膨らませていく。
女子高生といえば、今しか熱中できないものがある。私にとってそれは
推しの二人の尊さを感じることだ。
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