モブに光あれ〜私のクラスメイトが一途過ぎて推せる〜

歩くの遅いひと(のきぎ)

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山奈ちさとはあえて触れない

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人は誰しも聞いて欲しい話と聞かれたくない話がある。楽しい話、愉快な話はもちろん、少し愚痴りたい時もあるだろう。
私、山奈(やまな)ちさと は静かに待っていた。
机に頬杖をつき、少しご機嫌斜めな可愛い女の子、橋咲(はしざき)みゆ の口が開くのを。

朝の挨拶から少しご機嫌が良くなかったみゆは、いつものようにクラスメイトや先輩たちに囲まれながらも愛想笑い1つせずに静かに追い払っていた。・・・知りたい。いったい昨日は何があったと言うんだろう。

「……ねぇ、ちさとちゃん」
「な、なに?」
「少しお話し、聞いてくれる?」

もちろん。
「ありがとうございます」

「うん?」

あ、逆になった。


☆☆


「おねぇちゃん、また私に良い人紹介するとか言ってさ」
「みゆも大変だねー」

おねぇちゃん。みゆにとってそれは2つ上のこの学校のOG、篠山(しのやま)りいな のことである。
私にとっては先輩なんだけど、みゆにとっては将来を約束したお嫁さんらしい。
そして篠山先輩は小さい頃に交わした結婚の約束を忘れていたお詫びとしてみゆが好きになりそうなひとを紹介してくるらしい。つまり、自分のことは諦めてくれというわけだ。
それにしても小さい頃の約束の罪悪感からとはいえ、好きな人に“いいひと”を紹介されるのは流石のみゆも参ってしまうだろうな。

「まぁ私がおねぇちゃん以外を好きになるはずないから紹介されるたびに断って、おねぇちゃんに分からせてあげればいいだけだから、嫌ではないんだけどね」

分 か ら せ て あ げ る ?
すごい意味深な感じする……。ていうか嫌じゃないんだ。そう顔を向ければニヤリと笑って。
「口実ができていいじゃん?」と唇を指差した。

・・・・ありがとうございます。もう私の胃は消化が間に合いません。いつものようにごちそうさまをしようとすれば1つの疑問が残った。あれ、じゃあなんで怒ってたんだろう。

「怒ってたんじゃないの?」
「怒ってるよ。もう4回目だよ?そろそろおねーちゃんも諦めたらいいのに」
「あぁ、そういう……」

ため息と共に拗ねた顔。みゆは本当に可愛いと思う。そして小悪魔だ。

「だからね、そろそろ本気出さなきゃかなぁって。何してあげようか考えてたら少し楽しくなっちゃって」
「それで顔が強張ってたの?」
「うん。何しちゃおっかなぁ」

神さま、そして篠山先輩、ありがとうございます。
2人の話を聞けるだけで幸せなのに、これから先を妄想できるなんて。みゆが今後の進展のために何をするかまだ分らないけれど、私は今日も満たされた。

「ごちそうさまでした」
「まだお弁当残ってるよね?」

明日はどんな話が聞けるのかな。幸せな笑顔をまた見せて欲しい。
篠山先輩に健闘を祈りながら、私はまた明日を楽しみに生きている。
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