キミとキスの練習がしたい 〜親友から迫られる俺の話〜

キトー

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夏休みの思い出

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「ぁん……ふぅんんっ」

 俺は今、卓にキスされている。正確に言えばキスの練習。
 そう、一回じゃ終わりませんでした。

 あれから卓の家に行く度にキスの練習を迫られて、断れずに応じてしまっている。
 だから今回で……何回目だっけ? もう忘れた。

 なんかね、やる度に上手くなってるよこの男。
 俺が気持ちよくなる所がもう分かるみたいで、そこを舌で攻められると背中がぞくぞくするし力が入らなくなる。
 変な声も出るし、頭もぼーっとするから恥ずかしくて止めてほしいのに、卓はまぁ攻める攻める。
 嫌がらせのように攻める。しつこいぐらい攻める。
 しつこい男は嫌われるんだぞ。なんかのネット情報で書いてたし。

 ちなみに今日は立ったまましてる。
 卓に壁ドンされながら。
 これは卓のご希望により、である。
 こういうシチュエーションに憧れてたのかな。意外と乙女だな卓って。

 しかし立ったままって、正直きつい。
 さっきも言った通り、卓が気持ちいい所を攻めまくるから力が入らなくなるんだ。
 へたりこまないように必死に卓の首に腕を回してすがりついてるけど、そろそろ限界かも。

「た、く……はぁっ、も……むり」

 キスされながら必死で訴えてるのに、全然止まらない。
 ただ腰を強く引き、股の下に足を入れて俺が崩れ落ちないようにしてくれた。いやそれよりキス止めろよ。

 キスが終わる頃にはやっぱり力が入らなくなっていて、そんな俺を卓はゆっくり床へ降ろした。
 そのまま顔中にキスされたけど、頭がぼーっとしてる俺はなすがままだ。もうこれお決まりみたいになってるしね。

「さっきの瑠衣、すっげー可愛かった。俺に必死にしがみついて来るとことかめちゃくちゃ可愛い」

「……俺はめちゃくちゃキツかった」

「ん、ごめんな?」

 思ってる? ホントにごめんって思ってる?
 なんかすっごい楽しそうに言ってるけどさ、反省してないよね。

 楽しい楽しい夏休みも終わりに近づいてるって言うのに、夏休みの思い出が卓とのキスの練習しかないんだけど。
 夏休みの宿題に日記が無くて良かったよ。
 親友とキスの練習をして腰抜けになりました。なんて書けないからね。職員室に呼び出しくらうからね。

 今じゃすっかりキス中の息の仕方も覚えた。
 鼻で息するんだねー、思いつきもしなかったよー。
 でもやっぱりキスが深くなると、頭がぐちゃぐちゃになって上手く呼吸できなくなるから困る。

 そうこう考えている間もずっと顔中にキスが続いてた。
 唇にも時折ついばむようなキスをされる。
 しばらくして満足したのか、俺をぎゅっと抱きしめて首元を頭でぐりぐりされた。
 首筋に吐かれる吐息が熱くて何だか興奮しているみたいだ。未来の彼女を想像してるのかなー、想像力豊かだなーって思いながら、とりあえず落ち着けと背中を撫でた。
 そしたらもっと息が荒くなった。

「瑠衣! もがっ……」

 も一回って言われる前に卓の口を塞いだ。
 練習熱心なのは良いがあとは近所の猫に頼んで下さい。
 あ、やっぱり猫が可哀相だからやめたげて。


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