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その16、雨降って地固まる(最終回)
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◆◆◆
刈谷が動いてくれたお陰で、裕之の母親は逮捕され、実刑判決を受けた。
勿論、裕之を買った客もだ。
これでしばらくは居なくなるだろうが、初犯でまだ1回だけだ。
児童福祉法違反は最近罰則が厳しくなっている。
執行猶予はつかねぇだろうが、そう長い間服役する事ぁねーだろう。
裕之は落ち込んでいたが、それは母親の事じゃなく、ウリをやらされた事がショックだったからだ。
俺のマンションに初めて来た時、部屋の中を見回して『俺、ここに住みたい』と呟いた。
刈谷は『おお、一緒に住め』と簡単に言ったが、母親が逮捕されたばっかしで、それはマズいだろう。
第一、俺は……キスはしたが、もし裕之に求められたら、やっちまいそうな気がする。
それが怖ぇ。
それよりも、俺はまだやらなきゃいけねぇ事がある。
まず親父にひと通り事情を説明した。
親父は『わかった』と言って頷き、説教じみた事は言わなかったが、代わりに『お前の気の済むようにやれ』と、そう言ってくれた。
それから数日後、夜まで待って裕之の家に行き、裕之の親父と話をした。
「あいつがあんな事になって、大恥をかいた」
応接間のソファーで向かい合って話をしたが、父親は開口一番に恥だと言った。
俺は頭にきた。
「世間体なんかどうでもいい、裕之はウリをやらされたんだ、あんたはどうも思わねぇのか?」
「そりゃ……可哀想だとは思う、ただ、これが女の子ならヤバい、妊娠する可能性があるからな、男の場合、そこまで心配する必要がない」
こいつもどこかイカレてる。
「そういう問題じゃねー、男女は関係ねーだろ、我が子がひでぇ目にあったんだ、買った男に対してぶん殴ってやりてぇとか、思わねーのか?」
「いや、それは……、裕之にカウンセリングが必要なら受けさせる」
なんなんだ? まるで他人事じゃねーか。
「あんたな……、母親共々親としちゃ終わってる」
裕之は俺の隣に座っているが、俯いて膝を握り締めている。
「ああ、そうかもしれん、俺も元妻も……互いに勝手な事をして生きてきた、子供ができたのも作ろうと思ってたわけじゃない、それでもあいつは……女の子が欲しいと言った、俺はどっちでもよかったが、いざ生まれてみれば男だった、妻は酷く落胆していた、俺は結婚して家庭を持つという事を望んでたわけじゃない、だから……子育ては妻に任せた」
この父親は子供に対して無気力だ。
関心が薄いと言ってもいいだろう。
「あのな、お父さんよー、人間ってやつは生みっぱなしってわけにゃいかねぇ、オギャーと生まれ落ちて、1番最初に見るのは親の面だ、で、食いもんを与えられ、下の世話を受けなきゃ死んじまう、非力な存在だ、だからよ、親側がどんな気持ちで育てようが、子供は当たり前に親に懐く、例えどんな親だろうが、親に愛されてぇと思うんだ、できた親ならしっかりと可愛がるだろう、けど、あんたらは違った、成り行きでガキを持ったはいいが、親なら当然ある筈の愛情ってやつが乏しい、そんなんだから、ウリをやってもいいだとか、馬鹿な事を許可したんだろう、違うか?」
俺はガキを持った事はねーが、その辺りは身に染みてわかってる。
ちょいと説教してやった。
「仰る通りです、葛西さん、あんたはできた人だ、裕之は組に入りたいと言ってるが、どうかよろしくお願いします」
ところが、父親はとんでもねー事を言う。
「はあ? 何言ってやがる、あんた、正気か?」
我が子がヤクザになりてぇって言って、すんなりOKした上に、組員に頼み込む親なんざ、聞いた事がねー。
「葛西さん! いいんです、父さんは学費は出してくれるって言った、俺はそれだけで十分です」
すると、裕之が声を張り上げて言ってきた。
「裕之……、お前」
駄目な両親のわりには、できたガキだ。
「俺、中学を卒業したら部屋住みします、だから本当に……葛西さん、よろしくお願いします」
裕之は全部分かって言っている。
これ以上父親を叱ったところで、意味がねー。
「そうか……、ああ、わかった、もういっぺん親父に話をする」
親父にはガチでうちに入るつもりだと、改めて話をしておこう。
「はい……、すみません」
父親との話し合いはそれで終わった。
俺は裕之に見送られて帰途に着いたが、裕之は傷ついてる。
あの父親には裕之を癒す事は無理だ。
裕之に、当面は毎日電話すると言っておいた。
◇◇◇
季節は本格的な冬に入ってきた。
俺は約束した通りに毎日電話をかけ、会える時は会いに行った。
カシラは裕之がウリを強制されたと聞いて、会いたいとは言わなくなった。
普段は我儘な人だが、思いやる気持ちってやつは持ってるらしい。
今日は田西と一緒に動いてるが、奴には真っ先に話したから、一連の流れは知っている。
「兄貴、裕之はまた試験で早く帰るんすよね?」
「ああ、らしいな」
「っとー、俺がいたら邪魔になる、2人きりでマンションでゆっくりしたらどうっすか?」
田西は変に気を利かせる。
「いや、別にお前がいてもいいだろう」
「ええ、俺は裕之の事、可愛いって思いますよ、ただ、裕之はやっぱり兄貴に惚れてる、だから、2人きりで会いたいと思うんす、ウリの事でショックを受けてるなら、2人きりで会う方が癒し効果があがると思うんで」
「うーん、そうか……」
確かに、そうかもしれねー。
田西と2人で、回るところを全部回り、昼過ぎにひとりで裕之を迎えに行った。
家の前に着いたら、隣に乗せてまっすぐにマンションへ向かったが、やたら嬉しそうにしている。
「やった、へへっ、葛西さんの家に行ける」
「そんなに嬉しいか? なんにもねーぞ」
「そんなのは関係ない」
「そうか……」
ワクワクする裕之を見たら、キスした時の事が蘇り……一抹の不安がよぎった。
俺は今でもノーマル、ストレートだと思っている。
刈谷みてぇにイケメンを見て欲情する事はねーし、ゲイビをみたいとも思わねー。
なのに、裕之に見つめられると、ムラムラとした衝動がわき起こる。
自分でもこのムラムラがよくわからねー。
多分、もう間違いなく、裕之にがっつり惚れている。
ただの可愛らしいガキは、俺の一番大事なもんになっちまった。
マンションに到着し、裕之を部屋に招き入れた。
おかしな話だが、俺は女を連れ込んだ時と同じ高揚感を覚えていた。
部屋に入ってソファーに座るように促したら、裕之はいきなり抱きついてきた。
「こ、こら……」
爆弾を抱えた状態で、着火するような真似をされちゃ、マズいにもほどがある。
「葛西さん、抱いてください」
「え……」
裕之は胸板に顔を埋めて言ってきた。
やっべー、心臓バクバクで、ナニが反応しちまう。
「俺、知らないおじさんにやられた、お尻を綺麗にして、ベッドの上に連れて行かれて、体中を触られた」
裕之は自分から語り始めたが……。
「お、おう……」
辛い気持ちは吐き出した方がいい。
「キスされて、乳首を吸われたりした、それに……あそこも、気持ち悪かったけど、俺、おじさんにチンコをしゃぶられて、気持ちよくなって……射精したんです」
「ああ……」
相手がジジイだとしても、そりゃ……そうなっちまうだろう。
「おじさんは俺が出したのを飲んだ、その後でお尻を……、恥ずかしい格好をさせられて、おじさんはアナルを舐めた、凄く変な感じだった、それで指を入れたんです」
「お、おう……」
いよいよだ。
「アナルを慣らすとか言ってました、俺は目を瞑って我慢するしかなくて、おじさんはやりたいようにやりました、で、少しして……ヌルヌルしたローションをアナルとチンコに塗って、俺の中にチンコを入れてきました」
「おお……」
「お尻の中に異物が入る感じで、苦しかった、でもおじさんは興奮してたみたいで、俺の足を抱えてチンコを出し入れした、俺、うんこを漏らしそうな感じがして、やめてって頼んだけど、おじさんは俺にかぶさってキスをしてきた」
「あ、ああ……」
俺は返事をする事しかできないが、不謹慎な事に……ナニが勃ってきやがった。
「舌を入れてきて気持ち悪かった、おじさんはキスをやめて耳元で『出すよ』って言った、『おじさんはポジじゃないからね、中に出しても大丈夫だ、裕之君、おじさんが君に初めて種付けする、いっぱい出すから受け取って』って、そう言った後にグイッと腰を突き出した、お腹の中におじさんの精液が出てる、なんとなくそう感じました、だって……アナルからビクビクするのが伝わってくるから……、俺、ショックだった、初めては葛西さんが良かったのに、あんなおじさんにやられて……、悔しかった」
どうやら話は終わったようだが、そんな時に俺の事を考えてたとか……堪らなくなる。
「そうか、やな事は忘れろ……」
裕之を抱き締めて言った。
「忘れさせてください、葛西さんに抱かれたら、きっと忘れられる」
そしたら、切ねぇ事を言って頼んでくる。
「それは……その」
ナニはやる気満々になっているが、OKしていいものか戸惑った。
裕之は昔抱いたガキとは違う。
俺はどう足掻いても、こいつの事が好きだ。
だが、しかし……。
「ここ、勃ってる」
苦悩していると、いきなり股間を握ってきやがった。
「うっ、お前……」
やっぱりマセガキだ。
「えへへっ、俺、やり方わかったし、お尻綺麗にします、ほんとの事言ったら……そのつもりで用意してきました、だから……抱いて欲しい」
俺を見上げて悪戯っぽく笑ったが、そのつもりだったとバラし、なんとも言えねぇ色香を振り撒いている。
ガキの癖に、いっちょ前に誘いをかけてきやがる。
「そこまで言うなら抱いてやる、その代わり……途中でやめてくれって逃げ出すなよ」
据え膳食わぬは男の恥だ。
こうなりゃ、やってやろうじゃねーの。
俺はシャワーを浴びてベッドで裕之を待った。
少しして、裕之は腰タオル姿でやってきた。
はしゃいでベッドに上がってきたが、ガキのふりをしても無駄だ。
大人をからかったら、ただじゃすまねー。
裕之を抱き締めてキスをした。
もう止まらねー。
いつか抱いたガキは、ただ突っ込んだだけだったが、裕之には女にやるのと同じように愛撫をした。
「あっ、あん……」
そしたら女みてぇな喘ぎ声を漏らしたが、中性的な見た目をしてるから違和感はない。
俺は昂る気持ちに従い、白い肌に舌を這わせ、体中を弄った。
そしていよいよ合体する時がきたが、ゆっくりと痛くねーように中に入れていった。
「ん、んんう、か、葛西……さん」
すると、裕之は苦しげに俺を呼ぶ。
「どうした、いてぇか?」
「ち、違う……、すげー、気持ちいい」
「えっ……」
まだ2回目なのに気持ちいいって、どういう事だ?
不思議に思ったが、ナニはギチギチのアナルに食いつかれている。
根元まで入れて裕之の上にかぶさった。
「はあ、きついな」
頭を抱き込んでみたが、ナニはすぐにでもいっちまいそうだ。
「やっと……葛西さんとひとつになれた」
裕之は感動しているが……。
「やっべぇ、キツキツだからよ、もう出ちまう」
ここんとこ抜いてねーし、もうもたねぇ。
「種付けしてください、俺の中を葛西さんの精液で綺麗にして欲しい」
「ああ、じゃイクぞ」
小さな体をしっかりと抱いて腰を動かしたら、ギチギチな肉穴が絡み付いてくる。
「あっ……」
2、3度擦っただけで出ちまった。
「んん、はぁ、はぁ、出てる、中に……、葛西さん、好き、もっと……」
裕之はうっとりとした面で口走ったが……マジでエロすぎだろ。
「このっ、全部出してやる」
淫乱な女のように背中にしがみついて欲しがり、俺は繰り返し突いて溜まったやつを全部出してやった。
「んんう、いい、めちゃくちゃいい……、キスして」
裕之は首に絡みついて誘ってくる。
快楽の余韻に溺れ、柔らかな唇を貪るように吸った。
後悔なんかどこにもねー。
俺はこいつが好きだ。
……だから抱いた。
全てが終わった時、裕之は俺の背中を抱いていたが、ガキみてぇな面をしてる癖に、その表情はやたら艶を帯びている。
満たされた面で息を乱しているが、俺は遂に禁断のエリアに足を踏み入れちまった。
「あーあ、とうとうやっちまった……」
こうなった事は自分なりに納得しているが、そっち側に行っちまった事がちょいひっかかる。
「これで、やな事を忘れられる、ありがとう」
裕之はケロッとした顔で礼を言ってきた。
「そりゃまぁー、それならよかった」
傷が癒えたなら、良かったというべきだろう。
「ほら、やっぱり優しい、葛西さんはいいヤクザだ」
……と、今度はしたり顔で言った。
「あのな……、そうくるか?」
こいつは会った時のまんま、なにも変わっちゃいねぇ。
「えへへっ、俺、今超幸せ」
俺の腕の中ですげー嬉しそうに笑ったが、これがヤバい。
この屈託のねー笑顔……俺はこれにやられちまった。
刈谷が動いてくれたお陰で、裕之の母親は逮捕され、実刑判決を受けた。
勿論、裕之を買った客もだ。
これでしばらくは居なくなるだろうが、初犯でまだ1回だけだ。
児童福祉法違反は最近罰則が厳しくなっている。
執行猶予はつかねぇだろうが、そう長い間服役する事ぁねーだろう。
裕之は落ち込んでいたが、それは母親の事じゃなく、ウリをやらされた事がショックだったからだ。
俺のマンションに初めて来た時、部屋の中を見回して『俺、ここに住みたい』と呟いた。
刈谷は『おお、一緒に住め』と簡単に言ったが、母親が逮捕されたばっかしで、それはマズいだろう。
第一、俺は……キスはしたが、もし裕之に求められたら、やっちまいそうな気がする。
それが怖ぇ。
それよりも、俺はまだやらなきゃいけねぇ事がある。
まず親父にひと通り事情を説明した。
親父は『わかった』と言って頷き、説教じみた事は言わなかったが、代わりに『お前の気の済むようにやれ』と、そう言ってくれた。
それから数日後、夜まで待って裕之の家に行き、裕之の親父と話をした。
「あいつがあんな事になって、大恥をかいた」
応接間のソファーで向かい合って話をしたが、父親は開口一番に恥だと言った。
俺は頭にきた。
「世間体なんかどうでもいい、裕之はウリをやらされたんだ、あんたはどうも思わねぇのか?」
「そりゃ……可哀想だとは思う、ただ、これが女の子ならヤバい、妊娠する可能性があるからな、男の場合、そこまで心配する必要がない」
こいつもどこかイカレてる。
「そういう問題じゃねー、男女は関係ねーだろ、我が子がひでぇ目にあったんだ、買った男に対してぶん殴ってやりてぇとか、思わねーのか?」
「いや、それは……、裕之にカウンセリングが必要なら受けさせる」
なんなんだ? まるで他人事じゃねーか。
「あんたな……、母親共々親としちゃ終わってる」
裕之は俺の隣に座っているが、俯いて膝を握り締めている。
「ああ、そうかもしれん、俺も元妻も……互いに勝手な事をして生きてきた、子供ができたのも作ろうと思ってたわけじゃない、それでもあいつは……女の子が欲しいと言った、俺はどっちでもよかったが、いざ生まれてみれば男だった、妻は酷く落胆していた、俺は結婚して家庭を持つという事を望んでたわけじゃない、だから……子育ては妻に任せた」
この父親は子供に対して無気力だ。
関心が薄いと言ってもいいだろう。
「あのな、お父さんよー、人間ってやつは生みっぱなしってわけにゃいかねぇ、オギャーと生まれ落ちて、1番最初に見るのは親の面だ、で、食いもんを与えられ、下の世話を受けなきゃ死んじまう、非力な存在だ、だからよ、親側がどんな気持ちで育てようが、子供は当たり前に親に懐く、例えどんな親だろうが、親に愛されてぇと思うんだ、できた親ならしっかりと可愛がるだろう、けど、あんたらは違った、成り行きでガキを持ったはいいが、親なら当然ある筈の愛情ってやつが乏しい、そんなんだから、ウリをやってもいいだとか、馬鹿な事を許可したんだろう、違うか?」
俺はガキを持った事はねーが、その辺りは身に染みてわかってる。
ちょいと説教してやった。
「仰る通りです、葛西さん、あんたはできた人だ、裕之は組に入りたいと言ってるが、どうかよろしくお願いします」
ところが、父親はとんでもねー事を言う。
「はあ? 何言ってやがる、あんた、正気か?」
我が子がヤクザになりてぇって言って、すんなりOKした上に、組員に頼み込む親なんざ、聞いた事がねー。
「葛西さん! いいんです、父さんは学費は出してくれるって言った、俺はそれだけで十分です」
すると、裕之が声を張り上げて言ってきた。
「裕之……、お前」
駄目な両親のわりには、できたガキだ。
「俺、中学を卒業したら部屋住みします、だから本当に……葛西さん、よろしくお願いします」
裕之は全部分かって言っている。
これ以上父親を叱ったところで、意味がねー。
「そうか……、ああ、わかった、もういっぺん親父に話をする」
親父にはガチでうちに入るつもりだと、改めて話をしておこう。
「はい……、すみません」
父親との話し合いはそれで終わった。
俺は裕之に見送られて帰途に着いたが、裕之は傷ついてる。
あの父親には裕之を癒す事は無理だ。
裕之に、当面は毎日電話すると言っておいた。
◇◇◇
季節は本格的な冬に入ってきた。
俺は約束した通りに毎日電話をかけ、会える時は会いに行った。
カシラは裕之がウリを強制されたと聞いて、会いたいとは言わなくなった。
普段は我儘な人だが、思いやる気持ちってやつは持ってるらしい。
今日は田西と一緒に動いてるが、奴には真っ先に話したから、一連の流れは知っている。
「兄貴、裕之はまた試験で早く帰るんすよね?」
「ああ、らしいな」
「っとー、俺がいたら邪魔になる、2人きりでマンションでゆっくりしたらどうっすか?」
田西は変に気を利かせる。
「いや、別にお前がいてもいいだろう」
「ええ、俺は裕之の事、可愛いって思いますよ、ただ、裕之はやっぱり兄貴に惚れてる、だから、2人きりで会いたいと思うんす、ウリの事でショックを受けてるなら、2人きりで会う方が癒し効果があがると思うんで」
「うーん、そうか……」
確かに、そうかもしれねー。
田西と2人で、回るところを全部回り、昼過ぎにひとりで裕之を迎えに行った。
家の前に着いたら、隣に乗せてまっすぐにマンションへ向かったが、やたら嬉しそうにしている。
「やった、へへっ、葛西さんの家に行ける」
「そんなに嬉しいか? なんにもねーぞ」
「そんなのは関係ない」
「そうか……」
ワクワクする裕之を見たら、キスした時の事が蘇り……一抹の不安がよぎった。
俺は今でもノーマル、ストレートだと思っている。
刈谷みてぇにイケメンを見て欲情する事はねーし、ゲイビをみたいとも思わねー。
なのに、裕之に見つめられると、ムラムラとした衝動がわき起こる。
自分でもこのムラムラがよくわからねー。
多分、もう間違いなく、裕之にがっつり惚れている。
ただの可愛らしいガキは、俺の一番大事なもんになっちまった。
マンションに到着し、裕之を部屋に招き入れた。
おかしな話だが、俺は女を連れ込んだ時と同じ高揚感を覚えていた。
部屋に入ってソファーに座るように促したら、裕之はいきなり抱きついてきた。
「こ、こら……」
爆弾を抱えた状態で、着火するような真似をされちゃ、マズいにもほどがある。
「葛西さん、抱いてください」
「え……」
裕之は胸板に顔を埋めて言ってきた。
やっべー、心臓バクバクで、ナニが反応しちまう。
「俺、知らないおじさんにやられた、お尻を綺麗にして、ベッドの上に連れて行かれて、体中を触られた」
裕之は自分から語り始めたが……。
「お、おう……」
辛い気持ちは吐き出した方がいい。
「キスされて、乳首を吸われたりした、それに……あそこも、気持ち悪かったけど、俺、おじさんにチンコをしゃぶられて、気持ちよくなって……射精したんです」
「ああ……」
相手がジジイだとしても、そりゃ……そうなっちまうだろう。
「おじさんは俺が出したのを飲んだ、その後でお尻を……、恥ずかしい格好をさせられて、おじさんはアナルを舐めた、凄く変な感じだった、それで指を入れたんです」
「お、おう……」
いよいよだ。
「アナルを慣らすとか言ってました、俺は目を瞑って我慢するしかなくて、おじさんはやりたいようにやりました、で、少しして……ヌルヌルしたローションをアナルとチンコに塗って、俺の中にチンコを入れてきました」
「おお……」
「お尻の中に異物が入る感じで、苦しかった、でもおじさんは興奮してたみたいで、俺の足を抱えてチンコを出し入れした、俺、うんこを漏らしそうな感じがして、やめてって頼んだけど、おじさんは俺にかぶさってキスをしてきた」
「あ、ああ……」
俺は返事をする事しかできないが、不謹慎な事に……ナニが勃ってきやがった。
「舌を入れてきて気持ち悪かった、おじさんはキスをやめて耳元で『出すよ』って言った、『おじさんはポジじゃないからね、中に出しても大丈夫だ、裕之君、おじさんが君に初めて種付けする、いっぱい出すから受け取って』って、そう言った後にグイッと腰を突き出した、お腹の中におじさんの精液が出てる、なんとなくそう感じました、だって……アナルからビクビクするのが伝わってくるから……、俺、ショックだった、初めては葛西さんが良かったのに、あんなおじさんにやられて……、悔しかった」
どうやら話は終わったようだが、そんな時に俺の事を考えてたとか……堪らなくなる。
「そうか、やな事は忘れろ……」
裕之を抱き締めて言った。
「忘れさせてください、葛西さんに抱かれたら、きっと忘れられる」
そしたら、切ねぇ事を言って頼んでくる。
「それは……その」
ナニはやる気満々になっているが、OKしていいものか戸惑った。
裕之は昔抱いたガキとは違う。
俺はどう足掻いても、こいつの事が好きだ。
だが、しかし……。
「ここ、勃ってる」
苦悩していると、いきなり股間を握ってきやがった。
「うっ、お前……」
やっぱりマセガキだ。
「えへへっ、俺、やり方わかったし、お尻綺麗にします、ほんとの事言ったら……そのつもりで用意してきました、だから……抱いて欲しい」
俺を見上げて悪戯っぽく笑ったが、そのつもりだったとバラし、なんとも言えねぇ色香を振り撒いている。
ガキの癖に、いっちょ前に誘いをかけてきやがる。
「そこまで言うなら抱いてやる、その代わり……途中でやめてくれって逃げ出すなよ」
据え膳食わぬは男の恥だ。
こうなりゃ、やってやろうじゃねーの。
俺はシャワーを浴びてベッドで裕之を待った。
少しして、裕之は腰タオル姿でやってきた。
はしゃいでベッドに上がってきたが、ガキのふりをしても無駄だ。
大人をからかったら、ただじゃすまねー。
裕之を抱き締めてキスをした。
もう止まらねー。
いつか抱いたガキは、ただ突っ込んだだけだったが、裕之には女にやるのと同じように愛撫をした。
「あっ、あん……」
そしたら女みてぇな喘ぎ声を漏らしたが、中性的な見た目をしてるから違和感はない。
俺は昂る気持ちに従い、白い肌に舌を這わせ、体中を弄った。
そしていよいよ合体する時がきたが、ゆっくりと痛くねーように中に入れていった。
「ん、んんう、か、葛西……さん」
すると、裕之は苦しげに俺を呼ぶ。
「どうした、いてぇか?」
「ち、違う……、すげー、気持ちいい」
「えっ……」
まだ2回目なのに気持ちいいって、どういう事だ?
不思議に思ったが、ナニはギチギチのアナルに食いつかれている。
根元まで入れて裕之の上にかぶさった。
「はあ、きついな」
頭を抱き込んでみたが、ナニはすぐにでもいっちまいそうだ。
「やっと……葛西さんとひとつになれた」
裕之は感動しているが……。
「やっべぇ、キツキツだからよ、もう出ちまう」
ここんとこ抜いてねーし、もうもたねぇ。
「種付けしてください、俺の中を葛西さんの精液で綺麗にして欲しい」
「ああ、じゃイクぞ」
小さな体をしっかりと抱いて腰を動かしたら、ギチギチな肉穴が絡み付いてくる。
「あっ……」
2、3度擦っただけで出ちまった。
「んん、はぁ、はぁ、出てる、中に……、葛西さん、好き、もっと……」
裕之はうっとりとした面で口走ったが……マジでエロすぎだろ。
「このっ、全部出してやる」
淫乱な女のように背中にしがみついて欲しがり、俺は繰り返し突いて溜まったやつを全部出してやった。
「んんう、いい、めちゃくちゃいい……、キスして」
裕之は首に絡みついて誘ってくる。
快楽の余韻に溺れ、柔らかな唇を貪るように吸った。
後悔なんかどこにもねー。
俺はこいつが好きだ。
……だから抱いた。
全てが終わった時、裕之は俺の背中を抱いていたが、ガキみてぇな面をしてる癖に、その表情はやたら艶を帯びている。
満たされた面で息を乱しているが、俺は遂に禁断のエリアに足を踏み入れちまった。
「あーあ、とうとうやっちまった……」
こうなった事は自分なりに納得しているが、そっち側に行っちまった事がちょいひっかかる。
「これで、やな事を忘れられる、ありがとう」
裕之はケロッとした顔で礼を言ってきた。
「そりゃまぁー、それならよかった」
傷が癒えたなら、良かったというべきだろう。
「ほら、やっぱり優しい、葛西さんはいいヤクザだ」
……と、今度はしたり顔で言った。
「あのな……、そうくるか?」
こいつは会った時のまんま、なにも変わっちゃいねぇ。
「えへへっ、俺、今超幸せ」
俺の腕の中ですげー嬉しそうに笑ったが、これがヤバい。
この屈託のねー笑顔……俺はこれにやられちまった。
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