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双子の魔女
封印と解放
しおりを挟むシローネは訝しげに男の声のする方へと視線をやった。この目が見えるようになる?ますます意味が分からない。
「…貴方は、誰なんですか?」
「私かい?人の名前を聞く前に、名乗るのが礼儀というものだがまあ良いだろう。私の名前はジェナイトという。シンダイという国を知っているか?」
「しんだい…?」
聞いた事のない名前だ。困惑するクローディアとシローネに男は首を傾げた。
「知らないか?この国の東側にある国だ。」
「…東側にあるのは、『マテア』という大国です。」
「マテア…?」
今度はその男が首を傾げる番だった。難しい顔をして「マテア、マテア」と呟く。そしてハッとしたように遠くへと目をやった。
「…ああ、なるほど。あの端の蛮国か…。狂った王がいると噂にはなっていたが、それほどだったか。ではシンダイは滅んだか。」
悔恨するように小さく溜息をつき、ジェナイトは一瞬だけ宙に向けて祈った。そして再び双子に目を向けた。
「どうやら此処に閉じ込められている間に国が滅んだらしい。私はその国の兵士だった者だ。」
「滅んだ?兵士?」
「そうだ。我が国の王に内情を探るように命ぜられてやってきたが、ヘマをして捕まってしまってな。両腕を切り落とされてこの地に捨て置かれた。今はこの通り、腕は生えたが。」
「はえ、る…?」
先刻よりクローディアもシローネも、男の言葉はひとつも理解できていない。理解しようとしても、分からないのだ。
男が少女達に見せたその両腕の、肩先から直ぐ下は確かに服がちぎり取られていて、そこから覗く腕の隆起した部分の中程に、線が1本ずつ走っている。まるでそこが切られた箇所だと示すように。
「この空間は閉じられている。だが不思議な事に病や怪我は治る。私の前に封じられていた男は、産まれた頃より患っていた肺の病気が治ったと言っていた。私は自分の腕が生えた事でその話が真実だと分かったが、娘さん達もその内実感できるだろう。」
「…前に封じられていた人、というのは?」
シローネが恐る恐る尋ねた。
「そうだ、その事も教えて置こう。此処はな、誰かが入れば前いた者が出ていく空間だ。」
「出ていく…?」
「入れ違いだな。さっき言っただろう。その内そうなるだろう、と。」
クローディアが心で願った『失せろ』という言葉に対しての言葉。
「わ、私たちはどうなりますか?」
「次の追放者が出るまではこの中だな。何、心配することは無い。最初は不安だと思うが、ここは穏やかな場所だ。何も無いが、時はほぼ止まっている。年をとることも飢えることもないし、怪我をしたってすぐに治る。つまり、死ねないということだがな。」
ジェナイトの言葉に、少女達は息を飲んだ。
「さぁて。お嬢さん達は何を願う?」
「ねがう?」
「なんでも聞いてやろう。」
「どういう事?」
急に問われた言葉に、双子は困惑した。願い事、と突然言われても。しかし、クローディアが心で思ったことが、ジェナイトには聞こえたらしい。
「なるほど。自分達をここに追いやった王族を滅ぼして欲しいか。」
「クロ…!」
「その願い事は私も少し色をつけさしてもらっても良いか?この腕の恩もある事だ。
じわじわと真綿で締付けるように力を少しづつ削いで、最後の王族はここに閉じ込めてやろう。」
「閉じ込める…?」
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