【完結】え、別れましょう?

須木 水夏

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御本人様より



☆お盆休みにて、更新が暫く止まります(*・ω・)*_ _)
読んでくださっている方、いつもありがとうございます(* ᴗ͈ˬᴗ͈)”とても励みになります!













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 しかし、彼女よりもアリエットの方が身長も高く週末の馬乗りで体幹もしっかりしている為、驚きはしたもののさっと身をかわそうとした時。

 アリエットは後ろから引っ張られて踉いた。目の前のナディアが驚きで目を大きく開くのを見ながら、倒れそうになって身を固くしたのだが。
 少女の身体はそのままにぶつかってそのまま止まる。吃驚したアリエットが後ろを振り返ると銀色の髪の下、険しい目でアリエットの前にいる少女を見つめる渦中の人がいた。




「ア、アシェル様…!」




 少女の上擦った声で我に返ったアリエットは、慌てて青年から身体を離そうとしたが出来なかった。
 その理由は、がっちりと彼が少女の両腕を掴んで離さなかったからだ。不思議と触られていることは嫌ではなかったけれど、驚きでアリエットが目を白黒させていると上から声が降ってきた。




「…どういうつもりですか?」



 あら?これは怒っているのでは?何時もよりも声が低いわ。


 アリエットは腕を掴まれている事よりもそっちの方に気を取られた。
 アシェル・ランドーソンは普段誰に対しても喜怒哀楽を表さない、正に無表情にして無感情だ。喋り声も冷静沈着、悪く言えば平坦でその何処にも感情が籠っておらずまるで人形のようだと感じることもしばしば。
 ただ、アリエットに絡む時だけ嫌味になったり辛辣になったりするので、よっぽど自分と反りが合わないのだろうと感じていたし、この一年ほどの関わりで、そういう性格なのだとアリエットは彼のことを分析していた。

 だから、誰かに対して怒りの感情を表しているのを見たのは初めてだった。服越しだったが、両腕に触れている彼の大きな掌は温かくて、そのことを含めアシェルが確かに人間である事を示しているようだった。




「ア、アシェル様、ち、違うのです!悪いのはわたくしではなく、そのアリエットです!」

「…君が彼女に一方的に絡んでいるように見えたが?」

「違います!だ、だってわたくし、アシェル様が心配で…」

「心配?」



 尋ねられたことで勇気を得たのか、ナディアは俯かせていた顔をパッと上げると頬を赤らめながらアシェルを縋るように見た。



「そ、そうなんですの!わたくし、アシェル様がその方に騙されているのではないかと思い心配で…」

(ええ?騙されるとは?私の事どんな風に見えているのよ?)


 心外だわ、とアリエットは些か不愉快な気分になったが黙っていた。



「何故?」

「だ、だって、美しく賢明なアシェル様がその方ばかりにところを何回も見かけましたわ!おかしいです、だって貴方はでございますでしょう?」

「はあ?」



 その言葉に反応したのは、アリエットでもアシェルでもない。背の高い彼の直ぐ後ろに居たためにナディアからもアリエットからも見えていなかった、四人目の人物。そう、リエナであった。


(こちらも、怒っているわね…?)



 平然と癪に触ることを言い、会話をする度に神経を逆撫でするようなところはあるが、アリエットは彼女が怒っているところは今まで一度も見たことがなかった。
 そのリエナが余程怖い顔をしているのか。アリエットの耳に、ヒュッとナディアの喉が鳴る音が聞こえた。その顔色は若干悪くなっているようにも見える。アリエットより見えない位置だが、美人の怒った顔は嘸かし恐ろしいことだろう。




「アシェルが皆のものですって?」

「あ、あの、その…」

「誰がそんな馬鹿げた、気持ちの悪いことを言っているのかしらぁ?」

「え、そ、」

「さっき聞いていた時にはアシェルに嫁ぎたいとまで宣っていたのに、って。しかもアリエット様に牽制までして何がしたいのぉ?」

「……」

「お前如きが我がの隣に居座れると思うの?もしやって来ても私が簡単に潰せるのに?」



 最後の言葉は、いつもの様に間延びした響きはなく、まるで一国の女王のように重く鋭い音をしていて、思わずアリエットも息を飲んだ。
 震えながら、真っ青を通り越して紙のように真っ白な顔色になってしまったナディアは、もう何も言う事ができなかった。視線をあげることも無く、泣きながら走り去っていった。

 その後ろ姿を見ながら、アリエットはリエナの言葉を反芻していた。




(…今、弟って言わなかった?兄じゃなかったの?)



 と。


 嵐のように過ぎ去って行った時間の後に、少し気まずい沈黙が流れ。




「…あの。離していただけます?」

「!」





 アリエットの言葉に、弾かれたようにアシェルの身体が彼女から離れた。
 そのまま少女が振り返ると、銀髪の双子が、一人は気まずそうに、もう一人は薄く笑みを浮かべてこちらを見ていたのだった。









 



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