子猫を拾ったらイケメン幹部補佐ホストもおまけでついてきました

子犬一 はぁて

文字の大きさ
14 / 31

保護猫と保護されたがり人のモーニングルーティーン

しおりを挟む
「ジュジュ……」

 ん。なんだこの匂いは。美味そうな匂いだ……。

 綾人は瞬きをしながら目を開いた。物音はキッチンのほうから聞こえるらしい。部屋の扉を開けると、さらに香ばしい香りが鼻をついた。綾人の腹がぎゅるりと鳴る。

 キッチンに不審者が立ち、フライパンを無心に振っている光景。

 を見た綾人は、軽く目眩がした。

 そうだな。昨日の夜、俺確かに保護したよな。のほうを。この不審者はオマケだったよな。

 子猫はどこかと探してみれば、ツイード柄のソファの上で、うたた寝をしている。今日は仕事は休みだし、近所の動物病院に連れていこう。健康チェックをしてもらって、病気がないか確認しよう。

 白子猫への対処はすぐに浮かんだ。しかし、この保護されたがり人への対処はすぐには思いつかなさそうだった。

「あっ、おはよお」

 フライパンを振る手は止めずに、不審者が綾人に声をかけた。首を後ろに向けて、綾人を見る。この不審者、器用だな。

「おはよう……なにしてんの? 人ん家のキッチン勝手に借りて」

 後ろのほうは半ば嫌味だ。

「なにしてんのって、そりゃモーニングを作ってるんだよ。俺もおにいさんも、ねこたんも腹ぺこだろお」

「子猫のほうは大丈夫だ。こんな日が来る可能性を考えて、子猫と成猫の餌をストックしてある。起きたら後でミルクを飲ませよう」

 「そっかーよかった」と、不審者は笑うと、火を止めてフライパンの中身を丸皿2枚に分けて入れた。

「はーい。できたよう。たべよー」

 子猫の眠るソファの前に、不審者と俺が対面して座る。おい。何でお前がソファの上で、俺が床にクッション置いて座るんだよ。

「はい。いただきます!」

「い、いただきます」

「はい。おたべー」

 男の掴みどころのない空気感に押されて、スプーンを手に取る。そのまま男の作ったチャーハンを口に含んだ。う、おいしい。町中華並みの美味しさだ。空腹のあまり、がつがつと食らいついていると、男は満足そうに笑みを浮かべながら綾人を見つめる。カラコンが入っているのか、少し目の光が多く反射する。世に言うちゅるんカラコンというやつらしい。

「ごちそうさま……」

「はーい」

 綾人は食べ終えた食器を手に取り、キッチンで洗い物を始める。男は自身の皿のチャーハンを完食すると、スマホを触りだして、無音カメラで白い子猫の寝顔の写真を撮っている。

 何してるんだ、こいつ。

 こんなの、いつもの俺のモーニングルーティーンじゃない。

 綾人のモーニングルーティーンは、いつも決まった時間に目を覚まし、コーヒーを飲みつつ、ネットでウェブ新聞を見ながら冷蔵庫に作り置きしてあるサラダチキンを食べる、という流れだ。食後は歯磨きをして、軽く筋トレ。そのあと、朝散歩に出る。

 だが今日は、そんな穏やかな一日を送れそうにない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。  ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!

永川さき
BL
 魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。  ただ、その食事風景は特殊なもので……。  元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師  まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。  他サイトにも掲載しています。

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

処理中です...