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プロローグ
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貴族の子供たちの交流の場として設けられた、お茶会での出来事だ。
ルイスは辟易として交流の輪から外れた。
子供たちは口を開けば自分の親が政治でどの立場か、経済界でどう影響しているか、社交界ではどうなのかの話ばかりである。それで階級をたてて、上階級の子供は威張り、下の階級の子が持ち上げる構図が出来上がっていく。
自分たちのことではない親のことだというのに。
しかし、社会とはそういうものだ。
大人になっても結局親の力で成り上がる者が多い。
愚痴ると両親はこれも社会勉強だといい、ルイスを茶会へと送った。
誰かが口にした件でルイスは我慢の限界で飛び出した。
どうやらいじめの計画を練っているようだ。
ある令嬢が持参する趣味の小説を、奪って嘲笑い捨てようという話だった。
個人の趣味を嘲笑うのはあまり好きになれない。
しかし、止めようにも周りの令息たちに邪魔をされてしまった。
「男爵家程度が、侯爵令嬢に直接意見するな」
まずは間を通して少しずつ侯爵令嬢に近付いていくことが筋だという。
「本来ひんしゅくを買うことだが、ルイスはまだ10歳だから注意程度で済ませてやる」
まるで恩着せがましく言われてしまった。
こうしてルイスの意見はかき消されるのだからたまったものではない。
ルイスはいじめの現場をみて楽しむ趣味は持ち合わせていない。
不貞腐れて、誰もいない庭の方へと逃げた。
庭の奥で空を眺めていると令息がノートを花壇の中へと放り投げるのを目撃した。
ルイスは嫌な表情を浮かべて、令息たちが去った後にノートを拾った。
靴で踏みつけて、お茶をこぼしてボロボロになったノートである。
中をみたらところどころぐちゃぐちゃに握りしめた後や、破られた後があった。
その中でも綺麗に整然と並ぶ文章から持ち主はどれだけ丁寧に書いていったか伝わってくる。
何もすることはないし。
ルイスはノートを開いて、ぐしゃぐしゃのページを伸ばしていった。
その時に文章が目に飛び込んでくる。
「他人のものを勝手にみてはならない」
母にそう教えられたが、ルイスは無意識に文章を目にいれていった。
ひとつの物語を形成していた。
短い小説がいくつか書かれている。
単純な話だが、文章の流れに遊び心がみられる。
妙に語呂がよく、つい口ずさんでしまいそうになった。
「あの」
声をかけられた。
自分より年上の黒髪の少女。
自信がなさげにみえてしまうのは前髪で目が隠れてしまったからだろう。
綺麗にセットされていただろうが、ひどく慌てて髪がぐしゃぐしゃになったようだ。
わずかにのぞく下瞼が赤くなっていた。
(いじめられていた子だ)
ルイスはどうしようと思った。
もしかしたらノートを奪ってこんなことをしたのはルイスだと思われたかもしれない。
「それ、私の」
少女はおずおずと呟く。
「ああ、ごめん。拾ってぐしゃぐしゃで……なおそうとしたら勝手に読んでしまった」
言い訳にみえただろうか。
「ううん、ありがとう」
少女は小説ノートを受け取り安心した表情を浮かべた。
ルイスはいじめていた子たちとは違うとわかったのだろうか。
「ねえ、君が書いたの?」
尋ねたら少女は恥ずかしそうにこくりと頷いた。
「すごいね。面白かったよ。作家になれるね」
語彙力のない中でいう感想でルイスは困った。
風がさぁっと吹き荒れて髪を撫でる。
目にゴミが入りそうで瞼を閉じて薄めでみてみると少女は嬉しそうに笑っていた。
散々なお茶会だったけど、少しでも気持ちが落ち着いてくれたらいいな。
そう思いながらルイスはその場を離れた。
ルイスは辟易として交流の輪から外れた。
子供たちは口を開けば自分の親が政治でどの立場か、経済界でどう影響しているか、社交界ではどうなのかの話ばかりである。それで階級をたてて、上階級の子供は威張り、下の階級の子が持ち上げる構図が出来上がっていく。
自分たちのことではない親のことだというのに。
しかし、社会とはそういうものだ。
大人になっても結局親の力で成り上がる者が多い。
愚痴ると両親はこれも社会勉強だといい、ルイスを茶会へと送った。
誰かが口にした件でルイスは我慢の限界で飛び出した。
どうやらいじめの計画を練っているようだ。
ある令嬢が持参する趣味の小説を、奪って嘲笑い捨てようという話だった。
個人の趣味を嘲笑うのはあまり好きになれない。
しかし、止めようにも周りの令息たちに邪魔をされてしまった。
「男爵家程度が、侯爵令嬢に直接意見するな」
まずは間を通して少しずつ侯爵令嬢に近付いていくことが筋だという。
「本来ひんしゅくを買うことだが、ルイスはまだ10歳だから注意程度で済ませてやる」
まるで恩着せがましく言われてしまった。
こうしてルイスの意見はかき消されるのだからたまったものではない。
ルイスはいじめの現場をみて楽しむ趣味は持ち合わせていない。
不貞腐れて、誰もいない庭の方へと逃げた。
庭の奥で空を眺めていると令息がノートを花壇の中へと放り投げるのを目撃した。
ルイスは嫌な表情を浮かべて、令息たちが去った後にノートを拾った。
靴で踏みつけて、お茶をこぼしてボロボロになったノートである。
中をみたらところどころぐちゃぐちゃに握りしめた後や、破られた後があった。
その中でも綺麗に整然と並ぶ文章から持ち主はどれだけ丁寧に書いていったか伝わってくる。
何もすることはないし。
ルイスはノートを開いて、ぐしゃぐしゃのページを伸ばしていった。
その時に文章が目に飛び込んでくる。
「他人のものを勝手にみてはならない」
母にそう教えられたが、ルイスは無意識に文章を目にいれていった。
ひとつの物語を形成していた。
短い小説がいくつか書かれている。
単純な話だが、文章の流れに遊び心がみられる。
妙に語呂がよく、つい口ずさんでしまいそうになった。
「あの」
声をかけられた。
自分より年上の黒髪の少女。
自信がなさげにみえてしまうのは前髪で目が隠れてしまったからだろう。
綺麗にセットされていただろうが、ひどく慌てて髪がぐしゃぐしゃになったようだ。
わずかにのぞく下瞼が赤くなっていた。
(いじめられていた子だ)
ルイスはどうしようと思った。
もしかしたらノートを奪ってこんなことをしたのはルイスだと思われたかもしれない。
「それ、私の」
少女はおずおずと呟く。
「ああ、ごめん。拾ってぐしゃぐしゃで……なおそうとしたら勝手に読んでしまった」
言い訳にみえただろうか。
「ううん、ありがとう」
少女は小説ノートを受け取り安心した表情を浮かべた。
ルイスはいじめていた子たちとは違うとわかったのだろうか。
「ねえ、君が書いたの?」
尋ねたら少女は恥ずかしそうにこくりと頷いた。
「すごいね。面白かったよ。作家になれるね」
語彙力のない中でいう感想でルイスは困った。
風がさぁっと吹き荒れて髪を撫でる。
目にゴミが入りそうで瞼を閉じて薄めでみてみると少女は嬉しそうに笑っていた。
散々なお茶会だったけど、少しでも気持ちが落ち着いてくれたらいいな。
そう思いながらルイスはその場を離れた。
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