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第一章 国家消滅
第4話 落胆
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俺は近くの都市へ移動し、魔導列車の臨時便に乗り込むと一度も停まることなく王都に到着した。
「す、すげぇ……」
思わず俺は車内から見える光景に驚嘆し、陳腐な感想しか述べられなかった。別に近代的な建物が在るわけではない。凡そ中世の建物をベースとして造られた構造に圧倒された。神秘的な、とでも言い換えればいいのか、俺の心は躍った。
加えて魔導列車の特徴は速度だ。とにかく直線が多い為、速度を上げて進む。
「さあ降りましょう、中尉殿」
「ああ、そうだね。レイ准尉」
八時間という時間は、俺とレイの理解を深めることに十分だった。このやり取りも自然と出来る様になっていた。
俺は真新しい軍服に着替え階級章を付け、先頭で列車を降りる。すると圧倒させる王都の雰囲気に言葉を失う。車内からは伺い知れない空気が俺に追い打ちを掛けた。その間に護衛として付き従った二人はレイと言葉をいくつか交わすと俺に敬礼して立ち去っていた。いた、と言うのはレイから聞いたのだ。
「では参りましょうか、中尉殿。中尉殿……?」
「あ、ああ。そうだね。じゃあ頼むよ」
「承知致しました」
レイの先導に付き従い俺は歩く。すると、頭を下げる者、直立不動で敬礼する者、俺を見て示す態度が異なるが軍服と階級章に敬意を示しているのは言うまでもない。
それも当然だ。此処は王都でも中心のターミナルだ。一般国民の多くもこの駅を使う。
「な、慣れないな……」
「すぐに、とは申しませんが慣れていただかなくてはなりません」
「わかったよ」
そう話しながらも似た様なことが繰り返されたことで、俺は多少気疲れしながら用意された車へと乗りこんだ。
行先は中央参謀部と告げられた。
「これが王都か……」
まんま中世とモダンを融合した街並みは見事としか言うことがなかった。俺は子供の如く窓に張り付きその街並みを眺める。
「中尉殿のご出身は確か……」
「ああ、辺境の村だよ。それも俺が子供のころ帝国からの侵攻で滅ぼされてね」
「申し訳ございません……」
俺の言葉にレイは済まなさそうに答えるが、大したことはない。これは王国内ではよくあることなのだから……
「フッ……」
「?」
思わず俺はそう思うとつくづくこの世界に染まったものだと思ってしまった。それを不思議そうに思った彼は首を傾げた。おい、それは女性がやるからこそ似合うのだぞ、とは死んでも言えない
「いや、辺境やその後の村を思うと王都との差がね……」
何とかありきたりな回答に徹し違和感のない流れを作る。
「中央でもその事について憂慮しています。ですが、レイブル王国は広大です。予算を考えるとどうしても……」
レイはその後の言葉を濁した。それは分かる。辺境の村々はイラバニア帝国に接し、いつ起こるかわからない紛争で滅ぼされることが予想される。ならばそこにはあまり予算を掛けず別の場所に使うのが有効であると。
「レイの言いたいことはわかるよ」
「中尉殿は物分かりが良すぎではありませんか。普通、そこに至るまでの不満や憤りなどあるというものですが……」
「年相応には見えない?」
「正直に言えば……」
「まあそうなるのが生きる為、だったのかもしれないな……」
「そうでしたか……」
ちょっと感傷的に答えると彼はバツの悪そうな表情を浮かべた。そのあとは言葉を交わすような雰囲気ではなく目的地に到着した。
俺たちは車を降りるとすぐさま出迎えがやってきた。
「やあ、待たせたかな」
そう言って俺たちを出迎えたのは長身で、いかにもジェントルマンなナイスミドルだった。確実にモテル男であるのは間違いない。
「レイム閣下!」
レイの言葉と共に敬礼俺も後に続く。見ればレイム閣下の階級は少将だった。
「君がユウスケ中尉か……」
「はっ、ユウスケ中尉であります!」
俺が元気に答えるとレイム閣下は大きく二度三度と頷いた。
「まずは私の部屋に行こうか。ここではなんなのでな……」
レイムの言葉に周囲を見渡せばこの場にいる三人に視線が集中していたのに二人は気付く。
「はっ!」
その後、三人は中央参謀部の三階にある一室へと移動し、一息つくことが出来た。
「ふぅ、まったく此処に居る者ときたら戦時中だというのに……」
お茶を自らで用意したレイムは俺たちに振舞う。彼は俺の前の席に腰掛ける。
空気を読んだ俺はレイムがお茶に口を着けるのを待ち漸く一口飲む。口を付けた瞬間、経験のない味わいが俺を襲った。
「お、美味しい……」
「そうだろう。この茶葉は王都でも高級品の部類でね。私でもそう手に入らんのだよ」
「へぇー」
このお茶によって俺は幾分緊張が解れたの言うまでもない。
「さて、これでようやく話せるね」
レイムはそう述べるとティーカップをテーブルに置いた。俺もそれに合わせて置くとレイムは表情を変えて俺に話し掛ける。
「ようこそ我が部隊へ。貴官を歓迎する」
レイムはそう言うと俺に握手を求め、若干戸惑いながら彼の手を握る。
「よ、よろしくお願いいたします」
「うん。では早速だが貴官は……、ユウスケ中尉は我が部隊について聞かされているかな?」
「反撃の要となる部隊、と聞いております」
「なるほど、要の部隊か……」
その言葉にレイムは顎に手をやり考え始める。
「違うのでありますか?」
「違わなくはないよ。但し、まだ部隊と呼べるものでもないかな……」
「部隊とは呼べない?」
即座に反応したのは俺ではなくレイだった。それに対しレイムの厳しい視線が飛ぶと彼は「失礼しました!」と述べ俺の後ろで再び静かになる。
あっヤバイ……
「レイム閣下、副官が失礼致しました」
「何、驚くのも無理はないよ。彼の疑問はユウスケ中尉も抱いているのだろう?」
俺は無言で頷くとレイムは当然だなという表情で答え始める。
「ホーブル閣下から反撃の要たる部隊とまでは知らされてもどの様なものかは言われなかった。まあ、教える必要はなかったということか……」
Need to knowおそらくこれ故にホーブルは言わなかったのだろう。
「君が加わったことで我が部隊は漸く一個中隊となった」
「い、一個中隊……」
定数が120名だから……
「不安かな?」
やべ、表情に出たか!
「い、いえ。そういうわけでは……」
「構わないよ。ホーブル閣下からあのように聞かされた後だ。そう思うのも仕方がないさ」
レイムはそう述べながら肩を上にあげてお手上げとも言わんばかりのポーズを見せる。
「厳密には部隊だけど、反撃の要と考えるとあまりにも部隊とは言えない。中核の戦力としては見劣りする定員数さ」
レイムが言うと俺とレイは頷いた。
「これでも人数の拡充には積極的なんだよ。ただこの部隊は特殊でね。簡単に人員補充が出来ないのさ」
「もしかして……」
俺はとてつもなく嫌な予感がして問い掛ける。それを嬉しそうに聞くレイムはおそらく腹黒いに違いないと決めつけた。
「もしかして何だい?」
「魔法使用者のみで構成された部隊ということでしょうか……」
俺がそう答えるとレイムは満面の笑みを浮かべ拍手し始めてこう言った。
「大正解だ! ユウスケ中尉、君は察しがいいね!」
俺は思わず天井を見てこう思った。
上層部は馬鹿なのではないか! と……
「す、すげぇ……」
思わず俺は車内から見える光景に驚嘆し、陳腐な感想しか述べられなかった。別に近代的な建物が在るわけではない。凡そ中世の建物をベースとして造られた構造に圧倒された。神秘的な、とでも言い換えればいいのか、俺の心は躍った。
加えて魔導列車の特徴は速度だ。とにかく直線が多い為、速度を上げて進む。
「さあ降りましょう、中尉殿」
「ああ、そうだね。レイ准尉」
八時間という時間は、俺とレイの理解を深めることに十分だった。このやり取りも自然と出来る様になっていた。
俺は真新しい軍服に着替え階級章を付け、先頭で列車を降りる。すると圧倒させる王都の雰囲気に言葉を失う。車内からは伺い知れない空気が俺に追い打ちを掛けた。その間に護衛として付き従った二人はレイと言葉をいくつか交わすと俺に敬礼して立ち去っていた。いた、と言うのはレイから聞いたのだ。
「では参りましょうか、中尉殿。中尉殿……?」
「あ、ああ。そうだね。じゃあ頼むよ」
「承知致しました」
レイの先導に付き従い俺は歩く。すると、頭を下げる者、直立不動で敬礼する者、俺を見て示す態度が異なるが軍服と階級章に敬意を示しているのは言うまでもない。
それも当然だ。此処は王都でも中心のターミナルだ。一般国民の多くもこの駅を使う。
「な、慣れないな……」
「すぐに、とは申しませんが慣れていただかなくてはなりません」
「わかったよ」
そう話しながらも似た様なことが繰り返されたことで、俺は多少気疲れしながら用意された車へと乗りこんだ。
行先は中央参謀部と告げられた。
「これが王都か……」
まんま中世とモダンを融合した街並みは見事としか言うことがなかった。俺は子供の如く窓に張り付きその街並みを眺める。
「中尉殿のご出身は確か……」
「ああ、辺境の村だよ。それも俺が子供のころ帝国からの侵攻で滅ぼされてね」
「申し訳ございません……」
俺の言葉にレイは済まなさそうに答えるが、大したことはない。これは王国内ではよくあることなのだから……
「フッ……」
「?」
思わず俺はそう思うとつくづくこの世界に染まったものだと思ってしまった。それを不思議そうに思った彼は首を傾げた。おい、それは女性がやるからこそ似合うのだぞ、とは死んでも言えない
「いや、辺境やその後の村を思うと王都との差がね……」
何とかありきたりな回答に徹し違和感のない流れを作る。
「中央でもその事について憂慮しています。ですが、レイブル王国は広大です。予算を考えるとどうしても……」
レイはその後の言葉を濁した。それは分かる。辺境の村々はイラバニア帝国に接し、いつ起こるかわからない紛争で滅ぼされることが予想される。ならばそこにはあまり予算を掛けず別の場所に使うのが有効であると。
「レイの言いたいことはわかるよ」
「中尉殿は物分かりが良すぎではありませんか。普通、そこに至るまでの不満や憤りなどあるというものですが……」
「年相応には見えない?」
「正直に言えば……」
「まあそうなるのが生きる為、だったのかもしれないな……」
「そうでしたか……」
ちょっと感傷的に答えると彼はバツの悪そうな表情を浮かべた。そのあとは言葉を交わすような雰囲気ではなく目的地に到着した。
俺たちは車を降りるとすぐさま出迎えがやってきた。
「やあ、待たせたかな」
そう言って俺たちを出迎えたのは長身で、いかにもジェントルマンなナイスミドルだった。確実にモテル男であるのは間違いない。
「レイム閣下!」
レイの言葉と共に敬礼俺も後に続く。見ればレイム閣下の階級は少将だった。
「君がユウスケ中尉か……」
「はっ、ユウスケ中尉であります!」
俺が元気に答えるとレイム閣下は大きく二度三度と頷いた。
「まずは私の部屋に行こうか。ここではなんなのでな……」
レイムの言葉に周囲を見渡せばこの場にいる三人に視線が集中していたのに二人は気付く。
「はっ!」
その後、三人は中央参謀部の三階にある一室へと移動し、一息つくことが出来た。
「ふぅ、まったく此処に居る者ときたら戦時中だというのに……」
お茶を自らで用意したレイムは俺たちに振舞う。彼は俺の前の席に腰掛ける。
空気を読んだ俺はレイムがお茶に口を着けるのを待ち漸く一口飲む。口を付けた瞬間、経験のない味わいが俺を襲った。
「お、美味しい……」
「そうだろう。この茶葉は王都でも高級品の部類でね。私でもそう手に入らんのだよ」
「へぇー」
このお茶によって俺は幾分緊張が解れたの言うまでもない。
「さて、これでようやく話せるね」
レイムはそう述べるとティーカップをテーブルに置いた。俺もそれに合わせて置くとレイムは表情を変えて俺に話し掛ける。
「ようこそ我が部隊へ。貴官を歓迎する」
レイムはそう言うと俺に握手を求め、若干戸惑いながら彼の手を握る。
「よ、よろしくお願いいたします」
「うん。では早速だが貴官は……、ユウスケ中尉は我が部隊について聞かされているかな?」
「反撃の要となる部隊、と聞いております」
「なるほど、要の部隊か……」
その言葉にレイムは顎に手をやり考え始める。
「違うのでありますか?」
「違わなくはないよ。但し、まだ部隊と呼べるものでもないかな……」
「部隊とは呼べない?」
即座に反応したのは俺ではなくレイだった。それに対しレイムの厳しい視線が飛ぶと彼は「失礼しました!」と述べ俺の後ろで再び静かになる。
あっヤバイ……
「レイム閣下、副官が失礼致しました」
「何、驚くのも無理はないよ。彼の疑問はユウスケ中尉も抱いているのだろう?」
俺は無言で頷くとレイムは当然だなという表情で答え始める。
「ホーブル閣下から反撃の要たる部隊とまでは知らされてもどの様なものかは言われなかった。まあ、教える必要はなかったということか……」
Need to knowおそらくこれ故にホーブルは言わなかったのだろう。
「君が加わったことで我が部隊は漸く一個中隊となった」
「い、一個中隊……」
定数が120名だから……
「不安かな?」
やべ、表情に出たか!
「い、いえ。そういうわけでは……」
「構わないよ。ホーブル閣下からあのように聞かされた後だ。そう思うのも仕方がないさ」
レイムはそう述べながら肩を上にあげてお手上げとも言わんばかりのポーズを見せる。
「厳密には部隊だけど、反撃の要と考えるとあまりにも部隊とは言えない。中核の戦力としては見劣りする定員数さ」
レイムが言うと俺とレイは頷いた。
「これでも人数の拡充には積極的なんだよ。ただこの部隊は特殊でね。簡単に人員補充が出来ないのさ」
「もしかして……」
俺はとてつもなく嫌な予感がして問い掛ける。それを嬉しそうに聞くレイムはおそらく腹黒いに違いないと決めつけた。
「もしかして何だい?」
「魔法使用者のみで構成された部隊ということでしょうか……」
俺がそう答えるとレイムは満面の笑みを浮かべ拍手し始めてこう言った。
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