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第 二章 冒険者ギルドとやっぱりのお約束
第 29話 魔物襲撃とやっぱりのお約束①
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「アンタ、大変だよ!今冒険者ギルドから知らせがあって魔物の大群が街に向かって来てるって!どうしよう、早く隠れないと。」
飛び込んで来るなり、大声で叫ぶ女将さん。
「落ち着け!俺が詳しい情報を確認してくる。お前はカイラと店の戸締まりといつでも動けるように準備をしておけ!」
「あいよ!アンタも気を付けておくれよ。」
「おう!」
親父さんはそう言って店を出ていった。
「女将さん、俺もギルドに行って聞いてくるわ。」
「そうかい。アンタも気を付けてお行きなよ。まだ冒険者駆け出しなんだから。無理はしないでね。」
「ああ、ありがとう。」
礼を言い、冒険者ギルドに向かった。
さてこれも異世界のお約束なのか?本当に濃い毎日だよな。
ギルドの中はいつも以上に込み合っていた。まあ魔物が襲撃して来たのだから仕方ないが。余りの混雑で、情報収集出来る状態でない程だ。この後どうするか迷っていると、奥からギルドマスターのゲオルグさんが出て来て大声で話しだした。
「皆、静かにしてくれ。今から魔物の襲撃について説明をする。質問は後にしてくれ。まずは、状況説明をするから。」
と、前置きしてから続けた。
「聞いている者も多いと思うが、今この街に向けて魔物の集団が向かっている。確認出来ている所でゴブリンとオークの集団らしい。
上位種であるジェネラルやリーダーはまだ確認されていないが、集団の規模から居てもおかしくないと思っている。
現在集団は北の森林をこの街に向かって移動している最中だ。およそ一日後には街の北側の平原に確認出来るだろう。
そこで我々冒険者ギルドは、この街リヒトの領主であるリヒト侯爵からの要請で魔物の迎撃に参加する。侯爵家の騎士団が迎撃の中心になるが、ランクD以上については緊急強制依頼だ。迎撃に参加する。断ればギルド資格の剥奪だ。報酬は各人金貨一枚だ。安くて済まんが日頃お世話になっている街の存亡に関わる事だ。皆の協力に期待する。あとランクE以下の者も万が一街なかに入ってきた魔物の迎撃に街の衛兵と共に当たってもらう。
明日朝、北門に集まれ。取り敢えず、この後ランクD以上の者はギルドの訓練場に集まってくれ。まだ、冒険者ギルドに来ていない冒険者がいたら、至急状況を説明して明日の朝には必ずギルドに来るように言ってくれ。以上だ。」
ゲオルグの話が済んだ途端そこかしこで私語か始まったが、ランクの高そうな者達は奥の扉から訓練場にむかった。Eランクの俺は明日北門に集まればいいかと思いギルドから出て行こうとした。
「オオガミお前はこっち来い。」
マスターのゲオルグが大声で俺を呼んだ。周りの視線が集まった。
(おいおい、目立ちたく無いのに、なにしてくれるんだよ。)
知らん顔して行こうかとしたが、
「何処へ行く。お前も迎撃に参加だ。一緒に訓練場に来い。」
「マスター、俺はEランクで最近冒険者になったばかりなんだけどな。」
「お前の腕は俺が良く知っている。腕が立つのに遊ばせておく余裕はない。お前も街の人に世話になっているんだから手を貸せ。」
「まあ確かに。解った。手を貸そう。」
皆と一緒に訓練場へ向かった。
流石に中高ランクの集まりだ。各人グループ毎に集まりマスターの話しを待った。ざっと見て、思ったより魔法使いが少ないな。長期戦になるのを覚悟した方が良さそうだ。
何故なら、戦闘開始直後の魔法使いによる範囲魔法での効果が限られるだろうからだ。その辺をマスターはどうするのかな?お、マスターが来た。
「皆、改めて礼を言う。今数えた所、百八十人程いる。これをABCの三つの班に分ける。現地ではA班をAランク『黒狼の牙』リーダー、ジークが。B班はBランク『西風団』リーダー、ハインツが。C班は俺がリーダーになる。
後方に設置される本部から全体の状況を各リーダーに伝達するので、リーダーは各班を指揮して決して敵に対して突出しないように注意してくれ。
後方本部は回復要員を集めて戦力の回復につとめてくれ。では、班分けするぞ。A班は、・・・」
班毎に冒険者グループや個人の名前を言っていく。C班が終わっても俺の名前はよばれなかった。あれ?って思っていると、マスターがこっちに来て
「お前は俺と一緒だ。」
といわれC班に呼ばれる。どうやら、Cは単身で活動している冒険者が中心のようだ。
「皆集まってくれ。これから俺たちの役割を話す。C班は基本遊撃だ。ABの両方で戦線を固め、状況に応じてC班が援護する形だ。
まず、戦闘開始時に魔法使い達の範囲魔法を使って敵の数を減らす。これを接敵するまで繰り返す。とにかく初撃で、どれだけ数を減らせるかで後が楽になるか決まる。敵正面は侯爵様の騎士団五百が当たる。我々はその左右にA、Bそれぞれが担当する。
明日は朝八時にギルドに集合してくれ。新しく解った情報は朝その時に伝える。あとオオガミ、お前はこの後少し残れ。他は以上だ、解散してくれ。」
他の班も話しは終わったらしく、皆解散していた。
訓練場には俺とマスターのみが残った。俺に近づきながら話し始める。
「悪いな。本来ならEランクのお前は街中で待機してもらい、万が一街に侵入してきた敵の対処をしてもらう所なんだが、お前ほどの腕を遊ばせるのは勿体無いからな。ただ、こちらも無理を頼む訳だから、見返りとして冒険者ランクをCに上げてやる。報酬は他の奴等の手前増やせないがランクなら俺の権限で上げてやれるからな。済まんが、手を貸してもらうぞ。」
「まあ、強制依頼と言われれば、仕方ないですしね。」
「済まんな。明日は期待している。」
それだけ言うとマスターは訓練場から出て行った。明日の準備で忙しいみたいだな。
さて俺は今日どうするかな。明日に向けて魔法や技を増やすかな。付与魔法もしっかり使える様にしときたいしね。明日死なない様に準備しますかね。
飛び込んで来るなり、大声で叫ぶ女将さん。
「落ち着け!俺が詳しい情報を確認してくる。お前はカイラと店の戸締まりといつでも動けるように準備をしておけ!」
「あいよ!アンタも気を付けておくれよ。」
「おう!」
親父さんはそう言って店を出ていった。
「女将さん、俺もギルドに行って聞いてくるわ。」
「そうかい。アンタも気を付けてお行きなよ。まだ冒険者駆け出しなんだから。無理はしないでね。」
「ああ、ありがとう。」
礼を言い、冒険者ギルドに向かった。
さてこれも異世界のお約束なのか?本当に濃い毎日だよな。
ギルドの中はいつも以上に込み合っていた。まあ魔物が襲撃して来たのだから仕方ないが。余りの混雑で、情報収集出来る状態でない程だ。この後どうするか迷っていると、奥からギルドマスターのゲオルグさんが出て来て大声で話しだした。
「皆、静かにしてくれ。今から魔物の襲撃について説明をする。質問は後にしてくれ。まずは、状況説明をするから。」
と、前置きしてから続けた。
「聞いている者も多いと思うが、今この街に向けて魔物の集団が向かっている。確認出来ている所でゴブリンとオークの集団らしい。
上位種であるジェネラルやリーダーはまだ確認されていないが、集団の規模から居てもおかしくないと思っている。
現在集団は北の森林をこの街に向かって移動している最中だ。およそ一日後には街の北側の平原に確認出来るだろう。
そこで我々冒険者ギルドは、この街リヒトの領主であるリヒト侯爵からの要請で魔物の迎撃に参加する。侯爵家の騎士団が迎撃の中心になるが、ランクD以上については緊急強制依頼だ。迎撃に参加する。断ればギルド資格の剥奪だ。報酬は各人金貨一枚だ。安くて済まんが日頃お世話になっている街の存亡に関わる事だ。皆の協力に期待する。あとランクE以下の者も万が一街なかに入ってきた魔物の迎撃に街の衛兵と共に当たってもらう。
明日朝、北門に集まれ。取り敢えず、この後ランクD以上の者はギルドの訓練場に集まってくれ。まだ、冒険者ギルドに来ていない冒険者がいたら、至急状況を説明して明日の朝には必ずギルドに来るように言ってくれ。以上だ。」
ゲオルグの話が済んだ途端そこかしこで私語か始まったが、ランクの高そうな者達は奥の扉から訓練場にむかった。Eランクの俺は明日北門に集まればいいかと思いギルドから出て行こうとした。
「オオガミお前はこっち来い。」
マスターのゲオルグが大声で俺を呼んだ。周りの視線が集まった。
(おいおい、目立ちたく無いのに、なにしてくれるんだよ。)
知らん顔して行こうかとしたが、
「何処へ行く。お前も迎撃に参加だ。一緒に訓練場に来い。」
「マスター、俺はEランクで最近冒険者になったばかりなんだけどな。」
「お前の腕は俺が良く知っている。腕が立つのに遊ばせておく余裕はない。お前も街の人に世話になっているんだから手を貸せ。」
「まあ確かに。解った。手を貸そう。」
皆と一緒に訓練場へ向かった。
流石に中高ランクの集まりだ。各人グループ毎に集まりマスターの話しを待った。ざっと見て、思ったより魔法使いが少ないな。長期戦になるのを覚悟した方が良さそうだ。
何故なら、戦闘開始直後の魔法使いによる範囲魔法での効果が限られるだろうからだ。その辺をマスターはどうするのかな?お、マスターが来た。
「皆、改めて礼を言う。今数えた所、百八十人程いる。これをABCの三つの班に分ける。現地ではA班をAランク『黒狼の牙』リーダー、ジークが。B班はBランク『西風団』リーダー、ハインツが。C班は俺がリーダーになる。
後方に設置される本部から全体の状況を各リーダーに伝達するので、リーダーは各班を指揮して決して敵に対して突出しないように注意してくれ。
後方本部は回復要員を集めて戦力の回復につとめてくれ。では、班分けするぞ。A班は、・・・」
班毎に冒険者グループや個人の名前を言っていく。C班が終わっても俺の名前はよばれなかった。あれ?って思っていると、マスターがこっちに来て
「お前は俺と一緒だ。」
といわれC班に呼ばれる。どうやら、Cは単身で活動している冒険者が中心のようだ。
「皆集まってくれ。これから俺たちの役割を話す。C班は基本遊撃だ。ABの両方で戦線を固め、状況に応じてC班が援護する形だ。
まず、戦闘開始時に魔法使い達の範囲魔法を使って敵の数を減らす。これを接敵するまで繰り返す。とにかく初撃で、どれだけ数を減らせるかで後が楽になるか決まる。敵正面は侯爵様の騎士団五百が当たる。我々はその左右にA、Bそれぞれが担当する。
明日は朝八時にギルドに集合してくれ。新しく解った情報は朝その時に伝える。あとオオガミ、お前はこの後少し残れ。他は以上だ、解散してくれ。」
他の班も話しは終わったらしく、皆解散していた。
訓練場には俺とマスターのみが残った。俺に近づきながら話し始める。
「悪いな。本来ならEランクのお前は街中で待機してもらい、万が一街に侵入してきた敵の対処をしてもらう所なんだが、お前ほどの腕を遊ばせるのは勿体無いからな。ただ、こちらも無理を頼む訳だから、見返りとして冒険者ランクをCに上げてやる。報酬は他の奴等の手前増やせないがランクなら俺の権限で上げてやれるからな。済まんが、手を貸してもらうぞ。」
「まあ、強制依頼と言われれば、仕方ないですしね。」
「済まんな。明日は期待している。」
それだけ言うとマスターは訓練場から出て行った。明日の準備で忙しいみたいだな。
さて俺は今日どうするかな。明日に向けて魔法や技を増やすかな。付与魔法もしっかり使える様にしときたいしね。明日死なない様に準備しますかね。
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