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第十一章 慌ただしき日々。そして、続かぬ平穏。
第185話 一つ一つ片付けますかねぇ。⑧
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我がツール伯爵領の富国強兵の為の殖産興業の提案はまだ続くのだが、夕食前に終わるかな?と、頭の隅でチラリと考える私だった。
「それで三点目ですが、今月から製塩事業が始まりました。実際の塩も早ければ一週間後から出来上がるでしょう。
予定通りなら今流通している岩塩よりも塩辛くなく、普通に作る海塩よりも苦味がない。そして、岩塩よりも安い価格で販売できる。名目町営なので、販売を『エチゴヤ』へ委託してもいいし、専売契約で卸しても良いかと思っています。どうでしょうか?」
「そうですね。価格を抑えるなら委託販売ですし、町の収入を考えれば卸ですが。こちらは新規参入になりますので、消費者に買って貰う為にも、価格を抑えたいので、ウチが委託販売をする形にしましょう。
取り分は『エチゴヤ』が売り上げの四割頂きます。残りの六割は町の取り分です。
私共の四割の半分が売り上げ税として伯爵家の取り分で二割が店が貰います。まずはこの形でよろしいでしょうか?」
「うん、問題ないね。この後で委託販売の契約を結ぼう。」
「承知しました。塩は生活必需品ですから、安くて旨い塩なら必ず売れるでしょう。目玉商品になると思いますよ。」
「ええ、ぜひそうなって貰いたいですね。」
互いに顔を見合い、笑みを浮かべあった。
「さて、四点目ですが、社長ちょっとこれを見て貰えますか?」
ビルさんに話しかけながら、インベントリィからある地図を取り出して見せる。
「オーナー、これは?」
「この地図は、ツール伯爵家の領内にある、石炭、鉄、魔鉄と銀、ミスリルの鉱脈のある場所です。」
「何ですと?!鉱脈の場所?」
「ええ、驚いたかも知れませんが、間違いありません。この場所に眠っています。残念ですが、金や銅の鉱脈は有りませんでしたが。宝石類はまだ調べてないので後日確認しますが、開発してみませんか?魔の森については、家の騎士団が全面協力させますよ。」
「オーナー、どうやって調べたのですか?」
「ああ、魔法でね。探査系の魔法を使って調べたのさ。精度は百パーセント間違いなく調べ上げられる魔法でね。神に誓って間違いないよ。(だって、神様がくれた能力だからね。)」
「そうですか、間違いないというなら、ツールから近い鉄と魔鉄の鉱脈から掘り始めましょう。ただ、今の商会の売り上げでは、まだ手を着けるだけの体力がありません。もう少し資金を貯めて体力をつけてから、かかりたいと思います。それまで、その地図はオーナーが保管していて下さい。ついでに他の宝石類や貴金属も調べてくださると助かります。お願い出来ますか?」
「分かったよ。まだ時期尚早だったようだね。なら、最後に五点目、実は王宮とリヒト公爵家から、早く王都に『エチゴヤ』の支店を開けと矢の催促が来ていてね。そちらにも話は行ってないかい?」
「はい、長男のスティーブにも公爵様から催促の言葉を頂いていると連絡がありました。」
「それで、今の状況はどうなっているのかな?」
「はい、王宮から拝領した店舗は確認しました。はっきり言って一級品の場所と施設です。ポールに命じて料理スキルを持つ人員は確保しました。あと、併設するカフェの店員と料理人の確保に手間取っています。」
「先にクッキーとクロワッサンの二品だけ売り出すのは出来ないかな。陛下とリヒト公爵から週一での定期購入の申し出を頂いてます。そこで早く納品する代わりに、王室御用達の看板を貰えないか聞いてみますので、早く販売を始められないかな?」
「王室御用達の看板?それは確か前にも言っていたやつですね。」
「ええ、以前にもお話しした看板です。」
「そうですね。それが?」
「家の店や商品は王室にご愛顧頂いている商品であると。まあ、所謂箔を店や商品に付けるわけです。」
「成る程。是非、欲しいものですね。オーナー、交渉して頂けますか?許可が降りたなら、先行販売しましょう。売店を営業しつつカフェの準備をしましょう。」
「うん、分かった。私の方で看板については近日中に掛け合うよ。支店の方は早速頼むよ。」
「承知しました。」
「私からの今日の要件は以上だよ。」
「やはり、早目に伺って良かったですよ。先の展望もあるし、現在の事業も堅調である。私も運営していて、大変ではありますが、遣り甲斐と手応えを感じておりますよ。ポールにもよい修行になっております。オーナーには感謝をしておりますよ。」
「いやいや、私の方こそ有り難うと言わせて貰いますよ。ああ、それでお土産にクッキーを百枚入りを二つ用意して貰えるかな、明日早速王宮と公爵邸に話に行くから頼めるかな?」
「承知しました。昼前頃に取りに来ていただけますか?」
「了解だ。宜しくね。」
話が一段落した所で、サウルが、食事の用意が出来たと知らせに来た。
ビルさんと揃って食堂に行くと皆が座って待っていた。
「済まないね皆。始めてくれ。」
メイド達が給仕を始める。
「さて、みんなに紹介するよ。知っている人もいると思うが、彼が『エチゴヤ』の社長のビルさんだ。皆見知りおいてくれ。」
それから、許嫁ズと妹分とレナードを紹介したところで、食事の用意が整った。
今日のメニューはメインが生姜焼き風のオーク肉のステーキだ。勿論、生姜焼きのタレは私が料理長にパーティー料理を教え込んだ時のレシピの一つだ。
「「いただきます(にゃ)。」」
いただきますの挨拶をして皆各々のお祈りを済ませてから手を着ける。
(うーん、〈猪鹿亭〉の親父には及ばないが、普段の飯なら十分じゃん。腕上がってるな。)
以前よりも腕を上げてきている料理長に感心しながら美味しく頂いている。
他のメンバーも黙々と食べている。
「オーナー!このステーキにかかっている、ソースもオーナーのレシピですか?」
「ああ、生姜焼きソースというが、どうした?」
「オーナー、これも商品化しましょう。この味なら売れますよ。このさっぱりした後味なら、高齢者にも受けますし、生姜のおかげで肉の臭みが完全に消えている。後でレシピを下さい。」
「分かったよ。用意する。」
レシピの用意を私に頼みながらも、ステーキをお代わりして、堪能していくビルさんや家の家族達だった。
「それで三点目ですが、今月から製塩事業が始まりました。実際の塩も早ければ一週間後から出来上がるでしょう。
予定通りなら今流通している岩塩よりも塩辛くなく、普通に作る海塩よりも苦味がない。そして、岩塩よりも安い価格で販売できる。名目町営なので、販売を『エチゴヤ』へ委託してもいいし、専売契約で卸しても良いかと思っています。どうでしょうか?」
「そうですね。価格を抑えるなら委託販売ですし、町の収入を考えれば卸ですが。こちらは新規参入になりますので、消費者に買って貰う為にも、価格を抑えたいので、ウチが委託販売をする形にしましょう。
取り分は『エチゴヤ』が売り上げの四割頂きます。残りの六割は町の取り分です。
私共の四割の半分が売り上げ税として伯爵家の取り分で二割が店が貰います。まずはこの形でよろしいでしょうか?」
「うん、問題ないね。この後で委託販売の契約を結ぼう。」
「承知しました。塩は生活必需品ですから、安くて旨い塩なら必ず売れるでしょう。目玉商品になると思いますよ。」
「ええ、ぜひそうなって貰いたいですね。」
互いに顔を見合い、笑みを浮かべあった。
「さて、四点目ですが、社長ちょっとこれを見て貰えますか?」
ビルさんに話しかけながら、インベントリィからある地図を取り出して見せる。
「オーナー、これは?」
「この地図は、ツール伯爵家の領内にある、石炭、鉄、魔鉄と銀、ミスリルの鉱脈のある場所です。」
「何ですと?!鉱脈の場所?」
「ええ、驚いたかも知れませんが、間違いありません。この場所に眠っています。残念ですが、金や銅の鉱脈は有りませんでしたが。宝石類はまだ調べてないので後日確認しますが、開発してみませんか?魔の森については、家の騎士団が全面協力させますよ。」
「オーナー、どうやって調べたのですか?」
「ああ、魔法でね。探査系の魔法を使って調べたのさ。精度は百パーセント間違いなく調べ上げられる魔法でね。神に誓って間違いないよ。(だって、神様がくれた能力だからね。)」
「そうですか、間違いないというなら、ツールから近い鉄と魔鉄の鉱脈から掘り始めましょう。ただ、今の商会の売り上げでは、まだ手を着けるだけの体力がありません。もう少し資金を貯めて体力をつけてから、かかりたいと思います。それまで、その地図はオーナーが保管していて下さい。ついでに他の宝石類や貴金属も調べてくださると助かります。お願い出来ますか?」
「分かったよ。まだ時期尚早だったようだね。なら、最後に五点目、実は王宮とリヒト公爵家から、早く王都に『エチゴヤ』の支店を開けと矢の催促が来ていてね。そちらにも話は行ってないかい?」
「はい、長男のスティーブにも公爵様から催促の言葉を頂いていると連絡がありました。」
「それで、今の状況はどうなっているのかな?」
「はい、王宮から拝領した店舗は確認しました。はっきり言って一級品の場所と施設です。ポールに命じて料理スキルを持つ人員は確保しました。あと、併設するカフェの店員と料理人の確保に手間取っています。」
「先にクッキーとクロワッサンの二品だけ売り出すのは出来ないかな。陛下とリヒト公爵から週一での定期購入の申し出を頂いてます。そこで早く納品する代わりに、王室御用達の看板を貰えないか聞いてみますので、早く販売を始められないかな?」
「王室御用達の看板?それは確か前にも言っていたやつですね。」
「ええ、以前にもお話しした看板です。」
「そうですね。それが?」
「家の店や商品は王室にご愛顧頂いている商品であると。まあ、所謂箔を店や商品に付けるわけです。」
「成る程。是非、欲しいものですね。オーナー、交渉して頂けますか?許可が降りたなら、先行販売しましょう。売店を営業しつつカフェの準備をしましょう。」
「うん、分かった。私の方で看板については近日中に掛け合うよ。支店の方は早速頼むよ。」
「承知しました。」
「私からの今日の要件は以上だよ。」
「やはり、早目に伺って良かったですよ。先の展望もあるし、現在の事業も堅調である。私も運営していて、大変ではありますが、遣り甲斐と手応えを感じておりますよ。ポールにもよい修行になっております。オーナーには感謝をしておりますよ。」
「いやいや、私の方こそ有り難うと言わせて貰いますよ。ああ、それでお土産にクッキーを百枚入りを二つ用意して貰えるかな、明日早速王宮と公爵邸に話に行くから頼めるかな?」
「承知しました。昼前頃に取りに来ていただけますか?」
「了解だ。宜しくね。」
話が一段落した所で、サウルが、食事の用意が出来たと知らせに来た。
ビルさんと揃って食堂に行くと皆が座って待っていた。
「済まないね皆。始めてくれ。」
メイド達が給仕を始める。
「さて、みんなに紹介するよ。知っている人もいると思うが、彼が『エチゴヤ』の社長のビルさんだ。皆見知りおいてくれ。」
それから、許嫁ズと妹分とレナードを紹介したところで、食事の用意が整った。
今日のメニューはメインが生姜焼き風のオーク肉のステーキだ。勿論、生姜焼きのタレは私が料理長にパーティー料理を教え込んだ時のレシピの一つだ。
「「いただきます(にゃ)。」」
いただきますの挨拶をして皆各々のお祈りを済ませてから手を着ける。
(うーん、〈猪鹿亭〉の親父には及ばないが、普段の飯なら十分じゃん。腕上がってるな。)
以前よりも腕を上げてきている料理長に感心しながら美味しく頂いている。
他のメンバーも黙々と食べている。
「オーナー!このステーキにかかっている、ソースもオーナーのレシピですか?」
「ああ、生姜焼きソースというが、どうした?」
「オーナー、これも商品化しましょう。この味なら売れますよ。このさっぱりした後味なら、高齢者にも受けますし、生姜のおかげで肉の臭みが完全に消えている。後でレシピを下さい。」
「分かったよ。用意する。」
レシピの用意を私に頼みながらも、ステーキをお代わりして、堪能していくビルさんや家の家族達だった。
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