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第十五章 王都で貴族のお仕事。そして・・・。
第297話 一回で済まないから『お約束』なのさ。
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準備は整った。待ち伏せの暗殺部隊の場所まで、あと少し。なかなか平穏無事に王都へは、辿り着けないようだね。
そして馬車が上り坂を上りきった時に、襲撃者達が攻撃を仕掛けてきたようだ。マップに映っている赤い光点が忙しく動き出した。
ほう、まずは弓矢での攻撃からのようだ。矢の風切り音が無数に聞こえてくる。しかし、事前にかけておいた〈エアカーテン〉で全ての矢が、あらぬ方向へ反れていく。全く当たらない事に効果がないと判断したのか、早々に近接戦闘に切り替えたようで、こちらの車列に近寄ってくる。
戦いのついでと言うと人聞きが悪いが、彼らには今まで使ったことの無い魔法の実験台になってもらおうかね。
「〈グラビティー〉五G。」
先に〈マルチロック〉はしてあったので、忽ち魔法が発動する。
この呪文を取得した折りに、〈鑑定〉した結果、確かこの呪文は体に掛かる重力を属性レベルに応じて変化し、レベル五なら一から五G、レベル六なら一から十G、マックスのレベル七なら一から二十Gまでの負荷を掛けるとあった。私の今の暗黒魔法のスキルレベルは五だから、最大五Gの負荷を与えている事になる。
そもそも暗殺者という職業はスピードと器用さが肝の職業である。そこに体重の五倍の重力をかけられると、一般人ならマトモには動けなくなり踞る。鍛えた者達であっても、普段の様にはまず動けなくなるのだ。
マップの赤い光点の動きが途端に鈍くなっている。
(この魔法の本当に怖いところは、状態異常魔法の〈スロー〉や〈ヘビー〉と異なり、魔法に抵抗すること自体が出来ない事だね。つまり呪文を唱えれば百パーセント効果を発揮する所だね。
うん、流石はウチの騎士団員だね。動きの鈍くなった敵を次々に倒しまくっているよ。なんだ?白い光点が一つ後ろの馬車から敵に向かっているね。・・・・まさか?)
馬車から、慌てて出ると、敵に向かって走っていくセイラの後ろ姿があった。
「しまった。後ろに連絡しておかなかったな。仕方ない。〈マルチロック〉〈エアカーテン〉〈マルチロック〉〈レジスト・ポイズン〉。あーあー、敵の中に飛び込んだよ。手当たり次第に薙ぎ倒しているね。隊長格以外の団員達もそれなりに動けているね。良い感じで仕上がっているかな。冒険者ランクで言うとランクCって所かな。オークリーダーならソロでいけるかな。だが、オークナイトにはまだ足りないな。レナードに言っておくか。まだ足らないってね。」
そんな事を、呟いている内に、敵は全て倒されていった。
「〈ディグ〉、〈ディグ〉、〈ディグ〉。」
道の脇の林の中で地面に魔法で穴を掘り、襲撃者達の死体を投げ入れて貰う。
「〈ピュリフィケーション〉。よし、これで良い。さあ皆、土をかけて埋めてしまおう。」
死体の始末をすると、再び車列は進み始める。
一息ついたその時、表示中のマップにいきなり赤い光点が多数現れた。
「おいおい連チャンかよ。〈鑑定〉。」
(鑑定結果・赤い光点は帝国の正騎士団員だね。数は百人いるね。一人強いのがいて、貴方でないと味方に犠牲が出るかも。名前は帝国軍大佐、ゲルハルト・ベルガーだよ。)
「レナード!」
再び馬車の窓を開けてレナードを呼ぶ。
私の呼び声に、車列を再び止めて私の馬車の横に馬をつけた。
「閣下、如何しましたか。何やら先程とは違って緊迫している様子ですが?」
「ああ、また厄介な襲撃者達が現れたよ。」
「またですか?」
「ああ、二段作戦の様だな。よっぽど私をここで殺したい様だな。今度は帝国軍の正騎士団員だ。数は百人だ。」
「正規の騎士百人ですか?」
「ああ、味方に犠牲なしで何人までいける?」
「正規軍相手なら七十と言う所でしょうか。怪我無しだと、そんな所でしょうか。」
「わかった。魔法で援護するから、百倒す事。敵のリーダーは私が倒すから後は全て頼むよ。」
「承知しました。騎士団員は全員集合しろ!」
レナードが騎士団を集めるために呼び掛ける傍ら、私は早速味方を魔法で強化する。
「〈サーチ・ツール伯爵家関係者〉。」
マップが更新されて、味方は白い光点で示される。
「〈マルチロック〉〈エアカーテン〉、〈マルチロック〉〈エンチャント・ウィンド〉、〈マルチロック〉〈ヘイスト〉。〈サーチ・ゲルハルト・ベルガー〉表示青。〈マルチロック〉表示赤。」
魔法で迎撃の下準備を整えると、馬車から降りる。
「旦那様、如何されますので?」
サウルが心配気に聞いてくる。
「先程の話を聞いたならわかると思うが、帝国軍の正規軍がこんな所まで侵入しているようだ。後ろの面子にも話してくるよ。また勝手に飛び出されても困るからね。(笑)」
苦笑いしながら、そう伝えると、後続の馬車に事情説明をする為に向かう。
「まあ、また襲撃者ですの?ショウ様は人気者ですわね?(笑)」
「また、襲ってくる者がいるのですね。良いでしょう。コーチ、私もお手伝いしますわ。」
ソニアは呆れるし、セイラは目力が凄い事になっている。ソニアには、味方の援護と余裕なら魔法で攻撃を頼み、セイラには加勢を頼んだ。
三台目の馬車にはシーラとアイリスとディートリンデと侍女のアリーシャが乗っている。
襲撃者達のことを告げると、シーラはお手伝いしますと申し出てくれた。味方の援護を頼むと、ディートリンデは、護衛の仕事をすると言って、助太刀を申し出てくれた。
彼女には、馬車を狙ってくる者への対処を頼む。
アイリスも手伝うと言ってくれるが、悪いが馬車の中で待機していてとお願いした。
迎え撃つ体制が整ってから、車列は再び進み始める。
帝国側の動きを考えると、かなりの焦りと、苛立ちを感じる。大々的に軍を動かせないから、気付かれない最小限の戦力で、情報の取れなくて、障害になるで有ろう私を王都に行く途中で消しに来たようだ。
しかし、惜しいね。人数が多ければ良いという訳ではないは正しい考えだが、今の私の周りには、あの頃居なかった新たな戦力が加わっているのだからね。痛い目に会って貰おうかね。
そして馬車が上り坂を上りきった時に、襲撃者達が攻撃を仕掛けてきたようだ。マップに映っている赤い光点が忙しく動き出した。
ほう、まずは弓矢での攻撃からのようだ。矢の風切り音が無数に聞こえてくる。しかし、事前にかけておいた〈エアカーテン〉で全ての矢が、あらぬ方向へ反れていく。全く当たらない事に効果がないと判断したのか、早々に近接戦闘に切り替えたようで、こちらの車列に近寄ってくる。
戦いのついでと言うと人聞きが悪いが、彼らには今まで使ったことの無い魔法の実験台になってもらおうかね。
「〈グラビティー〉五G。」
先に〈マルチロック〉はしてあったので、忽ち魔法が発動する。
この呪文を取得した折りに、〈鑑定〉した結果、確かこの呪文は体に掛かる重力を属性レベルに応じて変化し、レベル五なら一から五G、レベル六なら一から十G、マックスのレベル七なら一から二十Gまでの負荷を掛けるとあった。私の今の暗黒魔法のスキルレベルは五だから、最大五Gの負荷を与えている事になる。
そもそも暗殺者という職業はスピードと器用さが肝の職業である。そこに体重の五倍の重力をかけられると、一般人ならマトモには動けなくなり踞る。鍛えた者達であっても、普段の様にはまず動けなくなるのだ。
マップの赤い光点の動きが途端に鈍くなっている。
(この魔法の本当に怖いところは、状態異常魔法の〈スロー〉や〈ヘビー〉と異なり、魔法に抵抗すること自体が出来ない事だね。つまり呪文を唱えれば百パーセント効果を発揮する所だね。
うん、流石はウチの騎士団員だね。動きの鈍くなった敵を次々に倒しまくっているよ。なんだ?白い光点が一つ後ろの馬車から敵に向かっているね。・・・・まさか?)
馬車から、慌てて出ると、敵に向かって走っていくセイラの後ろ姿があった。
「しまった。後ろに連絡しておかなかったな。仕方ない。〈マルチロック〉〈エアカーテン〉〈マルチロック〉〈レジスト・ポイズン〉。あーあー、敵の中に飛び込んだよ。手当たり次第に薙ぎ倒しているね。隊長格以外の団員達もそれなりに動けているね。良い感じで仕上がっているかな。冒険者ランクで言うとランクCって所かな。オークリーダーならソロでいけるかな。だが、オークナイトにはまだ足りないな。レナードに言っておくか。まだ足らないってね。」
そんな事を、呟いている内に、敵は全て倒されていった。
「〈ディグ〉、〈ディグ〉、〈ディグ〉。」
道の脇の林の中で地面に魔法で穴を掘り、襲撃者達の死体を投げ入れて貰う。
「〈ピュリフィケーション〉。よし、これで良い。さあ皆、土をかけて埋めてしまおう。」
死体の始末をすると、再び車列は進み始める。
一息ついたその時、表示中のマップにいきなり赤い光点が多数現れた。
「おいおい連チャンかよ。〈鑑定〉。」
(鑑定結果・赤い光点は帝国の正騎士団員だね。数は百人いるね。一人強いのがいて、貴方でないと味方に犠牲が出るかも。名前は帝国軍大佐、ゲルハルト・ベルガーだよ。)
「レナード!」
再び馬車の窓を開けてレナードを呼ぶ。
私の呼び声に、車列を再び止めて私の馬車の横に馬をつけた。
「閣下、如何しましたか。何やら先程とは違って緊迫している様子ですが?」
「ああ、また厄介な襲撃者達が現れたよ。」
「またですか?」
「ああ、二段作戦の様だな。よっぽど私をここで殺したい様だな。今度は帝国軍の正騎士団員だ。数は百人だ。」
「正規の騎士百人ですか?」
「ああ、味方に犠牲なしで何人までいける?」
「正規軍相手なら七十と言う所でしょうか。怪我無しだと、そんな所でしょうか。」
「わかった。魔法で援護するから、百倒す事。敵のリーダーは私が倒すから後は全て頼むよ。」
「承知しました。騎士団員は全員集合しろ!」
レナードが騎士団を集めるために呼び掛ける傍ら、私は早速味方を魔法で強化する。
「〈サーチ・ツール伯爵家関係者〉。」
マップが更新されて、味方は白い光点で示される。
「〈マルチロック〉〈エアカーテン〉、〈マルチロック〉〈エンチャント・ウィンド〉、〈マルチロック〉〈ヘイスト〉。〈サーチ・ゲルハルト・ベルガー〉表示青。〈マルチロック〉表示赤。」
魔法で迎撃の下準備を整えると、馬車から降りる。
「旦那様、如何されますので?」
サウルが心配気に聞いてくる。
「先程の話を聞いたならわかると思うが、帝国軍の正規軍がこんな所まで侵入しているようだ。後ろの面子にも話してくるよ。また勝手に飛び出されても困るからね。(笑)」
苦笑いしながら、そう伝えると、後続の馬車に事情説明をする為に向かう。
「まあ、また襲撃者ですの?ショウ様は人気者ですわね?(笑)」
「また、襲ってくる者がいるのですね。良いでしょう。コーチ、私もお手伝いしますわ。」
ソニアは呆れるし、セイラは目力が凄い事になっている。ソニアには、味方の援護と余裕なら魔法で攻撃を頼み、セイラには加勢を頼んだ。
三台目の馬車にはシーラとアイリスとディートリンデと侍女のアリーシャが乗っている。
襲撃者達のことを告げると、シーラはお手伝いしますと申し出てくれた。味方の援護を頼むと、ディートリンデは、護衛の仕事をすると言って、助太刀を申し出てくれた。
彼女には、馬車を狙ってくる者への対処を頼む。
アイリスも手伝うと言ってくれるが、悪いが馬車の中で待機していてとお願いした。
迎え撃つ体制が整ってから、車列は再び進み始める。
帝国側の動きを考えると、かなりの焦りと、苛立ちを感じる。大々的に軍を動かせないから、気付かれない最小限の戦力で、情報の取れなくて、障害になるで有ろう私を王都に行く途中で消しに来たようだ。
しかし、惜しいね。人数が多ければ良いという訳ではないは正しい考えだが、今の私の周りには、あの頃居なかった新たな戦力が加わっているのだからね。痛い目に会って貰おうかね。
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