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第二部 加速する非日常

プロローグ

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 その瞬間、私は、これまでにない『重み』を感じる。
 目の前に現れる、声の主。
 その手に、私は手を伸ばし―――

『―――遥かなる世界現実世界への旅立ちに、幸多からんことを』



「…ん」

 目が、覚める。
 その目に見えてくるのは、いつもの朝、いつもの自室。
 それまで見ていた夢が、何かを思い出すように見た夢が、に塗りつぶされていく。

「あっ、今日は土曜日だった! 『現界』の準備しないと!」

 そして、今日も彼女の日常非日常が始まる。共に歩む者と駆け巡る仮想と現実の世界に、心躍らせながら。
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