父を助けに18年

クルミ

文字の大きさ
2 / 45

プロローグ2

しおりを挟む
1999年8月
僕の名前は風林 悠人(かぜばやし ゆうと)、高校3年生。18歳。

香川県東さぬき市佃町に住んでいる。
人口は8000人余りの小さな町だ。

今年は高校生最後の夏休みだ。
この時期は予備校や塾に通って必死で受験勉強をしている同級生も多い。
僕も来年は県外の芸大に進学する予定だが、受験勉強はやっていないに等しい。
何故かというと「指定校推薦」というのが決まっているからだ。
受験さえすれほぼ100%合格するらしい。
ただ、高校内でもその人数の枠は決まっていて成績や学校での生活態度が一定の基準を満たしていないといけないので、誰でも選ばれるわけではない。
僕が受ける大学も推薦枠は高校で1人だけだった。
幸い、僕は高校に入ってからは成績は優秀だったし無遅刻無欠席で問題を起こしたことは1度もなかったので、希望した大学の指定高校推薦の枠を得ることができた。
試験内容も自分が作った作品を見せて面接を受けるだけだ。
センター試験も受けなくて良い。
僕は県下で唯一の美術が専門の高校に通っている。
おそらくは全国的に見ても珍しい高校だと思う。
学校内にはいくつかの科に別れているが、僕は「工芸科」に所属している。

工芸(こうげい)とは、実用品に芸術的な意匠を施し、機能性と美術的な美しさを融合させた工作物のことらしい。
実際に僕は授業で工芸作品を作ったり、伝統工芸について学んだりしている。
伝統的なものだけではなくパソコンでのグラフィックデザインも学んでいる。
もちろん普通の高校のように5教科の授業や体育の授業もあるが、美術専門の高校なだけあって美術系の授業や実習が多い。
幼い頃から絵を描いたり物を作ることが好きで他の人よりも得意だった。
絵や工作で何度か賞を取ったこともある。
将来的にもこの事を生かせる仕事に就きたいと思っている。
生まれてから18年間ずっとこの佃町に住んでいたので、来年から県外に出て親元を離れる事を考えると不安もある。もちろん期待もあるが。

話を戻すが、今は僕にとって高校最後の夏休みだ。
ほとんどの日は日中、友達の家に集まってテレビゲームをしたり、同じく友達と近くの海で遊んだりしている。
おいおい説明するが、夜は稼業を手伝っていることが多い。特にこの時期は忙しい。
今日もこれから、友達と近くの海で集まって遊ぶ約束をしている。

僕は友達とはお昼の1時に待ち合わせしていたが、その時間よりも10分ほど早く集合場所の砂浜に着いた。
今日は天気も良い。
この時期は海水浴でたくさんの人が集まるが、今日も少し遠くに海水浴客が来ているのが見える。

ふと、少し離れた所に小学生くらいの女の子が1人で仰向けに寝ているのが見えた。近くにその子の家族らしき人は見えない。
海水浴客の子供だろうか?迷子?
もしかして倒れてる?熱中症?
万が一の事を考えて、僕は女の子の所まで行った。
意識がないように見えたので、
「お嬢ちゃん!大丈夫?」と、声をかけてみた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

処理中です...