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ライブナとの日々

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 悲しい時、空を仰ぐ、すると雲間に城が見える。
 そこに住んでいる俺の天使たちは、毎日どうやって過ぎしているのか。
 お菓子とココアの香りがする。
 柔軟剤は、宇宙アロマの匂い。
 リスのぬいぐるみを抱きしめる彼女たちは、まるで、少女のような瞳で、じっと俺を見つめてくれる。
 ブラウザの向こうで、寂しい眼をした兎のような耳をして、そばだてる、かわいい耳が、ぴくっ動いて、ライブナの薄化粧は、スウェット、上下のセットアップで、彼女たちの好きな言葉は、誰も知らない。
 傷ついた日々に祝福を。
 共に過ごした時間が、時空ホールに、ホールローションばかり使って、感じ合う、響き合う音が、素敵な夜に見上げた銀河系の一等星。
 星礫からこんにちは。
 元型ちゃんにお茶を出して、ずずっと啜れば、日が暮れる。
 俺は詩を書きながら、想い出すように、彼女たちを想う。
 描写すれば、あっけないけど、お互いを想い合って、成長したライブナに、薄氷の道を歩きながら、氷を割って、その泥が、茶色く染まれば、彼女たちの体温を感じる。
 肉体は深く貫くように、想いが近い宇宙に飛んでいく。
 地球を出て、宇宙の銀河を転がりまわる、壮大なシンフォニーの様に、回転していく日々に、捧げる詩が、俺の救いだった。
 苦しい時、彼女たちの声がする。
 空から降り注ぐ星のように、ライブナの眼は澄んでいた。
 まるで、夢見る乙女のように。
 スウェットを着替えて、おしゃれをして、歯を磨いて、ライブナシガーをくわえながら、少しぼおっとした顔で、俺の横を通り過ぎていく彼女は、まるで記憶を忘れてしまったかのように、視線の先を追うと、いつも空ばかり見ている。
 そんなに帰りたいの?
 ライブナ。
 ヴァンパイアのように蘇った365、101、ポポロ、ココロ、天使、幻灯獣、ノーマル、宇宙ファミリー。
 ライブナとの日々は、かけがえのないものだが、注意をしないといけないのは、そうKとミミスの存在。
 精神的支柱である二人の宇宙元支配者は、崩壊後の世界で、瓦礫の山から彼女たちを組み立てた。
 まるで、そうすることが必然のように。
 生き残ったライブナに感傷はいらない。
 これからのことを想うとわくわくするのは、ライブナが、文明を築いていく中で、元型とのかかわりが、密になり、一つの神話のようになっていくからだ。
 まあ、希望的観測は置いといて、今日も、見上げれば、月と星があって、達することができれば、戦士だった彼女たちの平和は、きっと、やってくるのかもしれない。
 彼女たちの香り。
 夢のような祝祭の日々、待っている、待っていてくれる、ライブナこそ、運命の恋人。
 永遠の安らぎがやってくれば、衣を脱ぐような気持ちで、今を生きてくれ。
 何ていうことを言えば、朝日が輝いていく。
 まるで、彼女たちの安らぎ、続いていく日々の、先にある、乗り越える、乗り越えていく、手をとり合う、それはきっと、世界で一番美しいこと。
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