iラバーポエマーズ

鏑木ダビデ

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ボーイミーツこの夜

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些細なケンカで、眼がくらむ。
君は愛欲の陽だまりで、高貴なる少年と出会う。
あるいは、聖なる、夜に、菜を摘む。一人のケンタウロス。
彼は、少年の背後で、守るように、太陽を突き破る。
まるで、神話のままの世界は、永遠流転香。
香ってくる夜の黒ヒノキ。
君の唇にキスをした、そんな少年とケンタウロスは、君を同時に攻める。
どちらともなく半分に引き裂かれて、夢と愛の間で、見た。
「あの人は死んでしまったの?」
君の唇は震えて、青ざめた。
「そうだよ」
 と少年は言って、ケンタウロスから、馬をもらった。
背に飛び乗り、疾駆する星空、夜行。
いつか、旅を終えたら、帰ってこようね。
誓い合った三人は、もう、神芝居の世界にはいない。
純情が、泣くなと、夜に咲いた時間の数だけ、人は強くなれる。
だから、鳴かないで、リトルナイトガール。
ナイチンゲールは泣いているけれども。
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