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エレジーポエム

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アヴァンギャルドの夜明け近く、舞い戻っていく、光彩を放つ双眸、時に、美しく、時に、けたたましい、魂。
流れていく影のビヨンド・バルトス。
映り実の実りが、滝から消えて、微かに電灯、灯る街並み。
怒りの矛先どこへ行く、ただなかの烈風。
岸を目指した詩人が一人。
渡りに船で、渡らない。
通りに降る、フリルの少女は、キャンディースマイル。頬張る味は、恋が形見、魚の骨のよう。
喉元に突き刺さる、ナイフのシーフロッド・ロッド・ロンド・炉端の消え草。
投げ込んで恋人時雨、はぐれたキスは、はぐれたままで、追う、までもなく、手を差し出した涙の幻灯、灯るハートワンダー・サージェント。
力のベクトル。
伸ばす手が、掴んだ夢に泣いていた臥所の扉は閉じていた。
眼が、光る、獲物は死んだ、詩人は、力の限り銃を撃つ、憧れの弾丸。
ハードボイルドの夜更け。
点けた煙草に差し出した女は、操を守る誓いをしない。
バーで口説く、女の胸の谷間に、ちらつく硬貨は一セント。さっと目を逸らし、価値のない金に、目が眩む。
いらない、それだけ。
代わりに欲しいのは、女の体ではなく、先を見る濁った瞳。
付け睫毛の下にらんらんと光る、毒眼、まるで蛇が口を開いたときのいやらしい食い気、そのままに、振り下ろした恋が、飲み込む、卵の孵化。
返る。
故郷へ帰れ
返せ、俺の夢、詩人は銃を剣に変えて、挑みかかる、女の蛇に。
切り捨ててベッド上、切り裂いて腹の中、中から這い出た子供は、俺の夢に出てきた怪物。光のピエロット。神々しいまでに、怪しく、ふてぶてしいまでに、美しく、手を出した拳に当たる、感触は、怒りのセパレート・ギルティ。
分け目を変えて、目が変わる。目の色が変わって姿を見せた、俺のハートは、アヴァンギャルドポエマー。
詩を撃つことだけが命であり、それ以外は心配ご無用。
さあ、心しろ世界。
俺の詩が光を浴びて、夜空を照らす時、光体の剣は、矢に変わる。
飛んでいく、飛んでいく、空から降りてくるあの戦士は、翼をもっていない俺の片割れ、否、分身、名は知らない。
彼は伝説の戦士、メシアの代弁者、そう口癖は爆殺!
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