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神楽坂蓮としおり
神楽坂蓮としおり
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――はれ?
目を覚ました私は、ものすっごい格好でベットから落ちていて、柱に頭をぶつけていた。
「そっかー、頭痛の原因はお前か!」
枕でベットの柱を殴りつける。
テレビはつけっぱなしで、画面には乙女ゲー『薔薇と罪の舞踏会』が起動したまんま。
頭を触ると、でっかいたんこぶ。
「こいつで変な夢見てたのかー」
氷嚢を用意しながら、ふとゲームパッケージに目が留まる。
そこからハガキのようなものがはみ出していた。
「こんな紙、入ってたっけ?」
取り出してみると、それは『薔薇と罪の舞踏会声優イベント』の申込書。
期限は明日の消印有効。
普段なら同担拒否の私がイベントなんて行かない。
けれど、この時ばかりは条件反射のようにアンケートを書き、名前も住所も記入して、速攻でポストへ。
――夢と現実が繋がったような、不思議な感覚を抱えながら。
目を開けると、見慣れた天井があった。
スタジオでも舞台でもない、ただの自室。
「……戻ってきたのか」
頭の奥にまだ残るのは、ヴァイオレットと踊った最後のダンスの感覚。
彼女の手を握ったはずなのに、最後は空を掴んでいた。
遠くで彼女の声がした気がする。
だが、歪んだ空間に飲み込まれ、意識は途切れた。
「夢……だったのか?」
そう呟きながらも、胸の奥には確かな余韻が残っている。
氷の公爵としての執着、蓮としての覚悟。
そして、ヴァイオレット=彼女の涙。
机の上には、仕事のセリフ台本とゲームパッケージ。
『薔薇と罪の舞踏会』。
その隙間から、イベント申込書が覗いていた。
蓮は静かに笑みを浮かべ、スマホを取った。
「なら、行くしかないだろう。俺と彼女の物語は、まだ続いている」
俺はマネージャーに電話をかけ、イベントの日程を確認していた。
また彼女に会えるような気がして……。
――イベント当日。
まさか…当たるとは思わなかった…。 しおりは会場を前に呆然と立ち尽くしていた。 この日のために馬鹿だと思いながらも、美容院に行き、服を買い、髪を整えて、普段あまりしない化粧までして気張ってきた。
推しに会えるんだ。このくらいしないと。
会場を前にガッツポーズを決めてわたしは会場入りした。
偶然にしては出来すぎだと思った。
ゲームパッケージから覗いていたイベント申込書。
期限は明日の消印有効。
あの時、スマホを手に取り、マネージャーに電話をかけた自分の行動は、まるで導かれるようだった。
神楽坂蓮は楽屋にいた。
舞台袖から聞こえるざわめき。観客の期待。
その中に――彼女がいるかもしれない。
「……来ているのか?」
心の奥で問いかける。
しおり。ヴァイオレット。夢の中で涙を流した彼女。
緊張で手が汗ばむ。
声優としてイベントに臨むのは慣れているはずなのに、今日は違う。
ただの仕事ではない。
これは、俺と彼女の物語の続き。
楽屋の鏡に映る自分を見つめる。
氷の公爵ルシアンの面影と、神楽坂蓮としての自分が重なっている。
「……行くしかないだろう」
舞台に立てば、彼女がいるかもしれない。
夢と現実が交錯する瞬間を、俺は確かに迎えようとしている。
期待と緊張に苛まれながらも、胸の奥には確かな決意があった。
――この物語を終わらせるために。
そして、彼女と再び絆を繋ぐために。
舞台照明が暗転し、開始の合図が鳴る。
俺はルシアンとしてのセリフを口にした。
「俺と共にいこう!婚約者どの」
これはルシアンルートのハッピーエンドの言葉。
芝居形式で進行するイベントの幕開け。
観客の歓声が波のように押し寄せる。
――その時だった。
最前列のど真ん中。
そこに座る一人の女性の姿が、まるで浮かび上がるように目に飛び込んできた。
凝視するように俺を見つめる瞳。
その瞬間、ほんの僅かに目が合った気がした。
胸の奥が熱くなる。
夢で見た彼女――ヴァイオレット=彼女。
あの涙、あの微笑み。
すべてが重なって、目の前の現実に溶け込んでいた。
「……いる」
心の中で呟く。
観客席のざわめきの中、彼女だけが鮮やかに浮かび上がって見える。
大人気声優としての俺を見つめる視線。
だが、その奥に確かに“彼女”を感じた。
夢ではなく、ここにいる。
この舞台で、俺と彼女の物語は続いている。
歓声に紛れて、胸の奥で喜びが膨らむ。
――彼女に会えた。
この舞台が、ただのイベントではなく、再会の場になった。
俺はルシアンとしての微笑を浮かべながらも、瞳の奥では蓮としての熱を隠しきれなかった。
「この物語は、まだ終わらない」
そう確信しながら、彼女を見つめ続けた。
舞台照明が眩しく、観客の歓声が波のように押し寄せる。
俺はルシアンとしての台詞を口にしながらも、心の奥では蓮としての鼓動が高鳴っていた。
観客全体に向けて声を放ちながら、ほんの一瞬だけ、言葉の響きを変える。
舞台の上からは誰も気づかない、けれど彼女にだけ届くような微かなニュアンスで。
「……この物語を、君と終わらせたい」
台本にはない一言。
観客には芝居の延長に聞こえるだろう。
だが、俺の視線は彼女だけに注がれていた。
彼女の肩が僅かに震えたのが見えた。
――届いた。
夢の中で交わした言葉が、現実の舞台で再び繋がった。
舞台の上から響いた蓮様の声。
「……この物語を、君と終わらせたい」
一瞬、耳を疑った。
台本にはないはずの言葉。観客には芝居の延長に聞こえるだろう。
けれど、私には分かった。
あれは、私に向けられた言葉だ。
胸がドクンと跳ねる。
狼狽えと感動が同時に押し寄せて、呼吸が乱れる。
「まさか……私に?」
心の中で警鐘が鳴る。期待しちゃだめだ、これはイベント舞台。
大人気声優の神楽坂蓮が、私を気にするわけがない。
そう思えば思うほど、胸の奥がチクリと痛む。
でも――彼の瞳が確かにこちらを見ていた。
ほんの一瞬、視線が絡んだ。
夢で見たあの夜のダンス、涙を流した自分。
すべてが重なって、現実の舞台で蘇る。
「……届いたんだ」
心の奥で呟く。
期待と恐れが入り混じり、涙が込み上げる。
必死にこらえながらも、頬が熱くなる。
観客の歓声の中で、私だけが別の世界にいるようだった。
舞台の光に照らされる彼の姿は、ルシアンでもあり、蓮様でもある。
そして、その言葉は確かに“私”に届いていた。
狼狽えながらも、胸の奥で確かな感動が広がる。
――この物語は、まだ続いている。
イベントが終わり、舞台袖に戻った瞬間から胸の奥がざわめいていた。
――彼女に会いたい。
夢で踊ったヴァイオレット=彼女。
最前列で俺を見つめていたその瞳は、確かに彼女だった。
「……頼む。あの席にいた女性を、こっそり楽屋まで案内してくれないか」
マネージャーにそう告げると、彼は少し驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。
楽屋の椅子に腰掛けて待つ間、心臓が落ち着かない。
声優として数々のイベントを経験してきたはずなのに、こんな緊張は初めてだった。
やがて、ドアがノックされる。
「どうぞ」
ドアが開き、彼女が立っていた。
彼女だ!――夢で涙を流したヴァイオレットが、現実の姿でそこにいた。
美容院で整えた髪、少し気張った服装、化粧で彩られた顔。
それでも、瞳の奥に宿る光は夢で見た彼女と同じだった。
「……来てくれたんだな」
言葉が自然に漏れる。
彼女は狼狽えながらも、微笑んだ。
「まさか、呼ばれるなんて思ってなくて……」
その声を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなる。
夢と現実が重なり合い、確信に変わった。
――彼女はヴァイオレットであり、1人の女性でもある。
俺は一歩近づき、彼女の瞳を見据えた。
「夢の中で言ったこと、覚えているか?
この物語を終わらせるために、俺が鍵だと」
彼女の瞳が揺れる。
そして、静かに頷いた。
「……ええ。だから、ここに来たんです」
その瞬間、胸の奥で何かが解けた。
夢で繋いだ絆が、現実でも確かに繋がった。
「あ、ご挨拶が遅れました。わたし、藤咲しおりと申します」
彼女はぺこりとお辞儀をした。緊張で肩が震えている。
その仕草が妙に他人行儀で、胸の奥に違和感が走った。
――たしかに彼女だ。
前髪を耳にかける仕草、瞬きのタイミング。
すべてが、庶民派を装ったヴァイオレットそのものだった。
だが、ここは楽屋。
彼女はゲームの一ファンで、俺は声優として舞台に立っただけ。
そんなことは分かっている。
けれど、この“わかっている”という壁が、俺と彼女を隔てていた。
沈黙が流れる。
俺は一歩近づき、彼女の瞳を見据えた。
「……しおりさん」
彼女が小さく肩を震わせる。
俺は声を落とし、誰にも聞かれないように囁いた。
「夢の中で君と踊ったこと、俺は忘れていない。
この世界では、君はファンで、俺は声優だ。
それでも――俺たちの物語はまだ続いている」
彼女の瞳が揺れる。
俺はさらに言葉を重ねた。
「だから、約束しよう。
次に君が迷った時、俺は必ず君を見つける。
舞台の上でも、夢の中でも、現実でも。
君がヴァイオレットであろうと、しおりであろうと――俺は君を見失わない」
その言葉は、観客にもスタッフにも届かない。
彼女にだけ伝えた秘密の約束。
彼女の唇が震え、やがて小さな微笑みが浮かんだ。
その瞬間、壁は少しだけ崩れた気がした。
「だから、約束しよう。
次に君が迷った時、俺は必ず君を見つける。
舞台の上でも、夢の中でも、現実でも。
君がヴァイオレットであろうと、しおりであろうと――俺は君を見失わない」
その言葉が、静かに胸の奥に落ちていった。
まるで夢の中で交わした言葉が、現実に重なったように。
――あぁ、やっぱり。
この人は、ルシアンであり、神楽坂蓮であり、そして私の物語の鍵なんだ。
胸が熱くなり、視界がじんわりと滲む。
涙がこぼれそうになる。
でも、ここで泣いてしまったら、せっかくの再会が涙に濁ってしまう。
必死に唇を噛みしめ、呼吸を整える。
「……はい。約束、受け止めました」
声が震えた。けれど、確かに言葉になった。
彼の瞳を見返すと、そこには氷の公爵の冷徹さではなく、蓮としての温もりが宿っていた。
その眼差しに支えられながら、私は涙を堪えた。
――この約束は、夢でも芝居でもない。
現実の私に向けられた、確かな絆の証。
胸の奥で静かに呟く。
「もう、迷わない。あなたが見つけてくれるなら」
涙は零れなかった。
けれど、心の奥では確かに泣いていた。
それは悲しみではなく、感動と安堵の涙だった。
彼女の瞳が揺れていた。
必死に涙をこらえ、唇を噛みしめている。
その姿は、夢で見たヴァイオレットと重なって――胸の奥が締め付けられた。
「……はい。約束、受け止めました」
震える声でそう告げる彼女。
その言葉に、俺の心臓は強く打った。
――泣かせたくない。
でも、涙をこらえるその姿が、あまりにも健気で美しかった。
俺はゆっくりと手を伸ばした。
観客もスタッフもいない、楽屋の静けさの中で。
彼女の頬に触れるのではなく、まず肩に。
そっと、安心させるように。
「……もう、無理にこらえなくてもいい」
囁くように言葉を落とす。
彼女が驚いたように目を見開く。
その瞳の奥に、確かに“しおり”と“ヴァイオレット”が同時に存在していた。
俺はさらに一歩近づき、指先で彼女の頬に触れた。
温もりを確かめるように、優しく。
涙は零れていなかった。
けれど、その震えを受け止めるだけで十分だった。
「君がどんな姿でも、俺は見つける。
だから……安心していい」
彼女の唇が震え、やがて小さな微笑みが浮かんだ。
涙はこぼれなかった。
けれど、その瞳の奥で確かに光が揺れていた。
俺はその光を見つめながら、そっと触れ続けた。
夢でも現実でも、彼女を見失わないために。
蓮さんの指先が、そっと私の肩に触れた。
安心させるような温もりが伝わってきて、胸の奥で張り詰めていたものが少しずつ解けていく。
「君がどんな姿でも、俺は見つける。
だから……安心していい」
その囁きに、涙が零れそうになった。
必死にこらえながら、私は唇を噛みしめる。
――でも、このまま黙っていたら、彼の想いに応えられない。
私は深く息を吸い、震える声で言葉を返した。
「……ありがとうございます。
夢でも、現実でも……あなたが見つけてくれるなら、私はもう迷いません」
彼の瞳を見返す。
そこには氷の公爵の冷徹さではなく、神楽坂蓮としての温もりが宿っていた。
その眼差しに支えられながら、私は続けた。
「わたし……藤咲しおりとして、ここにいます。
でも、ヴァイオレットとしての私も、確かにあなたに出会いました。
どちらの私も、あなたに見つけてもらえたことが……嬉しいです」
言葉を吐き出すと同時に、胸の奥が熱くなった。
涙は零れなかった。
けれど、心の奥では確かに泣いていた。
それは悲しみではなく、感謝と安堵の涙だった。
私は小さく微笑み、彼の温もりを受け止めた。
――この約束は、夢でも芝居でもない。
現実の私に向けられた、確かな絆の証なのだ。
彼女の言葉が胸に染み込んでいく。
「……ありがとうございます。夢でも、現実でも……あなたが見つけてくれるなら、私はもう迷いません」
その瞳は涙を堪えながらも、確かな光を宿していた。
俺はその光を見つめ、さらに踏み込んだ約束を交わそうと口を開いた。
「しおりさん……次は――」
その瞬間。
――コン、コン。
楽屋の扉がノックされた。
静かな空間に響く音が、まるで現実の境界線を突きつけるように。
彼女の肩が小さく震える。
俺も思わず言葉を飲み込んだ。
約束の続きを紡ぐ前に、現実が割り込んできたのだ。
「蓮さん、次の段取りの確認です」
外からスタッフの声がする。
胸の奥で、緊張と余韻がせめぎ合う。
言葉にできなかった約束が、空気の中に漂ったまま消えずに残っている。
俺は彼女を見つめ、静かに微笑んだ。
「……続きは、また後で」
彼女の瞳が揺れ、頷いた。
涙をこらえたまま、その表情には確かな期待が宿っていた。
扉の向こうから現実が呼んでいる。
けれど、この楽屋の中にはまだ余韻が残っていた。
深く踏み込もうとした約束は、途切れたまま――しかし確かに二人の間に存在していた。
蓮様が去った後の静かな楽屋の空気に、胸が締め付けられる。
これ以上ここにいることは、きっと“声優・神楽坂蓮”に迷惑をかけてしまう。
そう思うと、足が自然と出口へ向かっていた。
けれど――ただ黙って去るのは違う。
彼の言葉、途切れた約束を胸に抱いたまま、何も残さないのは惜しい。
私は手帳を取り出し、メモ用紙を一枚破る。
震える手で、短い言葉を書きつけた。
「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
それだけ。
けれど、私のすべての想いを込めた言葉だった。
机の上にそっと置き、深く息を吐く。
そして静かに楽屋を後にした。
背中にまだ彼の温もりが残っている気がして、涙が零れそうになる。
でも、私は前に進むと決めた。
スタッフとの打ち合わせを終えて楽屋に戻ると、机の上に一枚の紙が置かれていた。
見慣れない筆跡。
手に取ると、そこには短い言葉が記されていた。
「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
胸の奥が熱くなる。
彼女は確かにここにいた。
そして、俺の言葉を受け止めてくれた。
約束は途切れたまま。
けれど、その続きを求めるように彼女は前へ進むと書き残した。
俺は紙を握りしめ、静かに微笑んだ。
「……なら、俺も進もう。次に君を見つけるために」
楽屋の静けさの中で、彼女の残した言葉が確かな絆となって胸に刻まれた。
楽屋の扉を静かに閉めた瞬間、心臓の鼓動が耳に響いた。
――あぁ、終わってしまった。
けれど、確かに彼と交わした言葉は胸に残っている。
「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
そう書き残した置き手紙。
短い言葉だったけれど、私のすべての想いを込めた。
廊下を歩く足取りは少し震えていた。
でも、不思議と軽やかでもあった。
夢と現実が交錯した時間。
あの温もり、あの瞳。
すべてが私を支えてくれる。
外の空気に触れると、冷たい風が頬を撫でた。
涙が零れそうになったけれど、私は笑った。
――だって、約束は途切れていない。
続きは、きっとまた。
胸の奥で静かに呟く。
「前に進もう。彼が見つけてくれるなら」
その余韻は、まるで夜風に溶ける旋律のように、私の心を温め続けていた。
楽屋の机に残された一枚の紙。
震える筆跡で綴られた短い言葉。
――「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
その文字を目にした瞬間、胸の奥が熱くなった。
彼女は確かにここにいた。
そして、俺の言葉を受け止めてくれた。
紙を丁寧に折り、胸ポケットへと仕舞う。
まるで護符のように。
次の舞台へ向かう俺の背中を支える力になると信じて。
廊下を歩く足音が響く。
スタッフの声、舞台袖のざわめき。
それらすべてが現実の音でありながら、胸の奥ではまだ彼女の声が残響していた。
――「前に進みます」
ならば、俺も進もう。
彼女が選んだ道の先で、再び見つけるために。
舞台袖に立ち、深呼吸をする。
胸ポケットに触れると、紙の感触が確かにそこにあった。
それだけで、心臓の鼓動が落ち着く。
「……行こう。次の舞台へ」
照明が再び暗転し、幕が上がる。
観客の歓声が押し寄せる中、俺は胸ポケットに宿る約束を抱きながら、前へと歩み出した。
私は――俺は――前に進もう!
何故なら私たちの――俺達の――道は必ず交差するから!
その約束を胸に運命はまた回り出す。
目を覚ました私は、ものすっごい格好でベットから落ちていて、柱に頭をぶつけていた。
「そっかー、頭痛の原因はお前か!」
枕でベットの柱を殴りつける。
テレビはつけっぱなしで、画面には乙女ゲー『薔薇と罪の舞踏会』が起動したまんま。
頭を触ると、でっかいたんこぶ。
「こいつで変な夢見てたのかー」
氷嚢を用意しながら、ふとゲームパッケージに目が留まる。
そこからハガキのようなものがはみ出していた。
「こんな紙、入ってたっけ?」
取り出してみると、それは『薔薇と罪の舞踏会声優イベント』の申込書。
期限は明日の消印有効。
普段なら同担拒否の私がイベントなんて行かない。
けれど、この時ばかりは条件反射のようにアンケートを書き、名前も住所も記入して、速攻でポストへ。
――夢と現実が繋がったような、不思議な感覚を抱えながら。
目を開けると、見慣れた天井があった。
スタジオでも舞台でもない、ただの自室。
「……戻ってきたのか」
頭の奥にまだ残るのは、ヴァイオレットと踊った最後のダンスの感覚。
彼女の手を握ったはずなのに、最後は空を掴んでいた。
遠くで彼女の声がした気がする。
だが、歪んだ空間に飲み込まれ、意識は途切れた。
「夢……だったのか?」
そう呟きながらも、胸の奥には確かな余韻が残っている。
氷の公爵としての執着、蓮としての覚悟。
そして、ヴァイオレット=彼女の涙。
机の上には、仕事のセリフ台本とゲームパッケージ。
『薔薇と罪の舞踏会』。
その隙間から、イベント申込書が覗いていた。
蓮は静かに笑みを浮かべ、スマホを取った。
「なら、行くしかないだろう。俺と彼女の物語は、まだ続いている」
俺はマネージャーに電話をかけ、イベントの日程を確認していた。
また彼女に会えるような気がして……。
――イベント当日。
まさか…当たるとは思わなかった…。 しおりは会場を前に呆然と立ち尽くしていた。 この日のために馬鹿だと思いながらも、美容院に行き、服を買い、髪を整えて、普段あまりしない化粧までして気張ってきた。
推しに会えるんだ。このくらいしないと。
会場を前にガッツポーズを決めてわたしは会場入りした。
偶然にしては出来すぎだと思った。
ゲームパッケージから覗いていたイベント申込書。
期限は明日の消印有効。
あの時、スマホを手に取り、マネージャーに電話をかけた自分の行動は、まるで導かれるようだった。
神楽坂蓮は楽屋にいた。
舞台袖から聞こえるざわめき。観客の期待。
その中に――彼女がいるかもしれない。
「……来ているのか?」
心の奥で問いかける。
しおり。ヴァイオレット。夢の中で涙を流した彼女。
緊張で手が汗ばむ。
声優としてイベントに臨むのは慣れているはずなのに、今日は違う。
ただの仕事ではない。
これは、俺と彼女の物語の続き。
楽屋の鏡に映る自分を見つめる。
氷の公爵ルシアンの面影と、神楽坂蓮としての自分が重なっている。
「……行くしかないだろう」
舞台に立てば、彼女がいるかもしれない。
夢と現実が交錯する瞬間を、俺は確かに迎えようとしている。
期待と緊張に苛まれながらも、胸の奥には確かな決意があった。
――この物語を終わらせるために。
そして、彼女と再び絆を繋ぐために。
舞台照明が暗転し、開始の合図が鳴る。
俺はルシアンとしてのセリフを口にした。
「俺と共にいこう!婚約者どの」
これはルシアンルートのハッピーエンドの言葉。
芝居形式で進行するイベントの幕開け。
観客の歓声が波のように押し寄せる。
――その時だった。
最前列のど真ん中。
そこに座る一人の女性の姿が、まるで浮かび上がるように目に飛び込んできた。
凝視するように俺を見つめる瞳。
その瞬間、ほんの僅かに目が合った気がした。
胸の奥が熱くなる。
夢で見た彼女――ヴァイオレット=彼女。
あの涙、あの微笑み。
すべてが重なって、目の前の現実に溶け込んでいた。
「……いる」
心の中で呟く。
観客席のざわめきの中、彼女だけが鮮やかに浮かび上がって見える。
大人気声優としての俺を見つめる視線。
だが、その奥に確かに“彼女”を感じた。
夢ではなく、ここにいる。
この舞台で、俺と彼女の物語は続いている。
歓声に紛れて、胸の奥で喜びが膨らむ。
――彼女に会えた。
この舞台が、ただのイベントではなく、再会の場になった。
俺はルシアンとしての微笑を浮かべながらも、瞳の奥では蓮としての熱を隠しきれなかった。
「この物語は、まだ終わらない」
そう確信しながら、彼女を見つめ続けた。
舞台照明が眩しく、観客の歓声が波のように押し寄せる。
俺はルシアンとしての台詞を口にしながらも、心の奥では蓮としての鼓動が高鳴っていた。
観客全体に向けて声を放ちながら、ほんの一瞬だけ、言葉の響きを変える。
舞台の上からは誰も気づかない、けれど彼女にだけ届くような微かなニュアンスで。
「……この物語を、君と終わらせたい」
台本にはない一言。
観客には芝居の延長に聞こえるだろう。
だが、俺の視線は彼女だけに注がれていた。
彼女の肩が僅かに震えたのが見えた。
――届いた。
夢の中で交わした言葉が、現実の舞台で再び繋がった。
舞台の上から響いた蓮様の声。
「……この物語を、君と終わらせたい」
一瞬、耳を疑った。
台本にはないはずの言葉。観客には芝居の延長に聞こえるだろう。
けれど、私には分かった。
あれは、私に向けられた言葉だ。
胸がドクンと跳ねる。
狼狽えと感動が同時に押し寄せて、呼吸が乱れる。
「まさか……私に?」
心の中で警鐘が鳴る。期待しちゃだめだ、これはイベント舞台。
大人気声優の神楽坂蓮が、私を気にするわけがない。
そう思えば思うほど、胸の奥がチクリと痛む。
でも――彼の瞳が確かにこちらを見ていた。
ほんの一瞬、視線が絡んだ。
夢で見たあの夜のダンス、涙を流した自分。
すべてが重なって、現実の舞台で蘇る。
「……届いたんだ」
心の奥で呟く。
期待と恐れが入り混じり、涙が込み上げる。
必死にこらえながらも、頬が熱くなる。
観客の歓声の中で、私だけが別の世界にいるようだった。
舞台の光に照らされる彼の姿は、ルシアンでもあり、蓮様でもある。
そして、その言葉は確かに“私”に届いていた。
狼狽えながらも、胸の奥で確かな感動が広がる。
――この物語は、まだ続いている。
イベントが終わり、舞台袖に戻った瞬間から胸の奥がざわめいていた。
――彼女に会いたい。
夢で踊ったヴァイオレット=彼女。
最前列で俺を見つめていたその瞳は、確かに彼女だった。
「……頼む。あの席にいた女性を、こっそり楽屋まで案内してくれないか」
マネージャーにそう告げると、彼は少し驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。
楽屋の椅子に腰掛けて待つ間、心臓が落ち着かない。
声優として数々のイベントを経験してきたはずなのに、こんな緊張は初めてだった。
やがて、ドアがノックされる。
「どうぞ」
ドアが開き、彼女が立っていた。
彼女だ!――夢で涙を流したヴァイオレットが、現実の姿でそこにいた。
美容院で整えた髪、少し気張った服装、化粧で彩られた顔。
それでも、瞳の奥に宿る光は夢で見た彼女と同じだった。
「……来てくれたんだな」
言葉が自然に漏れる。
彼女は狼狽えながらも、微笑んだ。
「まさか、呼ばれるなんて思ってなくて……」
その声を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなる。
夢と現実が重なり合い、確信に変わった。
――彼女はヴァイオレットであり、1人の女性でもある。
俺は一歩近づき、彼女の瞳を見据えた。
「夢の中で言ったこと、覚えているか?
この物語を終わらせるために、俺が鍵だと」
彼女の瞳が揺れる。
そして、静かに頷いた。
「……ええ。だから、ここに来たんです」
その瞬間、胸の奥で何かが解けた。
夢で繋いだ絆が、現実でも確かに繋がった。
「あ、ご挨拶が遅れました。わたし、藤咲しおりと申します」
彼女はぺこりとお辞儀をした。緊張で肩が震えている。
その仕草が妙に他人行儀で、胸の奥に違和感が走った。
――たしかに彼女だ。
前髪を耳にかける仕草、瞬きのタイミング。
すべてが、庶民派を装ったヴァイオレットそのものだった。
だが、ここは楽屋。
彼女はゲームの一ファンで、俺は声優として舞台に立っただけ。
そんなことは分かっている。
けれど、この“わかっている”という壁が、俺と彼女を隔てていた。
沈黙が流れる。
俺は一歩近づき、彼女の瞳を見据えた。
「……しおりさん」
彼女が小さく肩を震わせる。
俺は声を落とし、誰にも聞かれないように囁いた。
「夢の中で君と踊ったこと、俺は忘れていない。
この世界では、君はファンで、俺は声優だ。
それでも――俺たちの物語はまだ続いている」
彼女の瞳が揺れる。
俺はさらに言葉を重ねた。
「だから、約束しよう。
次に君が迷った時、俺は必ず君を見つける。
舞台の上でも、夢の中でも、現実でも。
君がヴァイオレットであろうと、しおりであろうと――俺は君を見失わない」
その言葉は、観客にもスタッフにも届かない。
彼女にだけ伝えた秘密の約束。
彼女の唇が震え、やがて小さな微笑みが浮かんだ。
その瞬間、壁は少しだけ崩れた気がした。
「だから、約束しよう。
次に君が迷った時、俺は必ず君を見つける。
舞台の上でも、夢の中でも、現実でも。
君がヴァイオレットであろうと、しおりであろうと――俺は君を見失わない」
その言葉が、静かに胸の奥に落ちていった。
まるで夢の中で交わした言葉が、現実に重なったように。
――あぁ、やっぱり。
この人は、ルシアンであり、神楽坂蓮であり、そして私の物語の鍵なんだ。
胸が熱くなり、視界がじんわりと滲む。
涙がこぼれそうになる。
でも、ここで泣いてしまったら、せっかくの再会が涙に濁ってしまう。
必死に唇を噛みしめ、呼吸を整える。
「……はい。約束、受け止めました」
声が震えた。けれど、確かに言葉になった。
彼の瞳を見返すと、そこには氷の公爵の冷徹さではなく、蓮としての温もりが宿っていた。
その眼差しに支えられながら、私は涙を堪えた。
――この約束は、夢でも芝居でもない。
現実の私に向けられた、確かな絆の証。
胸の奥で静かに呟く。
「もう、迷わない。あなたが見つけてくれるなら」
涙は零れなかった。
けれど、心の奥では確かに泣いていた。
それは悲しみではなく、感動と安堵の涙だった。
彼女の瞳が揺れていた。
必死に涙をこらえ、唇を噛みしめている。
その姿は、夢で見たヴァイオレットと重なって――胸の奥が締め付けられた。
「……はい。約束、受け止めました」
震える声でそう告げる彼女。
その言葉に、俺の心臓は強く打った。
――泣かせたくない。
でも、涙をこらえるその姿が、あまりにも健気で美しかった。
俺はゆっくりと手を伸ばした。
観客もスタッフもいない、楽屋の静けさの中で。
彼女の頬に触れるのではなく、まず肩に。
そっと、安心させるように。
「……もう、無理にこらえなくてもいい」
囁くように言葉を落とす。
彼女が驚いたように目を見開く。
その瞳の奥に、確かに“しおり”と“ヴァイオレット”が同時に存在していた。
俺はさらに一歩近づき、指先で彼女の頬に触れた。
温もりを確かめるように、優しく。
涙は零れていなかった。
けれど、その震えを受け止めるだけで十分だった。
「君がどんな姿でも、俺は見つける。
だから……安心していい」
彼女の唇が震え、やがて小さな微笑みが浮かんだ。
涙はこぼれなかった。
けれど、その瞳の奥で確かに光が揺れていた。
俺はその光を見つめながら、そっと触れ続けた。
夢でも現実でも、彼女を見失わないために。
蓮さんの指先が、そっと私の肩に触れた。
安心させるような温もりが伝わってきて、胸の奥で張り詰めていたものが少しずつ解けていく。
「君がどんな姿でも、俺は見つける。
だから……安心していい」
その囁きに、涙が零れそうになった。
必死にこらえながら、私は唇を噛みしめる。
――でも、このまま黙っていたら、彼の想いに応えられない。
私は深く息を吸い、震える声で言葉を返した。
「……ありがとうございます。
夢でも、現実でも……あなたが見つけてくれるなら、私はもう迷いません」
彼の瞳を見返す。
そこには氷の公爵の冷徹さではなく、神楽坂蓮としての温もりが宿っていた。
その眼差しに支えられながら、私は続けた。
「わたし……藤咲しおりとして、ここにいます。
でも、ヴァイオレットとしての私も、確かにあなたに出会いました。
どちらの私も、あなたに見つけてもらえたことが……嬉しいです」
言葉を吐き出すと同時に、胸の奥が熱くなった。
涙は零れなかった。
けれど、心の奥では確かに泣いていた。
それは悲しみではなく、感謝と安堵の涙だった。
私は小さく微笑み、彼の温もりを受け止めた。
――この約束は、夢でも芝居でもない。
現実の私に向けられた、確かな絆の証なのだ。
彼女の言葉が胸に染み込んでいく。
「……ありがとうございます。夢でも、現実でも……あなたが見つけてくれるなら、私はもう迷いません」
その瞳は涙を堪えながらも、確かな光を宿していた。
俺はその光を見つめ、さらに踏み込んだ約束を交わそうと口を開いた。
「しおりさん……次は――」
その瞬間。
――コン、コン。
楽屋の扉がノックされた。
静かな空間に響く音が、まるで現実の境界線を突きつけるように。
彼女の肩が小さく震える。
俺も思わず言葉を飲み込んだ。
約束の続きを紡ぐ前に、現実が割り込んできたのだ。
「蓮さん、次の段取りの確認です」
外からスタッフの声がする。
胸の奥で、緊張と余韻がせめぎ合う。
言葉にできなかった約束が、空気の中に漂ったまま消えずに残っている。
俺は彼女を見つめ、静かに微笑んだ。
「……続きは、また後で」
彼女の瞳が揺れ、頷いた。
涙をこらえたまま、その表情には確かな期待が宿っていた。
扉の向こうから現実が呼んでいる。
けれど、この楽屋の中にはまだ余韻が残っていた。
深く踏み込もうとした約束は、途切れたまま――しかし確かに二人の間に存在していた。
蓮様が去った後の静かな楽屋の空気に、胸が締め付けられる。
これ以上ここにいることは、きっと“声優・神楽坂蓮”に迷惑をかけてしまう。
そう思うと、足が自然と出口へ向かっていた。
けれど――ただ黙って去るのは違う。
彼の言葉、途切れた約束を胸に抱いたまま、何も残さないのは惜しい。
私は手帳を取り出し、メモ用紙を一枚破る。
震える手で、短い言葉を書きつけた。
「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
それだけ。
けれど、私のすべての想いを込めた言葉だった。
机の上にそっと置き、深く息を吐く。
そして静かに楽屋を後にした。
背中にまだ彼の温もりが残っている気がして、涙が零れそうになる。
でも、私は前に進むと決めた。
スタッフとの打ち合わせを終えて楽屋に戻ると、机の上に一枚の紙が置かれていた。
見慣れない筆跡。
手に取ると、そこには短い言葉が記されていた。
「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
胸の奥が熱くなる。
彼女は確かにここにいた。
そして、俺の言葉を受け止めてくれた。
約束は途切れたまま。
けれど、その続きを求めるように彼女は前へ進むと書き残した。
俺は紙を握りしめ、静かに微笑んだ。
「……なら、俺も進もう。次に君を見つけるために」
楽屋の静けさの中で、彼女の残した言葉が確かな絆となって胸に刻まれた。
楽屋の扉を静かに閉めた瞬間、心臓の鼓動が耳に響いた。
――あぁ、終わってしまった。
けれど、確かに彼と交わした言葉は胸に残っている。
「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
そう書き残した置き手紙。
短い言葉だったけれど、私のすべての想いを込めた。
廊下を歩く足取りは少し震えていた。
でも、不思議と軽やかでもあった。
夢と現実が交錯した時間。
あの温もり、あの瞳。
すべてが私を支えてくれる。
外の空気に触れると、冷たい風が頬を撫でた。
涙が零れそうになったけれど、私は笑った。
――だって、約束は途切れていない。
続きは、きっとまた。
胸の奥で静かに呟く。
「前に進もう。彼が見つけてくれるなら」
その余韻は、まるで夜風に溶ける旋律のように、私の心を温め続けていた。
楽屋の机に残された一枚の紙。
震える筆跡で綴られた短い言葉。
――「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」
その文字を目にした瞬間、胸の奥が熱くなった。
彼女は確かにここにいた。
そして、俺の言葉を受け止めてくれた。
紙を丁寧に折り、胸ポケットへと仕舞う。
まるで護符のように。
次の舞台へ向かう俺の背中を支える力になると信じて。
廊下を歩く足音が響く。
スタッフの声、舞台袖のざわめき。
それらすべてが現実の音でありながら、胸の奥ではまだ彼女の声が残響していた。
――「前に進みます」
ならば、俺も進もう。
彼女が選んだ道の先で、再び見つけるために。
舞台袖に立ち、深呼吸をする。
胸ポケットに触れると、紙の感触が確かにそこにあった。
それだけで、心臓の鼓動が落ち着く。
「……行こう。次の舞台へ」
照明が再び暗転し、幕が上がる。
観客の歓声が押し寄せる中、俺は胸ポケットに宿る約束を抱きながら、前へと歩み出した。
私は――俺は――前に進もう!
何故なら私たちの――俺達の――道は必ず交差するから!
その約束を胸に運命はまた回り出す。
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