コロニー

神楽 羊

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第十八話 最後の日

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 鎖に繋がれ私は動く事が出来ない。だが閉じられた部屋は綺麗に掃除されており、装飾が施された家具が並べられていて牢獄の様な閉鎖的な場所などではなかった。

 外に見張りが立っていたがそれは罪人に対する警備ではなくそれなりに丁重に扱われている。
 豪勢な夕食も酒も用意され次々に仮面達がやって来ては謝罪や感謝の言葉を述べていくのを他人事のように見ていると、まるで人身御供の儀式の様だった。

 これだけ緩い監視だと逃げ出す事もたやすく出来るだろう。
 しかしジンとニーナも同じように囚われているのだろうと思うとその選択肢は選べない。

 もう出来る事と言えば私の中にある正解か分からないこの問いに対する答え合わせを明日最後の場所で確認するだけだ。

 その為に、私はもう一度死の淵を歩かなければならない。

 大いなる神のおかげで寿命も短くなり、残り少ない生命の蝋燭の灯をまた風の前に晒す真似をしなければならないとは、私の命の軽さを思い不意に乾いた笑いが出た。

 目を閉じる。

 私の騒めく心は消え魂は鎮まり、全ては此処に存在し、全てを超越していけそうな気がした。
 たった一つの答えはすでにずっと知っていて、元から持っていたのだ。

 夜が更け、私は酒を飲みながら安らかな心持ちで眠りに就いた。

 何の夢も見なかった。


***


 太陽が空の中心に昇り、急かされる様に雲が流れていく。
 奇岩の村、その中心にある広場には仮面を取った村人達が全て集まっていた。
 ジンとニーナも心配そうにこちらを見ている、その中心には私が居た。
 拘束されてもいない、私自身の意志でここに存在している、目の前には長と異形の仮面達が数人立っている。
 武器で脅されてもおらず私達は敵対などしていなかった。


 –––ただ私の中にいる大いなる神を燃やそうとしているだけだ。



「せめて痛みがないように薬を飲んでから逝きなさるか?継手の君よ。」
 敬意を持った言葉で長が言う。
 私は首を横に振り深呼吸をした、心が真ん中にある事を確認してから自分の思いを口にする。

「最後に一度試したい事があるのですが話を聞いてくれないでしょうか?」

白髪の老婆の強張った顔が少し緩んだ気がした。

「何か良い案があるのならば是非とも聞こうではありませんか!我々もこれが本意では無いのです。是非聞かせて下さい。」

村人達もその言葉に反応しどよめいた。
 やはり彼等も私を犠牲にするこのやり方がおかしいと感じているようだ。

「鋭い刃のついた短刀を貸して下さい。それを…」
 私がそう言った時、突然銃声が轟き村人が一人、斃れた。

 「探しましたよ、私の護るべき愛すべき神、大いなる神、逃しはしませんよ。入り込んだネズミ、裏切り者は処刑しました、安心してください。リンネの代わりそうリンネが居なくなった今リンネの代わりに私が護らないと護っていかないと神様神様神様神さまぁあ!連れ戻しに来ました連れ戻しに来たんです、継手としてやってもらわないと継手なんですから継手として清廉潔白な身として。神の意志は絶対なのです!私と護り手が束になれば継手と言えど勝てますまい、次の継手に移しましょうか?そうしたいですか?そうしましょうか?そうしましょうか。んふ、んふふあは!あはははは!やってみましょうか?やってみましょうよやってみないとわかりませんからねうふ、うはは!あはははは!」

 馬に乗ったヨコが涎を飛ばしながら絶叫する。明らかに様子はおかしく、目の焦点が合っていない。

 護り手も全員揃っていてコロニーの兵隊達も30人程銃を構えてこちらを狙っている。

 時間はもう残されていないと思った。
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