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母の話
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母は、現在70代。
私は50代。
今ではそれなりに仲良くしているし、
ちょくちょくデートしたりもする。
私は子供の頃から母に対する憎悪を
抱えていた。
まだハイハイをしていた頃、
誤って、母が沸かしたやかんのお湯を
浴びたことがあって以来だ。
「なんてことするんだ。
やっぱり子供に対する注意力とか欠けてる。」
「母は愛情表現を間違えている。
私の求める愛情を与えてくれたことは
ほとんどない。」
そんな気持ちをずっと抱えてきた。
自我の強い子供に育った。
煮えくり返る思いで、40代まで
過ごして、精魂が尽きようとした時、
やっと母と対面する気になった。
「母と話し合おう。」
憎しみの果てに、私は母との安寧の関係を
求めるに至った。
「お母さんって、冷たいよね。」
小出しにするように、
それまで我慢して黙っていた思いを
告げてみた。
母は驚いて、傷ついた、と言った。
親の心子知らず、とは言うが、
子の心親知らず、も申したかった。
母は涙した。
私は必死で、冷静と安寧に向かうよう、
心を抑えながら対話を続けようと試みた。
母は、
「私の母も愛情が薄かった。」と言った。
言葉を少しずつ交わす度、
沸騰しかけた思いの熱で、
お互いのすれ違っていた心の冷たい部分が
氷解し始めているのを感じた。
母には母の息子に対する思いが
あるようであった。
冷静さを失っている母の言葉の端から、
そんなことを思った。
私は自分の母への率直な思いを
黙って過ごしてきたので、
実は母の思いとは大きな溝を思っていたのだ。
ひと言、二言、
真なるコミュニケーションを回復するたび、
私は冷静さを失いそうになり、
また、母は母で傷ついたり涙したり
したけれども、
その度に、きちんとした親子関係が
修復してゆくのだった。
ほんの少しの言葉で充分だった。
深遠とも思える心の溝も、
双方の少しの歩み寄りで、
滑らかな関係性を復興できるのだった。
お互い色々な人生経験を経て来たので、
この文章も長くなると踏んでいたけれど、
実は、母との関係性において
要所をまとめると
千字ほどで事足りる話なのでした。
どんなに離れているように思っていても、
実際に素直な言葉を交わすことで、
関係性は修復可能、と
気持ちを改めるのでした。
これからは、
自分の思っていること、
また母は母で思っている事を
お互いさまと思い合いながら、
楽しくお付き合い、
過ごす時間を多くしてゆければと
思う次第であります。
(おわり)
私は50代。
今ではそれなりに仲良くしているし、
ちょくちょくデートしたりもする。
私は子供の頃から母に対する憎悪を
抱えていた。
まだハイハイをしていた頃、
誤って、母が沸かしたやかんのお湯を
浴びたことがあって以来だ。
「なんてことするんだ。
やっぱり子供に対する注意力とか欠けてる。」
「母は愛情表現を間違えている。
私の求める愛情を与えてくれたことは
ほとんどない。」
そんな気持ちをずっと抱えてきた。
自我の強い子供に育った。
煮えくり返る思いで、40代まで
過ごして、精魂が尽きようとした時、
やっと母と対面する気になった。
「母と話し合おう。」
憎しみの果てに、私は母との安寧の関係を
求めるに至った。
「お母さんって、冷たいよね。」
小出しにするように、
それまで我慢して黙っていた思いを
告げてみた。
母は驚いて、傷ついた、と言った。
親の心子知らず、とは言うが、
子の心親知らず、も申したかった。
母は涙した。
私は必死で、冷静と安寧に向かうよう、
心を抑えながら対話を続けようと試みた。
母は、
「私の母も愛情が薄かった。」と言った。
言葉を少しずつ交わす度、
沸騰しかけた思いの熱で、
お互いのすれ違っていた心の冷たい部分が
氷解し始めているのを感じた。
母には母の息子に対する思いが
あるようであった。
冷静さを失っている母の言葉の端から、
そんなことを思った。
私は自分の母への率直な思いを
黙って過ごしてきたので、
実は母の思いとは大きな溝を思っていたのだ。
ひと言、二言、
真なるコミュニケーションを回復するたび、
私は冷静さを失いそうになり、
また、母は母で傷ついたり涙したり
したけれども、
その度に、きちんとした親子関係が
修復してゆくのだった。
ほんの少しの言葉で充分だった。
深遠とも思える心の溝も、
双方の少しの歩み寄りで、
滑らかな関係性を復興できるのだった。
お互い色々な人生経験を経て来たので、
この文章も長くなると踏んでいたけれど、
実は、母との関係性において
要所をまとめると
千字ほどで事足りる話なのでした。
どんなに離れているように思っていても、
実際に素直な言葉を交わすことで、
関係性は修復可能、と
気持ちを改めるのでした。
これからは、
自分の思っていること、
また母は母で思っている事を
お互いさまと思い合いながら、
楽しくお付き合い、
過ごす時間を多くしてゆければと
思う次第であります。
(おわり)
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