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間違い
しおりを挟む「申し訳ござらぬ…!
其方を攫ったのは、すべて
こちらの間…ごほん、
手違いであった…」
買い物に出かけようと
自宅の門を出た所で、
怪しい男たちに攫われ
無理やり駕籠の中に
押し込められた
おはな…。
駕籠から出されて目に入ったのは、
これでもかと言う程
きらびやかで絢爛豪華な室内だった。
そして、数刻の後…
こうして…目の前で
身分が高そうな男性に
謝られているのである。
「…手違い…って。でも、それなら
あたしはすぐに家に帰れますよね?」
おはなが、半ば呆れながら
そう尋ねると、男性は、
「帰してやりたいのは、山々なのだが…
其方には、今しばらく、このまま
城内に留まって頂きたいのだ。
…五代将軍徳川綱吉公がご息女、
鶴姫様のみ…ごほん、名代として。」
ちょ…、名代って…
それ、聞こえは良いけど、
とどのつまり、身代わりに
なれってことでしょう…!?
っていうか、しれっと
身代わりって言いかけてたし…!
なんで、あたしが…!?
あたし、一介の下っ端同心の娘なのに…
おはなが、そんな事を
ぐるぐる考えていると、
綺麗な打ち掛けを身にまとった
女性が室内に入ってきた。
「失礼致します。鶴姫様付き上臈の
右衛門佐にございます。」
「うむ、ご苦労。して…事の次第は…」
「仔細…承知致してございます。」
「よしなに頼む。して…
この者に姫様の名代は
務められるであろうか?」
「承知仕りました。
ええ。見れば見るほど、
鶴姫様と瓜二つ…
この者であれば、
声さえ出されなければ
鶴姫様の名代は
務められると存じます。」
おはなの意思など
聞く気もなく
2人は、会話を続ける。
当のおはなは…というと、
自分が、将軍の姫様と
瓜二つだと言われてることに
驚きを隠せない様子で
呆然と2人の会話を聞いていた。
「其方、名は?」
突然、右衛門佐と名乗る女性に
名前を尋ねられ、慌てながらも
「おはな…です」と
答えるおはな。
「おはな…良き名じゃな。
じゃが、本日よりしばらくは、
その名、捨てて頂きます。
本日より其方…いえ、
貴方様は、徳川五代将軍
徳川綱吉公がご息女であり
紀州藩主徳川綱教公が御簾中
鶴姫様であらせられます。
夜が更けましたら、闇に乗じて
姫様のお部屋にお入り頂きます。
そして、明朝、
しばらくは、鶴姫様はお風邪が
重く静養が必要なため、
どなたともお会いになれぬと
上様にご報告申し上げます。
これで、数日は猶予が
出来まする故、その間、
姫様には、姫様らしい
振る舞いを身に着けて頂きます。
よろしゅうございますね?」
おはなは、有無を言わさぬ
右衛門佐の迫力に、思わず
首を縦に振るしかなく…
あ、あたしが…姫様…
そんなの…無理だよー!
と、心の中で叫んでいた
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