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15 ピアノ
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音に魔力が乗っている、というのは…。魔法がある種の「音」(実際の音じゃなくて心の中のだけど)と魔力との共鳴によるものなら、音に乗せる、というのも分からなくもないかな?
「それって珍しいの?」
「すごく珍しいですよ。特殊な才能ですね」
「へえー」
「ん?巫女殿は音楽に興味がおありかな?」
こそこそ話していたら、辺境伯が聞いてきた。
「え、ええ、あの真ん中でホルンを吹いている方の演奏が素晴らしいと」
フレアが答える。ああ、こっちでも「ホルン」で良いのか。
「なるほどなるほど。おい、カール、こちらへ来て挨拶をせんか」
辺境伯が言うと、ホルン?を吹いていた彼が、他の楽師に合図してこちらへ歩いてきた。すかさずホルンのいらない別の曲に変わるあたり、さすがに慣れたもののようだ。
「お耳汚しを。カールと申します」
跪いて挨拶すると、立ち上がる。結構長身で、ひょろっとした感じだ。
「お前の演奏が素晴らしいと、こちらの巫女殿がな」
「本当に素晴らしかったです」
「あ、あ、その、今日はちょっと調子が…」
カールと呼ばれた楽師は、かなり焦っているようだ。見ようによっては緊張しているとも取れるけど、まあ音を外しまくっていたのは、本人が一番分かっているだろうし。ちょっと気の毒。
「女神殿は如何かな?」
辺境伯にいきなり振られてちょっと焦る。え、えーっと、「音を外してましたね」じゃなくてー、無難な返事は…。
「そ、その楽器は演奏が難しそうですね」
「そ、そうですね…あはは…」
しまった、深読みすれば「難しいらしく音を外してましたね」と聞こえてしまう。
どう取り繕うか考えていたら、オルサ嬢が助け舟を出してくれた。
「カールの演奏はわたくしも大好きで、良く一人で聴かせてもらっているのです」
「ほう?」
辺境伯がちょっと伺うようなしぐさをすると、後ろから、
「ふんっ!」
と変な声が聞こえてきた。チラッと見るとチェスターだ。…ああ、楽師風情が貴族のお嬢様と仲良くするのが気に入らないと。まったく煩い奴だ。
目を逸らして前を見た私は、楽師たちの後ろに良く見知ったものを見つけた。まさかとは思うが…あれはピアノではないだろうか。
「…辺境伯。あの奥にある楽器ですが…」
「楽器?変な形のテーブルかと思った」
イルダが言う。辺境伯は、私をじっと見て、
「興味があるかね?『そなた』には後でじっくりと見てもらおうと思っていたのだが」
辺境伯が立ち上がったので、皆も何となく立ち上がって付いていく。もうデザートの飴細工や氷菓子を食べているところなので、マナー違反でもないだろう。
大屋根を片手でひょいっと上げ、鍵盤の蓋を開いてこちらに見せる。私は鍵盤を見て固まった。
その「鍵盤」は、まさに私の知っているピアノのものと相違なかった。白鍵と黒鍵の大きさや並びもまったくそのままに見える。しかし、この世界に?
まったく違う文化で、同じ音階が発生するかという議論を聞いたことがある。結論はYes。もし、音楽が一つの旋律からなるだけのものであったら、音階はあらゆるものが考えられる。実際、地球でも民族や文化によってさまざまな音階があった。しかし、複数の音を和声として協和させるなら?
協和度の高い完全四度と完全五度は当然選ばれる。ド(C)を基音とすれば、これはファ(F)とソ(G)に対応する。音階としては、ドとファ、ソと上のドの間が開いているので、この間を他の音で埋めていく必要がある。ドとファ、ソとドの隙間が等しく、さらにファとソの間隔の2.5倍であることはすぐ気が付くだろう。ファとソの間隔に合わせて、協和する音を選ぶと、1+1.5に分けるか1+1+0.5に分けるしかない。前者では二通り、後者では三通りの分け方があるけど、調が違うだけで、全て前者は四七抜きの五音階、後者はよく知られる「ドレミファソラシド」の七音階に帰着する。細かい話では、ドとファ、ソとドの隙間はファとソの間隔のぴったり2.5倍ではないし、どの音と協和させるかで微妙に異なる「ドレミファソラシド」になるけど。
だから、白鍵と黒鍵の並びが私の知っているものと同じなのは、まだ偶然でありえる話だ。しかし、そもそも鍵盤が白と黒なのは見栄えのためにどこかのピアノメーカーが始めたことだし、鍵盤の幅はともかく形や奥行きの長さが同じになるのは偶然ではありえない。しかも…。
「88鍵?」
私は思わず呟いた。88鍵は、あくまで歴史的な「都合」だ。57では足りないとか、97を超えると手が届かないとかはあるが、84や90でない理由はあまりない。
間違いない。この「ピアノ」は、地球のことを知る人が作ったものだ。
「…弾いてみても?」
「…ああ、是非お願いしたい」
いくつかの和音を弾いてみて、座りなおす。音の高さが自分の知っているピアノと同じだったり、調律が平均律だったりしたことにも、もう驚かなかった。
さて、何を弾こう?いつも弾いていたショパン?…いや、「聴衆」を考えるとメリカントあたりかが無難か。
弾き始めてすぐに気が付いた。タッチがピアノと違って音の強弱が出し辛いと思ったが、そんなことはなく、鍵盤を叩く指の力を変えなくても、自分の心で思った音がそのまま出るかのようだ。ものすごく弾きやすい。
一曲弾き終わると、楽師たちも含めて大きな拍手があった。何故かイルダがうんうんと感心している。辺境伯は真面目な顔をして、
「やはり女神なのだな」
と言う。
「以前に女神が辺境に降臨し、この辺りの魔物を倒したあと、魔工技術で作らせた楽器でな。もちろん家宝としていたが、今まで誰も演奏出来なかったのだ」
「…技術的に出来ないとも思えませんが」
楽師の方を見て言う。
「いや、鍵盤の動きを魔石で受けて、接続されたミスリル銀線を振動させる作りなのだそうだが、音を出すごとに魔力が必要なので、魔力の少ない普通の者では無理なのだ。さらに、出す音が予め心の中で分かっていないと音が出ない、女神の世界で同じ楽器を弾いたことのある『女神』でなければ演奏できない、と『女神』自身の言葉として残っておる」
予め心で音が分かっている、と。逆に言うと心で思うとおりに音が出るわけで、弾きやすいわけだ。
「女神様は、音楽理論や記譜法なども残されました。今我々が使用しているのもそれに基づいているのです」
カールが言う。私は、楽師の前にある、良く見慣れた楽譜を見て納得した。彼らの演奏を聴いた時点で気が付くべきだったわね。
前回降臨した「女神」も、恐らく地球から来た。前からそうではないかと思っていたが、間違いないようだ。それで、私と同じように、その前の「女神」とは別人で、同じように「記憶喪失」ということになったと。でも、疑問もある。
「200年以上前でしょうか」
「うむ、この町を囲む壁が作られた頃だからな」
辺境伯が言う。しかし、それではこの「ピアノ」はおかしい。88鍵になったのはつい最近のはずだ。
「うーん…」
「おお!記憶が戻ったのか!」
「女神様の記憶か!」
「(うるうる…)」
いや、だからそれはもういいって。
「前回、女神が降臨されたときにはな、この町で魔物を倒したり、壁を築いたりと、ある程度滞在する時間があったようでな。その後、魔王が復活して女神としての使命に目覚め、急いで討伐に向かわれたという話だ」
「やっぱり、魔王の復活と女神サマの記憶が戻るのとは関連があるのか」
「そういえば、以前の女神にもそういう話があったな。『使命に目覚めた』と伝えられているが、それまでは女神としての記憶を失っていたとも言われている」
…いや、たぶん違う。…と思う。失っていたのではなく、最初からなかったのだ。そして失った振りをしていたと。段々分かってきた気がする。
**********
何となく食事会もお開きになったので、ぞろぞろと部屋の方に向かっていると、カールが追いかけてきた。
「…あ、あの、すみません。あなた方は凄腕の冒険者でもあると聞いています。その腕を見込んでお願いがあるのですが」
「凄腕だってよ」
「まあ、魔物を倒すことだけは、な」
イルダは何となくうれしそうだけど、アルスは冷静に返した。
「で、魔物退治?」
「い、いえ、実はホルンの歌口を魔の森で落してしまいまして、探すのを手伝っていただきたいと」
「歌口?」
「楽器の吹く部分ね」
イルダの問いに、私が答える。マウスピースだ。金管楽器だと、取外しが出来るのが普通。
「何だって魔の森なんかに行ってるんだよ。危ないだろ?」
「いえ、ホルンを吹いていると、不思議と魔物が寄ってこないのです。それで、良く夜に、お聴かせ…いえ、練習していまして」
「じゃあ、昼間自分で吹きながら探せば良いじゃないか」
「昼間は目立ってしまうので…。エルリク様もチェスター様と一緒に、良く魔物狩りに行っていらっしゃいますし」
今度はアルスが色々と聞いているが…ああ、魔の森で吹いているのを知られたくないわけね。それにしても「お聴かせ」とは…色々分かった。
――――――――――
余計な註:
余計ですが、ドレミファソラシドの七音音階が自然に出てくることの説明をします。
まず、ドの他に、極めてよく協和するファとソは外せないのでそれを取ります。
*ド ファ ソ ド
ファとソの間隔を1とすると、ドとファ、ソとドの間隔は大体2.5です。ドとファ、ソとドの関係は同じなので、同じように分けて接続することを考えます。協和の関係から、2.5を三等分するわけにはいかず、出来るだけ1や0.5を使いたい。そうすると、2.5の分け方は、1+1+0.5、1+0.5+1、0.5+1+1の3通りしかありません。
そうすると、今の音階で表すと(半音の間隔を”・”で表しています)、
1+1+0.5:ド・・レ・・ミ・ファ・・ソ・・ラ・・シ・ド
1+0.5+1:ド・・レ・ミ♭・・ファ・・ソ・・ラ・シ♭・・ド
0.5+1+1:ド・レ♭・・ミ♭・・ファ・・ソ・ラ♭・・シ♭・・ド
となりますが、それぞれハ長調、ロ長調、変イ長調のドレミファソラシドの七音音階になっています。この音を白鍵、全音開いてしまったところに半音の黒鍵をいれると、どれも同じ鍵盤になります。
ちなみに、2.5を二分して1+1.5または1.5+1にした場合、どちらもヨナ抜きの五音音階になります。
「それって珍しいの?」
「すごく珍しいですよ。特殊な才能ですね」
「へえー」
「ん?巫女殿は音楽に興味がおありかな?」
こそこそ話していたら、辺境伯が聞いてきた。
「え、ええ、あの真ん中でホルンを吹いている方の演奏が素晴らしいと」
フレアが答える。ああ、こっちでも「ホルン」で良いのか。
「なるほどなるほど。おい、カール、こちらへ来て挨拶をせんか」
辺境伯が言うと、ホルン?を吹いていた彼が、他の楽師に合図してこちらへ歩いてきた。すかさずホルンのいらない別の曲に変わるあたり、さすがに慣れたもののようだ。
「お耳汚しを。カールと申します」
跪いて挨拶すると、立ち上がる。結構長身で、ひょろっとした感じだ。
「お前の演奏が素晴らしいと、こちらの巫女殿がな」
「本当に素晴らしかったです」
「あ、あ、その、今日はちょっと調子が…」
カールと呼ばれた楽師は、かなり焦っているようだ。見ようによっては緊張しているとも取れるけど、まあ音を外しまくっていたのは、本人が一番分かっているだろうし。ちょっと気の毒。
「女神殿は如何かな?」
辺境伯にいきなり振られてちょっと焦る。え、えーっと、「音を外してましたね」じゃなくてー、無難な返事は…。
「そ、その楽器は演奏が難しそうですね」
「そ、そうですね…あはは…」
しまった、深読みすれば「難しいらしく音を外してましたね」と聞こえてしまう。
どう取り繕うか考えていたら、オルサ嬢が助け舟を出してくれた。
「カールの演奏はわたくしも大好きで、良く一人で聴かせてもらっているのです」
「ほう?」
辺境伯がちょっと伺うようなしぐさをすると、後ろから、
「ふんっ!」
と変な声が聞こえてきた。チラッと見るとチェスターだ。…ああ、楽師風情が貴族のお嬢様と仲良くするのが気に入らないと。まったく煩い奴だ。
目を逸らして前を見た私は、楽師たちの後ろに良く見知ったものを見つけた。まさかとは思うが…あれはピアノではないだろうか。
「…辺境伯。あの奥にある楽器ですが…」
「楽器?変な形のテーブルかと思った」
イルダが言う。辺境伯は、私をじっと見て、
「興味があるかね?『そなた』には後でじっくりと見てもらおうと思っていたのだが」
辺境伯が立ち上がったので、皆も何となく立ち上がって付いていく。もうデザートの飴細工や氷菓子を食べているところなので、マナー違反でもないだろう。
大屋根を片手でひょいっと上げ、鍵盤の蓋を開いてこちらに見せる。私は鍵盤を見て固まった。
その「鍵盤」は、まさに私の知っているピアノのものと相違なかった。白鍵と黒鍵の大きさや並びもまったくそのままに見える。しかし、この世界に?
まったく違う文化で、同じ音階が発生するかという議論を聞いたことがある。結論はYes。もし、音楽が一つの旋律からなるだけのものであったら、音階はあらゆるものが考えられる。実際、地球でも民族や文化によってさまざまな音階があった。しかし、複数の音を和声として協和させるなら?
協和度の高い完全四度と完全五度は当然選ばれる。ド(C)を基音とすれば、これはファ(F)とソ(G)に対応する。音階としては、ドとファ、ソと上のドの間が開いているので、この間を他の音で埋めていく必要がある。ドとファ、ソとドの隙間が等しく、さらにファとソの間隔の2.5倍であることはすぐ気が付くだろう。ファとソの間隔に合わせて、協和する音を選ぶと、1+1.5に分けるか1+1+0.5に分けるしかない。前者では二通り、後者では三通りの分け方があるけど、調が違うだけで、全て前者は四七抜きの五音階、後者はよく知られる「ドレミファソラシド」の七音階に帰着する。細かい話では、ドとファ、ソとドの隙間はファとソの間隔のぴったり2.5倍ではないし、どの音と協和させるかで微妙に異なる「ドレミファソラシド」になるけど。
だから、白鍵と黒鍵の並びが私の知っているものと同じなのは、まだ偶然でありえる話だ。しかし、そもそも鍵盤が白と黒なのは見栄えのためにどこかのピアノメーカーが始めたことだし、鍵盤の幅はともかく形や奥行きの長さが同じになるのは偶然ではありえない。しかも…。
「88鍵?」
私は思わず呟いた。88鍵は、あくまで歴史的な「都合」だ。57では足りないとか、97を超えると手が届かないとかはあるが、84や90でない理由はあまりない。
間違いない。この「ピアノ」は、地球のことを知る人が作ったものだ。
「…弾いてみても?」
「…ああ、是非お願いしたい」
いくつかの和音を弾いてみて、座りなおす。音の高さが自分の知っているピアノと同じだったり、調律が平均律だったりしたことにも、もう驚かなかった。
さて、何を弾こう?いつも弾いていたショパン?…いや、「聴衆」を考えるとメリカントあたりかが無難か。
弾き始めてすぐに気が付いた。タッチがピアノと違って音の強弱が出し辛いと思ったが、そんなことはなく、鍵盤を叩く指の力を変えなくても、自分の心で思った音がそのまま出るかのようだ。ものすごく弾きやすい。
一曲弾き終わると、楽師たちも含めて大きな拍手があった。何故かイルダがうんうんと感心している。辺境伯は真面目な顔をして、
「やはり女神なのだな」
と言う。
「以前に女神が辺境に降臨し、この辺りの魔物を倒したあと、魔工技術で作らせた楽器でな。もちろん家宝としていたが、今まで誰も演奏出来なかったのだ」
「…技術的に出来ないとも思えませんが」
楽師の方を見て言う。
「いや、鍵盤の動きを魔石で受けて、接続されたミスリル銀線を振動させる作りなのだそうだが、音を出すごとに魔力が必要なので、魔力の少ない普通の者では無理なのだ。さらに、出す音が予め心の中で分かっていないと音が出ない、女神の世界で同じ楽器を弾いたことのある『女神』でなければ演奏できない、と『女神』自身の言葉として残っておる」
予め心で音が分かっている、と。逆に言うと心で思うとおりに音が出るわけで、弾きやすいわけだ。
「女神様は、音楽理論や記譜法なども残されました。今我々が使用しているのもそれに基づいているのです」
カールが言う。私は、楽師の前にある、良く見慣れた楽譜を見て納得した。彼らの演奏を聴いた時点で気が付くべきだったわね。
前回降臨した「女神」も、恐らく地球から来た。前からそうではないかと思っていたが、間違いないようだ。それで、私と同じように、その前の「女神」とは別人で、同じように「記憶喪失」ということになったと。でも、疑問もある。
「200年以上前でしょうか」
「うむ、この町を囲む壁が作られた頃だからな」
辺境伯が言う。しかし、それではこの「ピアノ」はおかしい。88鍵になったのはつい最近のはずだ。
「うーん…」
「おお!記憶が戻ったのか!」
「女神様の記憶か!」
「(うるうる…)」
いや、だからそれはもういいって。
「前回、女神が降臨されたときにはな、この町で魔物を倒したり、壁を築いたりと、ある程度滞在する時間があったようでな。その後、魔王が復活して女神としての使命に目覚め、急いで討伐に向かわれたという話だ」
「やっぱり、魔王の復活と女神サマの記憶が戻るのとは関連があるのか」
「そういえば、以前の女神にもそういう話があったな。『使命に目覚めた』と伝えられているが、それまでは女神としての記憶を失っていたとも言われている」
…いや、たぶん違う。…と思う。失っていたのではなく、最初からなかったのだ。そして失った振りをしていたと。段々分かってきた気がする。
**********
何となく食事会もお開きになったので、ぞろぞろと部屋の方に向かっていると、カールが追いかけてきた。
「…あ、あの、すみません。あなた方は凄腕の冒険者でもあると聞いています。その腕を見込んでお願いがあるのですが」
「凄腕だってよ」
「まあ、魔物を倒すことだけは、な」
イルダは何となくうれしそうだけど、アルスは冷静に返した。
「で、魔物退治?」
「い、いえ、実はホルンの歌口を魔の森で落してしまいまして、探すのを手伝っていただきたいと」
「歌口?」
「楽器の吹く部分ね」
イルダの問いに、私が答える。マウスピースだ。金管楽器だと、取外しが出来るのが普通。
「何だって魔の森なんかに行ってるんだよ。危ないだろ?」
「いえ、ホルンを吹いていると、不思議と魔物が寄ってこないのです。それで、良く夜に、お聴かせ…いえ、練習していまして」
「じゃあ、昼間自分で吹きながら探せば良いじゃないか」
「昼間は目立ってしまうので…。エルリク様もチェスター様と一緒に、良く魔物狩りに行っていらっしゃいますし」
今度はアルスが色々と聞いているが…ああ、魔の森で吹いているのを知られたくないわけね。それにしても「お聴かせ」とは…色々分かった。
――――――――――
余計な註:
余計ですが、ドレミファソラシドの七音音階が自然に出てくることの説明をします。
まず、ドの他に、極めてよく協和するファとソは外せないのでそれを取ります。
*ド ファ ソ ド
ファとソの間隔を1とすると、ドとファ、ソとドの間隔は大体2.5です。ドとファ、ソとドの関係は同じなので、同じように分けて接続することを考えます。協和の関係から、2.5を三等分するわけにはいかず、出来るだけ1や0.5を使いたい。そうすると、2.5の分け方は、1+1+0.5、1+0.5+1、0.5+1+1の3通りしかありません。
そうすると、今の音階で表すと(半音の間隔を”・”で表しています)、
1+1+0.5:ド・・レ・・ミ・ファ・・ソ・・ラ・・シ・ド
1+0.5+1:ド・・レ・ミ♭・・ファ・・ソ・・ラ・シ♭・・ド
0.5+1+1:ド・レ♭・・ミ♭・・ファ・・ソ・ラ♭・・シ♭・・ド
となりますが、それぞれハ長調、ロ長調、変イ長調のドレミファソラシドの七音音階になっています。この音を白鍵、全音開いてしまったところに半音の黒鍵をいれると、どれも同じ鍵盤になります。
ちなみに、2.5を二分して1+1.5または1.5+1にした場合、どちらもヨナ抜きの五音音階になります。
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